「NO KICK、NO LIFE〜FINAL〜」
2005年10月29日(土)東京・大田区体育館
開場17:00 開始18:00
▼メインイベント 60kg契約3分5R
○アヌワット・ゲオサムリット(ラジャダムナン&ルンピニー統一フェザー級王者)
KO 2R1分28秒 ※3ノックダウン
●小野寺力(藤本/元・日本フェザー級王者)
現役ムエタイの最高峰アヌワットに挑む小野寺力。湘南乃風に迎えられて、黒いショートガウンを着ての入場。場内が一気に盛り上がるが、この様子を冷ややかに見ていた一団がリング上にいた。アヌワットとそのトレーナーである。特にトレーナーはロープに寄りかかり、余裕の表情で笑いながらの観察。小野寺に数多くの激励賞と、花束が渡された。
1R、プレッシャーをかけて詰めていくアヌワット。ローから強烈なワンツーを当てていき、左アッパーから右フックへと繋げていく。小野寺もフックからのアッパーを返す。どんどん詰めていくアヌワットは左フックから右ボディストレート、ローキック。アヌワットが打ちに出る度に、場内からは悲鳴にも似た叫びが響き渡る。小野寺は右ストレート、アヌワットに右を空振りさせての左フック。ジャブを多用する小野寺だが、アヌワットはローを返し、左ボディから右フック、もう一発の右フックでスリップ気味のダウンを奪った。
2R、小野寺は右ロー、アヌワットは体ごと飛び込んでくるようなワンツー。小野寺は左右フックでガードを固めさせておいてのアッパーを狙うが、アヌワットも強烈な右ストレートを返してくる。アヌワットに右ローキックに2度連続で倒れる小野寺。アヌワットは左ボディから右ローを二連打、左フックからの右ローで今度はダウンを奪う。
カウント8で立つ小野寺に、アヌワットが襲い掛かり、右ローキック2発でダウンを追加。大声援に支えられて立ち上がった小野寺に、アヌワットは右ローから右ストレート二連打。小野寺はコーナー際でマットに沈んだ。90年代を代表するキックボクサー、小野寺力の引退試合は、壮絶なKO負けで幕を閉じた。
伊原代表は「小野寺、ご苦労様。素晴らしい試合だった。素晴らしい、男の試合を見せてもらってありがとう」と労をねぎらい、小野寺は「皆さん」と観客席に呼びかけ、ぐるりと見渡して「今まで応援ありがとうございました」とだけ言い残し、引退セレモニーも10カウントゴングもなく、花道を逆に歩いて去っていった…。
●アヌワットのコメント
「今日は大変に嬉しい。日本でムエタイを紹介するチャンスを与えてくれてありがとう。小野寺は大変に優れた強い選手でした。彼は僕が小さかった頃から強かった人ですし、長く休んでいなければ僕も苦労したと思います。
6年ぶりの日本はドキドキしました。自分を皆に見てもらいたかったです。(今後の事は)日本のプロモーターにお任せします、60kgなら誰とでもやります。60kgの日本人選手? 知りません(笑)。
今日はパンチとローがよかった。作戦はなしでパンチとローで攻めていくタイと同じスタイルでした。このスタイルはみんな喜んでくれるので。タイでもアヌワットと言えばパンチとローと誰もが知ってます。小野寺の動きも同じでしたね。小野寺とはリングに上がれば常に闘わないといけませんが、終われば友だちです。タイでも日本でも、僕は100%練習して100%で闘います」
●小野寺力のコメント
「思ったよりパンチは当たったかな。最後は情けなかったですね。なんでもっと耐えられなかったんだろうって。悔しいけど、パンチも当たっていたし、出し切ったと思います。引退試合というよりも、一番強いヤツと試合が組まれて、それに向けて練習したという感覚なんです。引退に関しては深く考えてませんね。ローも効いたけど、パンチは…気付いたら倒れてたって感じです。カットしても、凄く足が痛かった。警戒していたんですが、倒されてしまいましたね。ダウンは覚えてません。1Rは滑った感じでしたけど、2Rは何で倒されたか覚えてません。
前に出てくるのは分かっていた事ですし、僕のジャブが当たっていたのでそんなにプレッシャーはキツクなかったと思います。3年ぶりの僕のパンチが当たったので、菊地とか後輩たちが超えられない壁ではないと思うので、頑張ってもらいたいと思います。
試合も空いてたので、引退って感じがしないですね。いま思えば、なんで我慢できなかったのかと思いますが、それが僕の限界だと思うので、満足してます。ローと腹だけでは倒れたくないとずっと思っていました」
▼第10試合 74kg契約3分5R
△ライアン・シムソン(オランダ/WPKL世界ミドル級王者)
引き分け 判定0−1 49ー48、49−49、49−49
△松本哉朗(藤本/日本ミドル級王者)
“欧州の帝王”シムソンが久々に日本のリングに来襲、その肉体からは微塵の衰えも感じさせない。
1R、松本がいきなりの右ロー二連発。その後もローを連打していく。シムソンも左ローを返し、左右のフック。松本の右ストレートをかわして、左フックを入れていく。シムソンは以前のようにフットワークで軽快なリズムを刻むのではなく、真正面に立って迎え撃つ。シムソンの左ミドルに場内がどよめくが、松本も左ローを的確に返す。が、終盤のローはシムソンがほとんどスネでカットする。
2R、シムソンのローをカットするとワンツーからロー、前蹴りで話して、松本が入ってくると左フックでグラつかせる。松本のローをカットし、左フックをあわせようとするシムソン。左をフェイントして右ストレート、松本のパンチをよく見て左フックを入れる。松本のボディにも左フックを返した。シムソンはやや左フックの一発狙いが多い。
3R、松本がパンチとローで前に出る。シムソンは前蹴りで突き放し、本来の得意技である右ロー。左右フックから組み付き、ボディへヒザを突き上げる。さらには左ストレートから右の強烈なボディ。シムソンは松本のハイキックをスウェーでかわし、すぐにフックとヒザ蹴りで追っていく。左の強烈なボディから左右フック、そしてヒザ蹴り。シムソンがプレッシャーをかけて前へ出る。松本の右ローがシムソンの急所に直撃したところでラウンド終了。シムソンが一気に攻めに転じたラウンドだった。
4R、松本はいきなりの右ハイ、続く右ローからの右ハイキックをクリーンヒットさせる! シムソンも前に出て右ボディからヒザ。シムソンはプレッシャーをかけて前に出て、左フックを引っ掛けようとする。シムソンが右フックからヒザ、松本がミドルを蹴ると右のボディストレートを合わせた。松本は右ハイを狙い続けて、右フックも狙う。シムソンが右フックを引っ掛けるように当てたところでラウンド終了。
5R、松本はシムソンの前蹴りに下がらされるがミドルを返す。シムソンが右フックでどんどん前に出る。シムソンが左ストレートからの右ロー、組んでヒザ。しかし、松本もワンツーを返して食い下がる。松本の右アッパーがヒット、終了間際にはシムソンがフックでラッシュをかけ、熱戦は終了した。
▼第9試合 63kg契約3分3R
○石井宏樹(藤本/日本ライト級王者)
KO 1R1分23秒 ※右ハイキック
●トンチャイ・ブンラット(タイ)
僅か6日間というインターバルでの強行出場となった石井。6日前の試合ではタイ人を相手にローキックでKO勝ちを飾っているが、試合間隔の短さが心配される。トンチャイは気合いの入った表情で左右のグローブを打ちつけながら入場。石井はいつもの黒いロングガウン、声援に迎えられての入場だ。
1R、いきなり右ストレートで切り込む石井、トンチャイが蹴り返してくると、すぐに右ローを返す。ロープに詰めて強烈な左ローキック、この一発でトンチャイは足を持ち上げだす。パンチの連打からローでロープに詰めると、右ヒジ一閃! トンチャイは苦し紛れに両足タックルで倒すがダウンを宣告された。トンチャイが立ち上がると、絵に描いたような石井の右ハイが炸裂! バッタリと倒れたトンチャイにカウントは必要なく、石井のKO勝ちが決まった。
▼第8試合 ウェルター級3分3R
○サムゴー・ギャットモンテープ(タイ/元ルンピニースタジアム・ライト級王者)
判定2−1 ※30−28、29−30、30−29
●正木和也(藤本/日本ウェルター級2位)
前哨戦となる韓国での試合では、不調ぶりを見せたというサムゴー。本人は「K-1と魔裟斗を狙う」と豪語するが、以前の力をどこまで取り戻しているのか…。
1R、正木はストレートからの右ミドル、サムゴーが左ミドルを一発返しただけで、場内がどよめく。正木がワンツーで入り、サムゴーはロープを背負って左ミドル。正木はサムゴーの左ハイを空振りさせてワンツーをヒットさせ、左右フックで前に出る。サムゴーは左ハイを放つも、正木はスウェーで軽々とよけた。
2R、正木はローからパンチの連打を決めると、サムゴーはヒジを振りかざして前に出る。正木はそれをディフェンスしてひじを返し、パンチで押し返していく。サムゴーは左ミドル二連発、正木は右ローを返す。組んでも正木が右ヒジ、左ミドルをキャッチして右フックと攻撃を当てていく。サムゴーの左ミドルに正木がワンツー。サムゴーの攻撃には以前の重さや迫力が全く感じられない。
3R、サムゴーが動き出す。前へ出て片手で掴んでのヒザを多用、正木が下がるとヒジ。しかし、正木もパンチで応戦し、左ミドルにフックを合わせて右ローもフォローする。左ミドルを一発蹴っては組み付くサムゴー。正木は組際にワンツーを当てていくが、組まれてしまうため後が続かない。サムゴーのクリンチが多く、正木の手が出ないという展開で終わった。
▼第7試合 スペシャルエキジビションマッチ キックルール
―武田幸三(治政館/元ラジャダムナンスタジアム・ウェルター級王者
判定なし
―佐藤ルミナ(K"sファクトリー/プロ修斗環太平洋ライト級王者)
武田幸三の入場に場内が沸く。キック会場での人気は、どうやら武田の方が上のようだ。
武田は右ローをお見舞い、ルミナは左右のフックからハイキック。ルミナが横構えからサイドキックと変則的な構えを見せると、武田がいきなり自分のコーナーへ。すると、グローブを外してなんとオープンフィンガーグローブを着用! ルミナもこれに続き、いきなり総合ルールへと変更になった。ドッと沸く場内。
ルミナが飛びつき腕十字! 武田も上を取り返すが、ルミナがバックへ回ってスリーパー狙い。さらに武田が上になり、パウンドを(マットに)落としていく。足関節を取りに来たルミナを、武田がバックに回ってなんとスリーパーを取りに行く。
スタンドに戻って、武田が投げでテイクダウン。さらに腕十字固めを仕掛けていき、ルミナがこれを交わしてパウンド(やはりマットに)。ルミナが腕十字を取りに行ったところで惜しくも時間切れとなった。
▼第6試合 54kg契約 3分3R
○深津飛成(伊原/元・日本フライ級王者)
判定2−1 ※30−29、28−30、30−28
●ファイデル・ヨセフ(オランダ/オランダ・バンタム級王者)
白いガウンに身を包み、登場した深津は場内を見渡す。対するヨセフは長身でひょろ長い印象だ。深津のコールと共に、一斉にのぼりが挙げられ、風船が飛び交った。
1R、深津は右ローから左右のフックを狙っていく。ヨセフは長いリーチを活かしたストレートとボディブロー。深津は潜り込むようにしてフックを放っていく。ストレートで追って行くヨセフは深津の首を捕らえて軽々とアゴにとどくヒザ蹴り。深津はワンツーからの右ローを的確に当てる。長いリーチのジャブからストレート、深津が下がるとヒザ蹴りで攻めるヨセフ。深津は掻い潜ってのローだ。
2R、スピードのないヨセフに深津のローが面白いように当たる。ヨセフはジャブ、ストレートを放つも深津はしっかりガード。お互いにボディを叩き、深津はローに繋げていく。ロープに詰めて左右フックもお見舞い。ヨセフもボディを叩き、ローを出すがスピードも重さもない。
3R、深津の強い右ローがヒット、ヨセフもすかさず右ハイキックを返す。深津は右フックからサバ折り、立ち上がると左ローから左右のフック。再びサバ折りで倒す。深津の右ローにヨセフの左足は真っ赤に腫れあがる。深津は蹴りからフックに繋げていくが、倒す事はできなかった。
▼第5試合 ウェルター級 3分2R
○落合将人(治政館)
判定2−0 ※20−19、20−20、20−19
●越出章太(藤本)
▼第4試合 フェザー級 3分2R
○落合正司(伊原道場稲城)
判定3−0 ※20−19、20−19、20−18
●篠塚智行(宇都宮尾田)
▼第3試合 フライ級 3分2R
○秋本 航(伊原)
判定3−0 ※三者とも20−19
●ジェット蓮田(誠真)
▼第2試合 ライト級 3分2R
○イトセン(治政館)
判定3−0 ※三者とも20−19
●木村健太(トーエル)
▼第1試合 ウェルター級 3分2R
○緑川 創(藤本)
判定2−0 ※20−19、20−19、20−20
●土屋修平(伊原)
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