6月3日(日)東京・後楽園ホールにて、J-NETWORK主催『TEAM DRAGON QUEST1』が行われた。今大会は青コーナー側が全てチームドラゴンの選手という特別コンセプトの大会で通称“チームドラゴン祭り”。
昨年6月に同コンセプトで行われた『Invading the DRAGON』ではチームドラゴン勢が全16試合中10勝2敗4分で大勝、そして今年もチームドラゴンが“常勝軍団”らしく圧倒的な強さを証明する結果となった。
対抗戦全13試合中、チームドラゴンは9勝3敗1分という高い勝率をマーク。数字の上では昨年をやや下回ったものの、J-NETWORKのエース格である喜入衆(ソーチタラダ渋谷)と西山誠人(アクティブJ)を下したことは、逆にその強さをアピールしたと言っていいだろう。そしてこの価値ある勝利を挙げたのは梶原龍児と吉川英明の二人だ。
第11試合で喜入と対戦した吉川は、喜入のスピード溢れるローキック中心の攻撃に対し、どっしりと構えて前に出て喜入にプレッシャーをかけていく。そして距離を詰めると右フックや右アッパー、喜入の奥足に対して細かく右ローを蹴っていく。序盤こそ喜入のスピードに翻弄される場面があったものの、試合が進むに連れて完全に喜入をプレッシャーで押しつぶして手数で圧倒。吉川が3月のディファ有明大会J-NETWORKウェルター級タイトル戦での敗戦を払拭する勝利を手にした。
そしてメインイベント第3試合としてチームドラゴン祭りの大トリを務めたのが梶原。1Rから西山の左のインローに対して、左フックや右ストレートのカウンターを狙っていく。3Rに入りパンチの回転をあげる梶原は、ラウンド終了間際にショートの打ち合いの中から、右フックで西山の顔面を打ち抜いて“幻のダウン”を奪う。(※西山が尻餅をつくもレフェリーはダウンと判断せず)4R以降も激しいパンチの打ち合いが続き、西山のカウンターをもらい、内股をローで狙い撃ちにされた梶原だったが、表情一つ変えずに、最後まで前に出続ける気迫溢れるファイトで西山を押し切った。
J-NETWORKに続き、WFCA世界ライト級王者となった梶原は、リング上で「チームドラゴンに入って3年目でようやく世界タイトルが獲れました。西山選手は自分がまだボクシングをやっていた頃からすでにチャンピオンで、目標にしてきた選手です。その選手に勝てたことは本当にうれしいと思います」と喜びの弁。「俺はボクサーの代表としてKのリングに上がることを目標にしています。今K-1ではヘビー級や70kgが盛り上がっていますが、60kgは俺が盛り上げます」と、K-1ライト級に向けて大きくアピール、また試合後のインタビューでは「このタイトルの価値を上げるのが目標。ボクシング元世界王者の徳山(昌守)選手と戦いたいという夢があるんですが、それが実現するくらいまでベルトの価値を上げたい」と熱く語っている。
2年連続のチームドラゴンの大勝に終わったことについて、「みんなが頑張ったからこの結果が残ったと思います。他の選手の準備で、どうしても僕がセコンドにつけない試合があって、その選手たちがつまらないミスで負けてしまったので、それだけが悔しいですね。こういった対抗戦の話があれば、どこのリングにも乗り込んでいきたい。また来年もJ-NETWORKさんでチームドラゴン祭りを開催してもらえるように頑張ります」と前田憲作会長。これからもチームドラゴンの侵略は当分続いていきそうだ。
J-NETWORK主催
「TEAM DRAGON QUEST1」
2007年6月3日(日)東京・後楽園ホール
開場17:00 開始17:30
▼トリプルメインイベント第3試合 WFCA世界ライト級タイトルマッチ 3分5R
○梶原龍児(チームドラゴン/J-NETWORKライト級王者/挑戦者)
判定3-0 ※50-49、50-49、50-49
●西山誠人(アクティブJ/王者)
※梶原が新王者に。
1R開始のゴング直後、梶原はいきなり全力ダッシュで距離を詰める。西山は落ち着いて距離を取り、左のインローを蹴っていく。梶原はプレッシャーをかけて、ジリジリと前に出て左フックから右ストレート。下がりながらローとミドルを蹴る西山、そこにパンチを合わせる梶原という展開が続く。
2R、梶原がローを蹴ったところに西山が右ストレート。西山はインローで梶原のバランスを崩すと、そのまま梶原をロープに詰めて飛びヒザ蹴りを放つ。その後も下がりながらもテンポよくインローを蹴ってく西山。しかし徐々に梶原の圧力が勝り、梶原のパンチを受ける西山がクリンチする場面が目立つ。
3Rになると梶原のパンチに西山も応戦、ここから激しい打ち合いが始まる。ここでパンチの回転を上げていく梶原は、右ストレートで飛び込んでそこから左右のフック。西山のカウンターの右をもらう場面があったものの、梶原は全く動じずにパンチを返していく。
そしてラウンド終了間際、梶原の右フックが西山の顔面にクリーンヒット! 西山が尻餅をつき、ダウンかと思われたが、ここはレフェリーがダウンとはみなさず。そのままラウンド終了のゴングとなった。
4R、西山の左ミドルをすくって、梶原が右ストレート。西山のローに必ずパンチを合わせて前に出て行く。西山も的確に左のインロー、そしてカウンターの右を当てるのだが、梶原は表情一つ変えずに前に出続けるため、どうしても印象が悪い。結局、5Rに入ってもその展開は変わらず。5R15分間、常に前に出続けた梶原が西山を下してWFCAの世界タイトルを手に入れた。
▼トリプルメインイベント第2試合 フェザー級サバイバルマッチ1
○上松大輔(チームドラゴン/J-NETWORKフェザー級5位)
KO 2R0分39秒 ※右ストレート
●正巳(勇心館/全日本キックボクシング連盟フェザー級7位)
1R、強引にパンチで前に出てくう正巳に、上松は飛びヒザ蹴り! その後もテンカオを中心としたヒザ蹴りで攻め込む。そして距離が開くと鋭い左ジャブを突く上松は、そこから右ストレートや左フック!
ラウンド終盤には左フックを起点に一気にパンチでたたみかけ、正巳をダウン寸前に追い込む。そして2Rに入ると、上松が狙い済ました右ストレートを立て続けにヒットさせて、遂に正巳がダウン! レフェリーは正巳のダメージを判断し、上松のKO勝利を告げた。
▼トリプルメインイベント第1試合 70kg契約 3分3R
○川端健司(チームドラゴン/DEAD OR
ALIVE'06第3位)
判定3-0 ※30-28、30-28、30-28
●藤田智也(ドージョーチャクリキ・ジャパン)
1R、スピーディな右ローを飛ばしていく川端。そこからワンツーとパンチにつなげ、ローをフェイントにした右ハイキックを飛ばす。藤田は川端のパンチにローを狙っていくものの、当たらない。
2Rに入り、ジャブとローで前に出て行く藤田。しかし川端のスピードを捉えきれず、川端が左右のパンチとローで藤田を圧倒する。そして藤田のブロックの間を狙って、右アッパーから左フック! これで藤田をダウン寸前にまで追い込んだ。
3R、ポイトンで負けていると判断して、藤田はジャブとローで一気に距離を詰める。そこから打ち合いを挑むのだが、ここは川端の方が一枚上手。左右のフック、右アッパーなど細かい連打を藤田の顔面に打ち込み、川端が約半年ぶりとなる白星を手にした。
▼第13試合 スーパーエキシビジョンマッチ
―澤屋敷純一(チームドラゴン/J-NETWORKヘビー級王者)
エキシビジョンのため勝敗なし
―尾崎圭司(チームドラゴン/K-1WORLDMAX2007日本代表決定トーナメントベスト4
)
尾崎はテコンドー衣をイメージしたロングパンツで颯爽とリングイン。対する澤屋敷はアフロのかつらにサスペンダーというピエロのような格好で登場! セコンドにはマスクをかぶった狂太郎レンジャーと思われる男がついた。
華麗な足技を披露する尾崎に対し、「アフロを気にしろ!」というアドバイスを受けながら澤屋敷。それぞれ1度ずつダウンを奪い合う形で、スペシャルエキシビジョンは終了した。リング上で「来年のドラゴン祭りではK-1のベルトを持ってエキシビジョンをやりたい」と今後の意気込みを語った尾崎。
ある意味、この日一番のインパクトを残した澤屋敷は「いつもはふざけないんですけど、今日はふざけちゃいました。これからもチームドラゴンをよろしくお願いします」とやや噛み気味の挨拶で締めくくった。
▼第12試合 J-NETWORK初代スーパー・フライ級王座決定戦 3分5R
○KENT(湘南格闘クラブ/J-NETWORKフライ級1位)
判定3-0 ※50-48、50-47、50-47
●薩摩サザ波(TARGET−Z/J-NETWORKフライ級1位)
※KENTがJ-NETWORK初代スーパー・フライ級王者に。
1Rから左ミドルを軸に攻撃を組み立てていったKENTが、2R開始早々に薩摩の右ローに右ストレートを合わせてダウンを奪う。
スリップ気味だったためダメージこそなかったものの、ポイントで先制をゆるした薩摩は、ここから組み付いてからのヒジ&ヒザ狙いに作戦を切り替える。
しかしKENTもこれに真っ向から応戦。薩摩は組みに持ち込んでもKENTを崩すことができない。逆にKENTは3R以降、的確に左ミドルを当て続け、薩摩に有効打を許さなかった。
▼第11試合 67.5kg級 3分3R
○吉川英明(チームドラゴン/J−NETWORKウェルター級1位)
判定3-0 ※30-29、30-29、29-28
●喜入 衆(ソーチタラダ渋谷/J-NETWORKスーパーライト級王者)
1R、左右のステップを踏んで鋭いローを飛ばしていく喜入。パンチから右ロー、そしてヒジ打ちを織り交ぜつつ、テンポよく攻めて行く。対する吉川はそれらをしっかりとブロックし、どっしりと重心を落とした構えから距離を詰めて右フックや右アッパーを突き上げる。
2Rに入ると吉川のプレッシャーに後退する喜入。逆に吉川はショートの距離からフックとアッパーを打ち込み、さらに喜入の奥足に細かくローを飛ばす。完全に自分のペースを掴んだ吉川は3Rに入っても喜入を圧倒。必死に攻撃を返す喜入だったが、いかんせん手数が少なく吉川に押し込まれてしまう。そして判定はフルマークで吉川! 喜入は手痛い一敗を喫してしまった。
▼第10試合 ヘビー級 3分3R
○狂太郎レンジャー(チームドラゴン/J-NETWORKヘビー級5位)
判定3-0 ※30-29、30-29、30-29
●滝川リョウ(フリー)
ポパイの着ぐるみでリングインした狂太郎。ド派手な入場ばかりが目立つ狂太郎だったが、試合では技巧派ぶりを発揮。ヘビー級とは思えないスピーディなローを飛ばし、そこからコンパクトにパンチをまとめて判定勝利を奪った。試合後、狂太郎はリングに乱入してきた謎のマスクマンたちをドロップキックで迎撃、そして最後は体をクネクネさせる狂太郎ダンスを見せた。
▼第9試合 ヘビー級 3分3R
○高萩ツトム(チームドラゴン/J-NETWORKヘビー級4位)
判定3-0 ※30-29、30-29、30-29
●富樫龍一(梁山泊空手)
K-1トライアウトに合格、チームホースト入りを果たし、オランダ行きが決定している高萩だったが、一発狙いの冨樫の前に苦戦。
高萩は冨樫の右フックとバックキックを警戒し、なかなか前に出られない展開が続く。右ストレートやヒザ蹴りを当てる場面もあった高萩だったが、タフな冨樫を倒す事が出来ず判定勝ち。
高萩は試合が終わった直後に「全然ダメだ」と肩を落とし、フラストレーションの残る試合となってしまった。
▼第8試合 ライト級 3分3R
○細野岳範(チームドラゴン/J-NETWORK同級5位)
TKO 1R1分15秒 ※ヒジによるカット
●黒田アキヒロ(フォルティス渋谷/J-NETWORK同級4位)
1R、右ローを飛ばしていく黒田。細野も細かく蹴りを返してく。ここから黒田は距離を詰めて、細野に組み付き試合は組みの攻防へ。
先に黒田がヒジを出していったのだが、黒田の体を振って細野の左ヒジがクリーンヒット! リングサイドに「ガツン!」と聞こえるほどの衝撃で、黒田は目尻を大きくカットしてしまい、ドクターストップとなった。
▼第7試合 フェザー級 3分3R
○大刀国秀(藤/天空日本フェザー級1位)
KO 3R1分59秒 ※左フック
●江口光治(チームドラゴン/J-NETWORK同級4位)
江口のパワフルな攻撃に後退する場面が目立った大刀だったが、鋭い左ハイキックで江口の右目尻を切り裂く。その後、大刀は首相撲からのヒザ蹴りを中心とした攻撃にシフト。
3Rに入って江口の攻撃が荒くなったところに、コンパクトに左フックを当ててダウンを奪う。そして最後はヒザ蹴りとパンチで江口をマットに沈めた。
▼第6試合 ヘビー級 3分3R
○内田洋一(REAL DEAL)
KO 2R2分36秒 ※右ローキック
●西脇恵一 (チームドラゴン/J-NETWORKヘビー級7位)
豪快な右フックを連発した西脇だったが、内田はそれをしっかりブロックして右ロー。西脇はローを受けてパンチを返すという戦法を取ったのだが、これが完全に裏目に。
内田は西脇のパンチを完全に読み、ローを的確に当て続け、足に気が散ったところで、左フックや右アッパーを当てていく。2Rに入り完全に防戦一方となった西脇を、内田はパンチの右ローで攻め立て、最後は右ローの連打でKO勝利を収めた。
▼第5試合 ヘビー級 3分3R
○濱田敦史(チームドラゴン/J-NETWORKヘビー級6位)
判定2-1 ※29-28、28-29、28-29
●ジャクソン・ビアフラ(山木)
プレスリリースでは“デニービルの再来”と紹介されたビアフラ。開始直後に強烈な右フックでダウンを奪ったものの、大振りとパンチとディフェンス度外視のスタイルのため、試合が進むに徐々に失速。
時折フルスイングの右フックと右アッパーで濱田をおどかすビアフラだったが、濱田はしっかとそれをブロックしてパンチとロー。結局、濱田の攻撃をコツコツ受けてしまったビアフラは、判定負けとなった。
▼第4試合 ウェルター級 3分3R
△奥島健三(レグルス池袋)
判定1-0 ※30-29、30-30、30-30
△堤 大輔(チームドラゴン)
サウスポーの堤に対して奥島は右ミドル&右ロー。堤は奥島のローにパンチで距離を詰めて、ローを返していく。
1Rはやや奥島のリーチに攻め切れなかった堤だったが、2Rに入ると奥島に蹴りの距離を作らせずに、パンチとロー主体の攻撃でペースを掴む。
このまま堤が押し切るかに思われた3R。パンチとローで前に出る堤に対し、首相撲からのヒザ蹴りで応戦する奥島。試合はジャッジ1名が奥島を支持したものの、ドローに終わった。
▼第3試合 56.5kg契約 3分3R
○荻野隆一(チームドラゴン)
安田の負傷欠場による不戦勝
●安田慶二郎(Axis−J/J-NETWORKフェザー級10位)
※荻野はエキシビジョンマッチを行った。
▼第2試合 フライ級 3分3R
○藤 鬥嘩裟(藤)
判定3-0 ※30-28、30-28、30-28
●山野寛之(チームドラゴン/J-NETWORKフライ級7位)
“14歳のキックボクサー”として格闘技界の話題を集めている藤
鬥嘩裟(ふじ・つかさ)が、主戦場であった天空を離れて初めて他団体に出撃!
対戦相手の山野は昨年J-NETWORKで行われた「MACH GO!GO!'06〜フライ級最強決定トーナメント〜」に出場し、当時MA日本フライ級王者だった“豪腕”森田晃充(橋本)と接戦を演じた実力者。鬥嘩裟にとっては真価の問われる一戦となった。
1R、鬥嘩裟は左の前蹴りで山野を突き放し右ロー。山野は鬥嘩裟の右ローに合わせて左フックで細かく連打を集める。さらに離れた間合いから、右のスイングフック! これが鬥嘩裟の頬をかすめる。しかし鬥嘩裟は動揺することなく、山野を前蹴りで突き放し、ボディにヒザ蹴りを突き刺す。
2R、ペースを掴んだのは鬥嘩裟。左前蹴りを山野の顔面とボディに上手く蹴り分け、距離を詰めさせない。パンチを振るって前に出て行く山野だったが、この前蹴りを裁ききれず、攻撃らしい攻撃が出せない。3Rに入ると鬥嘩裟は左前蹴りをバンバン当てて、完全に試合をコントロール。右ヒジを当てる場面もあり、山野を圧倒した。
判定はフルマークで鬥嘩裟。この勝利は日本のフライ級における鬥嘩裟の実力を証明する一戦となった。
▼第1試合
65kg契約 3分3R
○坂本洸己(チームドラゴン)
判定3-0 ※30-24、30-24、30-24
●ケンジロウ(山木)
渡部翔太の欠場を受けて急遽参戦が決まった坂本だったが、試合開始直後から強烈な左ミドルを軸にケンジロウを圧倒する。
さらに尾崎圭司の後輩でテコンドーの実績もある坂本はバックキックやカカト落しなど、テコンドー仕込の足技を披露。3Rにはダウンも奪い、代役出場ながら完勝を収めた。坂本は尾崎に続きテコンドー戦士として注目が集まる。
▼フレッシュマンファイト第2試合 70kg契約 2分3R
△嶽センチャイジム(NJKF・センチャイ)
ドロー 判定1−1
△岡田憲幸(チームドラゴン)
▼フレッシュマンファイト第1試合 54.5kg契約 2分3R
○桐生良昭(チームドラゴン)
判定2−0
●出貝泰佑(バンゲリングベイ)
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