ニュージャパンキックボクシング連盟/センチャイムエタイジム
「FIGHTING EVOLUTION II〜進化する戦い〜MUAYTHAI OPEN」
2007年1月28日(日)東京・ディファ有明
開場16:30 開始17:00
▼第12試合 メインイベント 日本・タイ国際戦60kg契約 3分5R
○センチャイ・ソー・カムシン(タイ/ルンピニースタジアム認定スーパーフェザー級王者)
KO 4R1分52秒 ※左ヒジ
●竹村健二(名古屋JKF/J-NETフェザー級10位)
現ルンピニースタジアム認定スーパーフェザー級チャンピオンで、ムエタイ最高峰の一人であるセンチャイ。あまりにも強すぎるため対戦相手が見つからず、名乗りを挙げたのは佐藤嘉洋と同門の竹村健二だけだった。
センチャイは1Rから“生ける伝説”ぶりを存分に発揮した。KOを狙うよりも、自分のテクニックを存分に披露したいというセンチャイ。試合はまさに、センチャイの技の展示会と化したのである。
1R、サウスポーに構えたセンチャイにパンチとローで猛然と突っ込んでいく竹村。しかし、センチャイはそのアタックをまるで歩くだけのようにしてかわし、前蹴りで竹村を吹っ飛ばす。
それでも突っ込む竹村を再び前蹴りで転倒させ、ミドルキックをキャッチして胴に抱きつくと持ち上げて投げ飛ばした。続くインローはローブローになってしまい、竹村が悶絶。回復を待って試合再開。
ミドルをキャッチすると竹村を足払いでコカし、前蹴りの軌道からハイキックに変化する変則左ハイキック。ジャンプしてのヒジ落としに首相撲で竹村を転がしまくり、ハイキックにジャンプしてのヒジ。竹村が突っ込んでくると、まるで闘牛士のようにかわして投げ飛ばす。
2R、竹村はやはりパンチとローで突っ込むが、前蹴りで転倒させられる。竹村の突進に合わせて左ハイキックを放つと、息もつかせぬ左ハイキック連打。しかも、至近距離での連打である。右の蹴りをフェイントすると左のジャンピングキック、竹村がミドルを蹴るとキャッチしてコカす。
竹村は右フックをヒットさせて組み付くも、すぐにコカされてしまう。左前蹴りで竹村を吹っ飛ばし、竹村が組み付いてヒザを蹴ろうとすると、センチャイは自分のヒザを相手の足の付け根に押し当てて蹴らせない。
センチャイはまるで合気道の達人のように、手と手、体と体が触れ合う度に竹村の体を宙に舞わす。まるで無重力のように竹村の体がふわっと浮き上がり、マットに叩きつけられる。センチャイは倒した竹村を上から見下ろすという光景が、何度も見られた。
センチャイの竹村をコカす技術は、単純に首相撲だけではなく、足払いや相手の手を手繰って首に手を引っ掛けての崩しや、両肩を掴んでクルリと回すように投げたりと、合気道や柔道の達人のようである。
3R、右ローで勝負を賭ける竹村に対し、センチャイはなんと片手をマットに着いてのハイキック(カポエラのような技だが、古式ムエタイにある技)。
竹村が向っていくと至近距離でハイキックを合わせ、前蹴りで吹っ飛ばす。竹村に右ローを蹴られるとすぐにバックエルボー、竹村は組んでヒジだ。センチャイは踵落としを繰り出し、ゴングが鳴ると両手を挙げて踊り始める。
4R、センチャイの飛びヒザ蹴りを防いだ竹村は怒涛の右ローキック7連打。センチャイはこれを受けるとすぐにテンカオを突き刺し、前蹴りで吹っ飛ばす。さらに両手で竹村を突き放して飛びヒジ落とし!
最後は組み際に左ヒジをヒットさせ、同体で倒れたがスクッと立ち上がったのはセンチャイだけで、竹村はダウン。
何とか立ち上がった竹村だったが、すぐに腰から崩れ落ちて試合がストップされた。
これぞ圧勝! ムエタイ芸術の真髄を披露したセンチャイは、まるで武道の達人のような神技を次々と披露した。誰の挑戦でも受けるというセンチャイ、60kgで闘える日本人といえば……桜井洋平をおいて他にいない。
▼第11試合 日本・タイ国際戦51kg契約 3分5R
○ラッタナデェ・KTジム(タイ/ルンピニースタジアム認定ライトフライ級3位)
TKO 3R2分52秒 ※3ノックダウン
●魂叶獅(はまっこムエタイジム/J-NETWORKフライ級王者)
二大スタジアムの現役ランキング1位ラッタナデェ(※パンフに表記=実際にはルンピニーのライトフライ級3位)はたくさんのタイ人を引き連れて踊りながらの入場だ。24歳、戦績は58勝(15KO)13敗7分。しかし、最近2戦はルンピニーとラジャダムナンで1敗ずつ喫している。
一方の魂叶獅は全日本キックボクシング連盟所属にしてJ-NETWORKフライ級のチャンピオン、NJKFのリングでは高橋拓也から勝利を収めている。他団体で与えられたこのビッグチャンス、モノにすることが出来るか?
1R、ゴングと同時に前に出る魂叶獅。ラッタナデェは腰を落とした低い構え。右のミドルでフェイントをかけ、左のテンカオを突き刺す。右の足払いで魂叶獅の体を宙に舞わせる! サウスポーに構えなおしたラッタナデェは左ロー、前蹴り。魂叶獅は終了間際、顔面への前蹴りをヒットさせた。
2R、ラッタナデェはジャンプしてのヒジ落とし。パンチで打ち合いを挑んでくる魂叶獅に対し、コンパクトに細かくパンチを当てていく。手数は魂叶獅の方が出ているが、確実にヒットしているのはラッタナデェの方だ。
パンチから右ロー、ヒザへと繋ぎ、右に左にと構えをチェンジして幻惑。左右の叩きつけるようなボディからの左フックで、ラッタナデェがダウンを奪った。魂叶獅が立ち上がると、ラッタナデェは飛びヒザ蹴り二連発! これでダウンを追加。
勝ちを確信したかのようにカウントが数えられている間、踊るラッタナデェ。魂叶獅が立ち上がると、ラッタナデェは右手をグルグルと回してからパンチを打つ余裕を見せ、右フックをヒットさせていく。
レバーから左フック、魂叶獅もパンチで応戦するが、ラッタナデェの方がコンパクトにパンチとヒジを繰り出して確実に当てる。構えた両腕が触れるくらいまで接近し、魂叶獅のパンチとヒジをヒョイヒョイとかわして自分のパンチを当てる神技を見せるラッタナデェ。
魂叶獅は超接近戦の中で組み付くのが精一杯。ラッタナデェは戸惑う魂叶獅をロープに詰め、アッパーの連打。至近距離で魂叶獅のパンチを楽々とかわし、左ヒジでトドメを刺した。
▼第10試合 日本・南アフリカ国際戦58.5kg契約 3分5R
○久保優太(立川KBA/NJKFフェザー級暫定王者)
判定 3−0 ※49−45、49−45、49−45
●ダニエル(南アフリカ/WMC香港Sフェザー級王者)
南アフリカ出身ながらWMCの香港王者だというダニエル。30歳で戦績は20勝5敗5分。パンフレットに記載された過去5戦の戦績は、カンボジアのソムボーンに敗れた以外の4戦は全て勝利、タイ人にも勝利を収めているようだ。
一方の久保はNJKFが誇るテコンドー出身のスーパーホープ。デビュー以来11戦全勝、タイ人にも3連続KO・TKO勝利中で、その内の2試合は1週間で2度の勝利、もう1試合はヘビー級の相手をKOしてのもの。19歳の勢いは止まることを知らない。
1R、サウスポーの久保は先制の左ミドル、組み付くとヒザ、離すとすぐにひざ蹴り。左ハイキックがヒットすると一気に蹴りで詰めていくが、ダニエルも左右のフックで猛反撃。
ジャブから右ヒジを振るうダニエル、久保の蹴りをかわしてヒジを狙って来る。久保が左ミドルキック、ダニエルがすぐに前へ出ようとすると、すかさずバックキック! ダニエルがフックを振るえばテンカオを合わせ、右フックで転倒させられるとバックブローからの左フックでダウンを奪う!
2R、ミドルキック二発からバックキック、ダニエルのパンチはダッキングでかわし、ダニエルの左に左のクロスを合わせようとする久保。この左クロスがよく当たる。接近してヒザ、バランスを崩させるとハイキック、ダニエルが右ストレートを出すと左のクロス。
ダニエルは力任せに久保をロープへ押し付け、ヒジを放つが、逆に久保の左ストレートでコーナーに押し込まれての連打をもらう。パンチからヒザ、離れると蹴り。久保は縦横無尽に攻めるが、やや疲れが見え始めた。
3R、ダニエルのパンチにテンカオを合わせる久保だが、ダニエルは構わずパンチを叩きつけてくる。前へ出る圧力に押される久保。しかし、ダニエルの右ストレートはヘッドスリップでかわして組み付く。
猛然とパンチで前へ出るダニエルに押される久保だが、左テンカオがカウンターでヒット、動きの止まったダニエルにヒザ蹴りを連打し、久保がダウンを奪う。飛びヒザに行く久保、倒しに来るダニエルのパンチをかわしながらヒザ蹴りを突き刺して行く。ローうに詰めて左ストレートの連打を決めたところでラウンド終了。
4R、久保の左ミドルが連続でヒット、ダニエルはパンチで襲い掛かり、組まれるとヒジ。久保は首相撲でダニエルを倒す。ダニエルのショートアッパー、フックで久保の体が揺らぎ始めた。組み付く久保。
しかし、テンカオに左フックを合わせられて久保がグラつく。右のショートアッパーも喰らい、必死にしがみつく久保。そこへまたもダニエルのショートアッパー! 久保は何とか組み付いてこれを凌ぐ。だが、ブレイクで離れるとテンカオにフックを合わせられてグラつく場面が多くなる。久保、大ピンチ!
5R、久保がハイキックを連打、ダニエルもパンチで倒しに掛かり、久保がテンカオを合わせる。組み付く久保は首相撲でダニエルを転倒させた。ダニエルのフックに久保がバックブロー、怯まず襲い掛かるダニエル。久保は前へ出てハイキックを放つが、ダニエルがヒジ!
ダニエルが久保をパンチでコーナーへ詰める! それでも久保は前へ出て、ダニエルがパンチに来るとテンカオを合わせ、首相撲に捕まえてのヒザ蹴り乱れ打ち。
ダニエルもショートアッパーを突き上げフックで前に出ると、久保もストレートでダニエルの顔を仰け反らせる! 最後は久保が組み付いて両者倒れこんだところで試合終了。
大熱闘だった。久保は精根尽き果てたという表情だ。ダニエルの倒し返そうという追い上げは凄まじかったが、久保がダウンのポイントを守りきって無敗記録も守った。
▼第9試合 日本・タイ国際戦61.23kg契約 3分5R
○ヨーユット(タイ/元ルンピニー・フェザー級4位)
判定 3−0 ※50−47、50−47、50−47
●大和哲也(大和ジム/NJKFライト級7位)
元ルンピニースタジアム認定フェザー級4位で19歳のヨーユット。昨年は日本人を相手に5戦5勝、その内の3試合がKO・TKO勝ちだ。この日本人キラーに挑むのは6勝(4KO)1敗で4連勝中の新鋭・大和。『宇宙戦艦ヤマト』の入場テーマで場内を盛り上げる。
1R、ヨーユットの周りを大きく回る大和、軽くローキック。ヨーユットは前蹴りで様子見だ。慎重な大和はヨーユットが圧力を掛けるとすぐに下がり、ヨーユットが左フックで追っていく。
手が伸びない大和にヨーユットはジャンプしてのミドルキック、2度目のジャンプには大和がフックを合わせたがダメージには至らない。ヨーユットは前に出てヒザ蹴りを突き上げる。
2R、手が伸びない大和にローキックやハイキックを飛ばすヨーユット。接近してヒジ、離れた位置からも右ヒジを振るい、左フックで前へ出る。まるでヨーユットの横綱相撲だ。
ヨーユットのパンチから逃げ回る大和、ヨーユットは余裕のジャンピングキック。ステップを使って下がる大和を追うヨーユット、パンチの打ち合いも仕掛けていき、大和も左フックを繰り出すがすぐに蹴りで突き放される。蹴りで大和を圧倒する。
3R、前に出るヨーユットに右ローをヒットさせる大和だが、ヨーユットは組み付いてのヒザ、離れ際のハイキック、ロー、ヒジと波状攻撃!
ヨーユットが伸ばした右ストレートで大きくバランスを崩す大和、フックをふるって威嚇するが顔面前蹴りで吹っ飛ばされる! ますます勢いに乗るヨーユットは飛び込むような右ストレートにロープ際でのハイキック、軽く飛んでのボディへのヒザとやりたい放題。
4R、ジャブで距離を測る大和に前蹴りを突き刺すヨーユット、大和のフックはスウェーで空振りさせる。大和の右ローが当たりだすと、組み付いてのヒザでリズムを変えるヨーユット。
大和の左フックの直後、ヨーユットが右のヒジ一閃! これで左目上をカットされた大和はドクターチェック。試合再開、流れ落ちる血をグローブで拭いながら、パンチで前に出ようとする大和だが、ヨーユットはヒジで脅かして内廻し蹴り、ハイキック、前蹴りと余裕を見せる。前蹴りを連発し、ヨーユットは大和を突き放しまくる。
5R、イマイチ手足が伸びない大和の攻撃を軽々とかわし、ヨーユットは前蹴りと左フック。挑発するような仕草を見せ、右手を震わせて“打つぞ、打つぞ”のパフォーマンス。完全に余裕を持ったヨーユットはステップを踏みつつ、大和にテンカオからヒザの連打、さらにヒジ!
大和はパンチで振りほどこうとするが、ガッチリ組み付いたヨーユットは面白いようにヒザ蹴りを当てる。両手を広げ、ステップを踏みながらおどけるヨーユット。下がりながら大和を誘い、大和が前へ出て来ると顔面前蹴り、右のバックエルボーが炸裂したところで試合終了! ヨーユットの完封勝利となった。
▼第8試合 日本・タイ国際戦61.23kg契約 3分5R
○ソンクラー(タイ)
TKO 4R0分13秒 ※ヒジによるカット
●藤牧孝仁(はまっこムエタイジム/全日本ライト級3位)
ソンクラーは85勝22敗3分の戦績を誇り、32歳ながらも昨年7月には中山宏美に1RKO勝ちを収めている。藤牧は昨年7月にサックサーコンに4RKO勝ちするも、大月晴明、サトルヴァシコバ、小宮由紀博、海戸淳ら日本人に連敗。これ以上、星を落としたくないところ。
入場曲のイントロが何度も途切れ、なかなか入場できないというアクシデントに見舞われたソンクラー。これには場内も大ウケ、結局、ソンクラーは音が飛び飛びの入場曲で入場するハメとなった。両選手共にワイクーを舞い、試合開始。
1R、サウスポーのソンクラーは藤牧に異常接近、藤牧のハイキックを見事なスウェーでかわして場内をどよめかせる。藤牧はロー、ハイキックを放つがいずれもかわされてバランスを崩し、走るように離れた。藤牧のミドルをキャッチして、崩すソンクラー。
フェイントを交えつつ、ローキックとヒジで上下に揺さぶりをかけていく。終盤には藤牧のミドルをキャッチしての回転ヒジ。
2R、パンチで前へ出て組まれるとヒザ蹴りを放つ藤牧。ソンクラーは押し返してローキック、藤牧も圧力を掛けて前に出てローキック。藤牧の右ボディストレートに右フックを合わせ、すぐヒジへ繋げるソンクラー。
ソンクラーの左ローと藤牧の右ロー、ソンクラーは左右フックからローへ。ソンクラーの右ローにバックブローを合わせようとした藤巻だが、これは空振り。ソンクラーの返す刀での左ローで転倒させられてしまう。
3R、左右フックから左ローへ繋げるソンクラー、藤牧は組み付いてのヒザ蹴りから体を浴びせ倒す。絶妙な距離から左ローを放つソンクラーは、ローをフェイントしてヒジ。藤牧も右ストレートで突っ込むが、ソンクラーは寸前のところでかわす。
そして藤牧がローで前に出るとソンクラーは左フックからの右フックでダウンを奪う! 立ち上がった藤牧へヒジで襲い掛かるソンクラー。ノーガードで藤牧のパンチをかわしてヒジ、左ロー。
4R、前に出る藤牧へソンクラーはインロー、ヒジ。藤牧も右ローを返す。藤牧のハイキックは見事なスウェーでかわしたソンクラーだが、右ローを連続で受けてやや疲れを感じさせる。
が、藤牧のローに合わせて前へ飛び込んだソンクラーが左ヒジでカット! ドクターチェックが入り、藤牧は試合続行を訴えたが、ドクターストップとなった。
▼第7試合 日本・タイ国際戦84kg契約 3分5R
○ノーンバンク・ルークプラバーツジム(タイ)
判定 3−0 ※50−49、50−49、49−48
●敏センチャイジム(センチャイムエタイジム)
▼第6試合 日本・タイ国際戦 フライ級 3分3R
○久保賢司(立川KBA)
KO 2R2分11秒
●サッミングノム・SKVジム(タイ)
▼第5試合 63kg契約 3分3R
○谷 拓也(立川KBA)
判定 2−0 ※30−29、30−30、30−28
●獅センチャイジム(センチャイムエタイジム)
▼第4試合 ライト級 3分3R
○松葉賢治(インスパイヤード・モーション)
判定 3−0 ※30−29、30−29、30−28
●とし(OGUNI GYM)
▼第3試合 ウェルター級 3分3R
○巧センチャイジム(センチャイムエタイジム)
判定 2−0 ※30−29、29−29、29−28
●清水佑一(東京北星ジム)
▼第2試合 バンタム級 3分3R
○谷広幸裕(OGUNI GYM)
判定 3−0 ※29−28、29−28、29−27
●寺門義晃(Nombo Freely Gym)
▼第1試合 ライト級 3分3R
○潤センチャイジム(センチャイムエタイジム)
判定 3−0 ※30−29、30−29、30−28
●鈴木光伴(東京北星ジム)
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