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【ZST】蘇ったリングスルールで“闘う社長”伊藤健一が快勝、所英男へ挑戦状

2007/09/09



ZST事務局
「SWAT!-RX1」

2007年9月9日(日)東京・ゴールドジムサウス東京アネックス
開場15:30 開始16:00

 掌底による打撃とロープエスケープを認めたリングスルールの大会がZSTのリングで復活! 懐かしいこのルールでやってみたいと希望した選手を中心に、ZST初の女子マッチやタッグマッチなど全7試合が組まれ、開始から終了まで約1時間半というスピーディーな興行となった。

 大会の開催宣言はSWAT! RX-1スーパーバイザーに就任した所英男が務め、「前田日明さんのご好意で全試合リングスルールで行います。慣れないルールで魅せるのは難しいかもしれませんが、選手一同全力で頑張りますので温かく見守ってあげてください」と挨拶。続いてリングスのテーマによる全選手入場式が行われている。

 選手を代表して挨拶に立ったのは、かつてZSTのリングで所とこのリングスルールで対戦したことのある佐東。

「旧パンクラスルールの試合にお越しいただきありがとうございます」と言って関係者からひんしゅくを買い、「このルールでしか見られない攻防もありますので楽しんで下さい」と挨拶しただけで、「僕の試合は制裁マッチ的なマッチメイクだと思うので、若い力にも所スーパーバイザーの陰謀にも負けません!」と自分の試合だけを大いにアピールする。

 試合はロープエスケープはもちろん、掌底やボディへの素手でのパンチによる打撃音、クロスヒールホールドまで飛び出して懐かしいながらも新鮮なシーンが多く見られたが、試合後の関係者の意見は厳しかった。

 所スーパーバイザーは「(このルールは)難しい……」のひとこと。「ただ、いつもより元気のいい人もいました。伊藤さん、竹田さん、佐東さんはイキイキしてましたよね。いいルールだと思うんですよ。これがもっと盛り上がってくればいいな。今回はお客さんがどう見たらいいか分からない、という感じがしました。SWAT!みたいに続けていくことで成功すればいいな、と思います」と総括。

 さらに「このルールを絶やさないようにしたいです。金網全盛時代にこのルールが盛り上がれば、と思う。いろんなシーンや技が見られるから面白いと思うんですよ。高阪さんも、バーリトゥードの時代が終わったらリングスルールの時代がまた来ると言われてましたよね? 僕も単純にやりたいです」とリングスルールへの愛情を語る。

 ベストバウトにはメインとセミファイナル、高校生の山田哲也が勝利した第2試合を挙げ、「女子の試合もよかったですね。タッグマッチでは大村さんが光ってた。いつもより動きがよかったんじゃないですか」と語った。

 上原広報はもっと厳しく、「案の上の結果でした。メインは面白かったんですが、このルールは難しいですね。試合をもっと面白くしようとする意識が空回りしているところがありました。メインは取られることを恐れずにどんどん仕掛けていったじゃないですか。そこを見習って欲しいですね。エスケープでポイントを失うことを怖がらないでやって欲しい」とバッサリ。

 RXシリーズは11月にも開催する予定だったが、これをグラップリングの大会に変更し、「来年改めてしっかりと考えてやりたい」と第2回大会の延期も発表。「SWAT!の流れの中でやったので、負けることによって次の試合が組まれないんじゃないかというのが選手の中にあったのかも。別の枠で考えて欲しかったんですが…」と、試合数なども含めて主催者側にも反省点が多い大会だったと総評。

「このルールで強い、という選手を作りたい。お客さんはどう考えるか分かりませんが、リングスルールにこだわりを持ってやりたいんです。このルールが面白くて格闘技を始めたという選手もいるし、やりたいという選手もけっこういます」と、リングスルールを今後も普及させていきたいと上原広報は語った。




▼メインイベント ライト級シングルマッチ 10分一本勝負
○伊藤健一(ALLIANCE-SQUARE)
一本 3分52秒 ※アキレス腱固め
●奥出雅之(ゴールドジムサウス東京)

「1989年8月13日、高田延彦VS船木誠勝戦の時の船木のコスプレ」(本人談)で現れた伊藤に対し、奥出は派手な和柄のロングガウンで入場。ロープ際で溜めの時間を作ってゆっくりとガウンを脱ぐ奥出のパフォーマンスに対し、伊藤はコーナーに上って一本指で指すパフォーマンス。

 お互いに独特の構えをして対峙し、奥出の左ミドルをキャッチした伊藤がすぐにアキレス腱固め! 速攻でロープエスケープを奪う。このアキレス腱固めで奥出は膝を痛めた様子だったが、立ち上がってローと掌底の応酬を繰り広げる。

 伊藤のヒザ蹴りをもらった奥出はタックルでテイクダウン、インサイドガードからボディへのパンチとモンゴリアンチョップ。立ち上がると、お互いに片手を伸ばして指を組み合わせるプロレス流の力比べで場内を沸かせる。

 立ち上がると奥出が再びテイクダウン、バックに回ってスリーパーを狙うもブレイク。その後も奥出がテイクダウンを奪い、ボディへパンチを叩きつけるが、立ち際に伊藤が下からのアキレス腱固め! これで奥出がタップ!

 大喜びする伊藤はトップロープから転落する勢いで観客に勝利をアピールした。

 続いてのマイクパフォーマンスでは、「奥出選手、僕の挑戦を受けてくれてありがとう。何回でも闘います」と言うと、「まだまだ顔じゃないけど、僕の夢は所さん、あなたと闘うことです! HERO'Sの所さんもカッコいいけどリングスルールの所さんはもっとカッコいい! 闘う社長と闘うフリーターの闘いで面白いと思います! リングスごっこの真剣勝負でお願いします!」と、所英男に挑戦状を叩き付けた。

 この挑戦を受け、所は「個人的には全然いいんですけど…単純にこのルールでやりたいなと思うので。機会があればやります」と、いつ何時誰の挑戦でも受ける構え。マイクアピールで対戦を迫られたのは初めてのことで、「悪い気はしなかったですね」と笑った。

 しかし、上原広報は「順番にやってきたいので…まずは普段の試合で頑張ってください」と、伊藤にSWAT!やZSTで実績を作ることを条件にしている。

●伊藤のコメント
「僕は小学生の頃からUWFごっこをやっていたので、絶対に負けるわけがないと思っていました。今日は一番好きな船木さんのコスプレです。10分一本勝負は難しいですね。高阪さんから5分2Rよりラクだと言われたんですが、途中でだらけてしまった。所さんみたいにずっと動き続けないと。

 掌底はバスケットボールをやっていた時から、ボールを奪うのを掌底でやっていたのでバッチリです。足を取ってしまえば絶対に僕の勝ちだと思っていました。でも、奥出選手が足を警戒していたし、なかなか取らせてくれませんでした。

 僕は社長なので演説は得意なんですよ(笑)。所さんはいつでもいいのでリングスルールで闘いたい。社長VSフリーターの究極の闘いなので、日本経済を左右するビッグフェスティバルになると思います。広告代理店とか就職情報の企業とかも応援して欲しい。

 奥出選手に勝ったので、次はリングスルールでリングス・オランダかリングス・リトアニアの選手とやりたいです。前田さんにもぜひ見て欲しい…でもやっぱり怖いです(笑)。

 高阪さんに週2回個人練習をやっていただいたので、負けるわけにはいきませんでした。ZSTはPODの人たちが中心になってますが、向こうはヤマケンさんだからUインター、リングスルールなら高阪さんに教わっている僕でしょう。今回、高阪さんにはリングスルールの闘い方を教わったし、高橋義生さんには掌底を教えてもらったり、金原弘光さんともお話が出来たりしたのでよかったです」


▼セミファイナル ウェルター級シングルマッチ 10分一本勝負
○竹田誠志(U-FILE CAMP町田)
一本 1分45秒 ※腕ひしぎ十字固め
●佐東伸哉(P’sLAB東京)

 試合開始と同時に突っ込んでタックルに行った佐東、竹田に打撃で返されると胴廻し回転蹴りの奇襲戦法から寝技に行こうとするも、上になったのは竹田。腕十字を取られるかけるが、それでも佐東はトップポジションを奪い、ジャンプしてのパスガード。

 しかし、竹田は蹴りで佐東のバランスを空中で崩してバックを奪い、スリーパーホールド! これで佐東がエスケープ。スタンドに戻ると掌底の打ち合いから竹田がバックを奪い、亀になった佐東を腕十字で仕留めた。


▼第5試合 フライ級シングルマッチ 10分一本勝負
△矢島雄一郎(禅道会総本部)
ノーコンテスト
△高橋正典(フリー)

 矢島がローを連打してスタンドで有利に立っていたが、組んだ高橋が飛びついて寝技に引き込む。中腰になった矢島がボディへ強烈なパンチを見舞っていくと、三発目が高橋のアゴへモロに入ってしまい試合は一時中断。

 2分16秒の時点でダメージの回復を待って試合は後回しとなったが、メインが終わっても高橋は回復することが出来ず、ノーコンテストという結果になった。


▼第4試合 フェザー級タッグマッチ 15分一本勝負
○西哲也(B-CLUB)&大村朗(フリー)
ポイント優勢勝ち ※1エスケープ
●清水俊一(宇留野道場)&清水俊裕(同)

 清水チームは同時にトップロープを飛び越えてリングインすると、仮面ライダーの変身ポーズのパフォーマンス。

 大林がバチバチと掌底を決め、蹴りにも掌底を合わせるなど大活躍。俊一はローキックやカニバサミを繰り出し、俊裕は西にスリーパーを極められそうになるも転がって俊一にタッチするなど見せ場を作る。

 しかし、大村にヒールホールドを掛けられた俊裕がロープエスケープを使ってしまい、これが決定点となった西&大村組が勝利した。


▼第3試合 フェザー級シングルマッチ 10分一本勝負
△片山 伸(T-Pleasure)
時間切れドロー
△岸 貴之(クロスワンジム湘南)

 片山はクロスヒールホールドやカニバサミからの足関節などを繰り出し、リングスチックな動きを見せたが、岸が長い時間トップをキープしてパスガードもしていく。足関節技の取り合いなどもあったが、有利なポジションを奪いながら片山は極めることが出来ず、時間切れドローとなった。


▼第2試合 フェザー級シングルマッチ 10分一本勝負※RX特別ルール(首から上の打撃なし)
○山田哲也(しんわトータルコンバット)
一本 5分53秒 ※アームロック
●竹内宏典(バトラーツジム「B-CLUB」)

 ミドルキックの相打ちから、倒れた竹内が下から足を絡ませてヒールホールド、山田もアキレス腱固めを仕掛けたのを皮切りに、両者が関節技を狙ってめまぐるしく体勢を上下に入れ替える。

 最後は山田がスリーパー→ボディパンチ→腕十字と仕掛けていき、アームロックで竹内を仕留めた。

 山田はまだ高校生の17歳ということで、首から上の打撃なしの特別ルールでの試合となったが、18歳になる来年からは本来のルールにチャレンジする予定。小谷ヒロキが「逸材を見つけた。弟の直之の10倍素質があるかも」とその潜在能力を買っているという。


▼第1試合 ミニマム級シングルマッチ 10分一本勝負
○玉田育子(AACC)
一本 7分34秒 ※スリーパーホールド
●奥村ユカ(S-KEEP)

 ZST初の女子マッチ。ローキックの蹴り合いから掌底の応酬が始まると、バチンッ! という音が場内に響き渡り、どよめきが起こる。

 スタンドでは奥村が蹴りを中心に攻めるも、グラウンドになると一方的な玉田ペース。2度のブレイクを経て、玉田が肩固めからバックへ回ってのスリーバーで勝利した。

【関連リンク】
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