IFプロジェクトが開催するプロ・グラップリング大会開催前のディファ有明で行なわれたGi ADCCオープントーナメント、アダルト・アドバンス各クラスの決勝戦。北出、中村、高橋、上口など、前日の準決勝までの闘いで強さを見せた選手が、揃って順当に決勝戦でも勝利を掴んだ。
IF-PROJECT
「Gi ADCC オープントーナメント決勝」
2006年10月9日(月)東京・ディファ有明
試合開始11:30
<試合結果>
▼第3試合61kg以下級
○北出拓也(パレストラ千葉)
ポイント 7−0
●猪俣晃晴(総合格闘技道場コブラ会)
試合は北出の引き込みで幕を開けた。ADCC公式戦では、準決勝までは試合の前半はノーポイント、後半にポイントが入るレギュレーションが用いられているが、決勝戦のみマイナスポイントは試合開始から計上されることになっている。
引き込みにマイナスポイントを献上した北出、ただ、この後、対戦相手の猪俣が北出の得意とする寝技に付き合わなければマイナス対象となり、ある意味、スタンドの攻防で時間、スタミナのロスを強いられることを避けた考えられた作戦だ。
案の定、北出は上から攻めてきた猪俣をすぐにギロチンの態勢に捕らえる。そして、試合が後半に入ると、スイープ、パスガードと得点を重ね試合をリード。一本勝ちこそ奪えなかったもの、最後はバックマウントを奪取し試合終了。
本来は柔術のガロ級、56sという体重で闘っている北出は66sからしか階級のない世界大会、同大会に向けた日本予選に出場の意思はない。「61sで優勝できたことが奇跡ですから」という北出だが、しっかりルールを熟知した彼の試合ぶりは、他のADCC志向の選手も多いに参考にしてもらいたい。
そして願わくば、北出と同様に強くなることに努力し続ける軽量級グラップラーに、世界への扉が開かれてほしいものだ。
▼第4試合66kg以下級
○中村浩士(東京イエローマンズ)
一本 4分35秒 ※腕ひしぎ十字固め
●犬伏出(総合格闘技道場コブラ会)
引き込みからヒールホールドを狙った犬伏。しかし、中村はあせらず足を抜いて、寝技を厭うことなくトップからパスを仕掛けていく。ポイントが入る前に、しっかりパスに成功した中村は、ここで一気に腕十字で一本勝ち。世界大会へ向け、最大激戦区となると予想される66kg級で、プロシューターがしっかり存在感を示した。
▼第5試合71kg以下級
○高橋良治(タイガープレイス)
ポイント 2−1
●西野聡(TLIVE)
準決勝同様、同門対決となった77kg級。試合前には、固いマットで高橋の投げが決まれば対戦相手が負傷するかもしれないと関係者が危惧していたが、西野もそれは百も承知。引き込んで、スタンドの展開を避ける。
ポイントの入らない前半5分、様子見のファイトに徹していように映った高橋が、ジャッジの「ポイント」という掛け声ともにスパート。西野の足を払ってパスガードを狙う。しかし、ここで西野はスイープで体勢に逆にするとともに、ポイントでも逆転。直後にテイクダウンで再逆転に成功した高橋が、冷や汗の1ポイント差勝利を掴んだ。
▼第6試合77kg以下級
○山崎昭博(サブミット静岡)
一本 7分07秒 ヒールホールド
●水野健次(ポゴナクラブ)
粘っこいスタンド、寝技の展開が続く中、水野の左足を掴んだ山崎。何度か、つかみを変えながら最後はヒールホールドでタップを奪った。
▼第7試合88kg以下級
○甲斐俊光(ツイスト)
一本 3分34秒 ※腕がらみ
●近藤哲也(ピュアブレッド大阪)
本来は一階級下のクラスにエントリーしていたが、対戦相手がいないということで同階級に出場した近藤。初日の準決勝を勝ち抜いて、甲斐と対戦したが、パワーの差は歴然だった。引き込み下から仕掛けようとした近藤に対し、甲斐はアナコンダチョーク。ここを辛くも切り抜けた近藤だったが、続いてしかけられた腕がらみでタップアウト。マッチョ・ボディ、極めの強さ、昨年のADCC日本代表・花井岳文を連想させる甲斐だった。
▼第1試合94kg以下級
○小沢幸康(チームKAZE)
ポイント 6−0
●入来晃久(JKJC)
終盤まで一進一退の攻防が続いたこの試合。最後までアキレス腱固めを仕掛けるなど、一本勝ちへのこだわりを見せた小沢が、バックマウント、パスガードで得点を重ね勝利した。
▼第8試合99kg以下級
○渡邊直人(タイガープレイス)
ポイント 3−0
●岡晃一郎(コブラ会イースト大阪)
終盤までスタンドの攻防が続いたが、渡邊がテイクダウンに成功。その後もスタンド、寝技で優位に立った渡邊に対し、攻め手を見いだせなかった岡は引き込みで、さらにマイナスポイントとなり勝負は決した。
▼第2試合女子50kg以下級
○茂木康子(ストライプル)
ポイント 3−2
●小寺麻美(REDIPS)
試合前半は、小寺の三角絞めに苦しめられた茂木だったが、ポイントが与えられる後半戦に入ると、すぐにパスガードで3P奪取。その後、小寺にスイープを許したが、腕十字+手首固めで小寺を攻めるなか、試合終了の合図が鳴り茂木の優勝が決まった。
▼第9試合無差別級
○上口孝太(非公開)
一本 2分08秒 袈裟固め
●小沢幸康(チームKAZE)
初日の準決勝までに、圧倒的な強さを見せていた上口が、体重をかけて押しつぶすようにテイクダウンを奪うと、小沢は思わずタップ。総合シーンでは、その名を聞くことがなかった上口だが、日本予選に出場すると、勝ち上がる可能性はかなり高いと思われるほど、強烈な印象を残した。
大きな混乱もなく、無事初トーナメントを終えたADCC JAPAN。今後の予定は11月中旬にAACC+スマックガールの開催による女子オープントーナメント、さらには年末から来年の2月にかけてIFプロジェクトの手によって、四国、北海道、首都圏、関西、九州大会を開催予定で、実行委員会の間で日程の調整が進められている。
レポート&写真=高島学 Report&Photos=MANABU TAKASHIMA
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