↑現役ムエタイランカーの実力を見せ付けたアタチャイ。右隣はかつてアタチャイと2度にわたって激闘を繰り広げた鈴木秀明
M-1MC主催
「M-1 FAIRTEX SINGHA BEERムエタイチャレンジ
獲武−腕 物語 2007」
2007年6月3日(日)東京・ディファ有明
開場15:30 開始16:00
会場の入り口にはタイのタクシートゥクトゥクがディスプレーされ、色とりどりの風船やウィラサクレックジムの旗のデコレーション。会場内に足を踏み入れると臨時屋台からタイカレーの匂いが漂ってくる。お揃いのTシャツに身を包んだタイ人も多くいて、日本とは別の空間が広がっていた。
ムエタイジムのウィラサクレック・フェアテックスジムが主催するムエタイ興行『M-1』は、そんなタイ色たっぷりのイベントである。第6試合からメインイベントまでの6試合は全てタイ人が絡み、今回はタイ人同士の試合も1試合組まれた。
会場には多くの在日タイ人応援団も詰め掛け、まさに立錐の余地もない超満員。熱気あふれる中、ハイレベルな闘いが次々と繰り広げられた。
観客のお目当ては、何といってもメインイベントに登場した“生ける伝説”アタチャイ・フェアテックス3度目の来日。ムエタイ選手としては高齢の27歳になった今でもルンピニースタジアムのスーパーフェザー級5位にランクインしている鉄人である。
対する大宮司進のセコンドには魔裟斗が付き、リングサイドには山本“KID”徳郁、かつてアタチャイと2度対戦した鈴木秀明、全日本キックの山本元気&石川直生、そして解説席には佐藤嘉洋と豪華な顔ぶれが揃った。大宮司にはK-1の4タイムスチャンピオンのアーネスト・ホーストからのメッセージが届くというおまけ付き。
しかし、試合は一方的だった。アタチャイはほぼノーガードで膝から先がまるで別の生き物のように動く変則キック技を駆使し、大宮司を寄せ付けない。2Rに左ハイキックでダウンを奪い、3Rには左フックと左ストレートでダウンを追加。4Rにも左ストレートでダウンを奪ったところで、大宮司のセコンドからついにタオルが投入された。
「今日は実力の60〜70%くらいを使ったかな」とハニカミながら答えるアタチャイ。大宮司を「実力的には足りないけども、精神力が強い選手。もっと練習すればタイ人にも負けない選手になると思うよ」と称え、「日本で試合が出来て嬉しい。また日本に来て試合をやりたいね」と、4度目の来日を希望した。
アタチャイは翌日にタイへ帰国し、すぐに試合をやるためパリへ向かうという。まさに鉄人である。
セミファイナルで行われた「FAIRTEXカップ賞金100万円争奪マッチ」は、M-1ウェルター級チャンピオンのゲンナロン・ウィラサクレックと元ラジャダムナンスタジアム・ジュニアフェザー級チャンピオンのテーワリットノーイ・SKVジムが、お互いのプライドを賭けて激突し、好勝負となった。
日本で行われるタイ人同士の試合はいわゆる“ぬるい”試合になることが多いが、この一戦は大白熱! テーワリットノーイのセコンドには魔裟斗のトレーナーで天才と謳われたヌアトラニー、伝説の9冠王チャモアペット、さらにアラビアンが付く。
試合はテーワリットノーイがミドルキックと組んでのヒザ蹴りで主導権を握るが、ゲンナロンは右ストレート&ヒジで日本式のダメージを与える闘い方。3、4Rはそのスタイルで真っ向対決、5Rはお互いが勝利を確信して流す“ムエタイ式”となり、ダメージを重視した日本のジャッジでゲンナロンが勝利した。しかし、判定に納得のいかないテーワリットノーイ陣営は大騒ぎ、ペットボトルをリングに投げ入れるなど、一時騒然となった。
この日は、かつて全日本キックで山本元気と対戦したカノンスックとコムパヤックが揃って登場。
カノンスックは昨年11月にチャンピオンとなったサックシーが帰国のため返上したM-1フェザー級王座の決定戦に出場し、チームドラゴンのAKIRAと対戦。1Rから猛攻を見せたカノンスックが右フックで2度のダウンを奪い、1RでKO勝ちして新チャンピオンの座に就いた。
竹村健二と対戦したコムパヤックは、竹村の間合いを詰めたロー&右ストレートに苦戦を強いられながらも、一瞬の隙を突いた右ハイキックで逆転KO勝利。山本元気、藤原あらしに続いてのVS日本三連勝を飾っている。
濱崎一輝もクンタップに敗れ日本総崩れの中、日本期待の新星・19歳の中村元気が一人気を吐いた。ラジャサクレックを相手に落ち着いた試合運びのムエタイ・スタイルで闘い、ヒジでカットしてのTKO勝利。会長の山口元気は「もう何戦かタイで経験を積ませて、カノンスックの王座に挑戦させたい。あのベルトを巻かせたいですね」と、打倒ムエタイを愛弟子に託した。
<全試合結果>
▼メインイベント 第11試合 60kg契約 3分5R M-1ムエタイルール
○アタチャイ・フェアテックス(フェアテックス/元ルンピニースタジアム・ジュニアフェザー級王者&現・同スタジアムスーパーフェザー級5位)60.0kg
TKO 4R1分33秒 ※セコンドからタオル投入
●大宮司進(シルバーウルフ/M-1Sフェザー級王者)59.8kg
▼セミファイナル 第10試合 ミドル級 3分5R M-1ムエタイルール FAIRTEXカップ勝者100万円争奪マッチ
○ゲンナロン・ウィラサクレック(WSR・フェアテックス/M-1ウェルター級王者)71.6kg
判定3-0 ※50-48、50-48、49-47
●テーワリットノーイ・S.K.V.ジム(タイ/元ラジャダムナンスタジアム・ジュニアフェザー級王者)69.4kg
※ゲンナロンが賞金100万円を獲得。
▼第9試合 M-1フェザー級王座決定戦 3分5R M-1ムエタイルール
○カノンスック・ウィラサクレック(WSR・フェアテックス/元ルンピニースタジアム・バンタム級9位)56.9kg
KO 1R1分34秒 ※右フック
●AKIRA(チームドラゴン/J-NETWORKフェザー級2位)56.9kg
※カノンスックが第2代王座に就く。
▼第8試合 70kg契約 3分5R M-1ムエタイルール
○クンタップ・ウィラサクレック(WSR・フェアテックス/M-1スーパーウェルター級王者)69.8kg
判定3-0 ※三者とも50-47
●濱崎一輝(シルバーアックス/全日本キックボクシング連盟スーパーウェルター級3位)69.5kg
▼第7試合 フェザー級 3分5R M-1ムエタイルール
○コムパヤック・ウィラサクレック(WSR・フェアテックス)57.0kg
KO 3R0分53秒 ※右ハイキック
●竹村健二(名古屋JKF/シュートボクシング日本スーパーフェザー級1位)57.0kg
▼第6試合 フェザー級 3分5R M-1ムエタイルール
○中村元気(クロスポイントムサシノクニ/WBCムエタイ日本フェザー級5位)57kg
TKO 5R1分50秒 ※ヒジによるカット
●ラジャサクレック・ソーワラピン(WSR・フェアテックス)56.6kg
▼第5試合 スーパーフェザー級 3分3R M-1エクステンションルール
○中西一覚(谷山ジム/MA日本キックボクシング連盟スーパーフェザー級2位)58.8kg
判定3-0 ※30-29、30-27、30-29
●堀口貴博(WSR・フェアテックス)58.8kg
▼第4試合 ライト級 3分3R M-1エクステンションルール
○押炉花者(町田金子/NJKFライト級6位)60.1kg
延長R 判定3-0 ※三者とも10-9
●杉本剛之(WSR・フェアテックス)61.2kg
▼第3試合 ミドル級 3分3R M-1フレッシュマンズルール
○稲村直人(TEAM-1)72.5kg
判定3-0 ※三者とも30-28
●村山道洋(WSR・フェアテックス)71.2kg
▼第2試合 フェザー級 3分3R M-1フレッシュマンズルール
○一戸総太(WSR・フェアテックス)57.1kg
KO 2R2分59秒 ※3ノックダウン
●悟嗣(町田金子)56.9kg
▼第1試合 69kg契約 3分3R M-1フレッシュマンズルール
○根本雅文(習志野)68.5kg
判定3-0 ※30-27、30-27、30-28
●巧センチャイジム(センチャイ)68.0kg
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