「PANCRASE 2004 BRAVE TOUR」
2004年10月12日(火)東京・後楽園ホール
開場17:30 開始18:30
<試合結果>
▼メインイベント ミドル級5分3R
○岡見勇信(和術慧舟會東京本部)
3R判定 3-0 (30-28、30-28、30-28)
●石川英司(パンクラスGRABAKA)
<試合展開>
1R、石川の右ローに対し岡見も右ローを返す。先に組み付いたのは石川。ワンツーから四つで組み合うも、逆に岡見がコーナーまで押し込んでいく。ここで一旦離れた両者、石川は今度は足元へのタックルでテイクダウンを狙うが、岡見はこれをネルソンでひっくり返し、グラウンドではハーフガードで上になる。自分の頭を石川のアゴのあたりに着けたまま鉄槌を落す岡見。一度、イノキ・アリ状態になるとパウンドから一転、石川の足を横に振ってパスガードを狙う。ここで石川はすぐに反転しタックルに切り返すが、岡見をそれをがっちりと受け止めて、得意の外掛けでテイクダウンを狙う。しかし石川もすぐに反応し、グラウンドで押さえ込まれる前に立ち上がるが岡見の突進を止められず半ば引き込むようにギロチンを仕掛ける。
2R、石川の右ローに岡見は右のジャブ。さらにワンツーで前に出ると、石川のパンチに合わせて右フックのカウンターがクリーンヒットする。腰から落ちた石川だったが、レフェリーはダウンを宣告せず、そのまま岡見がグラウンドで上のポジションをキープする。このパンチで明らかに動きが鈍った石川に対し岡見はイノキ・アリ状態から飛び込むようにパウンド。時折インサイドガードに収まりながら頭を石川に胸に付けて鉄槌を落す。そして1R同様、石川の足を横に降ってパスガードを試みる。何とか反転してポジションをゆるさなかった石川だが、タックルまでには切り替えせずバックを奪われる形となる。
3R、明らかに疲れとダメージの色が見える石川を岡見のスタンドで打撃で圧倒。必死にガードする石川に右フック、左ストレート。そしてガードの間から右アッパーと立て続けにパンチが当たりだす。最後の力を振り絞って反撃に出る石川だったがコンビネーションもバラバラで気持ちで立っているといった様子。最後は岡見に豪快な外掛けでテイクダウンを奪われ万事休す。判定を聞く前から石川は肩をがっくりと落とした。
完勝だったにも関わらず岡見は「まだまだ練習でやっていることが出せてない。(石川選手の)スタミナを警戒しすぎていけなかった」と反省。さらに「これから上の人間とやるんであればこのままだったらもっと試合動けるようにならないと。練習から追い込みます」と語った。しかし今後の目標を聞かれた岡見は「三崎和雄選手と戦いたい」と石川の兄貴分を自ら指名。「今は勝てませんけど、いずれは勝てる自信はあります」と宣戦布告した。今後、ミドル級を巡る争いと共に、注目が集まる。
▼セミファイナル ウェルター級5分3R
○長谷川秀彦(SKアブソリュート)
2R終了時 レフェリーストップ ※大石、左足の負傷により
●大石幸史(パンクラスism)
<試合展開>
1R、「今回は打撃を見せたい」と話していた長谷川だったがいつも通り突進でパンチの間合いを潰すとそのままグラウンドに引きずりこんで得意のグラウンドの展開に持ち込む。グラウンドで上になった大石だが、長谷川の手首を掴んで両足で相手の腰をコントロールするガードワークやラバーガードに苦戦。得意のパウンドが出来ず、やや手詰まりに。さらに長谷川は時折足を外掛けにしながら足関節のプレッシャーを与えて下から大石をコントロールする。
2R、このラウンドも打撃を出させずに組み付いた長谷川がグラウンドに引き込むと大石の足にしがみつき片足タックルのような態勢に。一度は離れたものの、大石は再びグラウンドに引きずり込まれ試合が作れない。イノキ・アリ状態で下になった長谷川は大石の左足を掴むと右足を蹴ってバランスを崩させてからアキレス腱固めへ。かなりエグイ角度で決まり長谷川自身も「バキバキ鳴ってました。レフェリーに"やばいですよ"とアピールしたくらい」と話すほど。しかしそれでもタップしない大石に長谷川はさらにアンクルホールで足首をひねり上げる。ここも耐えた大石だったが必要に左足を狙う長谷川から逃げ切ることが出来ず長谷川が足関節をしかけた態勢のままラウンドが終了した。すると一人では立ち上がれなくなってしまった大石。それを見たレフェリーが試合を止めた。ランキング1位の大石を破った長谷川はマイクを握る「タイトルに挑戦したい」と宣言した。
▼第6試合 ウェルター級5分3R
○門馬秀貴(A-3)
1R1分35秒 三角絞め
●伊藤崇文(パンクラスism)
<試合展開>
試合前は両者共に打撃戦を匂わすコメントがあったものの、試合は思わぬ展開に。ゴング直後、門馬のワンツーになんと伊藤はいきなりタックルに入る。ここで門馬はギロチンのフェイントを入れてから「一番の得意技」という三角絞めの態勢に。始めは足のクラッチも浅く、伊藤の左手首が入っていたため、形にはならなかったが、頭と右腕を抱えて徐々に足のクラッチをタイトにしていく。そして伊藤の左手首が抜けたと見るや右腕を流して態勢を整える。伊藤も腰を上げて門馬の体をロープに押し込むなど抵抗をみせたが、最後はコーナーに詰まってしまいタップアウト。2002年のネオブラ優勝後、3敗1分けとパンクラスマットでは結果を残せていなかった門馬がランキング3位の伊藤から鮮やかな一本勝ちを収めた。
▼第5試合 ミドル級5分3R
○渋谷修身(パンクラスism)
1R31秒 レフェリーストップ ※グラウンドのパンチ
●キム・スン・ヒー(ネオファイト)
ハー・スン・ジンに続き韓国ネオ・ファイトからのパンクラス参戦となったキムだったが、とんだいっぱい食わせ者だった。渋谷が開始7分のところで放った左ローが金的を直撃、悶絶したのはかわいそうだったが、再開後に渋谷の左ジャブをもらうと顔をそむけ、そこに右アッパーを追撃されると頭を抱え込むようにしてマットへ倒れてしまった。渋谷はそのまま殴り続けるが、キムはガードを取るわけでもディフェンスするわけでもなく頭を抱えて丸まってしまい、何も出来ないままレフェリーが試合をストップした。キムはとてもパンクラス本戦で闘えるレベルの選手ではなかった。
▼第4試合 ミドル級5分2R
△佐藤光留(パンクラスism)
2R判定 0-0 (20-20、20-20、20-20)
△佐々木恭介(U-FILE CAMP.com)
いつもどおりレガース着用のU-STYLEで登場した佐々木に対し、佐藤もレガース着用で登場。佐々木のセコンドには、田村潔司の姿も見える。序盤はローキックの蹴り合い、佐々木が左ミドルに繋ぎ、佐藤はタックルを狙うという展開が続く。立ち技では佐々木の左ミドル、テイクダウンは佐藤がとる。佐藤がテイクダウンしてアキレス腱固め、佐々木がヒールホールドを互いに仕掛けようとしたところで1Rは終了。
2R、佐藤の右ストレートに左ミドルのカウンターを合わせた佐々木だが、続く右の直撃弾をもらう。しかし、佐々木は両手でカモンゼスチャー。佐藤が片足タックルでテイクダウン、そのままバックに回り、佐々木が上になろうとしたところで腕十字。これは佐々木に堪えられ、今度は佐藤がガードの体勢に。ここでお互いが「来い、コラ!」と声を出し合って挑発、上と下で殴り合う。佐々木はサイドへパスしてバックからスリーパーを仕掛けるが、佐藤が反転して佐々木がガードに。動かない佐藤に業を煮やした佐々木が、佐藤にバックを許すも展開は動かず終了。引き分けとなった。
佐藤はマイクを持ち、「僕は同じレガースを着けて、U-STYLEから来てくれた佐々木選手とやって…今回は引き分けってことだから、続きがあるってことだから!」と言うと、一度は引き上げた佐々木が戻ってきてマイクを受け取る。「何を隠そう、このパンクラスが僕のデビュー戦です。3年半ぶりに戻ってきました。佐藤!ウチのリングで、U-STYLEのリングでやるか、お前!」と挑発してリングを去っていった。
ところが、佐藤は「もうひとつあります。今日はある人に挑戦状を叩きつけに来ました」と言い、「鈴木みのる!」とかつての師匠をいきなり呼び捨て。「俺はパンクラスに入って、誰よりもあの人の傍にいました。1年前、感じるものがあるから新日に移籍するって言ってたんですけど、最近の鈴木みのるを見てると、あれが本当の闘いですか!? 相変わらず強いですか? 何でパンクラスの若手と闘ってくれないんですか! NKホールの第1試合、僕と闘ってください!」と、いきなりの対戦要求を行ったのである。
これを花道で聞いていた鈴木だったが、佐藤が花道から引き上げてくると、近づいて殴りつけ、ヒザ蹴りを見舞うという乱闘に発展。場内騒然となったが、関係者や選手が二人を引き離して大事には至らなかった。佐藤はもう一度、観客席に向かって「絶対にやるぞ!俺はやる!」とアピールした。
▼第3試合 キャッチレスリングルール ライト級5分2R
○矢野卓見(烏合会)
1R4分59秒 ニーロック
●宮田卓郎(名古屋ブラジリアン柔術クラブ)
MEGATONのTシャツを着て登場した矢野、パンクラスには約1年ぶりの出場である。宮田はTAISHOが“天才”と称する柔術家。正統派か、東洋の神秘か? 両腕を伸ばして手繰りあいを挑む宮田だが、矢野は一向に乗ってこない。それならばと強引に組み付いていく宮田、しかし、矢野はそれを引き込むというよりはゴロンと寝転び、やはり付き合わない構えだ。宮田は矢野の両足を持ってリング中央に引きずり出したが、矢野は得意の両足を絡めて自らが回転するという動きで宮田を引きずりこんでフロントチョーク。すぐに立ち上がる宮田だが、矢野は飛びつきフロントチョークの体勢を維持する。宮田はそれをバスターで切り替えした。
宮田はサイドを奪ったりとポジションを整えに行くが、すぐに矢野の両足が足に絡み付いてくるのでやりにくそうだ。矢野はさらに、前転してそのままリングに寝転ぶという奇妙な動き。「はい、攻めて」と言わんばかりに宮田を上に乗せて、自分は何もしない。だが、これが罠だった。宮田がニーインザベリーになったところで、矢野が下から両足を絡めて引きずり倒し、腕を脇に挟んで締め上げる。と、ここで終了ゴング寸前に宮田がタップした。矢野によれば最後の技はオリジナルホールドで、両足で膝を固定して腕を脇に挟み、相手の身体を捻らせる事によってヒールホールドと同じ原理で極まるという。矢野が業師ぶりを発揮した試合だった。
▼第2試合 ライト級5分2R
○NUKINPO!(P'sLAB東京)
2R2分51秒 膝十字固め
●井上和浩(インプレス)
元プロ修斗世界ランカーの井上がパンクラス初参戦。迎え撃つはネオブラッド準優勝のNUKINPO!。打撃で様子を見ようとした井上に、NUKINPO!はいきなりのタックルを仕掛けるが、井上がガブる。ガードになったNUKINPO!に井上はパウンド、一方的に殴り続ける。NUKINPO!は下からの腕十字を狙うが失敗、1Rのほとんどを下で殴られながら過ごした。
2R、やはり片足タックルに行くNUKINPO!だが、井上にガブられてガードに。パウンドで攻めながらパスガードを狙う井上は、一瞬、マウントになるがこれはNUKINPO!がリバーサル。NUKINPO!はすぐに片足を取りに行くが、やはり潰されてしまう。ガードのNUKINPO!を殴り続ける井上。しかし、井上が中腰になったところでNUKINPO!がスイープを狙うように股の間に手を入れ、左フックを連打する井上のバランスを崩してそのまま膝十字固め! 井上はたまらずタップ。大逆転勝利に場内が大いに沸いた。
▼第1試合 フェザー級5分2R
○志田幹(P'sLAB東京)
2R43秒 フロントチョーク
●出見世雅之(和術慧舟會GODS)
ワンツーからの左ハイ、右アッパー→左フック→左ミドルと手と足のコンビネーションで上下に揺さぶる志田が、終始イニシアチブを握った。出見世もタックルをフェイントに使いながら打撃を出し、タックルに行くが志田のヒザ蹴りやアッパーに遮られる。右ミドルからテンカオ、そしてヒザと畳み込む志田が追って行くと、出見世は足を止めての打ち合いを挑むが、クリーンヒットを奪うのは志田のほう。おまけにパンチを遮二無二振るう出見世に対し、志田はパンチの中にミドルやヒザを織り交ぜて確実にダメージを奪っていく。1Rの後半も志田がパンチ&ミドル&ヒザで攻め立て、出見世はゴングが鳴っても大の字になったまま動けな勝った。
2R、出見世がパンチで入ろうとすると左ミドルを合わせる志田。打撃で追い詰められた出見世は、苦し紛れのようなタックルに行ってしまい、そこを志田のフロントチョークで切って落とされた。
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