
「極真空手、思い出を挙げればキリがない」の第46回目。今回はボクが実際に見た試合の中から、これは秀逸だったというテクニックにまつわる話をしていきたい。極真と言えば“根性”とか“精神力”とかで語られることが多いのだが、何と言ってもテクニックが素晴らしいのだよ。
前回からの続きで上段廻し蹴りに関する話からすると、強く印象に残っている技がある。1993年の『第10回全日本ウェイト制大会』でのことだ。この大会には八巻建志(現・建弐)が出場することで話題になっていたのだが、その八巻と対戦した新保智が奇妙な上段廻し蹴りを使ったのである。
その技は、身体を思い切り左側に倒し、蹴り足が大きな弧を描いて相手の左手越しに右の上段廻し蹴りを放つというもの。新保は2度、この技を八巻にトライしたが、寸前で受けられたか、当たったもののダメージには至らなかった。試合後、この技が気になって新保に聞いたところ(余談だが、当時は記者の控え室への出入りは自由だったのでこういう取材が出来たのだ。あの頃は濃い取材が出来たな……)「いま研究中の技を試してみましたが、まだまだでした」と言っていた。残念ながらその後、新保の試合でこの技を見ることはなかったので、ボツになったのだろう。
ボツ技で思い出したが、たしか『第12回全日本』あたりを映像で見た時に、接近戦でいきなり逆立ちして両足の踵をバタつかせるようにして顔面を蹴っていた選手もいた。さらには、もはや伝説となっている東北の地方大会に出場した謎のマスクマン空手家・伊達直人は両足がキッチリと揃ったドロップキックをやっていたっけ。
あと面白いところでは…