ZUFFA
「Ultimate Fighting Championship 67」
2007年2月3日(土・現地時間)米国ネヴァダ州ラスベガス
マンダレイベイ・イベンツセンター
▼メインイベント ミドル級5分×3R
○アンデウソン・シウバ(ブラジル)
一本 2R2分11秒 ※三角絞め
●トラビス・ルター(米国)
挑戦者トラビス・ルターが、計量にパスしなかったため、ノンタイトルの3R制で行なわれることとなったメインイベント。普段から人当たりがよく、感情的になることなど滅多にないアンデウソンだが、ルターが体重を落とせなかったことに対して、明らかに怒りの表情を浮かべていた。
前宣伝では立ち技のアンデウソン×グラップラーのルターという謳い文句だったこの試合。結果的に、アンデウソンが柔術の黒帯であることが、UFCファンに知れ渡ることとなった。
序盤からタックル狙いのルターに対し、しっかり腰を落とした構えからローキックやハイキックを繰り出す王者。やや距離があくと、ジャンピング・ニーを放つが、ここで足をとられ、テイクダウンを許す。元はといえばカーロス・マチャドの黒帯ルターは、体格差もあり、寝技になると一気呵成にアンデウソンを攻め込む。一度は、スタンドへ逃げられたが、低い低い姿勢からタックルをしかけ、再び試合を寝技に持ち込む。ガードを取ったアンデウソンは腕十字を見せ、さらに下から蹴り上げたところを、ルターに足を担がれパスガードを許してしまう。
マウントを取ったルターは、パウンドの連打。今度はルターが腕十字を仕掛けたが、アンデウソンがエスケープしたところで1Rが終了した。
2R、すぐにテイクダウンに成功したルター。しかし、アンデウソンは慌てず騒がすハイガードから、しっかりと三角絞めに移行する。長いリーチを利して、パンチやヒジをルターの顔面に叩き込んでいくアンデウソン。それでもタップしないとみるや、ルターの右腕を自らの左脇のしたに持ってきて、しっかり首を絞めあげる。ここでルターがタップ。
「僕は体重を落とした。彼は落とさなかった。それだけさ。不満でもないし、残念でもない。ただ、選手権試合をなくすなんて、大切な大会に傷をつけたんだ」と、アンデウソン。続けて「僕はストライカーだといわれているけど、これはMMA。ならば、なんでもできないと」サラリと、組み技一本槍のルターへの皮肉がこめられた一言を言ってのける。
チャンピオンが、プロフェッショナルとしての意地を見せた一本勝ちだった。
▼第6試合 ライトヘビー級5分×3R
○クイントン・"ランペイジ"・ジャクソン(米国)
TKO 2R3分49秒
●マービン・イーストマン(米国)
UFCがWFAの契約を買い取ったため、この大会が初参戦となったクィントン・ランペイジ・ジャクソン。6年7カ月前のMMAデビュー戦で敗北を喫したマービン・イーストマンが、UFCで最初の対戦相手となる。
一回り小さなイーストマンを相手に、なかなか打ち合うことができないランペイジ。PRIDEのリングで見せたアグレッシブさは影を潜めている。それでも、パンチをヒットさせイーストマンがふらつく場面もあったが、1R終了時には会場からブーイングが起こる。
これで目が覚めたのか、2Rに入って、ようやくエンジンがかかったランペイジは首相撲の体勢からニーを打ち込む。さらには左手でイーストマンの頭部を固定しながら、右フックを連打。このダメージで後方へ倒れこんだイーストマンに強烈なパウンドを落とし、TKO勝ちとなった。
「自分の試合でブーイングが起こるなんて、本当に申し訳ない。UFCで最初の試合だから、これまでになくナーバスになっていた」というランペイジ。
無敵のライトヘビー級王者チャック・リデルに最後の白星をつけた男、UFCでの本領発揮はこれからだ。
▼第2試合 ライトヘビー級5分3R
○LYOTO(ブラジル)
判定3−0
●サム・ホーガー(米国)
ランペイジ同様にWFAからの契約買い取りにとって、UFCデビューを迎えたLYOTO。これまでMMA8戦8勝で、そのなかにはステファン・ボナー、リッチ・フランクリン、BJペンと3人のUFCレギュラーが含まれている(うち、フランクリンとペンはUFC世界王者経験者)。
ライトヘビー級で闘うことなり、幾分ほっそりとした印象を受けたLYOTOだが、定評のある打撃の当て感のよさ、そして腰の強さに磨きが掛かっていた。
対戦相手のホガーは、UFCでは2勝2敗の戦績を残している選手だが、打撃、組み技の両面でLYOTOに全く歯が立たなかった。
鋭いロー、テイクダウン、そしてポジショニング、3Rに渡り、ホガーを圧倒したLYOTO。ホガーが目立っていたのは、マウントを取られても、すぐに足を差し戻して足関節を狙ったシーンぐらいのもの。その足関節ですら、上からパウンドで苦もなく防いだLYOTOが、ジャッジ3名が揃って30−27をつけ判定勝ちを収めた。
「マチダ(今大会はリョート・マチダの名で出場)は、間違いなくライトヘビー級でトップ選手の一人。今、UFCは選手層が厚いからハッキリしたことはいえないが、実力的にはPPVのラインナップに加わって然り」とホワイト社長も大絶賛の初陣となった。
▼第7試合ライト級 5分×3R
○ロジャー・フエルタ(米国)
TKO 1R0分19秒
●ジョン・ハルヴァーソン
開始早々パンチをヒットさせたフエルタが、体が伸びきったハルヴァーソンにパウンドを落とし続け勝利。実際は5秒速早く止めても良かっただろう。
▼第5試合ミドル級 5分×3R
○パトリック・コーテ(カナダ)
判定3−0
●スコット・スミス(米国)
互いに安全圏内+一発入ると組み合う――打撃戦は、手数で勝ったコーテが勝利。負けられない者同士の対戦だったが、動きが少なく会場は大ブーイングだった。
▼第4試合ミドル級 5分×3R
○テリー・マーティン(米国)
TKO 1R0分14秒
●ホルヘ・リベラ(米国)
この日がミドル級転向第一戦だったマーティン。圧倒的不利な予想を覆し、蹴り足を掴んで右をヒットさせ、TKO勝ちを収めた。
▼第3試合 ライト級5分×3R
○フランク・エドガー(米国)
判定3−0
●タイソン・グリフィン(米国)
ライト級新鋭同士の対戦は、豪快なグリフィンの攻撃を受けながらも、スタンドの打撃、そしてポジショニング+パウンドでリードしたエドガーが勝利。
グリフィンも最後の最後までヒザ十字で逆転を狙うなど、日本では無名でも米国のライト級選手の急成長振りがうかがえた試合だった。
この試合を見る限り、日本の70kgの選手でこの2人に勝てる選手はそうはいないように思える。
▼第1試合 ライト級5分×3R
○ダスティン・ハゼレット(米国)
判定
●ディエゴ・サライーバ(米国)
スピード感に欠けたオープニングファイト。軽量級で速さが足りないとなると致命的。勝ったハゼレットにもインパクトを残せない勝利だ。
写真撮影&レポート=高島学
Photos&Report=Manabu Takashima
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