シュートボクシング「∞-S〜infinity-S〜Vol.3」
2004年6月04日(金) 東京・後楽園ホール
開場17:00 開始17:30
▼第7試合 日本スーパーフェザー級 タイトルマッチ
○及川智浩(龍生塾/フェザー級1位)
5R判定 3-0 ※49−48、50−48、50−49
●松浦知希(王者/風吹ジム)
相手が攻めれば自分も攻めるというように、一進一退の攻防が続くなか、勝負を決めたのは及川が3Rに決めた首投げだった。これでシュートポイントを獲得した及川は、気持ち的にラクになったか、4Rには松浦の得意技である連打を封じるために、前蹴りや横蹴り、プッシングで松浦を突き放す。
5R、シュートポイントを奪われている松浦は前へ出て、連打を決めようとするが及川は組み付きやジャブでそれを許さない。4Rから有効的だった左ミドルを何度も決めて、王座奪回を果たした。
しかし、及川は3Rに投げを決めた際、肋軟骨を負傷しており、大会後は病院へ直行した。
▼第6試合 特別試合 グローブハンディマッチ
○土井広之(シーザージム/68.9s)
5R判定 3-0 ※49−48、49−48、49−48
●後藤龍治(STEALTH/69.4s)
リングインしても、両者は目を合わせなかった。お互いに自分のコーナー側を向き、相手を見ないようにしていた。かつてはシーザージムで友だちのようにしていた二人にとって、心中は察するにあまる。ルールチェックが終わると、後藤はいつものようにグローブを合わそうと差し出したが、土井はクルリと踵を返す。「僕の中では、吉鷹VS大江戦と同じだった。絶対にグローブを合わせるつもりはなかった」と、土井は試合後に語っている。あの時の吉鷹と同じように、土井もまた非情になろうとしていたのである。
1R、ローの打ち合いから突如、土井がヒジを立てて飛び込んだ。後藤はそのまま組み付いて巻き込むような首投げでシュートポイントを挙げる。「SBのエースに僕がSBの技を教えてあげます」と宣言したとおり、まずは投げを決めた。その後も、土井はヒジを狙い続ける。フック主体の後藤にとって有効な手段だった。
2R、土井のリズムが急テンポを刻み始める。ジャブを放ちながらステップを使い、左ローキックを内・外に蹴り分ける。後藤に右ミドルをキャッチされると、そのまま回転蹴りを繰り出し、前蹴りで離すと胴廻し回転蹴りまで放つ。今までの土井にはなかった動き。正確に言えば、昔の動きを取り戻したかのように土井は多彩な技を使う。乱戦に持ち込んで圧力をかけていくのが後藤の持ち味だが、土井はそれを速い連打のジャブ&接近戦になったらヒジで完全に殺していた。後藤の圧力を完全に封じ込めたのである。
3Rも同様に、土井が巧さを見せ付ける。自分のローを当てつつ、相手のローは腰を落として威力を殺し、ヒジに繋げていく。4Rになるとさらに顕著に、ジャブ&ヒジを使う。後藤が組んで投げに来るとヒジを打って防ぎ、さらにヒジを連打。ヒジを怖がるかのような後藤をロープに詰め、ヒジをどんどん叩き込んでいく。完全に土井がポイントを得た。
5R、土井の技の回転はさらに高まっていく。左ハイからのヒジ、左ストレートから左フック、ヒジをフェイントしてのヒザ蹴り…技のオンパレードだ。後藤はストレートを打ち返すが、終盤にはヒジでカットされる。ガッツポーズをとった土井だが、試合は続行。首投げに行こうとした後藤に、バックドロップまで繰り出す土井。最後はお互いにヒジを放つが、パンチからヒジに繋げる土井が勢いに勝る。ゴングが鳴ると、土井は再びガッツポーズ。後藤は首を捻った。
判定は3−0で土井。トロフィーを前に、ハッスルポーズまで決めて喜んだが、マイクを手にすると感極まって目頭をおさえた。
「今日、判定ですけど、KOしたかったんですけど、後藤も一流で頑張っているだけあって強かった。S-cupには緒形(健一)が出場します。みなさん、緒形を応援してください。S-cup日本人制覇の夢を、緒形が叶えてくれると思います!」と、セコンドに付いていた緒形に“次はお前の番だぞ”とばかりにエールを送った。緒形もまた、涙を浮かべていた。
「後藤は強かったですよ、やっぱり。僕はシュートボクサーとしては恥ずかしいですが、投げとか立ち関節は得意じゃないので、自信のあるヒジで行きました。短所を補うより、長所を伸ばそうとしたんです。投げと立ち関節の防御は練習してました」と土井。
「2年ぐらい前から、S-cupで優勝しなければいけないという気持ちが強すぎて、いつのまにかスタイルが守りに入ってた。パンチを防いでローとか、そんなのばかりになっていた。いつから俺は守りに入ったんだろう、と思って。極真やって上京して、トリッキーな足技を出してた頃を思い出してやりました」という土井に助言したのは、シーザー会長だった。
ジムに泊り込みで合宿をやり、会長から「お前は初心を忘れてるよ」と言われた。家に帰り、自分の試合を全てビデオで見直すと、「最近は全然面白くない試合をしてる」と思ったという。さらに、「プレッシャーで寝られなかった。吐き気があって戻しそうになったりもした。自分はそういう事にはトロイほうだと思っていたのに」と、凄まじいプレッシャーがあった事も告白した。
「これで、重い階級の人とやるのは最後」と改めて宣言した土井。これからは本来のウェルター級で、世界の強豪を相手に闘っていきたいという。後藤という好敵手と闘った事で、本来の姿を取り戻した土井に晴れ晴れとした笑顔が戻った。
▽SB対IKUSA&R.I.S.E連合軍 対抗戦
▼第5試合 68kg契約
○菊地浩一(SB/寝屋川ジム)
5R判定 3-0 ※49−46、49−48、48−47
●裕樹(IKUSA/REAL DEAL)
ここまで5戦5勝5KOの菊地は、あの吉鷹弘の秘蔵っ子。対する裕樹は21歳の若さながらもすでに19戦の経験を持ち、IKUSAでは宍戸大樹を相手に接戦を繰り広げている。まさにSBとIKUSAのホープ同士の対決。
左ローを多用して前に出る菊地に、裕樹もローからのフックで応戦。見応えがあったのは3Rで、左フックを二発連続クリーンヒットさせ、一気にパンチで詰めてきた裕樹に、菊地がカウンターの左ストレートでダウンを奪ったのだ。土壇場に追い込まれた時の逆転劇。しかし、裕樹は左フックを中心に4Rから盛り返し、5Rもパンチで攻めまくる。菊地も左ローを中心に、打たれたら即打ち返す気持ちの強さを見せる。攻守が目まぐるしく入れ替わる打ち合いに、場内も沸いた。最後まで打ち合いが続いたが、判定は菊地に凱歌が上がった。
敗れたとはいえ、裕樹はSBルールではこれが二戦目。気持ちの強さとガッツ、左フックが強く今後さらに伸びてくる選手だろう。菊地と裕樹、新たなるライバルストーリー誕生の予感が漂うグッドファイトだった。
▼第4試合 日本Sウェルター級
○藪英平(SB/龍生塾)
3R判定 3-0
●NIIZUMAX!(R.I.S.E./クロスポイント吉祥寺)
▼第3試合 日本Sウェルター級
○石川剛司(SB/シーザージム)
3R1分50秒 反則負け ※再三の膝を付いてのディフェンスにより
●卯月昇龍(R.I.S.E./チーム・ドラゴン)
▼第2試合 日本ライト級
○梶原龍児(R.I.S.E./チームドラゴン)
3R判定 3-0
●田村聡太(SB/大阪)
▼第1試合 日本S・ウェルター級
○太田義昭(SB/シーザー)
3R判定 2-0
●高橋忠一郎(R.I.S.E./スクランブル渋谷)
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