極真空手道連盟 極真館 「第5回オープントーナメント全日本空手道選手権大会」 2007年11月25日(日)さいたまスーパーアリーナ
開場12:00 開会式13:00
盧山初雄館長率いる極真館の第5回無差別全日本は、ウェイト制の真剣勝負ルール(顔面突き、ヒジ打ち、投げあり)ではなく従来の極真空手ルールで行われた。
今大会には韓国、イギリス、ポーランド、ロシア、スペイン、アメリカの海外勢に他流派も多く参加、総勢57名が出場している。 第1回優勝・第3回準優勝・第4回3位の市川雅也(奈良)、第3回優勝の舩先雄(奈良)、第4回優勝の藤井脩祐(城南大井町)の無差別全日本王者が3人と、第4回準優勝・真剣勝負ルールのウェイト制大会重量級で優勝した夏原望(城南川崎)。この四人による争いになるかと思われたが…さいたまにもロシア旋風が吹き荒れた。 ロシアのスレイマン・コスモフが破壊力のある重い突きと中段廻し蹴りを武器に勝ち進み、準々決勝では夏原から試合終了間際に中段突きで技ありを奪ってベスト4に進出したのである。
→19歳で緑帯のスレイマン(左)が準決勝へ進出。盧山館長は「彼はロシアでは二〜三流の選手。日本はもう遅れている」と警鐘を鳴らす。
スレイマンは弱冠19歳、身長174cmと大柄ではない。まだ緑帯であるが、パワーでもスピードでも日本人黒帯選手たちの上を行った。 このスレイマンをストップしたのは舩先だった。本戦は0−0で引き分け、延長戦では疲れの見えるスレイマンに右上段廻し蹴りをヒットさせたがやはり0−0で引き分けに。
延長2回、舩先は胸への突きを効かせて前蹴りに繋げたが、スレイマンの上段後ろ廻し蹴りで技あり寸前に。最後は両者が足を止めての壮絶な突き合いを演じ、スレイマンに旗が2本挙がるも主審は引き分けとした。 体重判定ではスレイマンが78Kg、舩先が84Kgと10Kg以上の差はなく、勝敗は試割り判定にまでもつれこむ。スレイマンの17.5枚に対して舩先は18.5枚!(1度目の試割りに失敗し、2度目で規定の3枚を割っても2.5枚として換算される)
舩先がギリギリの所でスレイマンの決勝進出を阻み、2年ぶりの決勝進出を果たした。 →突きと下段ばかりでなく、上段への大技の蹴りも織り交ぜていく市川(左)。今大会では特に後ろ蹴りが切れていた。 もう一方の準決勝では、初代王者の市川と昨年王者の藤井が激突。両者ともスピーディーに動き回って速い突きと蹴りを交換、回転力をどんどん上げていって激しい打ち合いが展開される。
が、藤井の突きが2度も市川の顔面に流れてしまい痛い減点1。両者は最後まで打ち合い、市川も右の上段廻し蹴りをヒットさせて試合終了。減点が響き、判定5−0で市川がやはり2年ぶりの決勝進出を決めた。 決勝は第3回大会と同じ、市川と舩先による奈良県支部の同門対決。前回は市川が後輩に勝ちを譲ったような内容となってしまい、盧山館長が激怒したいわく付きの顔合わせだ。試合が始まる寸前、盧山館長と廣重副館長から「倒せよ!」と檄が飛ぶ。
→市川とスピーディーでスリリングな攻防を展開した藤井(右)。流れるような組手はまさに空手という動きだった。 お互いに上段蹴りを放ちながら、突きを入れていく展開。市川はワンツーから右の下段廻し蹴り、舩先は下段を蹴りつつ上段への蹴りを狙っていく。
「半年間一緒に稽古してきた」ということで、お互いの手の内を知り尽くしているだけに静かな攻防が続いたが、最後に市川がラッシュを仕掛け、副審の旗が市川に二本挙がる。主審も市川! 市川が第1回大会以来、4年ぶりに全日本王座に就いた。極真館の全日本で二度目の優勝は史上初。 「正直、やりにくかった。技を出さないんじゃなく出せないんです。こうやったら次はこうだというのが判るのでやりにくかった」と勝利者インタビューに答える市川。
→判定3−0で4年ぶりに全日本王者へ返り咲き、盧山館長と握手を交わした市川の目からは涙が溢れた。 「ゆくゆくは盧山館長のような武道家を目指したいんですが、選手としては日本を背負っていかないといけない。世界大会も頑張ります。優勝せなあかん、と思っています」と、2年後に迫った世界大会へ向けて日本を引っ張っていくことを誓った。 極真館の世界大会は再来年の9〜10月にハンガリーのブタペストで開催されることが決定。15,000人収容の大会場で行われ、テレビ中継も決まっているという。しかも、この大会は極真館だけの括りではなく流派の枠を取り外し、様々な組織が協力して開催するものだそうだ。 世界大会は四階級のウェイト制で行われるため、来年の11月に予定されている全日本大会は無差別ではなくウェイト制での日本代表選抜試合となる。春のウェイト制は今年同様、顔面ありの真剣勝負ルールで行われ、再来年には代々木第二体育館での開催がほぼ決定。独立した形での大会となっていくことが検討されているという。 ●市川雅也のコメント
「みんなきつかったです。一戦一戦が決勝戦のつもりで全部出そうと。逆に堅くなった面もありましたが、結果が出てほっとしています。決勝は同門対決でしたが、誰でも一緒です。みんな倒しに来るので僕も倒しにいかないといけませんでした。 城南の選手が去年も台頭してきて、僕らは田舎の選手で先生もいないし、自分で考えてケツを叩いてやっている中で負けられんと思いました。1回戦ではロシアの選手とやるってことで、思い切ってやったれ! と思ってやりました。それが結果がついてきた感じですね。 技術的には特にないんですが、気持ちが折れへんかったのがよかった。絶対に折れへんと一生懸命やった結果だと思います。優勝から遠ざかっていましたし、一部ではあいつはもうあかんやろうという話もあったので、イメージトレーニングで勝ち上がって最後は盧山館長と握手しよう、と。(盧山館長と握手した時に泣いたのは)1回目から4年間、自分の中に溜まったものが出たという感じです。 顔面ありは競技が違いますから。極真空手に憧れて入門し、これを目標にやってきましたから、とりあえず目標はこれで。世界大会は行きます、それだけです。 ■RESULT
優勝 市川雅也(奈良県支部) 準優勝 舩先 雄(奈良県支部) 3位 藤井脩祐(城南大井町支部) 4位 スレイマン・コスモフ(ロシア)
5位 櫻井 豊(埼京・城北支部) 6位 江田宜明(埼玉県西支部) 7位 中澤公誉(空手道東眞会)
8位 夏川 望(城南川崎支部) 技能賞 中澤公誉(空手道東眞会) 敢闘賞 スレイマン・コスモフ(ロシア)
試割り賞 ミゲル・フェルナンデス(GreatBritain)※26枚 特別賞 山ア耕三(総本部) ケニー・ジャルビス(GreatBritain)
山田雅則(黒澤道場) |