▼第1試合 スーパーファイト・リザーブマッチ K-1ルール3分3R(延長2R)
○ジェロム・レ・バンナ(フランス/ボーアボエル&トサ)
KO 2R1分3秒 ※左インロー
●天田ヒロミ(日本/TENKA510)
開幕戦で不可解な戦闘不能状態となり、GP決勝トーナメントへの道を断たれたバンナ。一筋の光明を求め、リザーブマッチに出陣だ。
1R、ジャブと左ローで牽制するバンナ。天田の左ジャブには左ミドルを返していく。バンナは左ハイを多用して天田のパンチを防ぎ、徐々にコーナーへ追い詰めていく。ここでコーナーに詰まった天田が窮鼠猫を噛むような大反撃。左右のフックで真正面からの打ち合いを望んだのだ。しかし、バンナはよく見てフックをかわしながら、ジャブとローキック。打ち合いには応じない。天田は左右フックを連打したが、ほとんどバンナを捕らえることは出来なかった。その後、天田は右ストレートからの左フックを多用。
2R、バンナはジャブで牽制。荒々しい戦い方ではなく、慎重に行く。天田は右ストレートで切り込んでの左フック。ところが、バンナが左インローを蹴ると、足を上げてブロックした天田の膝に当たったにも拘らず、ダウンしたのは天田の方。バンナの鋼鉄のスネに天田の膝が負けた。立ち上がった天田だが、すでに足を引きずった状態で、バンナが左ハイからワンツー、もう一度左インローを叩き込むと天田は2度目のダウンを喫してKO負けとなった。
▼第2試合 K-1 WORLD GP2004トーナメント準々決勝 K-1ルール3分3R(延長1R)
○ガオグライ・ゲーンノラシン(タイ/伊原道場)
KO 1R2分40秒 ※右ジャンピング・ハイキック
●マイティ・モー(USA/シャークタンク)
格闘技の常識を覆す男・ガオグライがまたもミラクルを起こした! 身長差は●cmとイグナショフ戦ほどではないが、体重差は実に●s。イグナショフやベルナルドよりもスピードがあり、プレッシャーもきついマイティ・モーを相手に、何と華麗なるムエタイ・テクニックで1RKO勝利を飾ったのだ。
リング上で向かい合うと、その大きさ、体の厚みが全く違う。1R、モーのジャブをバックステップでかわすガオグライ。回り込みながら左インローを当て、すぐに離れる。モーは右ローから接近するが、ガオグライはすぐにクリンチ、離れ際にモーの右フックが唸りを上げるが空振り。モーはプレッシャーをかけながらガオグライを追い詰めていき、ガオグライが左を蹴りを放つと右フックを合わせようとする。この動きが2度ほど見られたが、ガオグライはこれでモーのクセを読んだようだ。
ローとローの相打ちでバランスを崩したのはガオグライ、左ミドルには必ず右のパンチを合わせてくるモー。徐々に追い詰めていくモーにこれまでガオグライに敗れた選手とは違うところを感じたが、罠が待っていたのだ。ガオグライが右フックを放った瞬間、左のガードが大きく下がった。一連の動きでこのクセを見抜いていたガオグライは、今度は左ミドルではなくジャンプしての右ハイキックを繰り出した! カウンターで蹴り足がモーのアゴ筋へモロに炸裂! そのまま前のめりに崩れ落ちるモー。全く立ち上がることが出来ず、ガオグライが遂にヘビー級ファイターをKOするという離れ業を演じた。
▼第3試合 K-1 WORLD GP2004トーナメント準々決勝 K-1ルール3分3R(延長1R)
○武 蔵(日本/正道会館)
延長1R 判定3-0 ※9・5−9、10-9・5、10-9・5
●レイ・セフォー(ニュージーランド/レイ・セフォー・ファイトアカデミー)
日本人GP初制覇の期待を担って、武蔵が登場。新兵器ステルスの完成度はどれほどなのか? 対するセフォーは“絶好調”をアピール。1勝1敗で迎えた決着戦、1年ぶりの再戦のゴングが鳴る。
1R、ジャブを出しながら右へ回る武蔵。セフォーは右フックで切り込んでいくが、武蔵はスルッとよけてバックへ回り込もうとする。組んでヒザ、左インローを繰り出す武蔵。セフォーは武蔵の動きを止めようとボディストレートを放つが、捕らえ切れない。セフォーの右ロー直後、武蔵はワンツーから左ハイ。逆に武蔵の左ローにはセフォーがワンツーから連打で入っていくが、すぐにクリンチされてしまった。武蔵がセフォーの前進に合わせて、右へ飛んで右フックを入れた所でゴング。
2R、右へ回りながらの左フックを狙う武蔵。セフォーの右ローには左ストレートを合わせ、セフォーの左ハイは空振りさせる。武蔵は“ハッ”と気合を発して左インロー、続いて右フックをヒットさせた。距離を詰めてもすぐに足を使って逃げてしまう武蔵に業を煮やしたか、セフォーは右の拳を高く上げて振り、挑発。武蔵もノーガードでやり返す。武蔵の左ハイをセフォーはガードで受ける。セフォーが切り込んでいくとすぐにクリンチ、またはテンカオを合わせてクリンチ。セフォーは右アッパーで応戦するが、全くパンチの連打を出させてもらえない。
3R、足を使って左ミドルを入れていく武蔵。全く打ち合わず、セフォーのパンチをかわしては左ミドルを入れる。セフォーはノーガードで挑発、右バックブローを放つ。武蔵は左ミドル、セフォーはワンツーを返していくも、すでに武蔵はその場にいない。武蔵が左ハイ、これをブロックしたセフォーがパンチを打ち返そうとすると、すぐに武蔵は左ハイ。フックで切り込んでもクリンチされ、セフォーらしさが全く出せないままにゴング。武蔵は右手を高々と挙げて勝利をアピールしたが、判定はドロー(29-28・5、30-30、29-28.5=本戦では0・5P差は考慮されない)。
延長R、セフォーの右フックに合わせて左ハイを狙い撃ちする武蔵。飛び込んでくればクリンチ、セフォーの大振りなフックは軽々とよけて、セフォーがバランスを崩す場面も。セフォーの右ローが武蔵の金的に当たり、試合は一時中断されセフォーに注意1。再開されると、武蔵はセフォーのジャブに合わせて左ミドル、右ローだ。さらにセフォーの右フックを空振りさせて、左ミドルを入れる。武蔵は待っているだけではなく、自ら踏み込んでいってテンカオ、セフォーが右フックを返してくると、左ミドルを入れる。フックが当たらず、連打もさせてもらえないセフォーは、武蔵の蹴りの距離で左ローから右フック。最後は武蔵が左ミドルからの左ストレートを空振りしたところで試合終了。
かなりジャッジ泣かせの試合となったが、判定はより多く当てた武蔵を0・5ポイント差で支持。武蔵が勝ちどきを挙げた。敗れたセフォーは苦笑いを浮かべながら、リングを後にした。
▼第4試合 K-1 WORLD
GP2004トーナメント準々決勝 K-1ルール3分3R(延長1R)
○フランソワ“ザ・ホワイトバッファロー”ボタ(南アフリカ/スティーブズ)
KO 1R1分13秒 ※戦闘不能
●ピーター・アーツ(オランダ/チーム・アーツ)
1R、快調に右ローを飛ばすアーツに異変が起きた。ボタのジャブに合わせて右ロー、ジャブからも右ローを放ち、「ローのブロックを完璧にしてきた」と言っていたボタに、そのブロックをさせる間もない。ところが、ジャブから右ローを当てたところで、アーツが突然に片足を上げてロープに寄り添う。ボタはしっかりとスネやヒザで受けたわけではなかった。アーツにダウンが宣告され、試合が再開されるもまた自らが放った右ローで足を痛め、戦闘不能状態となりアーツがKO負けとなった。
▼第5試合 K-1 WORLD GP2004トーナメント準々決勝 K-1ルール3分3R(延長1R)
○レミー・ボンヤスキー(オランダ/メジロ)
延長R 判定3-0 ※10-9・5、10-9・5、10-9
●アーネスト・ホースト(オランダ/ボス)
ついに実現した新旧王者対決。リング中央で相対しても、お互いに目を合わせない。特にボンヤスキーは気合の入った表情ではあるが、その分、固さが見える。
1R、ホーストは左フックから右ローの黄金のコンビネーション。ボンヤスキーはバランスを崩し、続くホーストのプッシュにもバランスを崩して倒れてしまう。かなり固いようだ。ホーストがパンチで入ってくると、ボンヤスキーは右ローを合わせる。左ミドル、ワンツー、右ハイとコンビネーションを繰り出すボンヤスキーだが、クリーンヒットは奪えない。ホーストはボンヤスキーの右ローをキャッチしては転がし、ペースを乱させる。ボンヤスキーが左右フックの連打でラッシュ、ヒザ蹴りへ繋げて行くと、ホーストも全く同じ攻撃を見せた。
2R、プレッシャーをかけていくのはこのラウンドもホースト。左右フックで攻める。ボンヤスキーが右ローを放てば、左フックからの右ローを返す。後半にはボンヤスキーがプレッシャーをかけていき、右ローから右の飛びヒザ。
3Rはボンヤスキーが前に出た。右ハイ、左ハイ、ホーストの右ローには左右フック。左フックから左ミドル、右ローを放っていったが、どれもダメージを与えるまでにはいたらなかった。ホーストの左右フックを押し返し、離れ際に左ハイを狙ったボンヤスキーだが、これはガードされる。ホーストはスリップ。再び前へ出るホーストは右ハイ、ボンヤスキーが組みヒザに来るとアッパーを合わせる。ボンヤスキーが左フックから右ロー、左ミドルを入れてホーストが右ローを返したところで本戦終了。判定はドロー(29-28・5、29・5-29・5、29・5-29)だったが、流れはボンヤスキーにある。
延長R、ホーストがパンチで攻めるとボンヤスキーは左右のフックを返して、ハイキックへと繋げて行く。ホーストはプッシュからの左ロー、左右フックからの右アッパーと細かくショートのパンチを入れてボンヤスキーを下がらせるが、固いブロックに防がれる。逆にボンヤスキーはクリンチ後、右フックからの左アッパーでホーストのアゴを突き上げた。これが決定的なポイントとなったようだ。ボンヤスキーは右ローで攻め、ホーストの右ローとの相打ちも見られる。ボンヤスキーは前蹴りで牽制し、右ローとヒザを入れて有効打を守りきって判定勝利を収めた。
納得のいかない表情だったボンヤスキーは、ホーストを高々と抱え上げ、健闘を称えた。
▼第6試合 スーパーファイト・リザーブマッチ K-1ルール3分3R(延長2R)
○ゲーリー・グッドリッジ(トリニダート・トバコ/フリー)
KO 1R3分0秒 ※右フック
●シリル・アンディ(フランス/ブリゾン)
試合開始のゴングと共に、ゲーリーがパンチで前へ出た。強力なフックをブンブンと振り回してアビディをコーナーへ追い詰める。そのままフックでラッシュを加え、アビディもハイキック、パンチで応戦。アビディの右フックでゲーリーがグラつき、押し返して右ストレート、右アッパーでさらにダメージを加えていく。しかし、左右フックでラッシュしたアビディの攻撃を全てブロックして体力の回復を待っていたゲーリーは、アビディの手が止まった所で逆襲開始。右アッパーでスリップさせ、右ローで応戦するアビディに構わず前へ出る。右フックがクリーンヒット、左フック、右ストレート、そして右ストレートでついにアビディが力尽きる! ダウンから立ち上がったアビディに、ゲーリーは一気に襲い掛かり、フックの嵐を浴びせて右フック! 1R終了のゴングと同時に、アビディは倒れてゲーリーのKO勝利が決まった。
▼第7試合 K-1 WORLD
GP2004トーナメント準決勝 K-1ルール3分3R(延長1R)
○武 蔵(日本/正道会館)
延長R 判定3-0 ※10-9・5、10-9・5、10-9・5
●ガオグライ・ゲーンノラシン(タイ/伊原道場)
武蔵が望んでいた準決勝でのガオグライ戦が実現した。同タイプだけに、体格に優る武蔵が武蔵流を捨てて攻めるのか。1R、左へ大きくサークルを描くガオグライ。武蔵はオーソドックスに構え、それを追っていく。武蔵が追うというシーンも珍しい。武蔵は右ロー、ガオグライは左ミドルをそれぞれ狙っていき、ロープに詰まったガオグライへ武蔵の顔面前蹴りが飛ぶ。武蔵の左ハイでバランスを崩したガオグライは、すぐにポイント挽回のため左ミドル、そして飛びヒザ蹴り。この辺りはさすがに百戦錬磨のムエタイ戦士。間合いを詰めていく武蔵はパンチも出していくが当たらず、逆にガオグライに左ミドルを蹴られる。武蔵はキャッチして倒す。
2R、武蔵は左ミドル、右ミドルからの左ローと蹴りを当て始めた。これに対してガオグライは前蹴りで距離を取りつつ、左ロー、右ミドル。さらに前蹴りで大きく突き放して、ジャンピング左ミドル。武蔵の左ストレートには右ミドルを合わせ、武蔵がパンチを出そうとするとクリンチ。
3R、ステップが止まらないガオグライ。武蔵は右ローに合わせての右アッパーをヒットさせる。武蔵の左ミドルをダッキングでかわすガオグライ、場内にどよめきが起こる。右に左にと動き、ローとパンチを狙うガオグライ。武蔵はパンチを当てたいところだが、ガオグライのムーブを捕らえられない。左ハイもスウェーバックでかわされ、左ローを逆にもらう。しかし、武蔵は左ローで追い詰めて、左ハイキック。ロープへ詰めてヒザ蹴り。両者ともカウンターを狙うので手数が少なく、判定はドロー(30-30、29・5-29・5、30-29・5)だが、ブアカーオが一票を獲得した。
延長R、武蔵はなんとこれが8R目だ。武蔵のパンチを前蹴りで防ぐガオグライ。ガオグライはステップを使うのをやめ、通常のムエタイスタイルで闘う。右ハイ、左ミドル。武蔵も左ミドルで押していき、ミドルの応酬が繰り広げられる。しかし、足を止めて前蹴りにきたガオグライに、武蔵の左ローが強くヒット! 続く右ローもヒットし、ガオグライはバランスを崩してしまった。ガオグライも前蹴りから左右フックで前へ出るが、今度は武蔵が足を使ってその攻撃から逃げ、終了のゴング。僅かの差で、武蔵が二年連続決勝進出を決めた。ガオグライは四方のコーナーへ登って、両手を大きく広げてアピール。大歓声を一身に浴びていた。
▼第8試合 K-1 WORLD GP2004トーナメント準決勝 K-1ルール3分3R(延長1R)
○レミー・ボンヤスキー(オランダ/メジロ)
判定3-0 ※27・5-25・5、28・5-27・5、28・5-27・5
●フランソワ“ザ・ホワイトバッファロー”ボタ(南アフリカ/スティーブズ)
1R、プレッシャーをかけていくのはボタ。ボンヤスキーは押し返してヒザを蹴るが、ボタのボディブローが二発入る。ボタの右ストレートには右ロー、前進してくると左ミドルを合わせるボンヤスキーだが、固さは取れていない。ボタは徹底してボディを攻めていく。ボンヤスキーはローを狙い撃ちしていくが、ボタがコーナーへ追い詰めてのボディを多用する。
2R、ボンヤスキーが虚を突いて放った右ハイはボタの肩で止まる。ボタはプレッシャーをかけて追い詰めていき、ボンヤスキーは顔面への前蹴り。ボンヤスキーはボタが近づいてくると組みヒザ。ボタのパンチをボンヤスキーはしっかりブロックしているが、下がってしまうために印象的にはマイナスだ。
3R、ボンヤスキーは左フックから顔面へのヒザ蹴り。パンチの打ち合いはしたくない、というのが見える。ボタは右ローに右アッパー、左フック、さらにボディ。しかし、ワンツーには右ローを合わせられ、バランスを崩す場面が多く見られる。すると、ボンヤスキーはハイキックを狙い始めた。ボタのパンチをガードしてはローを蹴り、ハイキックを出すボンヤスキーの狙いは正しかった。ローのダメージは、確実にボタの集中力を削ぎ落として行ったのである。ボタのボディと、ボンヤスキーのロー。それぞれが集中力を奪っていく闘いとなる。そして、ボタのワンツーをブロックした直後、ボンヤスキーの右ハイが炸裂! 崩れ落ちるボタ。立ち上がるも、そこでゴングが鳴った。
ボンヤスキーが二年連続決勝進出を決め、昨年の再現となる武蔵との決勝戦となった。ボンヤスキーが二連覇を達成するのか、それとも武蔵が日本人初のGP制覇の夢を達成するのか!? ボンヤスキーが本調子には見えないところが気になるが…。
▼第9試合 K-1 WORLD GP2004トーナメント
決勝戦 K-1ルール3分3R(延長2)
○レミー・ボンヤスキー(オランダ/メジロ)
延長2回 判定3-0 ※10-9、10-9・5、10-9・5
●武 蔵(日本/正道会館)
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