新日本キックボクシング協会
「MAGNUM15」
2007年10月21日(日)東京・後楽園ホール
開場16:45 開始17:00
▼メインイベント2 日本バンタム級タイトルマッチ 3分5R
○深津飛成(同級王者/伊原道場)
判定3-0 ※三者とも50-46
●阿部泰彦(挑戦者・同級2位/JMN)
※深津が2度目の防衛に成功。
王者・深津と挑戦者・阿部は今年3度目の対決。初対戦の1月は深津がダウンを奪われるもドロー、7月の2度目の対戦では阿部が判定で勝利を収めている。深津にとってはタイトルとリベンジを賭けての決着戦となった。
1R、深津は回り込みながらのパンチを狙い、阿部は左ミドルキック。阿部のセコンドから「左フックだけ気をつけろ!」と声が挙がった次の瞬間、阿部がローを蹴るところに深津の左フックがヒット! 先制のダウンを奪う。阿部は左ミドルで追撃するも、深津は左フックをチラつかせながら左ローも効かせていく。
2R、阿部が力のこもった左ミドル&右ローを連発、深津の動きがやや鈍くなったように見える。阿部の度重なるローキックによるローブローとバッティングがあり、深津が苛立って声を荒げる場面も。
3R、圧力を掛けて蹴りで前に出る阿部に、深津はワンツーから左ロー。脚を効かされている阿部はバランスを崩して転倒する場面が多い。阿部は組み付いてヒジを強打するが、深津はその前にバッティングがあったとアピールし、リング上は不穏なムードに。
4R、阿部がボディ打ちからパンチで攻めた所でまたもバッティングになってしまい、試合は一時中断。深津は苛立ちを隠せない。再開後、深津はハイキックを狙いつつ左ロー、阿部は右ミドルを全力で蹴っていく。
5R、バッティングをもらった深津が怒りの攻め、左フックからの右ストレートでこの試合2度目のダウンを奪う。左ミドル&右ローで食い下がる阿部に対して回り込みながらのパンチ上下打ち、深津が自分のペースを守りきって判定勝利を収めた。
師匠でもある伊原代表から賞状を受け取ると、深津は堪えきれず男泣き。「本当に辛いことがいっぱいあって……」とマイクを握るもほとんど言葉にならない。「リングから去らなきゃいけないような辛い時期を支えてくれた」と深津は応援に来ていたお母さんと、リングサイドで応援に来ていたコブクロの2人をリングに上げて記念撮影に収まった。
「1Rは何で倒れたのか判らなかった。5Rはストレートが上手く当たりましたね。最初のバッティングが左目の眼球に当たって、“この野郎!”と思っちゃったんですが、イライラするなと会長に怒られました。前回やった時もローブローは何回もあったけど、2度ももらう方が悪い」と深津。
リング上で号泣した理由は「今回、毎日会長が朝から晩まで付きっ切りで面倒を見てくれたんです。忙しいのに、俺を強くするためだけに。体重もなかなか落ちなくて弱気になっていた時に引っ叩かれて、スゲー気合いが入りました。やっぱり俺はこの人が好きなんだって思って…トシをとって涙もろくなったのかな」と、伊原会長への感謝の気持ちだったという。
続いて、応援に来てくれたコブクロへの熱い想いも語った。「コブクロが凄く好きで。ずっとタイにいて試合の時だけ日本に帰ってくるという生活をしていた時に、たまたま聞いたCDがコブクロだったんです。『DOOR』って曲があって、“夢を見ることが全てじゃなく、かなえることが全て”という歌詞に生きる力を与えてもらった。俺の人生の言葉です。周りの人たちが尽力してくれて、今回会わせてくれたんです」。
深津の左太腿には、その歌詞のタトゥーが入れられている。「この言葉を後輩たちに受け継ぎたい。その気持ちを武田幸三から教わった。彼がそういう人だから」
深津は「防衛とか、あまり関係ないんです」と語る。「誰かが言ってたんですが、闘うことは本当の自分を探すためである、と。それに尽きます。防衛とかはひとつの区切り程度で、防衛するよりも大切なものがある。僕は今年30歳になります。15年間キックボクシングをやってきて、山あり谷ありでした。生きるということは大変です」と、達観したコメントを残した。
▼メインイベント1 日本フライ級王座決定戦 3分5R
○レオンケイスケ(同級1位/誠真)
判定3-0 ※49-48、49-48、49-47
●池田茂由(同級3位/伊原道場)
※レオンケイスケが新王座に就く。
前王者・建石智成がタイトルを返上し、レオンケイスケと池田茂由が王座を争うことになった。レオンは建石と1勝1分、池田もまた建石からダウンを奪って勝利を収めている。
1R、フライ級ならではの小気味いいテンポとスピードで打ち合いを展開する両雄。池田が右ストレートでグラつかせれば、レオンもすぐに打ち合いに応戦して左フックを返す。池田はワンツーからローへのコンビ、レオンはワンツーを中心にパンチで攻めていく。
2R、レオンは右フック狙い、池田はパンチからローへのコンビネーション。ラウンド終盤、池田がレオンをロープに背負わせてパンチをまとめると、すぐにレオンが体を入れ替えて逆に池田へパンチをまとめる。
3R、それまで繰り出されていたパンチが影を潜め、今度はお互いにローの蹴り合い。コンビネーションから確実にローへ繋げていく池田に対し、レオンは単発になりがち。それでも後半は池田の蹴り足をとってのパンチを叩き込んでいく。
4R、お互いに強い右ローを蹴り合う。パンチからローに繋げていく池田に対し、レオンは強い左フックを狙いつつの右ロー。左フックを警戒するためか、池田の体がレオンの右ローに揺らぐ場面も。
5R、前半はパンチで前に出るレオンを前蹴りやローで突き放した池田だったが、レオンが右ストレートをヒットさせたのを皮切りにペースを握った。ワンツー、右ストレート、そしてローと押しまくるレオン。終盤にはレオンの右ローで池田が膝を折る場面もあり、レオンが堂々の判定勝ちで新王者となった。
▼セミファイナル2 日本ヘビー級 3分3R
○柴田春樹(ビクトリー)
TKO 1R2分35秒
●嚴士鎔(同級1位/伊原道場)
2005年1月以来の再戦(デビュー戦の柴田に嚴が判定勝ち)。嚴は深い蹴り込みの左ローから右のオーバーハンド。両者共にヘビー級とは思えないジャブの飛ばし合いを展開し、スピーディーに試合が流れる。
しかし、嚴が右のオーバーハンドを振ったところで右目上をカットして流血。ドクターストップとなり、嚴が「バッティングだよ!」とアピール。ジャッジ間でも確認され、一度はノーコンテストの裁定が下った。
その後、審判長が撮影していたビデオでVTR判定が行われ、カットはバッティングではなくヒジであったことが判明。メインイベント前に柴田のTKO勝ちになったことがアナウンスされた。
▼セミファイナル1 ウェルター級 3分3R
○クンタップ・ウィラサクレック(M-1スーパーウェルター級王者/タイ/ウィラサクレック・フェアテックス)
判定3-0 ※30-28、30-29、30-29
●タカオサミツ(日本同級1位/伊原)
ウィラサクレック軍の先陣を切って新日本キックに殴り込みを果たしたクンタップが、2度目の参戦。対するは新日本ウェルター級トップランカーのタカオサミツ。第7試合で同門のクック(9・24M-1で中村元気と対戦した選手)がTKOで勝利を収めているため、VS新日本全勝といきたいところだ。
1R、どっしりとリング中央で構えるクンタップに対し、タカも構えて見合いが続く。クンタップは左ミドル、タカは右インローを時折繰り出すも、両者とも手数がほとんど出ない。
2R、スロー気味の蹴りをフェイントして、速いワンツーを狙うクンタップ。右フックが入る。タカはミドルキックをキャッチしてのパンチ&ロー。タカはいつもと比べると手数も積極性もない。慎重になりすぎている感がある。
3R、クンタップがミドルからのパンチで先手先手と攻める。前半はクンタップの蹴りをかわしてローを入れるに留まっていたタカだが、後半は先手をとって攻めようとするも絶対的な手数が少なく、クンタップが2勝目を挙げた。
▼第10試合 日本ミドル級 3分3R
△宮本武蔵(同級4位/治政館)
ドロー 判定1-0 ※28-27、28-28、28-28
△喜多村誠(同級5位/伊原道場)
▼第9試合 日本ライト級 3分3R
○石井達也(同級4位/藤本)
TKO 2R1分50秒 ※ヒジによるカット
●ジョニー・オリベイラ(トーエル)
▼第8試合 日本フェザー級 3分3R
○内田雅之(日本同級5位/藤本)
判定3-0 ※三者とも30-28
●落合正司(伊原稲城)
▼第7試合 ライト級 3分3R
○クック・ソークッカイ(タイ)
TKO 2R2分58秒 ※ヒジによるカット
●中尾 満(日本同級6位/伊原道場)
▼第6試合 日本ウェルター級 3分3R
△佐々木泰士(同級10位/トーエル)
ドロー 判定0-1 ※30-30、30-30、29-30
△石原裕基(日本ライト級3位/伊原道場)
▼第5試合 日本ウェルター級 3分3R
○藤田ゼン(横須賀太賀)
TKO 2R1分50秒 ※ヒジによるカット
●滝田純一(同級8位/伊原土浦)
▼第4試合 女子 3分2R
○水野志保(名古屋JKファクトリー)
判定3-0 ※20-18、20-18、20-19
●MANAMI(ホリプロ)
▼第3試合 日本ウェルター級 3分2R
○土屋修平(伊原道場)
KO 1R1分19秒
●立山智紀(トーエル)
▼第2試合 日本ライト級 3分2R
△金子太郎(トーエル)
ドロー 判定1-0 ※20-19、20-20、20-20
△勝次(藤本)
▼第1試合 日本ウェルター級 3分2R
○隼侍(伊原稲城)
KO 2R0分46秒
●本田聖典(山田)
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