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【全日本キック】小林がメインで復帰勝利、対抗戦は2勝2敗1分

2004/08/22

ALL JAPAN KICKBOXING 2004 SUMMER
「SUPER FIGHT〜LIGHTNING」

全日本キックボクシング連盟
2004年8月22日(日)東京・後楽園ホール
開場17:00 開始18:30
(オープニングファイト17:15〜)
[日本VS世界 5対5マッチ]
▼大将戦 日本VSニュージーランド 63s契約3分5R
WKA&WPKC世界ムエタイ・ライト級王者
小林 聡(藤原/170p/63s/32歳)
41勝(29KO)17敗2分
KO 4R2分20秒 ※右ローキック
WKAサウスパシフィック・ライト級王者
アンディ・ドナルドソン(ニュージーランド/166p/62.9s/22歳)
14勝(7KO)4敗2分

 ライト級トーナメントでサトルヴァシコバにまさかの敗退、これが復帰戦となる小林。その胸中を象徴するかのように、「キッズリターン」の入場テーマの前に、「俺がチャンピオンになって、お前が組長になったらまた会おう」という同映画のセリフが流れた。

  もう一度、頂点へ――。小林のこの試合に賭ける意気込みであったが、その気持ちは空回りしたといえるだろう。

  1R、ジャブを飛ばし、右ローからフックへと繋げていく小林。アンディはお腹がダブついていて、バランスの悪さも感じさせる。これは小林の楽勝かと思われたが、右ローに左ストレートを合わされて転倒したあたりからリズムが狂い始める。ガードが甘く、またフックを出した後で上体が流れてしまうため、危ない場面が度々見られる。

  2R、アンディのパンチをかわしてヒザ蹴り、ヒジを出す小林は右ローの連打でアンディを窮地に追い込む。バックキックも飛び出し、レバーブローを叩き込む。組んできたアンディの離れ際には左ヒジ。

  3R、ローを嫌がるアンディを追っていって右ローを連打する小林。アンディも死に物狂いでパンチを放ち、ディフェンスの甘い小林を何度もかすめる。左フックの相打ちで吹っ飛ばされたのは小林、左ストレートでも頭を吹っ飛ばされてコーナーへ詰まる。そこへアンディはパンチで迫る。小林のフックは相変わらず体が流れ、そこをアンディに狙われてしまう。小林はダッキングも低すぎるため、そこを蹴りでも狙われる。

  4R、アンディの左ジャブに小林が大きく仰け反る。しかし、右ローで反撃を開始して左フック、アンディは体が泳ぐ。小林はすかさず右ローで畳み掛け、右ローの四連打でダウンを奪った。立ち上がったところへ右フックを放つ小林だが、やはり大振り。フックを打つ時の反対側のガードも下がる。小林はパンチを捨てて右ローの三連打でダウンを奪うと、さらに右ローの三連打でKOした。アンディの左足は赤紫に腫れあがっていた。

 「ダメッすね。勝っても負けてもハッスルしようと思ってたんですけど…」と冗談を言いながらも元気のない小林。「まあ…好きなように書いてください。僕はしぶとくやるので、今日がスタートです。再スタート。過ぎ去ったものを追いかけても仕方がないので。引きずっていいことあればいいけど、ないから。過去を忘れてやります」と小林。自分の中では、全て仕切りなおしのやり直しの一戦だったようだ。

 「僕は格闘技界で窓際に来てる。今日はスタートを切っただけで、いいスタートじゃなかった。ちょっとコケた。でも、ヒーローは遅れてやってくるもんです」と語った小林は「ありがとうございました」と自らインタビューを打ち切り、その場を立ち去った


▼副将戦 日本VSベルギー 58.5s契約3分5R
全日本フェザー級王者
山本元気(REX JAPAN/166p/58.4s/27歳)
11勝(6KO)2敗2分
KO 1R1分45秒 ※右フック
WFCAムエタイ・ヨーロッパ・ライト級王者
クリスト・ディミトラカキス(ベルギー/ブーマ/168p/58.2s/25歳)
25勝(9KO)11敗3分

 その名のとおり、元気いっぱいでパンチの的確さとラッシュに定評のある山本が、またしてもKOで快勝した。山本は1R開始早々からクリストにプレッシャーをかけていき、ボディへの連打から右ストレートに繋げる。上下へ打ち分ける山本のパンチコンビーネーションに、クリストは早くもタジタジ。ボディの連打でコーナーへ詰められ、右ストレートをまともに浴びる。山本はここがチャンスとばかりに、ラッシュを仕掛けてハリソンをパンチで釘付け、ボディの連打からみ義ストレートでダウンを奪うと、もはや戦士喪失気味のハリソンへ右ローからの右フック! ハリソンは立ち上がろうとするも足がもつれ、まるで宇宙遊泳をするかのようにふらついたため、ここでレフェリーが試合を止めた。
  凄まじいパンチのラッシュと詰めの鋭さ。山本の圧勝だった。


▼中堅戦 日本VSイギリス 60s契約3分5R
全日本フェザー級4位
WAKO-PROイギリス・スーパーフェザー級王者
リアム・ハリソン(イギリス/バッドカンパニー/170p/60s/18歳)
判定2-0 ※50-49、50-50、50-48
サトルヴァシコバ(勇心館/170p/59.9s/30歳)
10勝(3KO)5敗

 1Rはお互いに様子見に終わり、本格的な攻防は2Rから。いつになく慎重なサトルはローキックからストレートへ繋げていく。左ストレートのダブルもヒットさせ、ローを的確に当てていくサトルだが、ハリソンは時折、強打を振り回してくるため予断を許さない。
  3R、やはりローで攻めていくサトルに対して、ハリソンはヒジを振るい始める。サトルが組み付いてくると左右のヒジ。ハリソンはさらに大砲のような右フックを振り回す。これでサトルは攻められなくなった。
  4R、サトルが思い切って左フックを放つと、ハリソンは組み付いてヒザ、離れて右ミドル、さらに重い左フックを放つ。ハリソンのプレッシャーがきつく、サトルはなかなか前へ出ることが出来ず、右ローキックが単発で出るのみ。ハリソンはフックを振り回しながら前へ出て行く。
  5R、サトルが勝負に出た。ハリソンにロープ際に追い詰められると、連打で打ち合いを挑む。サトルの左ストレートがヒットするが、ハリソンも右ヒジ、左右のフックで応戦。何度も打ち合いが展開され、サトルも思い切って前へ出て左ストレート。だが、ハリソンの左フックを浴びてぐらついてしまった。
  最終ラウンドの攻防がポイントとなり、ハリソンが判定勝利を収めた。


▼次鋒戦 日本VSタイ バンタム級3分5R
全日本バンタム級1位
藤原あらし(S.V.G./164p/53.6s/25歳)
11勝(7KO)1敗3分
ドロー 判定1-0 ※50-49、49-49、49-49
元タイ国ルンピニースタジアム・フライ&ミニ・フライ級王者
ダーウサウィン・ギャットラタポン(タイ/イングラムジム/170p/53.8s/31歳)
118勝(9KO)39敗6分

 1R、藤原が放った左ミドルをしっかりとカットしていくタイ人。共にハイキックを狙い、ヒジも狙っていく。2Rには藤原が左ストレート、前に出て行くとタイ人はテンカオを合わせて来る。藤原はこれでタイミングをつかんだか、テンカオに合わせた右フックでタイ人をグラつかせ、パンチで詰めに入る。これにたいして、タイ人は組みヒザ。このラウンドは確実に藤原が取った。
  3R、藤原は右へ飛び様に放つ変則的な左ストレートを度々ヒットさせる。タイ人はテンカオ、組みヒザに活路を見出そうとするが、左ストレートで左目が腫れあがった。4R、タイ人の右ミドルに藤原は右フック、ヒジ合戦を経て右ミドルにアッパー、フックを合わせていく。
  5R、ミドルの蹴り合いから藤原が前へ出てパンチを当てていこうとするが、タイ人は組み付いてヒザ、さらにはブアカーオばりの右顔面前蹴りを突き刺す。藤原は3、4Rにパンチを当てながらも詰められなかったのが痛かった。このラウンドはポイントを奪われてもおかしくなかった。結果、藤原に1ポイント入ったがドローに終わった。


▼先鋒戦 日本VSオランダ 62s契約3分5R
全日本ライト級3位
ムラッド・ティアルティ(オランダ/ムシドジム/178p/61.8s/23歳)
21勝(9KO)4敗2分
TKO 1R1分44秒 ※ヒジによるカット
IMTFオランダ・スーパーライト級王者
吉本光志(AJ/171p/61.9s/24歳)
8勝5敗2分

 左ジャブを伸ばすムラッド、急にテンポを変えて離れた距離から右ヒジを振るう。ロープに詰まった吉本へ、さらにムラッドは左ヒジ! 吉本はすぐにロープ際から脱出するが、右の頭部から流血してドクターチェックを受ける。吉本は右フックからの左ミドルで反撃を開始しようとするが、ムラッドは徹底してヒジ攻撃、吉本の頭部から血が吹き出す。ムラッドは接近して組み付いてくる吉本に対して、頭部へ向けてヒジを突き刺し、叩きつける。吉本もヒザで反撃するが、ヒジがガンガンと当たり、出血が酷いと見たレフェリーがここでストップをかけた。先鋒戦からヒジありの醍醐味が伝わる、壮絶な試合となった。


▼第3試合 全日本キックVSMA日本キック対抗戦 フェザー級サドンデスマッチ
全日本フェザー級1位
前田尚紀(藤原/166p/57s)
15勝(11KO)8敗
KO 1R2分31秒 ※右ローキック
MA日本スーパー・フェザー級王者
ラビット関(山木/170p/57.1s/27歳)
21勝(9KO)17敗5分

 左ミドルを出しつつも、相手を見るクセが抜けないラビット。この日も前田の動きを見ていく。右ストレートにはテンカオを合わせる巧さも見せたが、前田の右インローをもらうといきなり足を引きずり出す。このチャンスを前田が見逃すわけがなく、一気にロープ際までパンチで追い込み、連打で滅多打ちしてスタンディングダウンを奪う。続いて前田はテンカオから右アッパー、さらにコーナーへ追い込んでヒザ蹴りの連打。ラビットはヒジを振るって一発逆転を狙うが、前田の怒涛の右ローキック6連発でついにダウンを喫する。立ち上がったラビットへ前田はさらに右ローキックを七連打。ラビットはたまらず倒れこみ、前田がKO勝ちとなった。ラビットはいいところなく敗れてしまった。


▼第2試合 全日本フェザー級ランキング戦 サドンデスマッチ
全日本フェザー級2位
山本真弘(藤原/165cm/57.0s/21歳)
11勝(3KO)1敗2分
TKO 2R0分27秒 ※レフェリーストップ
前全日本バンタム級王者
平谷法之(BOOCH BEAT/162p/56.9s/18歳)
7勝(4KO)3敗1分

 昨年12月に初対決、その時は平谷がダウンを奪うも山本がヒジで猛チャージをかけてドローとなっている。平谷はこれがフェザー転向第二戦目だが、第一戦では山本の先輩である前田に完敗を喫しているためこれが真価を問われる一戦となる。
  1R、右ミドルを主体に攻める平谷、右ミドルが快音を発する度に場内からどよめきが起こる。一方の山本は師匠・藤原敏男を髣髴させるようなフットワークと上半身をクネクネと動かすムーブ。平谷の右ミドルが快音を発して決まった直後、山本が一気に前進、ロープに詰めて右ヒジを放った。これで平谷は目尻をカット。1R残り6秒だった。
  2R、出血が明らかにひどい平谷は短期決着を望み思い切って突っ込む。右ストレートで一気にパンチの打ち合いを挑みに行った。ところが、山本はこれに対してヒジで対処。平谷の右フックにも打ち合いに行かず冷静に右ヒジをカウンター! ここでレフェリーが傷をチェックし、試合を止めた。平谷はやはりヒジに対して苦手である事を露呈、スタイルも崩れ始めており、同門の山本優弥同様、厳しい立場となってきた。


▼第1試合 全日本ライト級ランキング戦 サドンデスマッチ
同級6位
凱斗亮羽(S.V.G./167p/61.2s/30歳)
5勝(3KO)1敗
KO 3R2分26秒 ※3ノックダウン
同級ノーランカー
長谷川誠(青春塾/174cm/61.1s/25歳)
4勝(2KO)7敗1分

 第1試合からいきなりの大熱戦で大盛り上がり! 1R、凱斗が右ローからバックキック、逃げようとする長谷川に踵落としとテコンドー殺法を爆発させる。長谷川も飛びヒザ蹴りを繰り出すが、凱斗に左ミドルから組み付かれてヒザ蹴りをもらうとこれに対応できない。
  2R、長谷川は右ローで迫るが、凱斗の左ミドル、右ストレート、左ミドル、さらにバックキックを受けて後退。凱斗はさらに左ミドルとヒザで追い討ちをかけ、ロープに詰まった長谷川へバックハンド・エルボー! これでダウンを奪い、一気にヒザ蹴りで勝負をかけるが、長谷川が組際に右ヒジ! これで今度は凱斗がガクッと腰を落とすがゴングに救われた。
  3R、凱斗は左ミドルの四連打で迫るが、長谷川の右ストレートでまたも腰を落とす。しかし、すぐに凱斗は右ストレートから電光石火の右バックキックで逆にダウンを奪った。凱斗は今度は顔面へのバックキックと左ミドルの連打、そしてテンカオで倒しにかかるが、今度は長谷川が左ヒジの二連打。凱斗は組み付いてダウンを逃れるも、頭を下げたところをヒザ蹴りで突き上げられる! これで逆転かと思われたが、凱斗は左ミドル四連打で逆襲するとまたも右のバックハンド・エルボー! 崩れ落ちる長谷川に2度目のダウンが宣告される。それでも立ち上がる長谷川に場内から大声援。そこへ、凱斗は何と狙い済ました右のジャンピング・バックスピンキック! コーナーへ吹っ飛ぶ長谷川。これで3度目のダウンとなり、凱斗がKO勝ちとなった。逆転に継ぐ逆転でいきなりのベストバウトとなった。

<オープニングファイト>
▼第1試合 バンタム級3分3R
前田浩喜(JMC横浜)
KO 2R1分17秒
塩谷 洋(超越塾)

▼第2試合 ウェルター級3分3R
森 卓(勇心館)
判定2-0
HIROAKI(峯心会)

▼第3試合 ライト級3分3R
村山トモキ(AJ)
TKO 2R2分59秒
宿波 明(はまっこムエタイジム)

▼第4試合 フェザー級3分3R
正 巳(勇心館)
KO 2R1分32秒
清水英樹(月心会)

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