パンクラス
「PANCRASE 2006 BLOW TOUR」
2006年1月26日(木)東京・後楽園ホール
開場17:30 開始18:30
▼メインイベント ウェルター級キング・オブ・パンクラス タイトルマッチ5分3R
△井上克也(和術慧舟會RJW/王者)
判定 0−1 ※28−29、29−29、29−29、2Rに井上に減点1
△北岡悟(パンクラスism/挑戦者)
※井上が暫定王者としてタイトル防衛
<試合展開>
尊敬するパラエストラの中井祐樹代表がリングサイドで見守る中、挑戦者・北岡が先に入場。後から入場してきた井上を真正面から睨みつける。
1R、サウスポー同士、北岡が何度もタックルを仕掛けていくが、井上は組み付かせない。ジャブで牽制し、タックルがくるとガブる。ブレイク。
北岡はすぐに左フック、井上はジャブ。北岡は右フックを狙っていき、それがコツコツと効果的に入り、時折伸びる左ストレート。タックルは井上がガブる。再度ブレイク。
北岡が右フックで攻める、井上が低いタックルに行くがこれは失敗。直後に北岡がタックルに行くも井上はガブり、北岡はガードポジションから首に腕を回してフロントチョーク。残り10秒、腕を突っ張って必死に逃げようとする井上! 首がすっぽ抜けたところでゴングが鳴った。
2R、北岡の前蹴りに井上のアゴが上がる。北岡はパンチをフェイントにして、執拗なタックル。井上のパンチに対して、北岡の右フックが巧く当たる。
井上の右フックに北岡が右フックを合わせ、それに対して井上が手を伸ばしたところでサミングになってしまい、北岡がドクターチェックを受ける。「強めに入りました」と廣戸レフェリー。「角膜を傷つけた」として井上にイエローカードが掲示される。
両者ジャブ、北岡のタックルを井上がガブり、立ち上がる。北岡が踏み込んでワンツー! 井上もジャブは当たるが、北岡の右フックを度々もらう。北岡のストレート、アッパー、フックがヒット。北岡の右フックが強く当たり、井上がグラつく。北岡の左ストレート、右アッパーも。
パンチの打ち合いとなり、井上が詰める! 北岡もこれに応えてパンチの打ち合い、井上の左ストレートがヒットしたところで北岡がタックル、井上が上に乗ったところでラウンド終了。
3R、北岡は前蹴りからタックル、しかし井上はしっかり切って立ち上がる。再び北岡のタックル、ガブった井上だがそのまま井上は立ち上がり、北岡がグラウンドに引き込む。北岡は下から腕を取りに行くが、井上はパウンドを入れて離れる。
スタンドになると、井上の左ストレートがヒット。北岡の右フック、左ストレート。北岡の左ストレートが入ったところで、井上がまばたきしながら後退。北岡が一気に攻めるが、井上も打ち返す。鼻血を出す北岡。
井上はプレッシャーをかけてフックを振るっていき、北岡がパンチを空振りしたところでスリップ転倒。猪木×アリ状態になり、これはブレイク。
残り30秒。パンチで前に出る井上だが、北岡も攻め返す。井上の左ストレートが度々ヒット、北岡もフックを打ち返し、ロープ際で激しい打ち合い! 井上の左ストレートに北岡が腰を落とすが、すぐにフックを打ち返して試合は終了した。
井上の腰に巻かれたのは、ダイヤモンドの正規ベルトではなく再び赤い宝石の入った暫定ベルト。井上は「今日、応援ありがとうございました。今日の試合は全然出来がよくなかったので、また暫定で自分も納得してます。試合後に北岡選手ともう一度やってしっかりケリつけようと約束したので、いつになるか分からないけど、今度はしっかりとKOして本当のチャンピオンになりたいと思います」と挨拶した。
●井上克也のコメント
「(ドローに結果について)まあ、しょうがないです。今日は打撃が単調になっちゃったので、そこを相手に突かれて…全くダメだった。反省の多い試合でした。
(相手はタックルを多用したが)それしかないだろうと思ってました。自分の詰めの甘さ。これから練習して直したい。
(暫定王座)正直言って、また赤いヤツが出てきてドローか、って。しょうがないと思った。
(再戦は)今度は自分も北岡選手も、もっとレベルを上げてやろう、とリング上で言いました。
自分の意気地のなさがでました。相手がタックル、タックルだったので打撃も単調になっちゃってああいう事になってしまった。練習が足りませんでしたね。悔しいというよりはエーッって感じ。判定の時はぶっちゃけ、アウェーなのでヤバイかと思って。イエローもあったし。それから考えると、ドローは結果オーライと考えています。
とりあえずはいろんな大会に出たいと思っているので、いろいろ練習して経験を積みたい。どこでもいいんですが、UFCとかPRIDEとか大きな大会に出たいですね」
●北岡悟のコメント
「結果はダメです。負けと一緒。ベルトを取れなかったからダメだった。タックルをとって上になれると思ってたし、そういう意味では自分のやりたかった試合とは違った。
(ギロチンは)絞めになってなかったけど、ネックロックにはなってた。痛いとは思う。効果はあったと思いますね。
(サミングは)痛かった。今でも痛いけど。見えるけどぼやける状態で。その前にもタックルを切る度に指が当たるので、これいつかサミングになるよと思ってました。
(出血は?)出血がありました、以上。効いてる効いてないなら、向こうの方が効いてたと思う。でも、彼はいつも持ち直すから。NKの時は退きながら打ってたけど、今日は前に行ってパンチを打ったから右も左も効いた。でも、僕はこんな試合をするつもりじゃなかったから、よろしくないですね。
自分の方が前回よりもコンディションはよかった。相手は技量的にこんな感じだって分かりました。前は底知れない感じだったけど。3Rに来たのはさすがだな、という感じで。大石が負けちゃったので、石毛君も上がってくるからウェルター級が変わってきましたね。行く末は分かりませんよ。
今日の試合で次の展開が楽しめない形にしてしまった。井上君ともう1回やるにしても、僕が勢いをつけないとやっても面白くないでしょう。このカードでどれだけの人が喜んでくれるのか、というのがあったけど、クールに見ていい状態じゃなかった。
僕に王座の資格がない事はハッキリした。もう1回タイトルマッチをやるにしては、何か考えないといけない。上には上がいるんだし、井上君は菊地選手にかなわなかったじゃないですか。そういう意味ではスケールの小ささを感じましたね。
今回、ismが一人も勝てなかったので、どうすんだとファンが思うかもしれない。責任を重く感じますね。だからこそ、どう巻き返していくかが面白いところ。落ちるところまで落ちたら、後は上がっていくしかない。そういう意味では負けなかっただけよかった。最低ライン以上ではありましたね。僕が狙っていた試合ではなかったのは誤算でした。続けるから終わりじゃない。僕らはしつこい集団ですよ」
●尾崎社長のコメント
「パンクラスとしてこの1年は、タイトルマッチを中心にしたウチの大会、外の大会にも出て行き、海外にも出て行きます。それにアマチュアを活性化させる。方針は去年と変わりません。去年は1万人規模の大きな大会が出来なかったので、今年は大きな大会をやりたいですね。あと、タイは今年中に興行をやります。
(井上と北岡の)再戦はした方がいいと思う。試合も立ち技系と寝技系で面白い。北岡の目がちゃんと見えていなかったようなので、もう1回ちゃんとやらせたい。再戦は早い時期でもいいと思います」
ヘビー級の壁は厚かった…桜木が秒殺勝利
▼セミファイナル 第2代ヘビー級王者決定トーナメントAブロック第2試合5分2R
○桜木裕司(掣圏会館)
KO 1R55秒 ※バックキック→サッカーボールキック
●佐藤光留(パンクラスism)
<試合展開>
1R、ジャブからローを飛ばす佐藤に桜木は踵落としの奇襲! 佐藤も軸足にタックルを合わせるが、両者離れる。桜木の強い左ミドルが二発ヒット。
さらに桜木のバックキックで佐藤がロープまで吹っ飛び、跳ね返ってきたところ倒れ際へサッカーボールキック! 佐藤は腹を抑えたまま前のめりに倒れ、レフェリーが即座にストップした。
ポアイの豪腕炸裂!パワーの差を見せ付ける
▼セミファイナル 第2代ヘビー級王者決定トーナメントAブロック第1試合5分2R
○ポアイ菅沼(TWIST)
KO 1R3分58秒 ※スタンドのパンチ
●李世学(和術慧舟會RJW)
<試合展開>
1R、よく引き締まりビルドアップされたボディのポアイは、客席から「ポアーイ!」と呼びかけられるとニッコリ笑う余裕。サウスポーの李は組み付いていくと、右フックをクリーンヒット。
ポアイを抑え込みに行くが脱出される。パンチの打ち合いから李が組み付き、テイクダウンを狙っていく。首投げは防がれ、バックへ回る李。ポアイは向き直ってコーナーを背にしてヒザ蹴りを打つ。ここでブレイク。
頭を低くして入っていく李。ポアイはデトロイトスタイルからジャブを飛ばすが、再び李に組み付かれる。そして、李がテイクダウン! サイドへ回るがポアイに蹴られ、猪木×アリ状態に。スタンドへ。
ポアイのフックをかわして李が右フックをヒットさせるが、その直後、ポアイのフック連打が炸裂! 体が泳ぐ李にフック連打で追撃し、李は力尽きるようにバッタリと倒れた。ここでレフェリーがKO勝ちを宣言。ポアイがパワーの差を見せ付けた。
石毛が打撃で大石を撃破!
▼第6試合 ウェルター級 5分3R
○石毛大蔵(SKアブソリュート)
判定 2−0 ※29−28、29―29、30―28
●大石幸史(パンクラスism)
<試合展開>
1R、じりじりと距離を詰めて、左右のフックで飛び込む大石。石毛はそれをしっかりとブロックし、大石を首相撲に捉えてヒザ蹴りを放つ。
距離が出来ると、ワンツーを打つ石毛。左フックから右アッパーを返す大石を再び首相撲に捉えてヒザ蹴り。
大石の右ローに合わせて石毛は右ストレート。べた足で距離を詰める大石に、石毛は的確に左ジャブを当てる。ラウンド終盤になると、石毛はよそ見してからのパンチや裏拳など余裕を見せる。
2R、すぐに大石を首相撲で捉えた石毛は、ジャンプしてからヒザ蹴りを打つ。大石は左フック、右アッパーのコンビネーションを繰り返すため、石毛の左ジャブと首相撲の餌食になってしまい、見る見るうちに大石の顔は腫れ上がる。大石が右ストレートを当てて、石毛がバランスを崩す場面があったものの、やはりすぐに石毛の首相撲につかまってしまい、追撃ができない。
3R、石毛は首相撲、そして離れ際のワンツー。大石の鼻からの出血がひどくなり、ドクターチェックが入る。
再開後、石毛は左フックから首相撲のヒザ蹴りを連打。必死にパンチを打ち込むむ大石に、石毛は左ジャブ、右ストレート、ヒザ蹴りと打撃でたたみかけ、大石は血まみれに。
しかし残り1分、大石がカウンターの右ストレートを当て、思わず足元がぐらついた石毛。
一気に攻め込む大石に対し、石毛も足を止めて打ち合いに応じたものの、どちらも倒すまでには至らず。3R通じて的確にパンチとヒザ蹴りを当てた石毛が上位ランカー食いに成功した。
まさに一撃必殺!瓜田が戦慄のKO勝利
▼第5試合 ミドル級 5分2R
○瓜田幸造(掣圏会館)
KO 1R40秒 ※左フック
●福田力(KILLER BEE)
<試合展開>
1R、左のインローを飛ばす福田は、一気に距離を詰めてパンチを打ち込むが、瓜田は足を使って距離を取る。
そして福田のパンチの打ち終わりを狙って、カウンターの左フック一閃! 福田はそのままマットに崩れ落ち、瓜田が秒殺勝利を飾った。試合後、福田はタンカで運ばれるほどのダメージを負った。
ミウラはグラップリング技術を発揮できず
▼第4試合 フェザー級 5分3R
○砂辺光久(HYBRID WRESTLING武∞限)
判定 3−0 ※30−29、30―29、30―29
●ラス・ミウラ(エイペックス柔術)
<試合展開>
フェザー級でも体重の軽い砂辺と、リミットいっぱいで計量をクリアしたミウラ。リング上で向かい合うと、ミウラの方が一回り体が大きい。
1R、サウスポーのミウラに対し、オーソドックスの砂辺はジャブをついて右ローを飛ばす。
右フックで飛び込むミウラだが、砂辺は上手く足を使って、距離を取るとリーチを生かしてコツコツとジャブを当てる。グラウンドに持ち込みたいミウラの体を突き放し、テイクダウンを許さない。
2R、ミウラは砂辺にロープを背負わせて、片足タックルでテイクダウン。しかしガッチリとクローズガードで守る砂辺を崩せずにブレイクとなる。
再開後、再び片足タックルでテイクダウンを奪ったミウラは、ハーフガードから上半身を固めてパス狙い。砂辺は一旦マウントを許すも、すぐに反転して立ち上がり、すかさず右ミドルを飛ばす。
3R、砂辺のタックルに合わせてタックルでテイクダウンを奪うミウラ。しかしここでも砂辺のクローズガードを崩せない。ブレイクによる再開後、砂辺は疲れの見えるミウラにパンチの連打を浴びせるとヒザ蹴り。ミウラのタックルを切り、アッパーを突き上げる。
そして砂辺は右ボディストレートからヒザ蹴りを当てると、尻餅をついたミウラにパンチの連打。最終ラウンドに打撃で攻勢に出た砂辺が判定をモノにした。直線的な動きを繰り返すミウラに対し砂辺は、ステップワークとリーチを生かしたパンチで確実にダメージを与えたことが勝因となった。
フェザー級ランキング選考戦は両者譲らず
▼第3試合 フェザー級 5分2R
△井上学(UWFスネークピットジャパン)
判定1−0 ※20−20、20―19、20―20
△村田卓実(和術慧舟會A-3)
<試合展開>
1R、左ローを飛ばす井上。組み付いてくる村田を逆にコーナーに押し込んで、テイクダウンを奪う。しかし村田も簡単には背中をマットに着けず、がぶりの状態から一気にバックに回る。
バックを取られながらも立ち上がった井上は、しがみつく村田をロープに押しつけて、テイクダウンを奪い、マウントからパンチの連打。それを嫌って背中を見せたところで、バックからチョークへ。残り1分、村田は体を反転させてインサイドに戻すと、踏みつけを見せる。
2R、井上のパンチに合わせて組み付いた村田は、一本背負いでテイクダウン。フックガードからスイープを仕掛ける井上をしつこく押さえ込み、関節技のチャンスを伺う。しかし井上がタックルでテイクダウンを奪い返すと、インサイドから鋭いパウンド。
残り20秒、村田は井上の体を蹴り離し、グラウンドで上のポジションを取り、サッカーボールキックと踏みつけを連発するもクリーンヒットはなし。共に決定打に欠きドローとなった。
ムエタイ戦士ターボが総合への適応力を発揮
▼第2試合 ミドル級 5分2R
△アザード・アスガロフ(アリエフ・コンバット・チーム)
判定1−0 ※20−18、20―20、20―20
△ターボ・フェアテックス(フェアテックス・ジム)
<試合展開>
1R、アザードはムエタイ出身のターボをパンチの連打で後退させ、コーナーに押し込んでテイクダウンを狙う。しかしターボも首相撲の要領でアザードの頭をコントロールし、それを許さない。
一度は倒されたターボだったが、背中を見せて立ち上がり、体を反転させるとすぐにヒザ蹴りを飛ばす。
2R、アザードはパンチの連打で攻め立てるも、ターボはそれを突き放し左ミドル、テンカオ。ロープに詰めてくるアザードを首相撲に捉えてヒザ蹴りを突き刺す。その後も右ローを蹴って、アザードのタックルを切り続けるターボ。終了間際にアザードがテイクダウンを奪うも、動きが止まってしまい、有効な攻撃を出せなかった。
判定はアザードに1票入ってのドロー。しかしムエタイの技術を駆使し、アザードのテイクダウンを阻止し、互角の展開に持ち込んだターボの闘い方には目を見張るものがあった。
ism川村、パンクラス2戦目はドロー
▼第1試合 ライトヘビー級 5分2R
△川村亮(パンクラスism)
判定0−0 ※20−20、20―20、20―20
△渡辺悠太(A-スクエア)
<試合展開>
1R、パンチのプレッシャーで前に出る川村が、徐々に渡辺をロープに詰めて、ボディと顔面にパンチを打ち分ける。そしてラウンド中盤、川村が左右のストレートから胴タックル。フロントチョーク狙いの渡辺を前に落としてテイクダウンを奪う。渡辺はガードから三角絞め、アームロックを狙うも、極めきれない。
2Rもパンチで前に出るのは川村。渡辺のタックルを切ると、そのまま渡辺の体を押しつぶしてハーフガードで押さえ込む。ガードに戻された川村はすかさず足関節を狙うが、逆に渡辺にバックを取られてしまう。そこから鉄槌を落とす渡辺は、ポジションを戻されるも三角絞め。しかし川村も頭を抜いてディフェンスする。再開後、川村がタックルでテイクダウン。ハーフガードからパンチを落としたところで、試合終了となった。
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