9月24日(月・祝)東京・北沢タウンホールにて、IF-PROJECT『Giグラップリング2007 ジャパンオープントーナメント』が開催され、UFCにも参戦している中村K太郎(和術慧舟會東京本部)が無差別級トーナメントを制した。
寝技の神が降臨した。そんな場面の連続だった。各種組み技大会でバックからの裸絞めで一本勝ちを量産し続け、“裸十段”の異名を持っていたK太郎が、今大会でも並みいる強豪柔術家たちからバックを奪いまくって優勝を果たしたのである。 トーナメント1回戦でK太郎と相対したのは本間祐輔(パラエストラ札幌)。K太郎よりかなり体重は軽いものの、今年のムンジアルでは黒帯ガロ級で準優勝を果たしている柔術家だ。「久しぶりの国内の試合でかなり緊張していた」と初戦を振り返ったK太郎は、開始直後、アームドラッグからのタックルで本間に引き込みを許すと、いきなり三角絞めの形に入られてしまう。 このピンチを腰を浮かしながら頭を引っこ抜いて凌いだK太郎だったが、軽量級特有のスピーディな動きと体の小ささが影響し、パスガード寸前までは行くものの、ポイントを奪うまでには至らない。 しかし粘り強くパスガードを仕掛け続けたK太郎は、本間のフックガードを手で押しながら腰を切ってパスガードに成功すると、押さえ込まれるのを嫌って亀になろうとした本間の動きに合わせて一気にバックへ。そして足をフックするのと同時に首元に手を滑り込ませ、電光石火の裸締めで3分26秒、一本勝ちを奪った。 続く準決勝では、柔術の試合で青木真也に勝ったこともある黒帯柔術家の渡辺直由(トライフォース)と対戦。アームドラッグの攻防からK太郎がグラウンドで上になると、得意だという頭から飛び込むようなパスガードでプレッシャーをかけて、渡辺の一瞬の隙をついてバックへ。
そして1回戦以上のスピードで裸絞めの態勢に入ると、必死に粘る渡辺の首を締め上げて、わずか44秒で一本勝ち。テクニックには定評のある渡辺を秒殺で下すという、ビッグサプライズを起こした。 そして決勝戦になってもK太郎の勢いは止まらない。対戦相手のクリスチアーノ上西(ブラジル)は体重90kgを越えるヘビー級ファイターで、フィジカルでは明らかにK太郎を上回る選手だったものの、立ちレスの攻防から思い切りのいい両足タックルでクリスチアーノからテイクダウンを奪う。
そしてクリスチアーノの膝をさばきながらパスガード。ポイントを許すまいと起き上がろうとしたクリスチアーノの背後に回ると、鮮やかにバックでポイントを奪ったのだ。 結局、「足の力がなくなってしまって、チョークを極められなかった」(K太郎)ため、一本勝ちこそ逃したものの、ポイント6-0でクリスチアーノに完勝。
振り返ってみれば3人の黒帯柔術家からバックでポイントを奪うという快挙とも言うべき試合内容で、K太郎がトーナメントを制した。 試合後、K太郎は「僕くらいになると自然とバックチョークの態勢になるのかな、みたいな(笑)」と冗談を交えながら喜びの声。
「やっと自分が裸十段だということを証明できたかなと思います。まあでも周りにそう呼ばれない限りでは、裸十段を名乗れないですけど」と謙遜したK太郎だったが、この日の活躍を見れば、中村K太郎=裸十段は決して大げさではなく、むしろK太郎を現すに相応しい異名だと言える。 今後の目標について「グラップリングで負けているんで、アマゾン、待ってろよ(笑)!」とK太郎。また年内に総合の試合をする可能性を示唆し「UFCなど総合格闘技でも活躍したい」と今後の飛躍を誓った。
IF-PROJECT 「Giグラップリング2007 ジャパンオープントーナメント」 2007年9月24日(月・祝)東京・北沢タウンホール 開場18:00 開始18:30 <全試合結果> ▼メインイベント Giグラップリング2007 ジャパンオープントーナメント決勝 7分1本勝負 ○中村K太郎(和術慧舟會東京本部/推薦選手) P6-0 ●クリスチアーノ上西(ブラジル/AXIS柔術アカデミー/推薦選手) ▼セミファイナル Giグラップリング2007 ジャパンオープントーナメント準決勝 7分1本勝負 ○クリスチアーノ上西(ブラジル/AXIS柔術アカデミー/推薦選手) P11-0 ●レオナルド・フランカ・ノゲイラ(ブラジル/“ペケーニョ”ノゲイラファイトチーム/リザーバー) ※田中達憲が負傷欠場のため ▼第7試合 Giグラップリング2007 ジャパンオープントーナメント準決勝 7分1本勝負 ○中村K太郎(和術慧舟會東京本部/推薦選手) 一本 0分44秒 ※裸絞め ●渡辺直由(トライフォース/推薦選手) ▼第6試合 Giグラップリング2007 ジャパンオープントーナメント1回戦 7分1本勝負 ○クリスチアーノ上西(ブラジル/AXIS柔術アカデミー/推薦選手) P4-0 ●若林琢磨(MAXJiu-Jitsuアカデミー/関東ブロック代表) ▼第5試合 Giグラップリング2007 ジャパンオープントーナメント1回戦 7分1本勝負 ○田中達憲(和術慧舟會兵庫支部/関西ブロック代表) レフェリー判定 P0-0 AD1-1 ●角田憲之(AXIS柔術アカデミー/ADCC全日本選手権優勝) ▼第4試合 Giグラップリング2007 ジャパンオープントーナメント1回戦 7分1本勝負 ○渡辺直由(トライフォース/推薦選手) 一本 5分31秒 ※腕ひしぎ三角固め ●小鈴 靖(AXIS柔術アカデミー福岡/九州ブロック代表) ▼第3試合 Giグラップリング2007 ジャパンオープントーナメント1回戦 7分1本勝負 ○中村K太郎(和術慧舟會東京本部/推薦選手) 一本 3分26秒 ※裸絞め ●本間祐輔(パラエストラ札幌/北海道ブロック代表) ▼第2試合 Giグラップリング2007 ジャパンオープントーナメントリザーブマッチ 7分1本勝負 ○レオナルド・フランカ・ノゲイラ(ブラジル/“ペケーニョ”ノゲイラファイトチーム) P13-0 ●村田卓実(和術慧舟會A-3) ▼第1試合 オープニングファイト 7分1本勝負 ○佐藤逸人(パラエストラ松戸) 一本 1R3分9秒 ※アンクルホールド ●西林浩平(GRBAKA柔術クラブ)
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