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 2011.8.17  「振り返れば、やっぱり格闘技」 第102回 by熊久保英幸
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「ムエタイの魅力、語りまくります」の第3回。日本のリングに数多く上がってきたタイ人選手。しかし、その大半はタイで現役を引退して、日本のジムでコーチを務めている在日タイ人である。彼らから感じたムエタイの底知れぬ凄さについて。

 ボクが初めて“これは凄い!”と思った在日タイ人選手は、パントーン・ソムチャイという選手だった。この選手、何がどう凄かったかと言うと、バンタム級(52.16〜53.52kg)くらいの体格なのに当時のバンタム級からライト級(58.97〜61.23kg)の日本チャンピオンおよびトップランカーたちを総なめにしてしまったのだ。

 あんなに小さいのになぜ上の階級の選手たちに勝てるのか? ゴン格編集部の先輩に聞くと、「タイ人が外国人と対戦する時は上の階級の選手とやるのが当たり前。そうじゃないと試合にならない」という答え。つまり、同じ階級の選手ではテクニックに差がありすぎて相手にならないというのである。体格のハンディがあって、初めて試合が成立する、と。

 実はこの状況、今でも変わらない。最も有名な例をあげるとすれば、K-1MAXで活躍したブアカーオだ。K-1MAXは70kgの階級で行われているが、ブアカーオは本来ライト級の選手。K-1MAXに参戦してからは身体を大きく作り上げた(増量した)が、ベスト階級はスーパーライト級(61.23〜63.50kg)だと言われている。それでも、減量して階級を下げてきた欧米人よりも強いのだ。

 ただし、ムエタイで本当に強いのは選手層が厚い軽量級だというのが定説。ライト級以上はタイ人の選手層が薄く(タイ人の平均体格を上回る)、ほとんど試合を組むことが出来ないためウェルター級やミドル級の選手はそれほどレベルが高くないと言われている。

 ウェルター級(63.50〜66.68kg)からミドル級(69.85〜72.57kg)で試合をしていたチャンプア・ゲッソンリットが、K-1に出場して重量級選手たちとやり合ったり、スーパーウェルター級(66.68〜69.85kg)のガオグライ・ゲーンノラシンが同じくK-1でヘビー級のアレクセイ・イグナショフやマイティ・モーから勝利を奪ったりと例外はいるが……。

 話はパントーンに戻る。この選手は何が強かったというと、首相撲からのヒザ蹴りが圧倒的に強かった。日本人選手によく見られるような、ただ足を上げているだけのヒザ蹴りではなく、ガッチリと首相撲で相手をロックし、ヒザを鋭角的にボディへ突き刺すのだ。突き刺すというよりも、膝頭を叩きつけると言った方が表現的にはいいかもしれない。それほど迫力と説得力のあるヒザ蹴りだった。

 パントーンはシュートボクシングとMA日本キックボクシング連盟で日本人に連戦連勝、最後は上り調子にあった新妻聡に敗れたが、日本人キラー(この称号を与えられた在日ムエタイ戦士が一体これまで何人いたことか……)の名を欲しいままにした。

 圧巻だったのは…………

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