新日本キックボクシング協会/藤本ジム
「Soul in the Ring V」 2007年12月9日(日)東京・後楽園ホール 開場16:45 開始17:00
▼メインイベント 日・泰スーパーライト級国際戦 3分5R
○石井宏樹(藤本/日本ライト級王者) KO 1R2分40秒 ※右ストレート ●ウイタヤーノーイ・シットクゥオンイム(タイ/ラジャダムナンスタジアム
スーパーライト級2位) 石井宏樹が二度目のムエタイ王座挑戦を目指し、ラジャダムナンスタジアムの現役ランカーと対戦した。対するウイタヤーノーイは2007年に入ってからラジャダムナンで6戦、その内の4戦でTKO勝ちを飾っているという。
今回の試合に勝てば石井はランキングに名を連ねることが出来るため、この試合は試合前にワイクーを舞い、インターバル2分というムエタイのしきたりの元で行われた。
1R、石井は右ローをフェイントして右ストレートから右ロー。右のパンチを一度フェイントして反応させたところに右ストレートを入れるなど、フェイントを駆使した攻撃が目立つ。さらには、いきなりのヒジも繰り出し、ウイタヤーノーイもヒジで反撃してくる。 石井がフェイントしつつ右ローを蹴り込むと、ウイタヤーノーイもローを返す。石井がジャブから右ロー、左フックから右ロー。ウイタヤーノーイはここまでローキックを蹴られるとは思っていなかったのか、一瞬、嫌そうな顔をする。 そして次の瞬間、ローを蹴ったウイタヤーノーイに石井の右ストレートがカウンターで炸裂! 後方へ大きく吹っ飛び、倒れこむ際にはロープで後頭部を強打。座ってロープに寄りかかるように倒れたウイタヤーノーイは立ち上がることが出来ず、レフェリーがその様子を見て試合終了を告げた。ウイタヤーノーイは担架で病院へ運ばれた。
これで石井がラジャダムナンスタジアム、WMCのランキングに入ることは確実。場内アナウンスでは「タイトル挑戦権を獲得した」と発表もされた。石井のタイトル挑戦は来年3〜4月にも実現する予定だ。
●石井のコメント
「今年最後の試合できっちりKO出来て、今回は本当に負けられなかったのでホッとしています。1Rで終わるとは思わなかったですね。ビデオを見てパンチは当たりそうだと思って研究した結果です。ビデオは1週間前に1試合だけ鴇さん(コーチ)と見ました。
ガードも固くなかったし、スタイルがムエタイっぽくなくて日本人のスタイルに似ていたので、やりやすいと思いました。自分が見たのはKO負けしていた試合なんですが、ガードが甘くてヒジもけっこうもらっていたので、余裕があればヒジも振り回していこうと思っていましたね。
(フィニッシュは)あれだけ手が下がっていたので右は入りそうだなって試合中に思っていて。自分から行った結果、向こうも来ようとしてそれがカウンターになった形です。相手もローを蹴ってきましたが、自分もローを蹴って様子を見ようかなって思っていたので、1Rでまさか当たるとは思わなかったですね。相手のミドルは重かったですよ。
インドアゲーム(JOC管轄の第2回アジアインドアゲームズのムエタイ競技に出場し、銀メダルを獲得)に出たのは凄くよかったですね。負けて悔しかったし、日本代表として行ったし、松本さんは金メダルを獲ったから。二人して鴇さんを喜ばせたかった。※鴇コーチの話によれば判定は微妙で抗議をしたが受け入れられなかったという。
勝てばタイトルマッチがあるということで今回は相当気合いが入っていました。負けたら次はもう道がなかったから。首の皮一枚繋がった。やっとこれで挑戦できるんだなって。もう本当に最後で、負けたらキックボクシング人生は終わりのつもりでやります」
●鴇コーチのコメント
「タイトルマッチは来年の3〜4月くらいにやりたい。時期が遅すぎるとランキングが下がってしまう可能性がありますから、早めにやりたいですね。日本かタイ、要望の強い方でやりたいと思います」
●小野寺力のコメント
「相手は石井との対戦が決まってから、先月ラジャで試合をしてKO負けしているんです。そのダメージもあったと思う。正直な所、ガチガチの首相撲タイプではないし、ランキングに入っている10人の選手の中で一番石井がやりやすい相手だったと思います。今回はランキングに入ることが目標でしたから。
勝ててよかったですね。今回は気合いが凄く入っていましたよ。日本人や在日タイ人の時とはモチベーションが全然違う感じでした。試合前も気合いが入っていたし、今日は好きなようにやれと言いました。1Rから全開でしたね。
1Rはフェイントを入れて相手を動かして、という作戦でした。タイ人はみんな反応がいいですけど、今日の相手も反応がいいので反応させてから攻撃するという作戦です。僕は前半がチャンスだと思っていたんですよ。日本は寒いし、相手は若い子なので海外の試合は初めてだろうから最初はまだ緊張しているだろうと。1Rから行こう、と言いました」
▼メインイベント 日本フェザー級 3分5R △菊地剛介(伊原/日本フェザー級王者)
判定1−0 ※50−50、50−49、50−50 △ジョン(市原/日本フェザー級)
1R、右ストレートを狙ってくるジョンに菊地は右ロー。パンチで突っ込みつつ、左ミドルを放つジョン。両者ともステップを踏みながらリング中央を旋回するが、手数は少ない。 2R、菊地は得意の奥足への左ローを放ったが、ジョンはパンチを出しながら一気に前へ出て、菊地をコーナーへ下がらせ左ハイキック。ジョンが菊地の蹴りにパンチからの突進を合わせてくるため、菊地はなかなか攻めに行けない。そのため見合いが続く。膠着を破ったのはジョン、ワンツーから右ロー。しかし、菊地が右ローを放つとジョンは待ってましたとばかりに左フックを振り下ろす。 3R、ローで菊地を誘うジョン。菊地のローに左フックを合わせ、菊地がコーナーへ吹っ飛ぶ。ジョンは左ローにパンチ、さらにヒザ。菊地は右ストレートからの左ロー、ジャブからのローで行くが、ロー単体だとやはりカウンターを合わされそうになる。ジョンが待ちの姿勢で菊地も突破口が開けず、焦れた観客からは野次が飛ぶ。 4R、菊地のローにワンツー、アッパーを合わせるジョン。ならばと菊地はヒジを振るうが、ジョンもパンチで迎え撃つ。ジョンのローに右ハイを合わせようとする菊地、飛び込んで片手で抑えながらの左ロー。ジョンのローにローを返す菊地は、間合いを詰めていってローを蹴ろうとすると、ジョンは下がってしまう。 5R、ジョンが自分から積極的に攻め始める。今度は菊地が合わせる番に。菊地の右ミドル、フック。前蹴りを掴んでのストレート。
さらにジョンを捕まえてヒザをボディに連打する。パンチで来るジョンをヒザ蹴りで迎え撃って右ミドル。ジョンはその蹴り足を掴んで転倒させ、試合を終えた。両者とも決め手と絶対的な手数に欠き、ドローに終わった。
▼セミファイナル 日・泰国際戦 72.6kg契約 3分3R
○ゲンナロン・ウィラサクレック(タイ/M-1ウェルター級王者) TKO 2R2分5秒 ※ドクターストップ
●松本哉朗(藤本/日本ミドル級王者) 1R、ゴングと同時にコーナーを飛び出した松本。右ローを蹴り、すぐに右ハイを繰り出す。ローの蹴り合い、松本はジャブを伸ばして左ローを二発。ローを蹴りつつ、同じ足でのミドル&ハイキックを狙っていく。ゲンナロンも右ロー、松本はよく動きながらすぐにローを返す。ゲンナロンは前へ出てボディ、コーナーへ詰めての左フック。松本も左フックを放つ。 2R、松本が右ロー二連発から右ハイ、ゲンナロンは前に出てボディを狙い撃ち。それに対して松本は組み付いてのヒジで勝負、離れるとローキック。その後は逆にゲンナロンの方から組み付く。組み付いてヒザ蹴りを突き刺し、ブレイク後、さらに組み付くと左の縦ヒジを松本の右目に直撃! 松本は痛そうに目をつむる。レフェリーのブレイクとほど同時か、かなり際どいタイミングでの一撃だった。 松本はドクターのチェックを受けたが、その場でストップとなった。新日本キックVSウィラサクレック軍の対抗戦はウィラサクレック軍の全勝という結果に終わった。
▼セミファイナル 日・泰国際戦 69.5kg契約 3分3R ○クンタップ・ウィラサクレック(タイ/M-1スーパーウェルター級王者)
判定3−0 ※30−28、30−28、30−29 ●正木和也(藤本/日本ウェルター級王者)
萩野兼嗣、タカオサミツと新日本キックの上位ランカーたちを撃破してきたクンタップ。新日本キックのウェルター級最後の砦として、日本チャンピオンの正木がストップ・ザ・クンタップに挑む。 1R、いきなり左フックを飛ばす正木、左アッパーから右ローへ繋げる。クンタップの右ローの衝撃音に場内はどよめく。正木は左フックを狙いつつ右ロー、クンタップの蹴り足を掴んで右ストレート。
クンタップは右ミドルを掴んで左ミドルを返す。常にロープを背負うクンタップに正木が左ボディ、クンタップは左ミドル。正木も右ミドルをキャッチしてボディへパンチを叩き込む。クンタップの蹴りには左ジャブを合わせ、クンタップが離れるとボディストレート。 2R、正木は圧力を掛けて前へ、クンタップはミドルと前蹴り。ハイキックをかわしてローを蹴る正木は、さらに蹴り足をキャッチしてのフック。クンタップもパンチを返し、軸足蹴りで転倒させる。クンタップの右ローにバランスを崩す正木、クンタップはミドルとローを使い分ける。
正木の右フックをかわして左フックを被せるクンタップ! パンチに右ミドルを合わせて連打へ繋ぐ。正木が前へ出ると、クンタップは左ミドルで迎え撃つが、正木は怯まず左右のパンチでボディを叩いて行く。 3R、クンタップに右ミドルを蹴られながらも、かまわず左右のボディを叩く正木。クンタップの左ハイ、正木がボディを打ちに来ると左フック。正木もパンチで前に出るが、クンタップはかわしながらのパンチ。正木の左フックに右ミドルのカウンター! クンタップは右ミドルを連打し、正木がボディを打とうと体を沈めたところへカウンターの右ヒジ! これで正木が額の中心をカット! 流血してドクターチェックを受ける。 再開後、右ミドルを受け止めてパンチを返していく正木、前へ出て右を当てて行く。右ミドルを掴んでのパンチ! 蹴らしておいてボディで受け止めてパンチを入れる、肉を切らせて骨を断つ玉砕戦法だ。
しかし、クンタップも逆に蹴り足を掴んで左フック。正木の額から鮮血が大量に流れ落ちる。クンタップの右ミドルで正木のわき腹は真っ赤だ。それでも前に出てパンチで倒しに行く正木。クンタップは右ミドルで迎え撃ち、ヒザも突き刺す。最後までパンチを出して倒しに行った正木だったが、逆転はならなかった。 再び新日本キックのリング上にウィラサクレックジムの旗が翻り、これで3対3の対抗戦は大将戦を待たずしてウィラサクレック軍の勝利が決定した。クンタップは新日本キックのウェルター級ランカーを総なめにしたことになる。
▼セミファイナル 日・泰フェザー級国際戦 3分3R ○コムパヤック・ウィラサクレック(タイ/M-1スーパーバンタム級王者)
判定3−0 ※30−27、30−28、30−28 ●岡田武志(トーエル/日本フェザー級1位)
「新日本キック対M-1、いよいよ開戦!」とリングアナが宣言、いやがおうにも対抗戦ムードが高まる。青コーナーにはM-1の総帥ウィラサクレック会長が陣取った。 1R、岡田がローで牽制するとコムパヤックはワンツー。岡田のワンツーローにコムパヤックが下がる。岡田が左フックから右ロー、コムパヤックも左フック。コムパヤックの左ミドルにも怯まず前へ出る岡田、そこへ左ハイキック。コムパヤックの左ハイキックをガードしてローを返す岡田。コムパヤックも左ローを返す。 岡田がローからパンチを打ちに行ったところで、コムパヤックの左ヒジで岡田が左目尻をカット、流血してしまう。ワンツーとローを出す岡田にコムパヤックが左フックで前に出る。コムパヤックは右ローから右フック。 2R、岡田は右ローからワンツー、もう一度右ロー。コムパヤックは岡田のパンチをかわしての左フックを狙う。コムパヤックの強烈な右ロー! 岡田がローに左フックを合わせるが、コムパヤックも右ヒジで反撃、岡田のローに右ストレートのカウンターを合わせてダウンを奪う! 組み付いてくる岡田を鮮やかに投げるコムパヤック。ワンツーには右ヒジ、ローにストレートを合わせ、ハイキックを空振りさせてローを入れたがこれは急所に入ってしまった。再開後、岡田が右ローと右ストレートで前に出る! 左ミドルからパンチの連打でコーナーへ追い込まれたコムパヤックはヒジで反撃。 3R、コムパヤックの右ローに岡田は左ミドルを返す。コムパヤックが右ハイから左フック、組み付くと岡田を度々転倒させる。ローのダメージからか、立ち上がるのが遅い。前に出てくるコムパヤックをパンチで迎え撃つ岡田は最後に回転ヒジを繰り出したが、逆転はならなかった。コムパヤックは高々と新日本キックのリング上にウィラサクレックジムの旗を掲げた。
▼第9試合 日本ヘビー級 3分3R ○國吉(治政館/日本ヘビー級2位) 判定3−0 ※30−29、30−29、30−28
●エメカ(トーエル/日本ヘビー級) ▼第8試合 日本ライト級 3分3R ○石井達也(藤本/日本ライト級4位) 判定3−0 ※30−28、30−28、30−28 ●松村清次(伊原稲城/日本ライト級) ▼第7試合 日本フェザー級 3分3R ○内田雅之(藤本/日本フェザー級5位) 判定3−0 ※25−23、28−27、26−25 ●銀次(ウィラサクレック・フェアテックス) ▼第6試合 日本ウェルター級 3分3R △緑川創(藤本/日本ウェルター級4位) 判定1−0 ※30−29、29−29、30−30 △藤田ゼン(横須賀大賀) ▼第5試合 日本ライト級 3分2R ○相原卓也(伊原土浦/日本ライト級) 判定2−0 ※20−18、20−18、20−20 ●濱島勝秋(藤本/日本ライト級) ▼第4試合 日本ウェルター級 3分2R ○安藤崇(トーエル/日本ウェルター級) 判定2−0 ※20−19、20−20、20−19 ●勝利(横須賀大賀/日本ウェルター級) ▼第3試合 日本ライト級 3分2R △竹高弘祐(市原/日本ライト級) 判定1−0 ※20−19、20−20、20−20 △湯澤尚矢(伊原/日本ライト級) ▼第2試合 日本ウェルター級 3分2R ○内山源太(伊原/日本ウェルター級) 判定3−0 ※20−19、20−19、20−19 ●金井貴之(藤本/日本ウェルター級) ▼第1試合 日本ライト級 3分2R ○横山ウェーブ(横須賀大賀/日本ライト級) 判定3−0 ※20−19、20−19、20−19 ●石井靖典(治政館/日本ライト級)
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