9月10日(日)東京・ディファ有明でZST事務局『ZST.10』が開催され、メインイベントでは『GT-F2』のファイナリストであるバレット・ヨシダ(アメリカ)と勝村周一朗(勝村道場)がタッグを組み、矢野卓見(骨法鳥合会矢野卓見道場)&エリカス・ペトライティス(リトアニア)
と激突した。
共に高いグラップリング技術を持つバレット&勝村組とは対照的に、エリカス&矢野組は、寝技には難があるものの打撃と身体能力の高さが武器のエリカス、スタミナは無いものの寝技を武器とする矢野という全くタイプの異なる選手によるタッグチームとなったが、これが勝敗に大きく影響を及ぼした。
試合前の作戦通り、序盤はエリカスがバレットを、矢野が勝村を相手にするという展開に。エリカスがバレットのバックチョークであわやの場面があったものの、エリカスは持ち前のパワーとタッチワークでこのピンチから脱出する。
矢野と勝村のマッチアップとなると、引き込む勝村に対してフロンチョークを仕掛ける矢野。勝村が下から片足タックルに行こうとすると、矢野はアームロックを狙いながら足で勝村の腕を刈って腹固めの態勢に持ち込む。
さらにそこから矢野は勝村の頭を挟み、変形の横三角絞めの形に捉えると、腹ばいになる勝村の上に乗っかるようにして、そのまま勝村の首を締め上げる。ここで勝村の動きが止まってしまい、7分6秒、レフェリーがストップを宣告。
勝村はすぐに立ち上がり「落ちてないよ」とアピールするものの、レフェリーの「ギブアップか?」の声に対して、ほとんど動かずにアクションを起こさなかったため、致し方ないところ。一本負け・KO負けした選手は退場というルールにより、バレットはここから矢野とエリカスの二人を相手にすることに。
そしてここでもエリカス&矢野組が絶妙のチームワークを披露。2対1になった場合はタッチが1回のみとなるルールを上手く利用し、矢野が寝技の展開でバレットから体力を奪い、バレットが消耗したところでエリカスとタッチ。バレットは後半戦をフィジカルで勝るエリカスと闘わなければならない状況に追い込まれる。
エリカスはバレットのタックルを切り続け、得意の打撃でバレットを圧倒。腰の強いエリカスをテイクダウン出来ないバレットは、エリカスのパンチのダメージと疲れから徐々に動きが鈍り、13分5秒、タックルを切られ引き込んだ状態から立ち上がることが出来ず、レフェリーが試合を止めた。
試合後、リング上でマイクを握った矢野は「リトアニア武士道のエリカスと、エセ骨法の自分で“武骨同盟”を結成します。リトアニアと日本の最強タッグです」とニンマリ。エリカスもそんな矢野を肩車するなど、言葉は通じないながらも、二人で喜びを爆発させた。
さらにインタビュースペースでも矢野は舌好調。「今日はリアルタイガーマスク(勝村)が主役の大会だったのに、空気の読めない日本人とリトアニア人が、一本勝ちの賞金に目がくらんで勝ってしまいました。エリカスが大晦日Dynamite!!に出たいらしいので、プッシュしてあげてください(笑)」と、実は所英男(リバーサル)にKO勝ちしているエリカスの大晦日参戦をぶちあけた。
この日はメインの矢野を筆頭に、アキレス腱固めで一本勝ちした花井岳文(Twist)や、今大会で復帰戦を迎えた小柳津弘(原宿道場)など、元骨法勢が大活躍。矢野のマイクパフォーマンスにあったように、ディファ有明は“帰ってきた骨法の祭典”となった。
なおワンマッチでは“リトアニアの超新星”セルゲイ・グレイチコ(リトアニア)が元修斗世界王者の大石真丈(K'z
FACTORY)から左ハイキックでダウンを奪い、わずか1R31秒でTKO勝利。レミギウスやダリウスに次ぐ、新たなリトアニアのヒーロー誕生を予感させた。
またPRIDEライト級王者・五味隆典(久我山ラスカルジム)が打撃を学ぶ武心塾で師範代を務める鈴木信達(武心塾)は、パワフルな打撃で1R1分37秒KO勝利を収めている。以下、試合結果詳細。
ZST事務局「ZST.10」
2006年9月10日(日)東京・ディファ有明
開場16:30 開始17:30 ※ジェネシスバウトは、16:40より開始
<全試合結果>
▼メインイベント ライト級タッグマッチ 15分3本勝負
○矢野卓見 (骨法鳥合会矢野卓見道場)
エリカス・ペトライティス(リトアニア)
TKO 13分5秒 ※レフェリーストップ(エリカス-バレット)
TKO 7分6秒 ※リバース式横三角絞め(矢野-勝村)
●勝村周一朗 (勝村道場)
バレット・ヨシダ (SDアンティスピューテッドジム)
▼セミファイナル フェザー級シングルマッチ 5分2R+3分1R
△今泉堅太郎(SKアブソリュート)
時間切れドロー
△稲津 航(U-FILE CAMP 登戸)
▼第4試合 フェザー級シングルマッチ 5分2R+3分1R
○セルゲイ・グレイチコ(リトアニア)
TKO 31秒 ※レフェリーストップ
●大石真丈(K'z FACTORY)
▼第3試合 ウェルター級シングルマッチ 5分2R
△佐東伸哉(P's LAB 東京)
時間切れドロー
△小柳津弘(原宿道場)
▼第2試合 ミドル級シングルマッチ
○花井岳文(Twist)
一本 1R1分2秒 ※アキレス腱固め
●ランドン・ピュルシー(SDアンティスピューテッドジム)
▼第1試合 ライトヘビー級シングルマッチ
○鈴木信達(武心塾)
KO 1R1分37秒 ※スタンドでのパンチ連打
●長井憲治(U-FILE CAMP 赤羽)
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