【ZST】レミーガ、涙の戴冠。ダリウスは小谷を圧倒。

ZST事務局『ZST-GP2　ファイナルステージ」

▼第5試合　ＺＳＴ−ＧＰ2フェザー級トーナメント決勝
○レミギウス・モリカビュチス（リトアニア）
KO　1R3分13秒　※パンチの連打
●大石真丈（SHOOTO GYM K'z FACTORY）
＜試合展開＞
　決勝は48秒で試合を終わらせたレミギウスとフルラウンド戦い続けた大石という対称的な二人となった。
　ゴング直後、レミギウスはいきなりラッシュをかけるのではなく、じっくりと様子を伺う。「予想と違った」という大石はここで自らタックルを仕掛ける。しかしレミギウスがこれを切って大石が自らガードを取ったところで、レミギウスが反則のサッカーボールキック。大石の倒れ際を狙って蹴ったものではあるものの、ガードの上から大石の頭部を蹴ってしまい、イエローカードが提示される。さらに大石は所戦でカットした左まぶたから再び流血。しかし大石は「レミギウスに侍を見せたかった」と、試合続行を決意する。
　再開後、レミギウスは右ローと左ミドル。大石も果敢に打撃を返し、タックルで組み付くとサバ折り気味にテイクダウンを仕掛ける。しかしレミギウスは両手で大石の顔を突き放し、ディフェンス。インサイドガードになるとすぐに立ち上がってスタンドを要求する。再び組みついた大石は、スタンドのままバックに付こうととするがレミギウスに振り落とされガードへ。しかしここですぐに足を高く上げ、三角絞めを狙う。千載一遇のチャンスを迎えた大石だが、レミギウスも胸を張って、頭を抜いて逃げる。そしてスタンドに戻るとパンチのラッシュ。左右の連打を浴びせて、大石をマットに沈めた。
　ベルトを巻かれると、思わず瞳が潤むレミギウス。涙声のまま「前回のトーナメントでは悔しくて会場の2階で泣いていたんですが、今回は勝つためにたくさん練習してベルトを巻く事が出来ました」とコメント。記念撮影終了後は、盟友ダリウスと熱い抱擁をかわした。ベルトを巻いたレミギウスはもちろん、形上は引き分けに終わったダリウスも小谷を圧倒。所&小谷の2大看板が結果を出せず、逆にリトアニア人ファイター強しを印象付ける大会となった。

▼第4試合　ライト級シングルマッチ　ZST-VTマッチ特別ルール
△小谷直之（ロデオスタイル）
時間切れドロー
△ダリウス・スクリアウディス（リトアニア）
＜試合展開＞
　急遽、VT（ヴァーリ・トゥード）ルールとなった一戦。"出直し"小谷直之の復活が期待されたが、現実は厳しいものとなった。
　1R、ダリウスの打撃を警戒するあまり、遠い間合いからタックルに入る小谷。しかも上体を振らず、真正面から突っ込んでしまうため、ダリウスに簡単に切られてしまう。ラウンド中盤、左のローを掴んで何とかテイクダウンするも、ダリウスの体がロープの外に出てしまい有効なパウンドを出せないまま、ブレイクとなる。ダリウスは間合いを詰めてくる小谷の顔面に右のパンチ。完全にダリウスが試合のペースを掴む。
　2R、このラウンドもダリウス優勢は変わらない。遠い位置からの小谷のタックルを見切り、リトアニアでも所を苦しめた前足への左のロー。何とか小谷もそれを掴もうと、必死に手を伸ばすが捕らえることが出来ない。意を決して打ち合いに挑むも、モーションが大きくダリウスの右ストレートが何度も顔面を捉える。ラウンド中盤、ダリウスのパンチをかいくぐり両足タックルでテイクダウンを奪うも、再び場外となりブレイク。これまで小谷を味方してきたZSTルールが、小谷を苦しめる展開となった。
　迎えた最終ラウンド。苛立つ小谷は声を出して気合を入れるものの、なかなか手数が出ない。テイクダウンを諦め、引き込んでしまい、ダリウスのパウンドを浴びてしまう。必死にガードを固める小谷。何とかガードに戻して、事なきをえるが、ここでダリウスのボディへのパンチが下腹部に当たり、試合が中断。ダメージの大きな小谷に3分間の休息が与えられる。セコンドの兄・ヒロキから「気持ちを切るな」と喝を入れられた小谷。残り1分30秒、打ち合いを挑むがそれはダリウスの思うつぼ。パンチで詰めようとするところに左のミドルをもらい、結局、有効打のないまま試合が終わった。判定なしというルール上、引き分けにはなったものの、完全に試合を支配していたのはダリウス。また小谷の最大の武器であった思い切りのよい打撃もなりを潜め、久しぶりの日本復帰戦は課題の残る内容に終わってしまった。

▼第3試合　ＺＳＴルール　ワンマッチ
△櫛田雄二郎（フリー）
時間切れドロー
△佐東伸哉（P'sLAB東京）
＜試合展開＞
　試合前の映像では塩分が高い試合をすると紹介されてしまった佐東。セコンドの北岡からも「インターバルは頑張ってね」などと、冗談交じりの指示が飛ぶ。対する櫛田は長州力Tシャツを着込み、ムーンサルト&水の霧吹きと入場で会場を沸かせたのだが…
　1R、片足タックルを狙う櫛田だが、動きが単調になってしまい、なかなかテイクダウンできない。何とかグラウンドで上になり、サイドから押さえ込むものの、佐東はすぐ亀になって立ち上がる。櫛田同様、佐東もグラウンドで上になっても極め手に欠き、試合は徐々に膠着気味に。2R以降も、櫛田のタックルを皮切りにグラウンドの攻防となるが、お互い極める事が出来ず、そのまま試合が終了。期待されたような動きのある寝技の展開とはならなかった。

▼第2試合　ZST-GP2フェザー級トーナメント準決勝　
○大石真丈（SHOOTO GYM K'z FACTORY）
延長ラウンド　判定
●所　英男（ＳＴＡＮＤ）
＜試合展開＞
　これで3度目となる所×大石の一戦。過去、2戦同様、期待にたがわぬ激闘となった。
　1R、大石のタックルを切って所は右のローを飛ばし打撃で攻める。しかし大石は所のパンチに合わせて両足タックルでテイクダウン。すかさず所が下から腕十字を狙うが、大石は落ちついて腕を抜いてディフェンスする。グラウンドで上になった大石は、過去の対戦で散々苦しめられたパスガードに合わせる腕十字を警戒。無理には動かない。これに対し、所は後転する様に膝十字へ。そのまま回転し、自分が上になるとスタンドを要求する。所は大石のタックルに合わせて左ミドル。距離を取って右ストレートを当てるものの、大石はロープまで所を押し込んでテイクダウン。下からの三角をディフェンスしながら、付かず離れずの距離を保ち、所にペースを掴ませない。
　2R、スタミナが武器の所であるが、肩で大きく息をし、疲れている様子。試合はスタンドでの打撃戦で幕を開ける。1Rこそいいパンチが入っていた所だったが、このラウンドに入ると、大石のパンチをもらいだし、徐々に動きが止まりだす。テイクダウンを許し、下から足関節で応戦するも、大石の体を制すことが出来ず、極めるには至らない。逆にスタンドに戻ると、コーナーに押し込まれ首相撲からの膝蹴りをモロに受けてしまい、たまらず背を向けて逃げ出す場面も。所は下にこそなるものの、グラウンドになると果敢に関節技を仕掛ける。バックから脱出し、ヒールホールド、アンクル・ホールドと展開し、バスター気味に叩きつけられてもすぐに体を起こし腕十字。最後はオモプラッタを狙ってゴングが鳴る。ここまでの試合内容はほぼ互角。試合は延長戦へともつれる。
　延長ラウンド、大石は右のミドルを捕んでテイクダウン。ここから互いにアンクル・ホールドを仕掛ける展開となる。最初に仕掛けたのは所だったが、最終的には大石の方がいい形を作り、所が足を抜いてディフェンスする。スタンドで右のミドル、ローを飛ばす所。しかしパンチの打ち合いになると大石に分があり。右ストレートを当てて、所をぐらつかせる。果敢にタックルを仕掛ける所に大石は横三角で対応。最後は所が上を取り、足関節を狙い、試合が終了した。
　かなり微妙な判定だったが、軍配が上がったのは大石。所の関節技を凌ぎ、スタンドの打撃という目に見える攻撃で有利に試合を進めたことが勝因となった。

▼第1試合　ZST-GP2フェザー級トーナメント準決勝
○レミギウス・モリカビュチス（リトアニア）
KO　1R48秒　※右の膝蹴り
●宮川博孝（チーム・アライアンス）
＜試合展開＞
　レミギウスの打撃を警戒して、宮川はいきなりタックル。レミギウスに切られると、すぐにイノキ・アリ状態を取り寝技に誘う。もちろんレミギウスはそれに乗らず、打撃で勝負したいレミギウスに果敢にタックルを仕掛ける宮川という展開が続く。ここで宮川にアクシデント。タックルに入った際（？）に左足を痛め、立ち上がると顔をしかめる。それでも構わずタックルにいく宮川だったが、ここでレミギウスの右の膝蹴りが顔面に当たり、そのまま大の字に倒れ、KO負けを喫した。アクシデント混じりながら48秒での勝利。レミギウスがほぼ無傷で決勝にコマを進めた。