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【全日本サンボ選手権】松本秀彦が九連覇! 若林と竹内が一回戦で敗れる波乱

2007/07/01



 7月1日(日)東京・スポーツ会館にて、日本サンボ連盟主催『第33回全日本サンボ選手権大会』が開催され、シニアの部・エスポワールの部・女子の部を含めた全15階級で全日本王者が誕生した。

 その中でも最も注目を集めていたのが、松本秀彦(木口道場)の九連覇がかかったシニア62kg級。若林次郎(パラエストラ東京EAST)のカムバックにより松本と若林によるライバル対決の実現に期待がかかったのだが…シードとして準決勝から登場し、安田博紀(日本ウェルネススポーツ専門学校)に2分36秒でテクニカル勝利した松本とは対照的に、若林は1回戦から大苦戦。

 佐藤昌栄(チームarbol)に2ポイントを奪われると、そのままタイムアップとなり、まさかの1回戦敗退となった。若林を下した佐藤は、準決勝の鈴木隆友(山田スポーツクラブ)に大外刈りで一本勝ちするものの決勝の松本戦を負傷欠場。結果的に松本が1試合のみの勝利でこの階級を制するという結末を迎えた。またパンクラスを中心に活躍する竹内出(SKアブソリュート)はシニア90kg級にエントリーしたものの、大野直人(明道館)に8-0のポイント負け、若林と共に1回戦敗退に終わっている。

 最優秀選手に輝いたのは小川拓也(チームarbol.MCLC)。05年の世界選手権74kgでベスト8に輝いた小濱裕司(スポーツ会館)やアジア選手権出場の鈴木康裕(スポーツ会館)らがエントリーするなど、最大22名が参加し激戦区の68kg級に出場した小川。一本勝ちこそなかったものの、堅実にポイントを重ねる試合運びで決勝まで駒を進め、決勝では石田一(新潟サンボクラブ)にポイントを先制されながらも、終盤にポイントを奪い返し、ラストポイントで優勝を掴み取る勝負強さを発揮した。

 2007年世界サンボ選手権大会の代表選考会も兼ねていた今大会。大会の実行委員長で、日本サンボ連盟・事務局事務局長を務める松本天心氏は、大会を振り返り「62kgの松本、68kgの小川、82kgの勢田は世界でも通用するレベルだと思います。

 世界を相手にした時に日本人は体格負けしてしまう部分があって、そこを直感してフィジカルを強化したのが松本なんですが、今大会の優勝者はどの選手も体力的なポテンシャルがある。あとは組み負けない力を発揮できるかどうか、ですね。世界大会までその部分をレクチャーしたい」と、世界選手権について語った。以下、大会の結果詳細は以下の通り。

日本サンボ連盟主催
「第33回全日本サンボ選手権大会」

2007年7月1日(日)東京・スポーツ会館
開会式9:30 予選開始10:00

<シニアの部・大会結果>

▼52kg級 決勝
○渡辺和久(木口道場)
ポイント12-2
●小野寺基泰(スポーツ会館)

 先に小野寺に片足タックルでポイントを奪われた渡辺は思わず苦笑い。しかしその後は小野寺のタックルを切って、バックからのアキレス腱固めや腕十字など関節技を仕掛け、投げや押さえ込みでポイントを加算して、終わってみれば大差のポイント勝利。渡辺がその実力を見せ付けた。


優勝 渡辺和久
(木口道場)
準優勝 小野寺基泰(スポーツ会館)
3位 櫻井洋行(スポーツ会館)、大石健二(三多摩サンボスクール)


▼57kg級 決勝
○岡崎浩史郎(三多摩サンボスクール)
ポイント2-2 ※ビッグポイント
●伊藤 要(三多摩サンボスクール)

 投げでポイントを先制した岡崎だったが、その後は伊藤が猛然と反撃。一本背負いを中心とした投げ技を仕掛け、亀になる岡崎に何度も腕十字を仕掛けていく。しかし伊藤は試合途中に左腕を負傷、痛みをこらえて反撃を試みたものの、ポイントを逆転するまでには至らなかった。


優勝 岡崎浩史郎
(三多摩サンボスクール)
準優勝 伊藤 要(三多摩サンボスクール)
3位 小坂井 宏(日本ウェルネススポーツ専門学校)、柴生田大輔(スポーツ会館)


▼62kg級 決勝
○松本秀彦(木口道場)
不戦勝 ※佐藤が怪我により棄権
●佐藤昌栄(チームarbol)

▼62kg級 準決勝
○松本秀彦(木口道場)
テクニカル一本 2分36秒
●安田博紀(日本ウェルネススポーツ専門学校)

 開始早々から足技、引き込み返しで次々にポイントを重ねる松本。その後も安田を抑え込みから抱えあげて投げつけるなど、一方的な松本ペースで試合が進む。松本は寝技になっても落ち着いて、亀になった安田の足を狙うなど関節技も仕掛けて、最後は足技で安田をこかしてポイントを得て、13-0でテクニカル一本勝ちを収めた。


優勝 松本秀彦
(木口道場)
準優勝 佐藤昌栄(チームarbol)
3位 安田博紀(日本ウェルネススポーツ専門学校)、鈴木隆友(山田スポーツクラブ)


▼68kg級 決勝
○小川拓也(チームarbol.MCLC)
ポイント2-2 ※ラストポイント
●石田 一(新潟サンボクラブ)

 低い構えからタックルでテイクダウンを狙う石田に対し、小川はそれを潰して腕十字を狙う。これを凌いだ石田は小川の投げを潰して押さえ込む。ここは必死に逃げる小川。その後も石田がタックルで攻め続ける。しかし石田にテイクダウンを奪われた小川が横三角絞めのような態勢で、石田の体を引っくり返すと、そのまま押さえ込み。ポイントは同点だったものの、ラストポイントにより小川が優勝を手にした。


優勝 小川拓也
(チームarbol.MCLC)
準優勝 石田 一(新潟サンボクラブ)
3位 中島大輔(三多摩サンボスクール)、大原裕樹(木口道場)


▼74kg級 決勝
○及川祐輔(三多摩サンボスクール)
ポイント7-0
●庵 孝洋(スポーツ会館)

 及川は試合開始直後の飛び付き腕十字を皮切りに、タックルからのテイクダウン、腕十字やアキレス腱固めなどで何度も関節技にトライし、ポイントを加算していく。試合終盤には腕十字をガッチリ極めかける場面があったものの、ここは庵が必死のディフェンス。庵の逆転の足関節をディフェンスした及川がポイント勝利となった。


優勝 及川祐輔
(三多摩サンボスクール)
準優勝 庵 孝洋(スポーツ会館)
3位 嘉見俊宏(山田スポーツクラブ)、井上雄策(日本ウェルネススポーツ専門学校)


▼82kg級 決勝
○勢田誠一(TEAM KAZE)
一本 0分28秒 ※膝十字固め
●立野仁徳(チームarbol.MCLC)

 足をすくってテイクダウンを奪った勢田が電光石火の足関節! 最後は膝十字固めでタップを奪った。MVPこそ小川に譲った勢田だが、大会を観戦していた長谷川秀彦は「立野選手も(準決勝の)水野選手も本当に強い柔道家。その選手にサンボの技術で勝ったという部分で個人的にはMVPです」と勢田を絶賛した。


優勝 勢田誠一
(TEAM KAZE)
準優勝 立野仁徳(チームarbol.MCLC)
3位 水野健二(ポゴナクラブジム)、吉岡直樹(日本ウェルネススポーツ専門学校)


▼90kg級 決勝
○千葉記位(SKアブソリュート)
ポイント2-1
●小澤幸康(TEAM KAZE)

 講道館杯ベスト8、全日本実業団体重別選手権3位ほか輝かしい柔道の実績を誇る現役柔道家で、SKアブソリュートのサンボ世界戦略の秘策として登場した千葉だったが、サンボの経験豊富な小澤に苦戦。2-1という僅差のポイント勝利となり、改めてサンボの奥深さを味わう結果に終わっている。


優勝 千葉記位(SKアブソリュート)
準優勝 小澤幸康(TEAM KAZE)
3位 大野直人(明道館)、榊原啓三(木口道場)




▼100kg級 決勝
○中西良行(無所属)
一本 2分42秒 ※肘関節
●久原雅史(TEAMてち)

 田矢信二(無所属)が棄権となり、ワンマッチ決勝となったこの階級。中西が序盤からどんどん投げを打っていき、久原は防戦一方の展開となってしまう。中西は腰投げでテイクダウンを奪うと、そこからアキレス腱固め。苦悶の表情を浮かべる久原だったが、ここは何とか耐えてスタンドでの再開。しかし再開後、中西が再びテイクダウンを奪うと、あっさりとサイドに移り、ストレートアームバーのような形で久原の肘関節を極めた。


▼100kg級 
優勝 中西良行(無所属)
準優勝 久原雅史(TEAMてち)


▼100kg超級 決勝
○岩澤裕太(学館総合技術OBクラブ)
一本 1分14秒 ※払い腰
●山田克己(手塚道場)

 最重量級の一戦だけに、動きの少ない試合になるかと思われたが、体格に勝る岩澤が豪快な払い腰で一本勝ち! 100kgを越える山田が大きく宙を舞う場面に会場がどよめいた。


優勝 岩澤裕太(学館総合技術OBクラブ)
準優勝 山田克己(手塚道場)

<女子の部・結果>



▼参考試合
○塩田さやか(AACC)
一本 1分52秒 ※膝十字固め
●八木沼志保(アンプラグド国分寺)

 参加者が1名だったため、階級の違う二人が参考試合とした対戦した。試合はAACC優勝の快挙を成し遂げた塩田が圧倒。引き込みながらの腕十字を極めかけ、最後は引き込むようにグラウンドに持ち込んだ八木沼にがっちりと膝十字を極めた。

▼48kg級
優勝 八木沼志保(アンプラグド国分寺)

▼56kg級
優勝 塩田さやか(AACC)

<エスポワールの部・大会結果>

▼68kg級
優勝 嶋田元紀(日本ウェルネススポーツ専門学校)
準優勝 丸山航平(日本ウェルネススポーツ専門学校)

▼74kg級
優勝 鈴木泰輔(暁星高校)
準優勝 遠藤総司朗(八戸工業大学)

▼82kg級
優勝 武内晃弘(大阪商業大学)
準優勝 原 総一郎(三多摩サンボスクール)

▼100kg級
優勝 山本真輝(大阪商業大学)
準優勝 崩 孝介(八戸工業大学)


【関連リンク】
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