「K-1WORLDMAX2004〜世界一決定トーナメント〜」
TBS/FEG
2004年7月7日(水)東京・国立代々木第一体育館
開場16:30 開始17:30
観衆=14,819人(超満員札止め)
▼オープニングファイト 3分3R(延長1R)
○大野 崇(日本/inspirit/70.0kg)
TKO 1R2分56秒 ※レフェリーストップ
●ビンセント・スワーンズ(オランダ/ボスジム/70.0kg)
※2ノックダウン
▼リザーブファイト 3分3R(延長1R)
○ドゥエイン・ラドウィック(USA/3-Dマーシャルアーツ/70.0kg)
判定3-0 ※28-27、30-29、30-28
●セルカン・イルマッツ(トルコ/チーム・ソラック/69.0kg)
※1Rにイルマッツが左フックでダウンを奪い、ラドウィックがヒザ蹴りでダウンを奪い返す。
▼第1試合 K-1WORLDMAX2004 トーナメント準々決勝 3分3R(延長1R)
○小比類巻貴之(日本/チーム・ドラゴン/69.9s)
判定3-0 ※30-28、29-28、29-28
●マイク・ザンビディス(ギリシャ/メガジム/70.0kg)
[試合展開]
1R、ザンビディスは左右ローでパンチの機会を窺う。コヒはよく見て右ロー、左ハイ。ザンビディスも負けじとハイキックを出し、左レバーブロー。ザンビディスが頭を下げてパンチを打とうとすると、コヒはテンカオを合わせていく。コヒはまだ待ちの体勢。ザンビディスも身長差を考慮して無理には中に入っていかない。
2R、コヒがジャブを出し始める。ザンビディスも軽いフットワークから、フックを出してパンチの連打へ繋ごうとする。しかし、身長の低いザンビディスがパンチに行こうとすれば、当然頭が下がって前傾姿勢になる。そこへコヒのテンカオがクリーンヒット、すかさず首相撲に捕らえて膝を連打するコヒ、そして右ヒザでアゴを打ち抜きザンビディスがダウン! 「コヒ・コール」に包まれる場内。ザンビディスはパンチで前へ出るが、コヒはやはりテンカオを合わせて首相撲に捕らえる。
3R、倒し返そうとパンチで前へ出るザンビディス。思い切ってフックを振り回す。コヒはテンカオを合わせながらも、構わずザンビディスが潜り込んで来ようとすると首相撲に捕らえる。ザンビディスは構わずボディへパンチを放つが、コヒは離さない。以後もザンビディスがフックで飛び込んでくると、コヒはすぐに首相撲。ホールディングが多いため、コヒにイエローカードが提示された。しかし、残り時間は僅か。なおも前へ出ようとするザンビディスを、コヒは必死にクリンチに捕らえて動きを止める。そして、終了のゴング。多くの専門家が予想したとおり、コヒが身長差を生かしたヒザ&首相撲を駆使して判定勝利を収めた。
▼第2試合 K-1WORLDMAX2004 トーナメント準々決勝 3分3R(延長1R)
○ブアカーオ・ポームラムック(タイ/ポームラムックジム/69.0kg)
延長1R 判定2-1 ※10-9、9-10、10-9
●ジョン・ウェイン・パー(オーストラリア/ブンチュウジム/70.0kg)
[試合展開]
1R、静かな立ち上がり。ウェインは左ミドル中心、ブアカーオはロー。ウェインがパンチで入って行こうとすると、ブアカーオは右ミドル、そして首相撲に捕らえる。ウェインが速い連打を繰り出せば、ブアカーオもミドルを返す。ブアカーオは前蹴りを駆使して、ウェインにパンチを許さない。
2R、ウェリンはワンツー、左ミドル。ブアカーオアは左ミドルから左ハイ。ウェインがワンツーで飛び込むと、ブアカーオはすぐに首相撲。ウェインはワンツーを出しながら、パンチ主体のスタイルに切り替えた、ブアカーオは前蹴り、左ミドルで突き放す。前へ出ようとするウェインにブアカーオは左、右とミドルを当て、そのまま首相撲。ウェインの動きを止めていく。
3R、ミドルからハイキックを狙うブアカーオ。ウェインにパンチを当てさせず、ミドル、ローと蹴りのコンビネーションを当てていく。ウェインがパンチで来れば、やはりクリンチで動きを止める。ここでブアカーオにイエローカード。パンチを出して前へ出るウェイン、それをミドルで迎え撃つブアカーオ。3Rはブアカーオが蹴りの的確さで優ったが、ウェインはパンチで前へ出た。ここをどう評価するかだが…三者とも30-30でドロー。
延長戦、一気にウェインがパンチで前へ出る。ワンツーから左ミドル。ブアカーオも左ミドルを返していく。パンチで突進するウェイン、ブアカーオは片手を引っ掛けてのヒザ。ブアカーオに注意が与えられるが、構わずウェインを捕らえてのヒザに行く。ミドル、ヒザとラッシュを展開していくブアカーオ。ウェインが打っていっても、クリンチのため連打に繋がらない。このラウンドも大きな差はなく、ジャッジ泣かせの判定に…。しかし、スプリットでブアカーオが勝利を手に。優勝候補同士の潰し合いで、ジョン・ウェインが初戦で姿を消した。
▼第3試合 K-1WORLDMAX2004 トーナメント準々決勝 3分3R(延長1R)
○魔裟斗(日本/シルバー・ウルフ/70.0kg)
判定2-0 ※30-29、30-30、30-29
●ジャダンバ・ナラントンガラグ(モンゴル/モンゴルレスリング連合/70.0kg)
[試合展開]
北側の2階席一面を埋め尽くした、魔裟斗応援団の大歓声とスティックライトに迎えられて、魔裟斗が入場。ガウンは着用していない。場内の空気が一変する。
1R、大歓声の中、ゴング。ステップインと同時のジャブから、左ローの魔裟斗。左ローが唸りを上げる。魔裟斗はストレートの四連打から左フック、ナラントンガラグがそれでも入ってくると首ヒザの連打。ナラントンガラグは左右フックで前へ出て、ロープに詰めたところで右フックがヒット。今度は魔裟斗が前へ出てテンカオ。
2R、思い切ったパンチを出すナラントンガラグ。魔裟斗はワンツー、左右ロー。鋭いジャブがナラントンガラグの顔を跳ね上げる。ナラントンガラグの左ミドルには、右ストレートを合わせる魔裟斗。ナラントンガラグも負けじとミドル、ハイを出す。
3R、蹴りとパンチで前へ出るナラントンガラグ。魔裟斗は下がる場面が多く、首相撲とローで凌いでいく。前へ出るナラントンガラグ、下がる魔裟斗。積極的に攻めるのはナラントンガラグだ。ナラントンガラグの突進に左フック、右ストレートを合わせた魔裟斗。これも微妙な判定に…。だが、ドローにはならず2-0で辛くも魔裟斗が駒を進めた。
▼第4試合 K-1WORLDMAX2004 トーナメント準々決勝 3分3R(延長1R)
○アルバート・クラウス(オランダ/ブーリーズジム/68.0kg)
判定2-0 ※30-29、30-30、29-30
●シャミール・ガイダルベコフ(ロシア/スコーピオンジム/70.0kg)
[試合展開]
1R、ローから四連打のクラウス。ジャブを放ち、フックへと繋げていく。ガイダルベコフはどっしりと構えて重いロー、クラウスの打ち終わりに左フックを出していく、細かく連打を出して強打へとつなげようとするクラウスだが、ガイダルベコフは前ふりのパンチには動じず、フックを返して重いロー。
2R、クラウスの右ストレートにタックルを合わせ、倒していくガイダルベコフ、クラウスのフックをウィービングで掻い潜り、フックからヒザ。ジャブもよく伸びる、
3R、ジャブから左フックで突っ込むガイダルベコフ、クラウスが前へ出ようとすると、ローを合わせて右ストレートはヘッドスリップでがわしてヒザに行く。クラウスが入ってくると前蹴り。しかし、後半はスタミナ切れが目立ち、タックルでのクリンチを繰り返してしまった。その間、クラウスは左右フックで攻め立てる。これも限りなくドローに近い微妙な判定となったが、クラウスが辛勝した。
▼第5試合 K-1WORLDMAX2004 トーナメント準決勝 3分3R(延長1R)
○ブアカーオ・ポームラムック(タイ/ポームラムックジム/69.0kg)
KO 2R0分42秒 ※ヒザで2ノックダウン
●小比類巻貴之(日本/チーム・ドラゴン/69.9s)
[試合展開]
1R、プレッシャーをかけて前へ出るブアカーオは、右ロー&ヒザ蹴り。右ローで再三、コヒを転倒させる。一気に攻め立てるブアカーオ。レバーブローを効果的に当て、そして左ロー&右ロー。首相撲でコヒを捕らえて、そのまま一気に飛びヒザを顔面へ決めてダウンを奪う。首相撲でコヒを翻弄するブアカーオ。初戦とは打って変わって攻撃的にコヒのボディへ攻撃を集中させる。
2R、ローを出すコヒだが、ブアカーオは首相撲に捕らえるとヒザ蹴りをボディへ速射砲。たまらず倒れるコヒ、ダウンだ。ブアカーオは続いて首相撲でコヒを捕らえ、左右のヒザを顔面へ、たまらず崩れ落ちるコヒは2度目のダウンでKO負け。ブアカーオがムエタイの凄みを見せ付けた。
▼第6試合 K-1WORLDMAX2004 トーナメント準決勝 3分3R(延長1R)
○魔裟斗(日本/シルバー・ウルフ/70.0kg)
判定3-0 ※29-28、29-28、30-28
●アルバート・クラウス(オランダ/ブーリーズジム/68.0kg)
[試合展開]
1回戦のダイジェストVTRとKOで終わった準決勝第1試合を挟んだのみで、短い休憩時間となった両者がどこまで回復しているか? 1R、ジャブを飛ばしながら右ローを放つ魔裟斗。クラウスもパンチで応戦しようとする。魔裟斗の右ローが快音を発して炸裂、魔裟斗はステップインしてのパンチ連打を何度か出していくが、クラウスは頭を振って交わす。突如、魔裟斗が飛び込んでの左フック、ロープを背にしていたクラウスはこれを避けきれずモロに喰い、追撃弾を浴びてダウンを喫する。一気にケリをつけようとした魔裟斗だが、クラウスも打ち返し、KOは逃した。
2R、速いジャブ&ローの魔裟斗、ジャブからストレートを放つが、クラウスもウィービングでかわす。前へ出てテンカオ、連打と攻撃リズムを切り替える魔裟斗。しかし、両者とも決め手となるフックは空を切る。
3R、ガードを固めてクラウスのパンチを誘い、返しのフックを決めようとした魔裟斗だが、失敗。クラウスはボディからフックへと上下へ打ち分け、魔裟斗も左フックからの右ストレートで応戦する。このラウンドはクラウスが前へ出て、ボディから上へとパンチを放ち、魔裟斗がガードが固める場面が多い。魔裟斗はテンカオ、しかし決め手のストレートとフックは空を切ってしまう。クラウスが何とか倒そうと前へ出てフック、しかし魔裟斗はジャブを突いて突き放す。ダウンのポイントを守りきった魔裟斗が判定勝利を収めた。
▼第7試合 K-1&総合ミックスルール3分4R
○山本KID徳郁(日本/PUREBRED東京/65.1kg)
KO 2R2分40秒 ※腕ひしぎ十字固め
●安廣一哉(日本/正道会館/69.1kg)
[試合展開]
三度曲が切り替わる入場テーマ曲に、体をムーブさせながらゆっくりと入場したKID。安廣は空手衣を着用して入場。1RはK-1ルール、ゆっくりと近づいていきなり右を放つKID。安廣の右ローを受け止めて転倒させる。KIDは突っ込んで右フック、安廣はそれを捕まえてヒザ、右ストレートここでKIDの左目が腫れ上がったためドクターチェックが入る。右ストレートで倒しにかかる安廣、最後には右ハイからの上段後ろ廻し蹴りを繰り出すが、タイムアップ。
2Rは総合ルール、安廣は距離をとる。KIDはそこでタックル、これを安廣がフロントチョークで極めてドッと沸く館内。しかし、KIDは落ち着いて首を抜くと、コーナー際でパウンド。安廣はロープエスケープ。すぐに2度目のタックルでテイクダウンするKID。ニーインザベリーからパウンド、安廣は下から蹴り上げ、パンチを見せるがKIDは構わずパウンドの雨を降らす。パウンドで仕留められないと見るや、腕十字固め! いつもなら殴り続けるKIDにしては珍しい仕掛けだが、これがガッチリと極まり安廣はタップした。「やられると思った。ヤバかった。遊びすぎた、ちくしょう!」KIDはマイクを叩きつけた。
▼第8試合 K-1WORLDMAX2004 トーナメント決勝
3分3R(延長2R)
○ブアカーオ・ポームラムック(タイ/ポームラムックジム/69.0kg)
延長1R 判定3-0 ※10-9、10-9、10-9
●魔裟斗(日本/シルバー・ウルフ/70.0kg)
[試合展開]
今度は開幕戦と同じガウンを着て入場した魔裟斗、リングインすると拳を振りかざしてリングを一周、トランクスも白に変えた。1R、警戒にパンチを飛ばす魔裟斗に、ブアカーオは蹴りで応戦。鋭いハイキック、そしてロー。右ローから前蹴り四連打で魔裟斗を突き放し、ハイキック、ミドル、ヒザで魔裟斗を寄せ付けないブアカーオ。ブアカーオは右ロー、魔裟斗のパンチを出すタイミングにハイキックを合わせ、接近すればクリンチからヒザ。魔裟斗にパンチを出す隙を与えない蹴りの速射砲が続く。
2R、ブアカーオの高い前蹴り、ハイキック、フックからヒザ。スピードで魔裟斗を上回る、右ロー、魔裟斗が頭を下げるとヒザ。魔裟斗がパンチで反撃指標とすると、首相撲に捕らえてのヒザ、離れ際にハイキックが唸りを上げる! それでも魔裟斗はワンツーで突破口を開こうするが、左ローから左右フック、前蹴り、ハイキックでブアカーオは突き放していく。
3R、左ミドルを連打する魔裟斗。しかし、ブアカーオの顔面への前蹴りで吹っ飛ばされる。さらにヒザ蹴りの連打、左ローで魔裟斗はバランスを崩しまくる。高い前蹴りで吹っ飛ばされる魔裟斗、前へ出る事が出来ない。強引に突っ込もうとする魔裟斗だが、パンチは空を切る、魔裟斗左フック、だがブアカーオは首相撲で連打を許さない、動きが鈍ってきたブアカーオへパンチで前へ出ようとする魔裟斗だが、連打は首相撲で止められる大ピンチ! ゴングが鳴ると、勝利を確信したブアカーオはトップロープに飛び乗り、喜びをあらわにした。しかし、判定はドロー!(29-29が2名、30-29ブアカーオが1名)
延長戦、魔裟斗を再び首相撲に捕らえて、ミドル連打へと繋げるブアカーオ。前蹴り、ミドルの高さや威力も衰えない。何とか入っていこうとする魔裟斗だが、やはりブアカーオのヒザに捕まる。組み際の一発に賭ける魔裟斗だが、パンチは空を切り、逆にブアカーオのミドル、ヒザをもらう。最後は流したブアカーオ、ゴングが鳴るとリング上で側転を披露した。魔裟斗はスタスタと花道を去っていき、閉会式にも姿を現さなかった。
●魔裟斗は試合後、病院へ
谷川プロデューサーによれば、魔裟斗はアバラを痛め、ローキックの蹴り過ぎで足はボロボロ、クラウス戦とナラントンガラグ戦でそれぞれバッティングがあり、顔が腫れていた状態だったという。
●ブアカーオ「ムエタイの強さ見せられた」
「一番苦しかったのは、ジョン・ウェインとの試合。1回戦ということで緊張した。彼に勝てて嬉しかった、とてもエキサイティングな試合だった。彼の実力を知っていたから、とてもハードな試合だった。ムエタイの技術、芸術性、強さが証明できて嬉しかった」
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