日本ブラジリアン柔術連盟
「第1回全日本オープン選手権 2日目」
2007年12月24日(月/祝)東京・新宿コズミックセンター
▼アダルト黒帯アブソルート級1回戦
○杉江大輔(アライブ)
ポイント3-0
●マイケル・ファウラー(PUREBRED大宮)
1日目のレポートでもお伝えしたとおり、アマゾンが今回のアブソルート級で最も警戒していたのは、1回戦で当たったファウラーだった。試合前は不安もあったようだが、試合が始まれば集中し、落ち着いて試合を運んでいった。
序盤は両者、立ち技でお互いの隙を探る。アマゾンは足技で攻めるも、ファウラーは動じず。アマゾンもここで焦らず、「相手がフルパワーで来ているのは分かったし、それでは下になったら返すのは難しいと思ったんで、自分の組み手になるまで様子を見ました」と、慎重に攻め手を探す。
しかし、試合に展開が見られないため、レフェリーは両者にマイナスアドバンテージ。さらにこの状態が続くと、両者マイナス2ポイントとなってしまった。
そんな中、先に動いたのはアマゾンだ。「ファウラーが僕の左の釣り手を嫌がって、組み手が甘くなっていた。それで自分の組み手になりました」というアマゾンは、たびたび投げを打ち、ファウラーにプレッシャーをかける。
するとファウラーはタックルをしかけるが、アマゾンはこれをしっかり切って、そのまま上になり、いつもどおり上から圧力をかけながらパスを狙いアドバンテージを得る。
それでもなかなか得意の形には持ち込ませてもらえず、ファウラーはハーフガードからスイープへ! アマゾンは「とりあえず根性で(笑)」なんとか持ちこたえた。
そして、ここがチャンスだった。体勢が崩れた相手に対して左手で脇を差し、右手で相手のラペラを掴んだ。そこからしっかりと相手を抑え込みパスを仕掛ける。もうアマゾンが最も得意とする展開だ。
ファウラーはなんとか動いて戻そうとするも、アマゾンは落ち着いて遂にパス! そのまま袈裟固めで抑え込み、試合終了のチャイムを聞いた。
今回の第1関門であり、最大の難関をクリアしたアマゾン。もう、前日のレーヴィ級に続く二階級制覇は、この時点で目前ともいえる貫禄の勝利だった。
▼アダルト黒帯アブソルート級決勝
○杉江大輔(アライブ)
送り襟絞め
●廣瀬貴行(パラエストラ葛西)
一本勝ちを決めた瞬間、アマゾンは叫んだ。「見たか、オラッ!」
アマゾンにとってみれば、鬱憤が溜まったトーナメントだったに違いない。自分は1回戦でマイケル・ファウラーと当たり、もう一方の山はパラエストラ系列同士の試合。しかも、廣瀬と対戦予定であり、前日にアマゾンが下している大内は欠場。
ファウラーを相手に10分間フルに闘ったアマゾンは、1回戦の後はずっとラペラを握っていた右手が痺れて、決勝戦が始まった段階でも6割ぐらいしか回復していなかったようだ。
それでもアマゾンは開始早々から「ナメられたらいけないと思って飛ばしました」と勝負をかける。引き込んできた廣瀬に対し、アマゾンはパスを狙っていく。廣瀬はたまらず亀になるが、その瞬間アマゾンは腕十字へ! ここは極まらなかったが、再び上になるアマゾン。
廣瀬もどんどん動いて自分の体勢に戻そうとするが、アマゾンのプレッシャーに押し負けてしまう。そしてパスに成功したアマゾンは今度は絞めを狙う! 動き続けてディフェンスする廣瀬! しかし最後はアマゾンが相手の襟を取って、そのまま絞めあげて試合を終わらせた。
そして前述のようにアマゾンは叫んだ。「俺の実力を見たか、と、すごく不利な状態で勝ったんだぞ、ということで。別に個人に対して何かあるわけじゃなくて、いろいろ鬱憤が溜まっていたので。とにかく念願の二階級制覇です(笑)」(アマゾン)
前日の各階級優勝者が集まった今回もアブソルート級でも、圧倒的な強さを見せた。もう、アマゾンの先にはムンジアル制覇しかない。
▼アダルト茶帯アブソルート級決勝
○カリム・アール・ジャラル・バイロン(チームレグナム)
腕絡み
●佐藤恒明(チームレグナム)
16人ものエントリーがあった激戦区の決勝は、ともに1回戦からすべて腕絡みによる一本勝ち進んできた来た両者の同門対決となった。
柔道ベースの佐藤は、100kgをゆうに超えるであろうバイロンを相手に立ち技勝負を仕掛けるも、なかなか相手を崩せない。バックを取り替えた場面もあったが、ここでバイロンが佐藤の指を掴む反則で減点2。
再開後、またも立ち技の展開になるが、ここで佐藤が足技でテイクダウン! すぐさま、これまでの試合で見せたハーフガードからの腕絡みを仕掛ける。ところがこれを耐えたバイロンがリバーサルに成功し、圧倒的な体重差で抑え込みながら腕絡みへ! 佐藤はたまらずタップし、巨漢バイロンが激戦区を制した。
▼女子アダルト紫/茶/黒アブソルート級決勝
○服部恵子(アライブ)
ポイント13-2
●塩田さやか(AACC)
女王キーラ・グレイシーと互角以上の勝負をした服部と、今年のADCCを制した塩田の注目の対決は服部の圧勝となった。
まずテイクダウンを奪って先制した塩田だったが、ガードポジションは服部が最も得意とするところ。まずスパイダーガードから見事にリバーサルに成功すると、すぐさまパス→マウントとポイントを重ねる。
もはやポイントで勝てないと見たか、塩田サイドからは「足関節で行け!」と支持が飛び、塩田も前日に極めたアンクルを狙うも、服部は回転してなんなくディフェンスする。
スタンドに戻り、塩田は飛び込んで倒すも、これはアドバン止まり。またもスパイダーガードを駆使する服部の足を狙う塩田だったが、これをかわされ反対にリバーサルを奪われてしまう。結局、10ポイント以上差をつけ、服部がベテランの実力を見せ付けた形となった。
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