「PANCRASE
2004 BRAVE TOUR」
2004年12月21日(火)東京・後楽園ホール
開場17:30 開始18:30
<決定対戦カード>
▼メインイベント ライトヘビー級 5分3R
○ケステゥシャス・アルボーシャス(リトアニア/ラトビア士道館)
判定 3-0
同級5位
●渡辺大介(パンクラスism)
<試合展開>
士道館空手、キックボクシング、ブラジリアン柔術の格闘キャリアを持ち、2000年士道館全世界オープン選手権覇者のアルボーシャスが渡辺に何もさせなかった。
1R、ジャブから右ローを飛ばす渡辺に、カウンターの右ストレートを入れるアルボーシャス。向かい合った状態から右バックキックを繰り出すが、これは渡辺がダッキングでかわしてタックルに入る。渡辺はパスガードを試みるが、ハーフからガードに戻され、中腰になってパンチを入れてからサイドへパスするも、アルボーシャスは足で浮かせてリバースに成功。スタンドを要求する。
アルボーシャスは再びバックキック、これをダッキングでよけようとした渡辺だが、間に合わずアゴにもらって尻餅をつく。右バックキック、右ハイと蹴り技で攻めるアルボーシャス。渡辺の右ハイには右ストレートを合わせる。
2R、アルボーシャスの左インローが下腹部に入り、試合は一時中断。再開後、渡辺はアルボーシャスの左フックからの右ローに合わせてタックルでテイクダウン。左ストレートを入れながら、パスを狙うがなかなかガードを越す事が出来ない。
3R、動きが止まった渡辺は正面に立つ事が多い。タックルを仕掛けるもギロチンにとられ、上になるもすぐにリバースされてサイドへつかれる。アルボーシャスはニーオンザベリーになってから立つ。両者カウンターを狙っているのか、長い見合いが続き、渡辺の右ミドルを受けたアルボーシャスが右ストレート、タックルは余裕でかわし、右ローには右フックを合わせる。左フックをヒットさせ、空振りに終わったものの、空手仕込みの胴廻し回転蹴りまで繰り出した。判定は、当然アルボーシャスを支持した。
●渡辺のコメント
「分からない…後で聞いたら、最初のラウンドで何かもらって効いたって(※バックキックと思われる)。とりあえず顔にもらったのは…なんか尻餅ついたんですよね。自分の中でずっと効いてないといい聞かせてたんですけど、効いてたみたいで。全然、動けなくて振り返ってみると、ああ、効いてたんだなと。途中からやろうとしてる事がバレバレで、見切られてる感じがした。全てお見通しの空気を感じて、何も出来なくなった。踏み込みも、タックルも出来なかった。打撃は強かった。巧い、賢いと感じました。下になっても全然、動けなくて力が強いと感じました。今年は頭にダメージをもらいすぎました。来年の目標は顔に打撃をもらわない事です。久しぶりに酷い試合でした」
●尾崎社長の総括
「女子の試合が初めてで手探り状態だったんですが、今まで経験なかったので、緊張してました。でも1回やってみたら、良かったんじゃないかと思う。あと、吉朗が良かったですね。志田は元々、評価が高かった選手なんです。仕事しながらのプロだったので、大きな会社だったんですけど辞めて、集中してたので予想通りだった。謙吾は試合しましたっけ?(笑)一生懸命に練習をやっているので、もう少し、時間を下さい。山本選手と吉朗はどこかでやってもらえたらと思う。本当は、吉朗は試合をする予定じゃなかったんですけど、治療の経過が良くて急遽、やりたいという事で組んだんです。(志田が前田との再戦をアピールした事は)選手が勝手にカードを決めないで下さい(笑)。でも、アピールしてくれるのは喜ばしい。気持ちを汲んでいきたい。志田は吉朗にしか負けてないですからね。それもトーナメントで。フェザー、ライトは日本人の層が厚いので、来年はランキング、チャンピオンを決めないと。来年、女子だけの大会はやるつもりです。今日、手ごたえがあった。いい感触だった」
▼セミファイナル ウェルター級5分3R
同級1位
○長谷川秀彦(SKアブソリュート)
判定 3-0
同級4位
●門馬秀貴(和術慧舟會A-3)
<試合展開>
デモリッションで因縁の生まれたカードが、パンクラスで実現した。長谷川はデモリッションで連勝している時代に門馬との対戦をアピールし、門馬が「いつでもやってやるよ」と応えていたのだ。パンクラスのランキングでは長谷川が上だが、格的には門馬の方が上。どちらが上か、ハッキリさせる時が来た。
1R、長谷川はジリジリと詰め寄っていきなりのタックル、コーナーへ押し込み小外掛け、肩パンチで揺さぶりをかける。そして、小外狩りでテイクダウン。門馬はクロスガードから三角絞め、両足をとるなど反撃するが、長谷川は上をキープしてパウンドを落とす。門馬が両手首を掴んでコントロールしようとすると、持ち上げて叩き落とし、連打を決める。さらにサンビストらしくアキレス腱固めを狙い、この気に乗じて門馬が起き上がろうとしても、上になって防ぐ。もう一度アキレスを仕掛けると、門馬は今度は立ち上がってサッカーボールキック、ヒザ蹴りを入れるが長谷川がすぐにタックル。門馬が背中に乗ってパンチを入れたところでゴング。
2R、長谷川のタックルに門馬がヒザ蹴りを合わせたが、長谷川はそのままコーナーへ押し込む。が、浴びせた押したのは門馬の方。肩固めを狙ったが、これは長谷川が防いでガードに戻し、ブレイク。またも長谷川がタックル、門馬は小外掛けでテイクダウンしようとするも、上になったのは長谷川。ボディ、顔面とパンチを打ち分け、門馬のスイープを凌ぐ。中腰になってのストレートを入れてアキレスを狙ったが、門馬がパンチを入れてきたため立ち上がる。
3R、またもタックルに出る長谷川に門馬がヒザを合わせ、首相撲に捕らえるが抑えきれず、コーナーへ押し込まれる。これは長谷川が突き放されたが、門馬の右ストレートに低いタックルで入る。ガブッた門馬はここでスピニングチョーク!これは極まらずバックに回った門馬だが、長谷川はハーフに戻す。さらに潜り込みのスイープに成功、上からパンチを落とすと門馬は足を使って防ぎ、スイープを狙うが失敗。長谷川が判定勝利を収めた。
「次は一本取れるようにしてきます」と挨拶した長谷川は、最近SKアブソリュートで恒例となっている「最後に総帥からひと言」と、セコンドも松本天心にマイクを渡す。「本日、長谷川を応援してくれた皆様、ありがとうござます。本日、たくさん来てくれたアンチSKアブソリュートのみなさん、来年、SKアブソリュートはミドル、ウェルター級のタイトル二本をもらえそうなので、パンクラスとSKアブソリュートにご注目下さい」と、松本天心はパンクラス制圧をアピールした。
▼第5試合 ヘビー級 5分3R
○ジェイムス・リー(マッシュ・ファイト・チーム)
一本 1R55秒 ※チョークスリーパーにより失神
●謙吾(パンクラスism)
<試合展開>
1R、開始直後、謙吾のパンチに合わせてリーが片足タックル。そのまま謙吾の右足を抱え上げ、テイクダウンを狙う。立ち上がろうとした謙吾だったが、亀の態勢になってしまい、リーにバックマウントを奪われる。リーはそのままチョークを仕掛け、タップしなかった謙吾が失神。予想だにしない秒殺劇となってしまった。
▼第4試合 パンクラス アテネ 3分3R
○渡邊久江(AJジム)
KO 2R1分7秒 ※右ストレート
●渡邉浩財子(SOD女子格闘技道場)
<試合展開>
1R、フットワークを使って動く浩財子に対して、久江は強烈な前蹴り。そしてローのカットが出来ない浩財子に対して右のローを飛ばす。一発目こそバランスを崩さなかった浩財子だったが、二発目のローで大きくバランスを崩す。亀の態勢になった浩財子からバックマウントを奪った久江は、チョークを狙いながら鉄槌気味のパンチを落す。
2R、右のローを効かせた久江が、パンチで前に出てくる浩財子に対してワンツー、ミドル。最後は右ストレートで浩財子をマットに沈めた。
▼第3試合 フェザー級 5分2R
○前田吉朗(パンクラス稲垣組)
KO 1R4分2秒 ※右フック
●築城実(P'sLAB東京)
<試合展開>
1R、築城の左ミドルをキャッチした前田が、片足タックルのような形でテイクダウンを奪う。下になった築城だが得意のフロントチョークを仕掛け、それを嫌がった前田が自ら相手にマウントを取らせるような態勢になるものの、築城は極めることが出来ない。逆に前田は築城の腕のクラッチに、自分の腕をこじ入れ頭を抜くと、インサイドから左右のストレート。築城の顔面を捉える。ブレイク後、意を決したようにパンチで前に出る築城。何発か被弾したものの、前田は落ち着いてこれを裁き、右フックで顎を落ちぬき、最後は左のハイキックを狙ったところで、レフェリーが二人に割って入った。
試合後、第1試合で山本をKOした志田がリングイン。「今日、僕は山本選手をKOで下しました。次にお客さんが見たいのは僕と前田君の試合だと思います。4月の(大阪)大会で僕と試合しましょう」と、再戦をアピール。これに対して前田は「まあ、待っとけや。またぶっ壊したる」と、志田の要求を受け入れる構えを見せた。
▼第2試合 ミドル級 5分3R
同級4位
○石川英司(パンクラスGRABAKA)
判定 2-0
同級8位
●中西裕一(フリー)
<試合展開>
今日の中西はベイダーを思わせる甲冑の着ぐるみで登場。1R、中西はローで距離を取りながら、パンチで前に出る石川にカウンターを合わせる。得意の差し合いの状態に持ち込む石川だったが、中西も上手くコーナーやロープを利用し、テイクダウンを許さない。逆に離れ際にワンツーを叩き込み、自らも片足タックルでテイクダウンを狙う。
2R、このラウンドもローで距離を取る中西。カウンターの右ストレートが石川にヒットする。石川もタックルからバックに付き、そのままテイクダウンを狙っていくが、中西が石川の腕を巻き込んで上になり、サイドポジションへ。反転してタックルに移行する石川からバックを奪おうとするが、これには石川もすぐに反応し、差し合いの状態に戻す。一旦ローブローがあり中断した後、中西は右ストレート、左フックと立て続けにパンチを当てる。しかし石川も右フックで接近すると、四つの状態から持ち合げてテイクダウン。この試合初めてグラウンドで上を取る。下になった中西は柔らかい体を使って石川の右腕を狙って腕十字。しかしこれは残り時間が少なく極まらない。
3R、一気に組み付いてテイクダウンを狙う石川。中西もバランスを崩しこそするものの、ガードポジションにはならない。石川は立ち上がろうとする中西の顔面に膝蹴りを叩き込む。そして四つの状態から足をかけてテイクダウン。再びグラウンドで上のポジションを取る。インサイドからパンチを落す石川に対して、中西は足のクラッチを石川の頭の方に上げて三角、腕十字狙い。どちらにも有効な攻撃がないまま、試合は終了した。かなり微妙な判定となったが、石川が3月以来9ヶ月ぶりの勝ち星を手にした。
▼第1試合 フェザー級 5分2R
○志田幹(P'sLAB東京)
KO 2R4分36秒 ※膝蹴り
●山本篤(KILLER BEE)
<試合展開>
1R、離れた間合いからタックルを狙う山本。志田はそれを切ってスタンドをキープ、右ロー・左ミドルを飛ばす。なかなか距離を詰めることが出来なかった山本だが、ラウンド中盤から踏み込んで左のジャブを放っていく。
2R、山本が両足タックルで遂にテイクダウン。グラウンドで上になることに成功するが、志田も下から山本をコントロール。山本の動きに合わせて、ガッチリとクローズガードし、両腕を抱えて密着したかと思えば、腰を蹴って距離を取るなど、臨機応変に対応し、パウンドを許さない。そしてブレイクが命じられる。スタンドに戻ると志田が山本の前足に右のアウトローを叩き込み、出足を止める。そして残り1分、パンチを打とうと踏み込んだ山本の顔面に、志田の膝蹴りがクリーンヒット!山本はそのまま前のめりに倒れこみ、志田が鮮やかなKO勝利を収めた。
|