ここまでテイクダウンを狙いに行く、もしくは寝技で極めようと攻めていく総合格闘技を久々に見たような気がする。
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▲最近の総合では、タックルに行くシーンを見ることも少なくなりつつあるが、アマ修斗では打撃で様子をうかがいながらタックルに行く選手が多い。 |
最近の総合格闘技は、PRIDE無差別級GPで優勝したミルコ・クロコップに代表されるように、打撃主体の選手が多い。そうした選手が増え始めた当時、大半の選手は寝技で行き着くとことまで行き着いた上で、打撃主体のスタイルへと変貌していったものだ。
しかし、最近は、寝技を無視してスタンド勝負を挑む選手が多いような気がする。そのためか、寝技になるのが怖いからか無理に打撃の攻防を望むようになり、結果、拙い技術の打撃を繰り出して勝てず、さらに観客を沸かすことができなくなるという状況に陥っているのではないだろうか。
中には「寝技に行ったほうが勝てるチャンスも多くなるし、観客を沸かすことができるようになるのでは?」という選手も多く見られる。
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▲タックルや投げによるテイクダウン、相手の引き込み、そしてスイープ…いずれの場合でも上になれば「トップ」1Pが入る。効果的なポイントの奪い方であり、これによってまず上を取ろうとするスタイルが身につく。 |
だが、プロ修斗は違う。プロ修斗のリングでも打撃を主体とするファイターは多いが、それらはあくまで確かな寝技の技術を持つ選手たちが、さらに上を目指してスタンドの打撃スキルを磨いているのだ。
なぜ、そう言えるのか。それは、アマチュア修斗のポイントシステムが、打・投・極がすべてできないと勝てないものになっているからなのである。
たとえば、二人の打撃ジャッジがそれぞれ10-9とつけても、テイクダウンを三回奪えば組み技ポイントとして“トップ”3Pが加算され、勝ことができる。
もちろん中には相手に組み技ポイントを入れさせず、スタンドの打撃だけで勝ってしまう選手もいる。だが、大半の選手は、あくまで勝つために組み技、もしくは寝技の展開を狙っていくのだ。
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▲次々と一本勝ちを奪い、会場を沸かせたウェルター級の里中一也。決勝戦では、ガブる相手の左手を巻き込んで返し、そのまま脇固めのような形でストレートアームバーを極めた。 |
そして、組み技のポジショニングは、そのまま一本を奪うことまで繋がる。今大会でも、打撃によるKOより一本勝ちのほうが多かった。
その点で言えば、今大会で最も目立っていたのは、ウェルター級で優勝した里中一也だ。一回戦から組み技の強さを生かし、一本勝ちを量産。
決勝戦では、ガイ・レスモのレスリング力を抑え込み、わずか25秒、ストレートアームバーで一本勝ちを収めている。常に一本を狙いに行く里中のスタイルは、一番プロ向きだといえるだろう。
話を戻すと、こうしてあくまで勝つための組技で鍛え上げられてきた選手がプロに上がり、自信を持って打撃勝負を挑む。もちろん寝技になっても、プロとして十分な内容を披露できる。
それが他プロモーションの追随を許さない、アマチュアのシステムによって生み出された財産なのだ。2004年からプロ規定が緩和され、一部の例外も存在するが、それでも修斗の全ては、いつでもこうしてアマチュアから始まっている。修斗を理解したい人は、まずはアマチュア修斗から見てみてはいかがだろうか?
日本修斗協会
「第13回全日本アマチュア修斗選手権大会」
9月24日(日)神奈川・小田原アリーナ
<各階級上位入賞者>
▼女子フライ級
優勝 茂木康子(東京/ストライプル)
準優勝 富松恵美(千葉/パラエストラ松戸)
▼女子バンタム級
優勝 竹下嘉奈子(東京/和術慧舟會東京本部)
▼フライ級
優勝 阿部博之(神奈川/SHOOTO GYM K'z FACTORY)
準優勝 伊藤淳二(神奈川/シューティングジム横浜)
3位 西崎雅史(広島/パラエストラ広島)
室伏克哉(静岡/roots)
▼バンタム級
優勝 亀井達朗(広島/パラエストラ広島)
準優勝 大塚希望(神奈川/チーム・ブルシット)
3位 増田徹平(大阪/総合格闘技道場コブラ会)
高瀬雄一郎(茨城/マッハ道場)
▼フェザー級
優勝 江田皓哉(京都/PUREBRED京都)
準優勝 尾山善彦(東京/和術慧舟會東京本部)
3位 根津優太(東京/和術慧舟會東京本部)
北原史寛(北海道/パラエストラ札幌)
▼ライト級
優勝 横山朋彦(新潟/ピロクテテス新潟)
準優勝 水野直宏(埼玉/PUREBRED大宮)
3位 太田拓己(鳥取/SHOOTO JAM WATER)
伊藤一宏(広島/TKエスペランサ)
▼ウェルター級
優勝 里本一也(大阪/パラエストラ広島)
準優勝 ガイ・デルモ(徳島/TEAM BLAZE脇町)
3位 近野健一(大阪/シューティングジム大阪)
岡元飛竜(茨城/マッハ道場)
▼ミドル級
優勝 久米鷹介(愛知/ALIVE)
準優勝 屋宮大亮(福岡/パラエストラ博多)
3位 岸本泰昭(大阪/総合格闘技道場コブラ会)
池田秀治(愛媛/パラエストラ愛媛)
▼ライトヘビー級
優勝 佐藤博樹(埼玉/格闘サークルOZ)
準優勝 伊関泰二郎(東京/GUTSMAN・修斗道場)
3位 中平淳一(大阪/頂上会)
大番高明(広島/パラエストラ広島)
▼クルーザー級
優勝 前田 誠(福井/総斗會三村道場)
準優勝 藤岡裕士(東京/品川CS)
3位 杉岡 繁(岡山/セコンドアウト)
宮本和俊(兵庫/SPOK)
▼ヘビー級
優勝 坂下裕介(京都/PUREBRED京都)
準優勝 種市直樹(青森/Scar Fist)
3位 八十住公貴(北海道/パラエストラ函館)
四辻正憲(大阪/総合格闘技道場コブラ会)
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