パンクラス「PANCRASE 2005 SPIRAL TOUR」
2005年2月4日(金)東京・後楽園ホール
開場17:30 開始18:30
<試合結果>
▼メインイベント 第2代ウェルター級王者
決定4人トーナメント 5分3R
○井上克也(和術慧舟會RJW)
KO 1R4分40秒 ※グラウンドのパンチ
●ヒース・シムズ(チーム・クエスト)
<試合展開>
1Rの序盤はスタンドでの探り合いが続いた。サウスポーの井上はジャブからの左ミドルをクリーンヒットさせ、グイグイとプレッシャーを掛けていく。シムズはロープ際まで追い詰められると右ストレートで押し返し、また井上がプレッシャーを掛けていくという展開。前半3分が過ぎたところで、シムズの右ストレートがヒット、井上も左ミドルを返す。
そして、井上はジャブを突きながらプレッシャーを掛けて行き、シムズがロープを背負ったところで打ち返してくると打ち合いに応じる。シムズのクリンチアッパーを振りほどき、井上は周りながら左フック、すぐに右フック。この一発でシムズの膝がガクンと落ちた。そこへ井上の左ストレートが間髪入れずに炸裂、シムズをマットに横たわらせる。
井上はこのビッグチャンスを逃さず、一気に中腰でパウンド。左ストレートを三発立て続けに放ち、二発目でシムズの体から力が抜けた。見事なノックアウト勝利!
「今日は凄くいい形でシムズに勝てたので、5月は絶対にタイトルを取れると思います」と、井上はリング上でベルト獲り宣言。「自分はパンクラスのベルトは通過点だと思ってます。チャンピオンシップで勝って、修斗のチャンピオン、菊地(昭)選手とDOGで、ケージでやりたい! 菊地選手、来てたら後で返事下さい」と、パンクラスマット上で大胆にも修斗ミドル級王者・菊池昭との対戦を表明した。
●井上のコメント
「前からシムズは打撃だと思っていて、公開練習で寝技ばっかりやってたので寝技もアリかなと思ってたんですけど。自分的には打撃でやって、打撃を含めたテイクダウンぐらいしか考えていなかった。打撃と寝技と総合では僕のほうが上だった。レスリングでは多分、向こうが上だと思うけど。(王座決定戦は)絶対はないと思うけど、確率的には(自分がベルトを獲る可能性は)高いと思う。二人、どちらが来ても負ける事はない。どっちがきても問題ないです。後はいい形で勝てるように頑張るだけ。(菊地の名前を出したのは)ベルトが二つあったらどっちが強いかというのが自分にはあるので、プロレスみたいに三冠ベルトを作りたい(笑)。いろんなところに行って勝っていきたい。菊地選手とは純粋にやりたいんです。判定とかいろいろあるので、中立っぽい大会でやりたい。一番手っ取り早いのはDOG。修斗のチャンピオンという事で、自分もパンクラスでチャンピオンになって同じ立場で対戦したいですね。修斗に出たいという意味ではなく、チャンピオン同士で、強い人とやっていきたいという意味です。5月1日は空けておきます。練習を頑張るのみです」
●シムズのコメント
「いいパンチをもらって、その後は覚えていない。倒されたパンチが効いていた。振り返ってみると、自分はレスラーという立場を忘れていたのが敗因。次は3月にオレゴンでクートゥアーとヘンダーソンが主催する“スポーツファイト”というイベントがあるので、そこに出場する。パンクラスはいい団体だと思うし、自分が闘いたい選手が多い。また戻ってきます。正直、この試合にかけていたのでガッカリしています」
▼セミファイナル ヘビー級 5分3R
○桜木裕司(掣圏会館)
KO 3R6分 ※左ハイキック
●謙吾(パンクラスism)
<試合展開>
高橋義生、アライケンジらとの新チーム結成が今日発表され、また4日前には29歳の誕生日を迎えた謙吾。旅立ちを勝利で飾りたいところだったが、信じられないような逆転劇が待ち受けていた。
掣圏会館から初出場の桜木に、謙吾はジャブからタックル。これはかわされたが、右フックをフェイントにもう一度タックルに入ってテイクダウン。ハーフの桜木に鉄槌、フック、ボディパンチで攻める。途中アームロックに行くも極められず、ずっと上をキープしながら打撃をコツコツと入れてこのラウンドは終了した。
2R、両足タックルで再びテイクダウンを奪いに行く謙吾。桜木はロープにもたれかかるようにして防ごうとしたが、両足をひきつけられてテイクダウンを許した。ハーフからガードに戻した桜木に対し、謙吾は1R同様に鉄槌、フック、ボディパンチをコツコツと当てて行く。桜木の頭を押さえつけながらパウンドを落とした謙吾は、残り1分でパスに成功、サイドに回るが両腕を桜木に手足で挟まれ、何も出来ないままゴングを聞いた。
3R、同様にテイクダウンを奪って上をキープすれば約1年ぶりの勝利も見えてきた謙吾だが、開始早々に桜木が居合い抜きの如くいきなり左ハイキック一閃! もんどり打って倒れた謙吾の顔面に右の蹴りをフォローして、桜木が大逆転のKO勝利を収めた。
「3Rが始まる前に田中(健一)先生に声を掛けていただき、それで目が覚めました」と勝者の桜木。敗れた謙吾は「1、2Rが優勢だったので3Rは油断してたんじゃないか。セコンドからつまらないパンチ、キックはもらうなよと言われたのに。やっちゃったって感じ。結果は結果として受け止める」と、自嘲気味に語っていた。
▼第6試合 ライトヘビー級 5分3R
○ケステゥス・アルボーシャス(ラトビア士道館)
KO 3R4分59秒 ※グラウンドのパンチ
●佐藤光芳(パンクラスGRABAKA)
<試合展開>
1R、アルボーシャスの打撃を警戒してか、佐藤はタックルの間合いが遠く、簡単にアルボーシャスにタックルを切られてしまう。前半はこの攻防が続いたが、ようやく佐藤が片足タックルに成功。フロントチョークで引き込むアルボーシャスから上のポジションを奪取する。インサイドになった佐藤はパンチを落としながら、アキレス腱固めへ。体を反って極めようとするが、アルボーシャスは何とヒールホールドで応戦。佐藤が足関節を諦め、インサイドガードのポジションに収まる。終了間際、再び足関節を狙った佐藤だったが足のフックが甘く、アルボーシャスにマウントを奪われる。しかもアルボーシャスはパウンドだけでなく、腕十字を仕掛けるなど、空手家らしからぬ動きを見せて場内を沸かせる。
2R、アルボーシャスは渡辺戦でも見せたバックキックを多用。これで佐藤はますますタックルの間合いに入れなくなる。ラウンド中盤に片足タックルでようやくテイクダウンを奪ったものの、1Rと同じように足関節を失敗し、簡単にスタンドに戻されてしまう。その後もアルボーシャスの右ストレートと蹴りを受け続け、ペースを掴めない。
3R、ファーストコンタクトの打撃戦でアルボーシャスの右がヒット。これには佐藤も思わず体がぐらついてしまう。それでも何とか組み付いて、四つの状態から反り投げを狙うも、アルボーシャスのバランスがよく、グラウンドで下に。もちろんアルボーシャスはすぐに立ち上がりスタンドを要求し、徹底的にグラウンドには付き合わない。しかし佐藤がアルボーシャスの左の蹴りを掴んでテイクダウン。佐藤は背中を見せるように腰を切ってパスガード。この試合初めてサイドポジションを奪うことに成功する。セコンドから「得意のアームロック行け!」と指示が出るが、疲れとダメージのためか押さえ込むのが精一杯の佐藤。遂にはガードポジションに戻されてしまう。一本勝ちへの執念を見せる佐藤は、最後の力を振り絞ってアキレス腱固めへ!しかしこのアグレッシブさが仇となってしまった。後ろに倒れて足を絞る佐藤にアルボーシャスが右のパンチ一閃。これが佐藤の顔面を打ち抜き、動きの止まった佐藤を見てレフェリーが試合を止めた。
▼第5試合 ミドル級 5分3R
○竹内出(SKアブソリュート)
判定 3−0 ※3者、30−29
●久松勇二(和術慧舟會TIGER PLACE)
<試合展開>
1R、パンチをフェイントに組み付こうとする竹内に、久松の右のミドルと膝蹴りが当たる。中々組み付けなかった竹内だが、ラウンド中盤、ようやく久松をコーナーに押し込んでテイクダウン。上からコツコツとパンチを落とす。何度か立ち上がろうと試みる久松だが、その都度、竹内は久松の足を刈って 上のポジションをキープする。しかし残り1分を切ったところで、久松がスタンドに戻す事に成功。突進する竹内のボディに膝蹴りを合わせる。
2R、頭を下げて前に出る竹内に、1R同様久松の右ミドルが当たる。打撃をもらいながらも何とか組み付く竹内だったが、上手くロープに体を預け、バランスを保つ久松をテイクダウン出来ない。ここで竹内は久松の投げを潰して、脇をくぐるようにバックマウントへ。チョークスリーパー、パンチを打っていくが、久松はセコンドの指示通りに、竹内の頭を持って前に落すように立ち上がる。そしてコーナーでの差し合いになると、外掛けでテイクダウン。腰の重い竹内から上のポジションを取ることに成功する。ガードの竹内もすぐに久松の体を蹴り離し、久松の体がロープの外に出たところでブレイク。しかしスタンドに戻るとペースは久松、的確に右ミドルと膝蹴りを当てていく。
3R、疲れの見える竹内に対して、久松はミドルだけでなく右のハイキック。しかしこれは竹内が間一髪のところで避ける。明らかに打撃が効いている竹内だが、果敢にタックルを仕掛け、久松からテイクダウンを奪う。ガードの久松は必死に体をのけぞらせ、距離を取ろうとするが、竹内も頭をつけてそれに付いていきパンチを落し続ける。結局、竹内がグラウンドで上のポジションをキープしたまま試合終了。判定は3者が30−29という僅差だったものの竹内が勝利。ランキング1位の座を守った。
試合後、マイクを握った竹内は「毎度毎度こんな試合ですいません。でも1位はキープしたんでそろそろチャンピオンに挑戦させてください」とタイトルマッチをアピール。さらに「では総帥の一言」とSKアブソリュート総帥松本天心にマイクを渡す。ここで松本は「昨年の9月からSKアブソリュートはパンクラスマットで無敗です。うちの長谷川も頑張ってるんで、竹内と一緒にタイトルに挑戦させてください。社長よろしくお願いします」と、締めくくった。
▼第4試合 ウェルター級 5分2R
○伊藤崇文(パンクラスism)
KO 1R3分30秒 ※スタンドのパンチ
●倉持昌和(フリー)
<試合展開>
1R、ローを飛ばす両者。軽くパンチを出した後で、伊藤が片足タックル。しかし倉持はこれを切り、逆にコーナーに押し込んでテイクダウンを奪う。インサイドになった倉持は、伊藤の三角絞め狙いをディフェンスしながらパウンド。足を一本跨いでハーフガードの態勢となる。ここで伊藤は亀の状態になって立ち上がると、背中を向けたまま倉持の左腕を持ってコーナーにもたれかかる。そこから体位を入れ替えるた伊藤は、首相撲からの膝蹴り。ぐらついた倉持に左右の連打。最後は綺麗に右ストレートが入り、倉持はそのまま真後ろに大の字に倒れた。
▼第3試合 無差別級 5分2R
○佐藤光留(パンクラスism)
TKO 1R2分57秒 ※セコンドからのタオル投入
●小野谷澄雄(烏合会)
<試合展開>
30日のプロアマキャッチレスリングトーナメントで膝を負傷し、試合出場が危ぶまれた佐藤だったが、それを感じさせない動きを見せた。1R、ゴングが鳴ると左のジャブをついて右ストレート。小谷野も佐藤の左足にインとアウトのローを蹴るが、佐藤の出足は止まらない。徐々にパンチでペースを掴む佐藤は、右のパンチを小谷野のガードからクリーンヒット。佐藤はそのまま小谷野に覆いかぶさり、マウントポジションを取ると、パンチの連打を浴びせる。動きの止まった小谷野を見て、セコンドからタオルが投入された。
▼第2試合 ライト級 5分2R
○矢野卓見(烏合会)
一本 1R2分15秒 ※アンクルホールド
●滝田J太郎(和術慧舟會東京本部)
<試合展開>
パンクラスマット初お目見えとなったJ太郎劇場。まずはギター侍の替え歌から始まった。「俺はJ、J、J、J太郎。今日もお客さんを沸かせるぜって言うじゃない。でもあんた、すでにお客さんに引かれてますから!残念!顔がNUKINPO!とかぶっている斬り!」と自虐ネタを披露。続いてふんどし姿のJボーイズを引き連れて、洋服を真横に引き裂く安田大サーカスのネタでリングイン。入場では完全にヤノタクを圧倒したのだが…
1R、なんとヤノタクはいつもの半身ではなく、オーソドックスの構え。しかもセコンドからは「左出して」と、これまでのファイトスタイルからは考えられない指示が飛ぶ。さすがのJ太郎もこれには面食らった様子だったが、一旦間を置いてから膝蹴りで飛び込むと、投げでテイクダウンを奪う。イノキ・アリ状態からパンチを打ち込むJ太郎に対して、矢野は下からJ太郎の手首を掴み、背中を見せるように足関節へ。足首を捻り上げると、タップ寸前のJ太郎。ここでレフェリーが技が完全に極まったと勘違いし、ブレイクを命じるというミスジャッジがあったものの、再開後、矢野が正真正銘、しっかりとタップを奪った。
▼第1試合 ウェルター級 5分2R
○石毛大蔵(SKアブソリュート)
KO 1R35秒 ※スタンドのパンチ
●外山慎平(和術慧舟會東京本部)
<試合展開>
1R、外山はいきなり殴りかかっていくが、石毛はそれに付き合わずパンチをもらわない。石毛は左のジャブを当てて、上手く自分の距離を保つ。そしてパンチの打ち合いになったところで、石毛の右のパンチが外山の顎をとらえる。ロープを背にして動きが止まった外山に対し、石毛は首相撲からの膝蹴りとパンチの連打。外山は糸が切れたように倒れ、石毛が豪快なKO勝利を飾った。試合後マイクを握った石毛は「今日はismの大石さんと戦う予定で気合が入っていたんですけど、出来なくて残念です。次やらせてください」とアピールした。
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