野良犬祭り実行委員会
小林聡プロデュース
「風林火山! 野良犬祭り」
2007年 11月24日(土)長野県・川中島 山本勘助墓所河川敷
開場15:30 開始16:00
野良犬、夢の実現に男泣き!
全日本キックのエースとして活躍し、今年3月に現役を引退、現在は同団体のGMを務める小林聡が24日(土)、郷里・長野の川中島で“最期の戦い”を行った。
69試合、数々の名勝負を残しリングを去った小林だが、現役時代から念願であったのが伝説の地・川中島での戦いを実現させること。
「戦士の魂が眠る場所で、戦士として最期のときを迎えたい――」
小林のそんな思いを受け、東京と長野で有志が実行委員会を結成。昨年11月に行われ、小林が引退を表明したムエタイ王者ジャルンチャイ・ケーサージム戦の後から動き出し、1年間の準備と交渉期間を経て、遂に開催を実現させた。
午後4時を迎え、川中島に設置されたリングは薄暮の光に包まれる。殺陣の演出に加え、勇壮な川中島陣太鼓と三味線での「キッズ・リターン」が響く中、小林が最期の戦いへ姿を現す。入場時のサプライズを予告していた小林は、2人の船頭が漕ぐ船に身をゆだね、千曲川をゆっくりと下り戦いの地へ向かってくる。
体には今年3月のファイナルマッチで身につけていた水色のガウン、そしてその上から甲冑をまとっている。手にはこれもファイナルマッチを思わせる白のグローブ。
たいまつの火に導かれ小林がリングに足を踏み入れると、厳粛な雰囲気が川中島を支配する。小林“最期の戦い”の相手を務めるのは元ムエタイ2階級王者にして、全日本スーパー・ウェルター級王者山内裕太郎のトレーナーとしても敏腕を振るうヌンサヤーム・ギャットビチアン。ゴングの代わりに太鼓が鳴らされ、戦いの開始が告げられる。
小林はガードを高く掲げるとジャブ・フックをスピーディーに繰り出し、そこからロー、ミドルキックへつなげていく。対するヌンサヤームは小林のパンチをガードでブロッキングし、左右のミドルを放って応戦する。
幽玄な景色の中、組み合うことなく打ち合い続ける2人の攻防は時が経つのを忘れるような錯覚を覚えさせたが、3分が経過すると再び太鼓が打ち鳴らされ、戦いは終了。夢の実現、達成するまでにかかった長きに渡る時間、仲間たちへの思い――そうした言葉にならない思いを吐き出すように、終了が告げられると小林は大空へ向かい大きな叫びをこだまさせた。
「自分の夢に付き合ってくれてありがとうございました」
長野と東京、川中島決戦の実現に尽力した多くの人たちの思いが胸に迫ったか、小林は感謝の意を告げると男泣き。最後は東京からツアーで駆けつけた人たちの手で胴上げされ、感動的なフィナーレで「野良犬祭り」はその幕を閉じた。
「ああやって華やかに送り出してもらったから(=3月の引退興行)ファンを裏切れないし、気兼ねするところはあった。でも、現役時代からやりたかったことだし、たくさんの人の熱意もあって、ああいう戦士たちの魂が眠る場所で戦えてよかった。
やり残したことはあるかもしれないけど、これでやりたいことは全部やった。キックボクシングとしての相手は前田(尚紀)が最後。今日は試合でもなくエキシビジョンでもなく、ただ“戦い”を見せたかった。一度は実現を諦めたけど、諦めたらそこで終わっていたし、周りの人のオレを思ってくれる気持がありがたかった」
午後7時からは長野市内のホテルに場所を移し、ディナーショー形式でファン感謝イベントを開催。序盤こそ大人しく参加していた小林だがやはり野良犬の血が許さないか(?)、師弟関係にあるAWA世界ジュニアヘビー級チャンピオン日高郁人のプロレスに乱入。
日高の対戦相手である浪口修に左ミドルの高速連打を浴びせかけ、『ハッスル』でもおなじみのエンターテイナーぶりを見せつけていた。
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