新極真会主催
「第38回オープントーナメント全日本空手道選手権大会」
2006年10月22日(日)東京・東京体育館
試合開始10:00
▼決勝戦
○塚本徳臣(世田谷塚本道場)
本戦0-0、延長0-0、再延長2-0
●塚越孝行(千葉松戸道場)
右前足のローキックを放って間合いを取る塚本に対し、塚越は簡単に間合いを詰めることができず、静かな立ち上がりとなる。準決勝で鈴木をKOした塚本のヒザ蹴りを警戒し、なかなか自分の距離を作れない塚越。
逆に塚本は常に自分の間合いを保ちながら優勢に試合を進め、内廻し蹴り、上段ヒザ蹴りから、たて続けに胴廻し回転蹴りを繰り出す。塚本の技の1発1発に観衆からはどよめきが起こった。
しかし塚越は紙一重で塚本の技をかわし続け、守勢に回ったものの決定打は許さず、試合は再延長までもつれる。そして再延長も後半に差し掛かると、塚越がローキックとパンチのラッシュ。
塚本も塚越のラッシュに一歩も下がらず、パンチとヒザ蹴りの連打で応戦する。結局、ここでも勝敗はつかず、決着は体重判定となり塚本が勝利! 準決勝で鈴木、決勝で塚越を下しての王座返り咲きは、塚本の完全復活を印象付けた。
試合後、塚本は「日本人が最強だってことを、世界に示したいと思います。世界大会でも一生懸命頑張りますので、応援よろしくお願いします」と世界大会への意気込みを語り、世界王座奪還を堅く誓った。
※3位決定戦では延長3-0で鈴木国博が勝利
▼準決勝
○塚本徳臣(世田谷塚本道場)
一本 ※上段ヒザ蹴り
●鈴木国博(厚木赤羽支部)
静かな立会いの中、鈴木は塚本の動きを警戒しながら遠い間合いから左ローキックを放ち、チャンスを窺って懐に入ると左右の剛腕を振るう。塚本は、これをゆっくりと間合いを取って外し、左の中段前蹴りを放つ。しかし塚本の動きを十分に警戒する鈴木は、しっかりとこれもかわし、落ち着いて攻め込もうとしたのだが…
次の瞬間、塚本の体が宙に舞うと左の上段ヒザ蹴り! 何とこれが鈴木の顎を完璧に打ち抜き、鈴木はそのまま前屈みにダウン! 塚本が衝撃のKO劇で鈴木の連覇の夢を打ち砕いた。
▼準決勝
○塚越孝行(千葉松戸道場)
本戦1-0、延長4-0
●野本尚裕(愛媛支部)
塚越の左太ももに「バチン! バチン!」と切れ味の増した右ローキックを叩き込む野本。しかし“重戦車”の異名を持つ塚越は、野本のこの攻撃も涼しい顔で受け流し、逆に重いパンチを繰り出していく。序盤こそ右ローで攻め立てた野本だったが、徐々に塚越の攻撃に守り一辺倒となり、最後は歯を剥き出しにし、真っ赤な顔になって塚越の攻撃を耐え凌ぐ。
何とか延長戦まで粘った野本だったが、塚越は本戦以上に勢いを増したパンチとヒザ蹴りのラッシュ。この迫力十分の攻撃に会場からは戦慄のため息が漏れる。野本も必死打ち返すものの、塚越のラッシュを止めることはできず、塚越が決勝へ駒を進めた。
▼準々決勝
○鈴木国博(厚木赤羽支部)
本戦5-0
●平山竜太郎(札幌東道場)
鈴木の強烈な左ローキックを、歯を食いしばって耐える平山。何とかパンチやロー、ヒザ蹴りを返していく平山だったが、会場に「バチーン!」と炸裂音が響き渡るほど強烈な鈴木のローキックの前には反撃も及ばなかった。
▼準々決勝
○塚本徳臣(世田谷塚本道場)
本戦0-1、延長5-0 ※延長に塚本が右上段ヒザ蹴りで技有り
●久野浄英(東京城南川崎支部)
序盤から、試合場中央で互いに額をくっつけたまま、パンチとローキックを打ち合う二人。塚本は外側から足を回して踵の硬い部分で相手の太ももの側面を蹴るというトリッキーなローキックを蹴る。
対する久野は持ち前の強烈なローキックを返していく。この久野の右ローキックで、一瞬、表情を歪ませた塚本だったが、判定は久野に旗が一本となり、試合は延長戦へ突入する。
ここでも本戦と同じような展開が続く中、久野のヒザ蹴りが金的に入り、塚本がダウンするというアクシデント。ダメージから回復し立ち上がった塚本は、再び久野と額を合わせて打ち合うかに思われたのだが、何とここで奇襲の右上段ヒザ蹴り! これがずばり的中し、久野がガクッとマットに膝を落としてしまい、塚本に技有り1が与えられる。
慌てて立ち上がった久野は、必死の形相で強烈なパンチを連打。これに対し塚本も真正面からパンチの連打で応戦し、両者一歩も譲らない、激しいパンチの打ち合いの中で試合が終了。塚本が劇的な逆転勝利を飾った。
▼準々決勝
○塚越孝行(千葉松戸道場)
本戦5-0
●新保智(鹿児島支部)
普通の人の倍はあろうかという大きな拳を振るい、決して強くは打っていないようには見えるものの、強烈な左フックを打ち込む塚越。パンチだけでなく、強烈な左右のミドルキックを放ち、新保の左右のステップを止める。このすさまじい圧力の塚越の前に、一歩に退かずに打ち合った新保だったが、一発一発の破壊力で上回る塚越の牙城を崩すことは出来なかった。
▼準々決勝
○野本尚裕(愛媛支部)
本戦5-0
●吉田富和(福岡支部)
野本は強烈なローキックだけでなく、破壊力も感じさせるパンチで吉田を圧倒。安定した試合運びで危なげなく吉田を下した。
▼4回戦までのダイジェスト
野本尚裕に挑んだ白蓮会館の世界チャンピオン北島悠悠(白蓮会館)は、細かいボディの連打から一撃必殺のヒザ蹴りを狙ったものの、野本の強烈なローキックの前に一本負け。北島は前日の小泉英明(茅ヶ崎小泉道場)で受けたローのダメージが大きく、改めてトーナメントの厳しさを痛感させられることとなった。
また坂本晋治(東大阪市道場)を激闘の末に下し、4回戦に駒を進めた“人間風車”谷川光(西神奈川支部)は、平山竜太郎(札幌東道場)の上段ヒザ蹴りで
口から流血しながら再延長まで戦い抜いたものの、判定で敗れている。
<女子トーナメント>
▼女子決勝
○佐藤弥沙希(和歌山支部)
本戦1-1、延長5-0
●福田美み子(群馬支部)
試合開始の合図と同時に、福田は拳を振るって前へ出て、いきなり激しい打ち合いが展開される。豪快な左上段横蹴りを放つ福田。しかし佐藤は、これをがっちりブロックして、激しいパンチを打ち込んでいく。
両者、一歩も譲らぬ激しい打ち合いが続く中、福田のパンチが勢いあまって佐藤の顔面に! これにより福田に痛恨の減点が与えられる。その後も互角の展開が続き、結果的には福田の減点が勝敗を分ける形となった。
それでもうれしい初の女子王者となった佐藤は「来年の世界大会で優勝できるように頑張ります! みなさんが来てくれたおかげで、優勝することができました。心から感謝しています」と涙交じりに喜びを爆発させた。
※3位決定戦では兼光のぞみが砂川久美子から合わせ一本勝ち
▼準決勝までのダイジェスト
砂川美佳(総本部道場)を下した兼光のぞみ(大阪北支部)だったが、反則の顔面パンチで口元に大きな白い絆創膏をつけた痛々しい表情で準決勝へ。それでも福田美み子と再延長まで激闘を繰り広げたが、そこで力尽きた。
また増山愛理(九段高等学校)に勝利した砂川久美子(総本部道場)は、小林由佳(西山道場)を下した佐藤弥沙希と対戦するものの、佐藤のノンストップラッシュの前に敗れた。
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