
百人組手は失敗に終わった。道場生の肩を借り、道場を後にする三瓶師範。これはこれで極真の凄まじさを感じさせるに十分だった。やはり百人組手は一筋縄ではいかないものなのだ、と。
道場では別の選手の連続組手が始まった。まるで何事もなかったように。ところが約1時間後、本部の指導員が大山総裁に思わぬことを告げたのだ。「三瓶師範が続きをやりたいそうです」。歩み出る三瓶師範。大山総裁が「お前、本当にやるのか!?」と問いかけると、三瓶師範は声を出さずにコクリと頷き、口元には微笑を浮かべていた。
百人組手再開。へぇ〜、こういうこともあるのか……と思いつつ、僕は再びメモを取り始めた。道衣を着替え、汗も拭った三瓶師範は相手に立ち向かっていったが、明らかに動きが悪い。最初の内は足払いを決めたり、突きを出していったが、すぐに人間サンドバッグ状態と化した。さすがに下段を蹴りに行く相手はいなかったが、とてもあと半分も残っている相手と闘えるとは思えないほど弱っていた。
「もっと動いて汗をかかないとダメだよ!」「自分から攻めた方がラクだよ!」と大山総裁の檄も多くなっていく。しかし、三瓶師範は立っているのがやっとという感じで、相手の攻撃をもらうと「ム〜ン……」と声にならないうめき声をあげる。黒星もどんどん増えていく。
そして、70人目を超えたくらいだったか、三瓶師範はまたも下段をもらって倒れた。この時ばかりは足が痙攣して、三瓶師範は足を抱えて声を出しながらのた打ち回った。足がつったらしい。これはもうダメだろう、周りもそう思ったのか、道場にはねぎらいの拍手が鳴り響いた。
ところが、三瓶師範は40分後にまたも道場に現れた。続きをやる、という。