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 2012.05.02  「振り返れば、やっぱり格闘技」 第119回 by熊久保英幸
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「ムエタイの魅力、語りまくります」の第19回。今回もムエタイ最大の謎と言ってもいいほど難解な採点について。選手でさえも「よく分からない」と言うほどムエタイの判定は分かりにくい。

 前回の「ムエタイはミドルキックのポイントが一番高い」説に続いて、よく言われるのが「倒される(コカされる)のは大きなマイナスポイント」という説。首相撲というだけあって、相撲と同じという説である。

 タイ人同士で試合をすると、首相撲で倒されることはほとんどないのだが、タイ人と外国人選手が対戦すると外国人選手はコロコロとよく転がされる。タイ人が転がすと観客は大喜びするが、これが頻繁に続くようだと場内はシラケてくる。両者の力量の差がハッキリと現れているからだ。

 前回書いたように、ムエタイの採点基準で大きなウェイトを占めるのが「相手をコントロールして試合を支配する」ことだ。コントロールするというのは、相手を自分の支配化に置くということ。分かりやすく言うと、相手を自分の距離に置き、手玉に取るということだ。相手を転がすというのは、相手をコントロールして動きを封じることにつながるので、ムエタイでは高いポイントになるのである。

 これはタイに住む日本人に聞いたのだが、ムエタイは元々、戦争で使う徒手格闘術だったという。戦場で地面に倒されれば顔面を踏み潰されたり、あるいは持っていたナイフでトドメを差されるかもしれない。地面に倒れてしまった状態は、実戦では最も不利なポジションなので、ムエタイではマイナスポイントになるのだ、という説だ。または、相手を倒した人間がその隙に逃げることも出来るので、倒すことがポイントに結びつくのは非常に実戦的である、とその人は解釈していた。

 実はこの解釈の名残と思われる部分がムエタイには残っていて、相手を首相撲で倒したタイ人が、よくヒザを顔面や腹に落としてくる光景は見たことがあると思う…………

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