世界空手道連盟 士道館
「第26回士道館杯争奪ストロングオープントーナメント
全日本空手道選手権大会」
2006年10月29日(日)東京・ディファ有明
予選開始10:30 本戦開始13:30
つかみ・引っ掛け・投げ・関節技を認め、リングで試合を行うという異色のルールで行われる士道館空手の全日本大会『ストロングオープントーナメント』。
26回目を迎えた今大会には、国内道場の他にもドイツ、ポーランド、フランスの各支部から選手が参戦(モンゴルもエントリーしていたが全員欠場)。軽量級・中量級・無差別級の三階級で各16名によるトーナメントで優勝が争われた。
一際注目を集めたのは、兵庫県神戸に支部を持つ剛と伸吾の横山兄弟だった。弟の伸吾は軽量級、兄の剛は中量級でそれぞれ優勝を達成し、「K-1
MAXに出たい」と口を揃えた。無差別級は日本人全滅でフランス支部同士の決勝となり、アルシャンボー・ダビドが優勝を手にしている。
<軽量級>
優 勝 横山伸吾(士道館・横山道場)=写真右
準優勝 山本隆治(士道館・橋本道場)
3 位 越智晴雄(松本塾)
高橋利之(士道館・橋本道場)
決勝戦は“6連覇”の偉業がかかった山本隆治(士道館・橋本道場)と、22回大会以来2度目の優勝を狙う横山伸吾(士道館・横山道場)の対戦。両者は2000年と2003年決勝戦でも対戦しており、いずれも山本が勝利している。
「負けたら神戸まで歩いて帰るか、飛び降り自殺するくらいの覚悟だった」という横山は、2回戦でフロントチョークによる一本勝ちを飾るなどしての決勝進出。山本は2回戦で延長1回、準決勝で延長2回と延長戦までもつれこむ試合が続いての決勝進出だった。
試合は横山が正面に体が向いて山本の飛びヒザ蹴りをもらわないよう半身になりながらローを蹴り、自分から行かずに山本の攻撃を待ってのカウンター戦法。終盤になると突きの連打とヒザ蹴りで山本を追い込んでいき、気迫と手数で圧倒する。
判定は4−0で横山が本戦で勝利。「嬉しいですね。2年3ヵ月ぶりの試合で不安もあったんですが、毎日練習してきたのが自信になった。1回戦で足を怪我して棄権するかどうか迷ったんですが、無理やりスクワットしたりして勢いで行きました。今の僕があるのは山本選手のおかげ。過去2度負けているので、勝てて嬉しいです」と語る山本は、「次の目標はK-1MAX」だという。
「勝っても負けても空手はこれで引退と決めてました。山本選手に勝てたので悔いはない。まだ21歳なのでキックボクシングとかいろんなジャンルに打って出て名前を売りたいですね。70kgに合わせてMAXに出たい」と次なる野望を明かした。
<中量級>
優 勝 横山 剛(士道館・横山道場)
準優勝 ピオッツ・バック(ポーランド士道館)
3 位 山崎忠之(士道館・飯島道場)
水町 浩(士道館・士魂村上塾)
元MA日本スーパーライト級チャンピオンの水町浩も出場したが、準決勝でピオッツ・バックのパワフルな攻撃に延長2回、左上段ヒザ蹴りで技ありを奪われて敗退。決勝戦はそのバックと、2003正道会館全日本大会軽量級&2005士道館全日本中量級優勝の“天才児”横山剛によって争われた。
横山は2回戦で、ミドルキックを相手にキャッチされるとそのまま飛びついて腕ひしぎ十字固めを極めて一本勝ちするという離れ技を演じ、準決勝では右の飛びヒザ蹴りによる秒殺で相手を担架に乗せた。つかみや引っ掛け、首相撲を巧みに使い、ハイキック&ヒザ蹴りや回転蹴りなどの大技を使いこなす。
バックも2回戦では腕十字で一本勝ちしており、打撃・寝技ともに侮れない。序盤はバックが突きの連打&首ヒザで前に出たが、横山の左ミドルが面白いようにヒット。飛び後ろ蹴りや胴廻し回転蹴り、上段へハイキックや後ろ廻し蹴りを振りながら左ミドルを的確に当てて行き、本戦4−0の判定で決着をつけた。横山はこれで二連覇を達成。
「今日はあまり大技を出さずに初心に帰りました。14日に神戸で試合をして、今月は2回目の試合なんです。その試合で勝ったけど怪我をしたので今日はこれ以上怪我をしないように行った」と言う横山は、試合順が常に前になっていた弟へのライバル心があったと口にする。
「僕の方がKO率は高かったので、僕の方が一枚上手です。帰りの車の運転を賭けていたので、僕は寝て帰りますよ(笑)」となかなか口も達者。「強いだけじゃダメ。モテないと。ファンクラブを作ってモテるようにならないといけない。ホームページでファンクラブの会員を募集したい」と破天荒なコメントも。
弟の伸吾らとともに、空手の練習後に選手強化トレーニングとしてキックボクシングや総合格闘技の練習もしているという横山は、「上を目指してどこまで行けるのか試したい。いつか引退するまでに頂点に立ちたいですね」と、K-1MAXやキックボクシングの試合にも出たいと次の目標を語った。
<無差別級>
優 勝 アルシャンボー・ダビド(フランス士道館)=写真右
準優勝 シャルパンティエ・ジラール・マティアス(フランス士道館)
3 位 増子 進(士道館・士魂村上塾)
根間好弘(フリー)
大本命だった過去二連覇のマグナム酒井が、9・24R.I.S.E.80kgトーナメントで右肩を負傷してしまい欠場。決勝戦は1回戦&2回戦を上段ヒザ蹴りによる秒殺勝利を飾ったシャルパンティエ・ジラール・マティアスと、2回戦と準決勝を同じく上段ヒザ蹴りの秒殺で勝ち上がったアルシャンボー・ダビドによるフランス支部同士の闘いとなった。
お互いが道衣を掴み合ってヒザ蹴りを狙うが、そのままもつれることが多いため主審が「もっと突きと蹴りを出すように」と注意。それをきっかけにダビドがパワフルな下段と突きで前に出たが、途中から失速。マティアスもヒザ蹴りを返したが、フランス人同士ということもあり気迫も今ひとつで、本戦3−0の判定でダビドが勝利を収めた。
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