全日本キックボクシング連盟
ALL JAPAN KICKBOXING 2007
「Departure〜野良犬FINAL〜」
2007年3月9日(金)東京・後楽園ホール 観衆=2,080人(超満員札止め)
開場17:15 本戦開始18:30 オープニングファイト開始17:45
▼野良犬ファイナルマッチ 3分1R
−小林 聡(藤原)
判定なし
−前田尚紀(藤原)
3月9日(金)東京・後楽園ホールにて全日本キックボクシング連盟主催「ALL
JAPAN KICKBOXING 2007 Departure〜野良犬FINAL〜」が開催され、昨年11月のジャルンチャイ・ケーサージム戦後に引退を表明した小林聡(藤原)が、同門で後輩の前田尚紀を相手にファイナルマッチを行った。
2,080人、超満員に膨れ上がった後楽園ホール。ダブルメインイベント終了後、東西に設けられた特別スクリーンに、ファイナルマッチに向けての特別VTRが映し出される。そこで小林は引退を決意した真意、そして最後の相手に前田を選んだことを語る。
そしてVTR終了後、前田が青コーナーからリングイン。前田は、小林がジャルンチャイ戦で見せたグレイシートレインならぬ、藤原ジムトレインでリングへ向かう。そして小林の入場、キッズリターンのテーマが鳴り響く中、小林はたった一人でリングに上がった。
四方に礼をし、前田と拳を合わせる小林。ルールは1R3分、小林の希望により試合用8オンスのグローブを着用し、ヒジありの完全キックボクシングルール。
試合前に「ケンカをやる」と宣言していた小林は、その言葉通りにフルスイングでパンチとヒジを振り回していく。
対する前田もその“ケンカ”に応じ、容赦なくパンチとローを打ち込んでいった。時間が経つに連れて、小林は目に涙を浮かべながら最後の3分間を戦い抜いた。
試合が終わると、小林は両手を大きく広げて前田、藤原ジムの面々と熱い抱擁を交わし、長年連れ添った須田トレーナーと抱き合うと、声を上げて涙を流す。
そしてファイナルマッチ終了後の引退セレモニーでは、恩師・藤原敏男会長から花束を受け取ると、藤原会長と二人で男泣き。この感動的なシーンに会場からは大きな拍手が起こった。マイクを握った小林はファンに向けて最後のメッセージを口にする。
「野良犬ファイナルマッチに来ていただいて、大変感謝しています。そして最後に戦ってくれた前田、ありがとう。これからは前田と藤原ジムの弟たちの活躍が、打倒ムエタイのロマンを引き継いでくれるので、期待してください。
そして、どんなことがあってもそばにいてくれた須田トレーナー。師匠であり、親父でもある藤原敏男会長に会わせてくれたことを、キックの神様に感謝したいと思います。これまで15年間、全日本キックで戦ってきたことを誇りに、人生の宝物したいと思います。
キックボクシングは永遠に不滅です。全日本キックの選手たちがそれを証明してくれると思います。今まで応援してくれたファンのみなさん、ありがとうございました。そしてこれからもキックボクシングをよろしくお願いします」
そして小林を送る10カウントゴング。桜吹雪が舞い散る中、そしてキッズリターンのテーマの中、小林はリングを降りた。
大会終了後、インタビュースペースで「倒せなかったですね。最後はかっこいいとこ見せて終わらせたかったんですけど。でも前田が強くなっていてよかったです。思い切って殴り合えて。俺の方が色々伝わりました」とファイナルマッチを振り返った小林。
改めて引退についてコメントを求められると、「今はもう試合をしたくないって感じです。(キック人生を)振り返る暇はなかった。とにかくこういう気持ちになるまでやった。生まれ変わってもキックボクサーになると思って、20年間やってきてこういう日が来るとは思ってなかったんですけどね」と語る。
今後のことについて小林は「いいバイトないですかね。俺も『あっ! バイトの時間だ』(※江頭2:50のギャグ)って言えるくらい忙しくなるといいんですけど(笑)」と冗談交じりに話しつつ、後進の育成やジムの設立の話を振られると「指導するのが面倒くさいんですよ。強くなりたい人は藤原ジムに入ってください(笑)」と話している。
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