パンクラス
「PANCRASE 2007 RISING TOUR」
2007年2月28日(水)東京・後楽園ホール
開場18:00 開始19:00
▼メインイベント ウェルター級戦 5分3R
○北岡 悟(パンクラスism/同級2位)75kg→74.9kg
判定 3−0 ※30−29、29−28、30−29
●グスタボ・PC(ブラジル/マカコ・ゴールド・チーム)73.5kg
たっぷりと時間を掛けてもったいつけるようにリングインした北岡。青木ばりの赤いロングスパッツを着用している。セコンドにはその青木の姿もある。リング中央に歩み出ると、グスタボと視線で火花を散らす。
1R、サウスポーの北岡は左右に動きながら左ミドル、グスタボはジャブを伸ばす。北岡がタックル、グスタボがガブッて上に乗るも北岡が反転して足を取りに行く。立ち上がるグスタボ、北岡の両脇を差してコーナーへ押し込む。
するとなんと、北岡はコーナーを背にしてジャンプ、飛びつきフロントチョークに捕らえる! グスタボは北岡をマットに叩きつけるが、ガッチリと食い込んだ腕は離れない。上になってなおも絞め続ける北岡! しかし、しばらくその体勢でグスタボがタップしないため、極まらないとみた北岡がロックを外して上になる。
グスタボは下から北岡の腕を狙う。北岡はパンチを一発、続いてアキレス腱固め! 回転してこれを防いだグスタボが下からの腕十字、北岡も腕を抜いて細かいパウンドを入れる。もう一度、北岡がアキレス腱固めにいったところで第1Rが終了。
2R、グスタボのローにタックルを合わせた北岡だが、グスタボはガブッて防ぐ。前蹴りからパンチを出して行くグスタボに、もう一度北岡がタックル! 今度はテイクダウンに成功して細かくパンチを放っていく。下から腕十字のプレッシャーを掛けていくグスタボ、北岡はアキレス腱固めを仕掛けるがグスタボに立たれてしまう。
上になったグスタボはマウントからバックマウント! 北岡は転がって体勢を崩そうとすると、グスタボは下からの腕十字だ! 腕を引き抜いた北岡が今度は上に。目まぐるしい展開に場内が沸く。
細かくパンチを当てていく北岡に、グスタボも下からパンチを返しながらの腕狙い。北岡もガッチリと抑え込みながらパンチを返す。北岡がアキレス、すぐにグスタボが腕十字に行ったところでゴングが鳴った。
3R、グスタボはパンチから蹴り、北岡がタックルに入るとガッチリ受け止める。それでも北岡がロープに詰めて両足を掬ってのテイクダウン。残り3分で北岡がアキレス腱固めを仕掛けたが、グスタボは立ち上がってパンチを落とす! 片足にしがみついて上になろうとする北岡を、グスタボは抱えて立ち上がりヒザ蹴り。コーナーへ押し込むと、再び北岡が飛び付きフロントチョークへ! が、これは不完全でスタンドに戻される。
コーナーへ詰まった北岡にグスタボがパンチを放つと、北岡が両足タックルでテイクダウン。上になってパウンド、残り時間は1分! 下からパンチを出すグスタボだが、北岡はガッチリと抑え込んで離さずに踏み付けを一発! グスタボはガードを崩さず、勝敗は判定に持ち込まれ北岡が薄氷の勝利を得た。
「すいません、まだ帰らないで下さい!」北岡はマイクで帰りかけた観客を呼び止める。「判定勝ちでスイマセン。でも一本取りに行っての判定なので勘弁してください。世界の強豪に勝ったので僕も世界の強豪だと勝手に思っています。パンクラスはボードッグと提携しました。でも、僕が上がりたいリングはPRIDEです! 世界最高峰のリングPRIDEに上がりたいです! 今年あるライト級GPに出たいです!」とリング上からPRIDE参戦をアピールした。
試合後、北岡は改めてPRIDE参戦をアピール。「パンクラスの選手はあのリングで3年間勝ってないんです。全敗ですよ。僕はパンクラスでナンバーワンの選手として、そこへ行って勝負したい。星を取り戻したい。かつてパンクラスにあったものが、あっちのリングにある。輝きのカケラみたいなものが。それを取り戻したい。その資格が一番あるのは僕だ。実際に強いっすよ。先輩でも仲間でも否定しないと思います。近藤さん、高橋さん、前田が勝てなかったリングで勝負したい。そのために応援して下さい」
さらに、PRIDEで闘いたいのは「青木真也」と練習仲間でパラエストラ東京の後輩でもある青木の名前を挙げた。「それが目標です。いま青木の視界に映っているものは僕と違うと思う。その領域までまずは行きたいですね」。
尾崎社長はこの北岡の言葉を受け、「ボードックと提携したことで一番心配していたのは北岡だった。でも、PRIDEとの関係は今までと同じです。北岡がPRIDEに出たいのなら僕は動くし、ボードックに北岡の闘いたい相手が出てきたらそっちでも動く」と協力を約束した。
▼セミファイナル 無差別級戦 5分3R
○ウマハノフ・アルトゥール(SKアブソリュート・ロシア)69.75kg
判定 3−0 ※30−27、30−27、30−28
●伊藤崇文(パンクラスism/同級2位)68.8kg
※ウマハノフが契約体重オーバーしたため無差別級戦に変更
午後7時前に会場へ到着したというウマハノフ。「契約体重のリミットを大きくオーバー(69.75kg。契約体重は68・99kg以下)し、本来は失格になるところだったが、対戦相手の伊藤が試合実現を強く望んだため無差別級戦に変更となった」とアナウンスされた。伊藤の男気によって試合が成立し、場内は伊藤へ大声援。ウマハノフは悪役プロレスラーが好んで使う『吹けよ風、呼べよ嵐』(アブドーラ・ザ・ブッチャーの入場曲として有名)の入場曲で登場した。
1R、ノーガード&両腕ぶらりで前に出るウマハノフ。伊藤はその迫力に圧される。リング中央でどっかりと構えるウマハノフは、伊藤のタックルに鋭い反応を見せてバックへ回った。ウマハノフがバックを奪ったまま伊藤の足へヒザ蹴り、亀になる伊藤へ後ろから強烈な右フックを叩き込む。
すると伊藤は股の間から足関節を狙うが、ウマハノフはパンチでこれを防ぐ。体を移動させて伊藤の頭部へヒザを突き刺し、再びバックへ回ると右フックを後ろから連打。一発一発の重みに場内からどよめきが起こる!
なおもバックをキープし続けるウマハノフ、右フックをガードの隙間から叩き込み、下半身を捻っての頭部へのヒザ蹴りを繰り出して行く。伊藤は亀になって何とかこのラウンドを凌いだが、ゴングが鳴ると「効いてないよ」とばかりにサッと立ち上がりスタスタと自分のコーナーへ帰っていった。
2R、右目を腫らせた伊藤はコンタクトレンズを外し、リング中央へ。サウスポーからのジャブ、左ローキック、右ジャブからの左ハイキックを狙ったが空振り。両腕をだらりと下げてジリジリと間合いを詰めていくウマハノフ。ウマハノフの蹴りに合わせてタックルへ入った伊藤だが、そのままがぶられてパンチを受ける。すかさず足関節に行く伊藤。だが、ウマハノフは足を引き抜くと凄まじいパンチ! 1Rと同じようにバックを奪い、パンチを連打していく。
両足で突き放して立ち上がった伊藤。ウマハノフはやはり両腕をダラリと下げて挑発、ニヤリと笑う。伊藤のパンチ、ローは空を切るばかり。ウマハノフが伊藤の潰れた右目で見えない方角から左フック、左ロー。伊藤がタックルに行くとがぶり、バックへ回ったところでゴング。
3R、伊藤は右ローで攻めるが、ウマハノフに蹴り足を捕られる。すぐに伊藤が片足タックル、バックへ回ってジャーマンを仕掛けたが失敗して自らの頭部をマットに打ち付ける。ウマハノフがバックを奪い、ヒザ蹴りとパンチ。伊藤のボディへ強烈な右のヒザ蹴りを連打して行くウマハノフ。パンチを打ってきたところで伊藤は立ち上がろうとするが、すぐに抑えられて下に。猪木×アリ状態になると立ち上がる伊藤は、すぐにパンチを出して前に出る。ウマハノフは伊藤の蹴り足を掴んでグラウンドへ誘ったが自分から離れた。
スタンドに戻ると伊藤はパンチを打ちに行き、右フックに右フックのカウンターをもらって倒れたが、すぐに両足タックル! が、ウマハノフがフロントチョークに捕らえた! ここから抜け出すとウマハノフを初めてガードにさせた伊藤が必死のパウンド! しかし、すぐに試合終了のゴングが鳴った。
判定負けが伝えられると、伊藤は本部席にいた尾崎社長にリング上から「もういっぱいです」と話しかけた。試合後、伊藤は「これで最後になるかもしれないし、続けるかもしれない。今は分からない」と引退を匂わし、尾崎社長は「明日は休ませて、明後日以降に話をします。ただ伊藤も35歳ですからね」と引退もありえることを示唆した。
▼第5試合 ヘビー級次期挑戦者決定戦 5分3R
○チアゴ・シウバ(ブラジル/マカコ・ゴールド・チーム)98.8kg
KO 1R2分49秒 ※サッカーボールキック
●水野竜也(U-FILE CAMP登戸)97.2kg
「パンクラスVSボードッグ交流試合第一弾」とコールされたヘビー級王座次期挑戦者決定戦。先に入場したチアゴはリングインすると、リング上をゆっくりと旋回していく。一方、水野のセコンドにはU-FILE
CAMPの総帥・田村潔司の姿も見える。水野は赤いスパッツ。チアゴがコールされると、場内には「ヘェーイ!」の掛け声が飛ぶ。レフェリーチェックでは目線を全く離さず、真正面から睨み合う両雄!
1R、サウスポーの水野はジャブから左ミドル、チアゴは圧力を掛けて追い詰めながらのフック。水野が逆に前に出て組み付くが、チアゴはフックを振り回して引き離す。再びフックを出しながら前に出て組み付く水野、チアゴがバックを奪って引き倒そうとすると水野がロープを掴んでしまい、注意が与えられる。
チアゴがストレートを出して前に出ると、水野は臆せず打ち合いに行って右アッパーからの右フックがヒット! フック系でしかもスピードがないチアゴに水野のパンチが当たる。チアゴは組みヒザからワンツー、ミドルキックで一気呵成に攻めると水野も打ち返し、投げを見舞ったが、逆にチアゴにバックを奪われる。
立ち上がる水野。両脇を差してテイクダウンを狙ったチアゴだが、すぐに離してワンツー。水野もハイキックを放つが、バランスを崩してスリップ、そこへチアゴのサッカーボールキック! スタンドでバックを奪ったチアゴが後ろからパンチを見舞い、ダメージを感じさせる水野が苦し紛れの首投げに行くと汗ですっぽ抜けてしまった。水野がリングに倒れてしまったところへチアゴがサッカーボールキック! この一発で水野は大の字、担架も用意されたが最後は自力でリングを降りた。
「応援ありがとう。ここでパンクラスのリングに上がれたことを光栄に思っています。日本のファンの皆さんはとってもサイコーです。またパンクラスで試合できることを心待ちにして、ベルトを取りに帰ってくることを皆さんに約束します」チアゴは高らかに王座取りを宣言した。
▼パンクラスゲート フェザー級予選8人トーナメント決勝戦
○田中康友(SKアブソリュート)
判定2-0 ※20-20、20-19、20-19
●廣瀬 勲(ストライプル)
1R、田中がしつこく組みに行って胴タックルを繰り返す。下になった田中が腕十字、廣瀬が腕を抜いて膝で股を割りながらパスを仕掛けていき、バックへ回りかけたところで田中が立ち上がる。田中の首ヒザに廣瀬は左右フックで応戦、田中がヒザ蹴りでやや優勢に立ったところで試合終了。田中が判定で勝利を収め、3月25日(日)東京・新木場1stRINGでの『ネオブラッド・トーナメント』1回戦への出場を決めた。
▼第4試合 ミドル級戦 5分2R
○佐藤光留(パンクラスism/同級2位)81.9kg
判定 2−0 ※20−20、20−19、20−19
●藤井陸平(和術慧舟會RJW)81.7kg
1R、佐藤は左インローを放っては、藤井の返しのパンチをヘッドスリップでかわしていく軽快な動き。ローを当ててはサッと離れて返しの攻撃をかわすヒット&アウェー。藤井が打ち気になるとタックルへ入り、コーナーへ押し込む。そしてリフトアップしてテイクダウン。藤井はハーフで佐藤を抱え込み、ラバーガードでコントロールしようとするも上手くいかず、佐藤がガッチリと抑え込む展開に。これはブレイク。
上背で優る藤井は前に出てパンチを出していくが、佐藤は頭を振って軽やかにかわして、一本背負いで藤井を再びグラウンドへ。立ち上がった佐藤はジャンピングフットスタンプを仕掛けようする。これは失敗。立ち上がった藤井がロープに詰めた佐藤へ左フックをヒットさせた。
2R、藤井が左右フックで前に出ると佐藤はタックルへ、これは入れずパンチで前に出る藤井に背を向けるようにして腕を巻き込み、グラウンドへ。藤井が一度はバックを奪うも、佐藤が再びテイクダウンし、両者動かずブレイクに。
パンチで前に出る藤井の左フックがヒット、すぐに佐藤が組み付いてグラウンドへ行き、足首を取りに行く! 二転三転して体勢を整えていく佐藤。足にしつこくしがみついてくる佐藤を藤井は殴る! そのままの体勢で両者はゴングを聞いた。
▼第3試合 ミドル級戦 5分2R
○渡辺大介(パンクラスism)81.9kg
一本 2R0分58秒 ※フロントチョーク
●岩見谷智義(高田道場)81.2kg
▼第2試合 ウェルター級戦 5分2R
○ヨシロックT(和術慧舟會A−3)74.7kg
KO 2R2分06秒 ※ヒザ蹴りからの左フック
●小路伸亮(KILLER BEE)74.9kg
▼第1試合 ウェルター級戦 5分2R
△柳澤雅樹(PPT)63.7kg
ドロー 判定 1−0 ※19−19、20−19、19−19
△浅野倫久(KILLER BEE)63.7kg
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