(左から)青木真由美、清水清隆、MVPの小宮山工介、仲江川裕人、阿佐美宏明。各階級トーナメント王者に「KAMINARIMON
CLIMAX王者の証」としてツールドフランス「マイヨ・ジョーヌ」をモチーフにした、王者のみ着用が許される「KAMINARIMONラッシュガード」が授与された。
KGS
「INNER WARP presents KAMINARIMON CLIMAX’07」
2007年9月16日(日)東京・ゴールドジムサウス東京アネックス
計量10:00〜10:45 試合開始11:00
■「KAMINARIMON CLIMAX’07」60Kg級トーナメント
優 勝 小宮山工介(北斗会館)
準優勝 石井新一(TARGET)
これまでTATSUJI、尾崎圭司、水谷秀樹などR.I.S.E.でプロデビューし、打撃格闘技界で活躍している選手は多数。その選手たちの原点になったと言っても過言ではないのが、R.I.S.E.アマチュア部門のKAMINARIMONだ。
今回もプロデビューを目指して多くの選手が参加、女子を含む5階級でトーナメントが行われた。
BクラスとCクラスのワンマッチも含み全73試合という長丁場の中、一際その活躍が目を惹いたのは60Kg級トーナメントで優勝&MVPを獲得した小宮山工介(北斗会館)だ。
小宮山は現在R.I.S.E.でプロ活動を行っている“元祖・天才空手少年”小宮山大介の弟。工介は幼少の頃から兄の大介と共に空手家である父から空手を学び、数々の大会で優勝を果たして天才空手兄弟と呼ばれた。
兄の大介は優勝経験がなんと43回もあるが、弟の工介は「今回で優勝トロフィーはたぶん67〜68本目。70本はいってなかったと思います」とそのさらに上を行く天才空手少年ぶりを発揮している。まさに“優勝トロフィーコレクター”である。
工介がキックボクシング転向を決意したのは、兄の大介がプロデビュー戦でKO負けを喫したのがきっかけだった。「兄の影響ですね。デビュー戦を見てやられたんで、これは二人で頑張るしかないと思いました。キックに転向したのは今年の2月なので、今は7ヵ月目くらいですね」
フルコンタクト空手からキックに転向した場合、最も難関となるのは多くの空手大会で禁止されている顔面パンチだ。しかし、工介は「空手に顔面ありが加わったという感じで、特に戸惑いはありませんでした」と強心臓ぶりを発揮。「空手でも僕は一本勝ちが多くて倒すスタイルだったので、キックの方が向いていると思う」と自ら言ってのけた。
キックは兄の大介と共に“ミスターキックボクシング”伊藤隆のジムであるTARGETで練習しているが、工介が変わっているのは自然を利用した練習を行っているということ。実家のすぐ近くに山があり、一人で登山をするのだという。「人間にも動物的勘、本能があると思うので山の中に行くとそういうものが閃いたり、能力を高められると思う」と工介。
8月5日に初めてアマチュアR.I.S.E.に出場してキックボクシングスタイルの試合を行い(KO勝ち)、「その翌日には山へ行って滝浴びをしてきました」というのだからまさに自然児。
今回の試合は1回戦をKO勝ち、2回戦はヒザ蹴りの連打でダウンを奪っての判定勝ち。
準決勝ではローキックに右ストレートをタイミングよく合わされてダウンを奪われたが、「絶対に倒せる自信があったので焦りはなかった」と猛攻を展開、残り時間30秒を切ったところでヒザ蹴りのラッシュでダウンを奪い返すという勝負強さも見せている。
さらに、この試合の最後には前方へ一回転してからボレーシュートのように蹴るアクロバティックな大技も披露。本人によれば「まだ未完成の技なので完成させていきたい」という。
決勝戦では「勝ちに拘った試合をしてしまいましたが、一番最後の試合だったのでメインっぽい試合をやろうと思いました」とのことで、後ろ蹴りや後ろ廻し蹴りなど派手な技も繰り出しつつ、判定3−0で勝利を収めた。
工介は60Kg級、兄の大介は70Kg級であり、兄弟の夢は「両方でトップに立ちたい」というもの。今回の優勝で年内のプロデビューがほぼ決定となり、兄の後を追ってプロ格闘家・小宮山工介が誕生することになる。
■「KAMINARIMON CLIMAX’07」55Kg級トーナメント
優 勝 清水清隆(UPSTREAM)
準優勝 須藤雄大(学習院大学キックボクシング部)
清水は総合格闘技でプロを目指す選手、来月にはZSTのアマチュア大会に出場することも決定している。須藤はKAMINARIMON責任者・山口元気氏の母校である学習院大学キックボクシング部所属。某ジムにも通っているということだが、学校のクラブ活動の選手が有名ジムの選手たちを撃破して決勝に進出するというのは珍しい。
決勝戦は延長戦にまでもつれこんだが、清水が蹴り足を掬ってのパンチや、蹴り足を掴んでコカすなどの技を駆使して優勢を印象付け、判定3−0で優勝した。「最悪。元々総合なので意識していたのに組むのが多かった」と清水は反省の弁。「今後は総合でプロを目指すと共にアマチュアキックの大会にもちょくちょく出ようと思っています。目標とする選手は山本“KID”徳郁選手とシーザージムの緒形健一選手です」と語った。
■「KAMINARIMON CLIMAX’07」65Kg級トーナメント
優 勝 仲江川裕人(如心館栃木支部)
準優勝 成本文明(TARGET)
新空手交流大会でも優勝経験があり(しかも、決勝戦では全日本キックでデビューして大きなインパクトを残した卜部功也に2度勝利)、2007年度新空手個人ランキング1位の仲江川が圧倒的な強さを発揮した。
全日本キックボクシング連盟ライト級チャンピオンの増田博正にも教えを受けているという仲江川は、2回戦を左ハイキックで秒殺KO勝ち。準決勝は2−1のスプリットだったが、決勝では成本に本戦で3−0の判定勝ち。パワフルな左フックとハイキックでどんどん前に出て行くスタイルが印象に残った。
■「KAMINARIMON CLIMAX’07」75Kg級総当り戦
優 勝 阿佐美宏明(パワーオブドリーム)
準優勝 斎藤健一(龍道場)
3選手による総当たり戦となったこの階級は、第1試合で内山裕助(バンゲリングベイ)が斎藤にKO負けしたため、阿佐美との一騎打ちとなった。「ワンツーストレートを特に練習してきた」という阿佐美。本戦は1−1のドローで延長戦になったが、「毎回の練習の成果として手数とスタミナでは絶対に負けないと思った」という自信から斎藤を振り切り、3−0の判定勝ちで優勝。
「何が何でもプロになりたいと思っていて、この大会で優勝したらプロになれると聞いたので頑張りました」と完全プロ志望の阿佐美。目標とする選手は「山内裕太郎選手と郷野聡寛選手です」となかなか渋い。今回は75Kgでの出場となったが、「R.I.S.E.で勝ち進んで年末のDoAトーナメントに出られるように頑張ります」と今後の目標を語った。
■「KAMINARIMON CLIMAX’07」女子52Kg級総当り戦
優 勝 青木真由美(ガムランナック)
準優勝 小澤聡子(龍道場)
スマックガールのリングでプロ総合格闘家として活躍、「The
Next Cinderella Tournament 2007」のミドル級で優勝した弁慶が本名の青木真由美で出場した。プロの総合の選手でありながら、打撃のアマチュア大会に出場したのは「去年もこの大会に出場したんですが準優勝だったので、絶対に優勝したいと思って。あと元々キックボクシングがベースなので、キックの試合にも出たいと思っているので経験値を上げようと思った」というのはその理由。
この階級も3選手による総当り戦となり、青木が試合後はへたり込むほどパンチで前に出続け、2試合で判定勝利。念願の優勝を手にした。「この1年間練習してきたし、体重が重かったので力強かったですね」と勝因を語る清水。王者の証であるラッシュガードを受け取って「ちょっと得しました。ことある毎に着ます」と笑った。
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