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 2011.8.17  「振り返れば、やっぱり格闘技」 第102回 by熊久保英幸
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「ムエタイの魅力、語りまくります」の第2回。キックボクシングの原型となったタイの国技ムエタイは、なぜ“地上最強の格闘技”と言われ続けているのか?

 タイ人はタイから来るもの。そう思っていたが、ゴング格闘技編集部に入ってすぐ、在日タイ人という存在を知ることになる。彼らは現役を引退し、日本に呼ばれてジムでコーチとして働きながら、試合にも出場していた。

 今では「コーチ」や「トレーナー」と呼ばれることの方が多いが、1989年当時くらいだと彼らはジムの会長や選手からも「ミット持ち」と呼ばれることが多かった。もちろん、ミットを持っているだけではなく技術の指導をしたり、スパーリングの相手をしたりするのだが。雇っている立場の会長ならともかく、教わっている立場の選手が「ミット持ち」と呼ぶのは何となく侮蔑の意味も含んでいるようで、在日タイ人の悲哀を感じたものである。

 在日タイ人が試合をするのは、それこそ1960〜1970年代に一大キックボクシングブームを巻き起こした、“真空飛びヒザ蹴り”沢村忠の時代にまで遡る。沢村ブームの頃は週に何回も試合があった。その度にタイ人をタイから呼ぶのは経費がかかるという理由で、何人かをまとめて呼んでジムの寮に住まわせて試合に出場させていたという。

 もう現役を引退してコーチをやっているのだから、さぞかし弱いのだろうと思われるかもしれないがそうではない。一部の例外を除いて、この在日タイ人に日本人選手はチャンピオンクラスでも歯が立たないのが現状だ。

 しかも彼らは普段、コーチとしてジムの選手や一般会員の面倒を見ているので、スパーリングの相手をすることはあっても自分のための練習をすることはほとんどない。試合が決まると長くて1週間、平均で3日間、中には計量前日にサンドバッグを蹴っただけで試合に出て、勝ってしまうのだ。

 この事実を知った時、ボクは驚愕した。毎日のように練習している日本人のトップ選手が、3日間練習(それもサンドバッグやミットを数ラウンド蹴っただけの)しただけのタイでは引退した選手に歯が立たないのである。ムエタイってどんだけ強いんだよ、と思った。彼らでさえこんなに強いのだから、現役の選手、それもランカーやチャンピオンだったらもっと強いはず。こんな人たちに日本人選手は勝てるのか、と。

 あとで聞いた話によると…………、

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