M-1 MC
「M-1 FAIRTEX SINGHA BEER ムエタイチャレンジ
Legend of elbows 2008〜M I N D〜」
2008年6月8日(日)東京・ディファ有明
開場15:30 開始16:00
▼メインイベント(第12試合) 日タイ国際戦 57kg契約 M-1ムエタイルール
○ワンロップ・ウィラサクレック(タイ/WSR/M-1バンタム級王者)
TKO 1R2分54秒 ※タオル投入
●前田尚紀(藤原/全日本フェザー級1位)
試合前は大激闘が予想されたワンロップVS前田だが、ワンロップの圧勝という結果に終わった。怒涛の連勝記録は昨年10月に藤原あらしに判定で敗れ、「11」でストップしたワンロップ。今年3月の復帰戦ではあらしに続く全日本バンタム級ナンバー2の寺戸伸近を1RでTKOに破った。一方の前田は昨年12月にあらしと対戦し、引き分けている。
1R、先手は前田の右ミドル。前田がロー、右ストレートを繰り出して前に出ようとすると、ワンロップはローキックとよく伸びるストレートで押し戻す。ワンロップは前に出ようとする前田の首を両手で抱え込み、ヒザを一発入れては離し、また掴んでヒザを入れて離すという連続攻撃を見せる。
スピードで圧力をかけていくワンロップは、前田にロープを背負わせるとボディへの飛びヒザ蹴り! そこからさらにテンカオ、片手を引っ掛けての頭部へのヒザ、掴んで引き寄せて離しながら蹴るヒザと、ヒザ蹴りを連発。
前田は掴んでくるワンロップを突き放し、パンチとローで攻めようとするが、ワンロップの圧力に下がり気味。するとワンロップはロープ際に追い詰めた前田にヒザ蹴り、片手で頭を押して下げさせながらの左ヒザ蹴り! アゴに喰らった前田がダウン!
すぐに立ち上がった前田に、ワンロップがヒザ蹴りで一気に襲い掛かる。ヒザ蹴りの連打からやはり片手で頭を押して下げさせ、顔面へのヒザ蹴りで2度目のダウンを追加。前田はヒザ蹴りで左目のまぶたを切られた。
前田がパンチ、ローキックで逆転を狙って攻めるが、掴んでくるワンロップを嫌がり、突き放しながら下がってしまう。ワンロップはさらに前へ出て、前田を再びロープ際へ追い詰めると今度はヒジとヒザのラッシュ! 前田が膝をついたところでレフェリーがストップをかけ、試合終了のゴングが鳴らされたが、このストップはドクターチェックのためだった。
前田はヒザとヒジで右頬を2ヵ所切られ、「カットで止めるほどの傷ではなかった」(ドクター)が、藤原敏男会長の命によりセコンドがタオルを投入! ワンロップが圧倒的な強さを見せつけ、6月22日(日)東京・後楽園ホールで開催される全日本キックボクシング連盟主催『小林聡プロデュース 野良犬電撃作戦』での山本真弘(藤原=この日、前田のセコンドに付いていた)戦に弾みをつけた。
恐るべき強さを発揮したワンロップ。これには理由があった。試合前、ウィラサクレック会長から「今日、負けたらタイへ帰れ!」と檄を飛ばされていたのである。「22日の試合も決まっていたので、早いラウンドで倒さないとローキックのダメージを受けてしまう。K-1に出たかったら両方勝てと言ってあります」とウィラサクレック会長。ヒザを多用させたのは「前田が首相撲を嫌がるのは分かっていたから」と作戦通りだったことを明かす。
「緊張していました。練習は凄く頑張ったんですが、緊張しましたね」と笑顔で語るワンロップ。「藤原あらしとやった時は体調が悪かったけど、今回はとても良かった。練習が出来たし、体も元気です。前田は僕のことを怖がっていたね。目を見て分かったよ」と余裕のコメントだ。
そして、パンチとヒザ蹴りで行った理由を「K-1に出るための練習をこれからしていきます。K-1ではヒジがないから、その代わりにヒザを使おうと思うんだ。K-1に出たいからいまスタイルを作り変えている途中で、22日はもうヒジをやらないかもね」と語った。
この日の“裏テーマ”M-1VS全日本キックは、M-1の5戦全勝という結果に終わった。しかも、全日本キックはエース格の前田尚紀と藤原あらし、ウェルター級1位の湟川満正の主力3人がKO・TKOされるという屈辱。M-1VS全日本の第二弾となる6・22後楽園で全日本の巻き返しなるか!?
▼セミファイナル(第11試合) M-1フライ級王座決定戦 M-1ムエタイルール
○KENT(湘南格闘クラブ/J-NETWORKスーパーフライ級王者)
判定3−0 ※49−47、48−47、49−46
●関 正隆(昌平校/元NKBフライ級王者)
※KENTが新フライ級王座に就く。
今年3月9日にM-1初代フライ級王座決定戦を争った二人だが、ドローに終わってタイトルは主催者預かりとなった。それから3ヵ月後の今日、両者は再び王座決定戦で再戦。
1R、KENTが関側のコーナーまで攻めて行き、強い右ローを出す関に左フック。これで転がるように倒れた関にいきなりダウンが宣告される。関は「ダウンじゃない」とアピールしたが、受け入れられなかった。KENTはパンチからローのコンビネーションで前へ前へと圧力を掛けていき、関がローキックで迎え撃とうとすると前蹴りで突き放す。
2R、ステップを踏んでよく動きながらローやミドルを飛ばしていくKENTに対し、関はその場に立ち止まっての強い右ローを返していく。KENTは前蹴りで突き放してフックに繋げ、関はKENTのミドルキックにローを返す。圧力を掛けて前へ出て行くKENT、関が止まってローを蹴ってこようとすると前蹴り。
3R、開始と同時にドクターチェック。2R終了間際に関のバッティングがあり、KENTが左目尻をカットしたためだ。ここで関に痛い減点1が課せられる。
KENTはスピードを生かして動き、前蹴り、ワンツーで距離を作って右ハイキック。しかし、手数は多いが決定打がなく、関もローばかりのため試合にメリハリがない。
4R、KENTは前へ出て左右に動きながらのロー、左ハイキック。関はKENTが攻めてきたところをしっかり守って右ローを返す。KENTはフックを狙っていくが空振りが目立ち、このラウンドは関の右ローのヒット数が上回った。
5R、自分のペースで戦い続けるKENTはよく動きながら、左ローを集中的に蹴り続ける。関は声を出しながらロー、ハイキックを繰り出して前へ出て行くが、KENTを詰めることは出来ず。最後まで自分のペースを守りきったKENTが判定勝ちを収め、J-NETWORK王座と併せて二冠王の座に就いた。
▼第10試合 日タイ国際戦 バンタム級 M-1ムエタイルール
○コムサン・ペッポートーン(タイ/元ラジャダムナンスタジアムスーパーフライ級10位)
TKO 3R2分43秒 ※タオル投入
●藤原あらし(S.V.G./全日本バンタム級王者)
今年のテーマを「ムエタイ王座取り」に掲げているあらしが、元ランカーと対戦。コムサンはラジャダムナンスタジアムのメインイベントにも出場している選手で、元ランカーと言っても油断のならない相手。
1R、コムサンはローを出しつつ、あらしの蹴りに蹴りを返していく様子見の姿勢。あらしはロープを背負うコムサンに左ミドル、左ローを放っていく。離れた距離から長い腕を伸ばし、ロングの右ストレートを伸ばすコムサン。
2Rに入ると、ロープを背負ったコムサンは近付いてくるあらしに右ハイキックを連発。あらしはガードして左ミドルを放っていくが、コムサンはスッとあらしの間合いを離れてロングの距離からよく伸びる右ストレートを何度も出す。
そして、コムサンのワンツーで仰け反ったあらしに右ハイキックが炸裂! なんとあらしがダウンを奪われる。立ち上がったあらしは再びコムサンをロープに詰め、左ミドルを蹴っていくが、コムサンは右ストレートをボディに突き刺し、右ハイキックも繰り出してくる。
3R、前に出るあらしは左ミドル、右フックでコムサンを追いかける。ロープを背負ったコムサンへ左ミドル、コムサンがローを返す。あらしはこのローに右フックを合わせ、さらにパンチで追撃しようとしたが、コムサンは右ローから右ハイキック! バッタリと後方へ倒れるあらし! この試合2度目のダウンだ。
立ち上がったあらしはダメージを回復するためか、組み付いてのヒザに行くが、コムサンは組み付くあらしにヒジを強打、続いて激しくマットに叩きつける。立ち上がろうとしたあらしの鼻から激しい出血、再び組み合ってヒザ蹴りにいったところでドクターチェックが入る。
ここであらしのセコンドからタオルが投入され、コムサンは両手を広げて喜びの舞! あらしがまさかの惨敗を喫した。またしてもハイキックで倒されてしまったあらし……実は、ウィラサクレック会長はコムサンにあらしのビデオを見せ、「ローを蹴っていくとガードが下がる癖がある」ことをアドバイスしていたという(ウィラサクレックジム所属のコムパヤックもあらしから右ハイでダウンを奪っている)。
なお、あらしは鼻骨もしくは頬骨が折れている疑いがあり、試合後に病院へ向かった。
▼第9試合 交流戦 73kg契約 M-1ムエタイルール
○貴之・ウィラサクレック(WSR/全日本キックミドル級4位)
TKO 1R2分16秒 ※ヒジによるカット
●我龍真吾(ファイティングマスター/M-1ミドル級王者)
1R、サウスポーの貴之は我龍と打ち合うかと見せ、我龍の左フックに左ヒジを被せる! この一発で我龍の右額に穴が開いたような傷が付き、ドクターチェック。出血はそれほど酷くなかったため試合再開に。
パンチで倒しに掛かる我龍へ貴之は左ミドル、そして左ヒジ。我龍のパンチに合わせて思い切ってヒジを合わせていく。そして、またも貴之の左ヒジがヒット! 我龍は右額辺りをもう1箇所切られ、ドクターストップ。
貴之がM-1ミドル級チャンピオンを破るという金星を獲得した。次回、タイトルマッチで再戦か?
▼第8試合 日タイ国際戦 65kg契約 M-1ムエタイルール
○カノンスック・フェアテックス(タイ/WSR/M-1フェザー級王者)
KO 1R1分23秒 ※前蹴り
●明日華和哉(飛鳥塾/元全日本ライト級6位)
かつては小林聡とも拳を交えたこともある大ベテランの明日華和哉が、引退試合の相手として希望したのがカノンスックだった。試合前にはリング上で、女優の高橋恵子さんから花束が贈られた。
しかし、引退試合が華々しいものになるとは限らないのがこの世界。明日華の体型もベストコンディションとはともて言いがたく、カノンスックの左ローキック一発でバランスを崩し、続く左ハイキックでダウン。カノンスックが左前蹴りを出すとお腹を抑えて後退し、もう一発前蹴りを蹴られるとコーナーへ吹っ飛び、KO負けとなった。
▼第7試合 日蒙国際戦 67.5kg契約 M-1ムエタイルール
○ツグト“忍”アマラ(モンゴル/フリー/元全日本ライト級王者)
TKO 4R終了 ※ヒジによるカット
●石毛慎也(東京北星/元NKBウェルター級王者)
後楽園ホールのメインイベントで行われてもおかしくない試合が実現した。MA日本キック、全日本キック、K-1
WORLD MAXで活躍し、数々のタイトルを獲得しているアマラと、NJKF中量級のエース石毛が注目の初対決。
1R、序盤はローの蹴り合いから石毛がパンチとヒジ。後半になるとアマラがピッチを上げて左右のハイ、ミドル、ローキックと蹴りからパンチで攻める。石毛は組み付いてヒザを狙うが、アマラの左右のヒジ! さらにアマラは石毛をコーナーへ詰めてパンチを連打していく。
2R、アマラは左右のロー、石毛が入ってくると左右のフックを繰り出すがこれは大振り。石毛はローから組んでのヒザ、パンチをボディに入れてフックと攻めるが、ラストにアマラが蹴りとヒジで追って行き、右ストレートもヒットさせる。
3Rになると石毛がパンチとローで仕掛けていくが、アマラもヒジを振るって突進。石毛は片手を引っ掛けてのヒザ。前へ出る石毛はボディを叩いて上に繋げ、アマラもパンチの連打で迎え撃つ。
4R、ミドルキックから組んでのヒザに行く石毛にアマラが左右のヒジを叩きつける! これで石毛の歯が折れ、口から出血。ドクターチェックの後、またも組んでのヒザに行く石毛にアマラは左右のパンチとヒジ。パンチで倒そうとする石毛と体勢を入れ替えたアマラが、ゴングと同時に右ヒジ!
石毛はレフェリーに気付かれないようにコーナーへ戻ろうとしたが、ジャッジがヒジで切られたことを指摘し、アマラもヒジをアピールして勝ち誇る。傷口がチェックされ、ストップがかかった。
▼第6試合 日タイ国際戦 85kg契約 M-1ムエタイルール
○ラックトゥッコン・ウィラサクレック(タイ/WSR)
判定3−0 ※49−48、49−46、49−48
●レオナルド・イトウ(ストーン・ジム)
1R、サウスポーのラックトゥッコンはロープを背負って待ちの姿勢、レオナルドの蹴り足を取って左ストレートを放つ。レオナルドは左右のフックからロー、ハイキック。ラックトゥッコンの左ローがローブローになって試合は一時中断。レオナルドが左右フックからの蹴りでラックトゥッコンを転がす場面も。
2R、レオナルドがロープに詰めてパンチからヒジのコンビネーション。ラックトゥッコンもヒジを繰り出す。
離れたラックトゥッコンがロングの距離から左ストレートで飛び込む動きを何度か繰り返し、レオナルドにガードを上げさせて左のボディストレート! これでダウンを奪うという上手さを見せる。その後もラックトゥッコンはボディ攻め。
3R、前ラウンドのダメージから持ち直したレオナルドはパンチとロー、さらに組んでヒザ。しかし、組む度に投げられる。ラックトゥッコンは前蹴りでボディを狙う。
4R、レオナルドが組んで突き立てたヒジ打ちでラックトゥッコンが頭部から流血。勢いに乗って蹴りで攻めるレオナルドだが、ラックトゥッコンは体型からは想像もできない身のこなしでその蹴りをかわし、左ミドルで突き放す。
レオナルドはさらにヒジを繰り出すが、ラックトゥッコンは首相撲からコカしたり、パンチで前へ出てくるところに左ミドルを合わせるなどの上手さを披露。
5R、パンチで倒しに来るレオナルドはロープ際で連打からハイキック。前半は左ミドルや前蹴りで応戦していたラックトゥッコンだが、後半はスタミナ切れか詰められて打たれる場面が増える。しかし、最後の10秒で左右のミドルを連打し、ダウンのポイントを守りきった。
▼第5試合 日タイ国際戦ウェルター級 M-1ムエタイルール
○チャーンプアック・ウィラサクレック(WSR/元オームノーイ王者)
TKO 4R1分59秒 ※ヒジによるカット
●湟川満正(AJ/全日本ウェルター級1位)
元オームノーイ王者の肩書きを持つチャーンプアック(チャンプアック・チョー・シープラーサートとは別人)と、全日本ウェルター級1位・湟川満正の対戦。
1R、最初からパンチで前に出るチャーンプアックは強い連打を繰り出し、湟川は下がって距離を取りつつミドル&ローキック。さらに左フックを返す。前へ前へと出る積極的なチャーンプアック。
2R、ワンツーで前に出るチャーンプアックは接近するとロープ際で早くもヒジ! 湟川は圧力に下がりながらローを繰り出すが、パンチを合わせられる。前蹴りで突き放し、パンチからの右ローを連打する湟川。このローを効かされたチャーンプアックが後半は前蹴りで突き放す。
3R、湟川がパンチで打ち合い、右ローへ繋ぐ。湟川のパンチが何度もヒットするが、チャーンプアックは前へ出て右のパンチを強振。右のパンチばかりを繰り出し、明らかに倒しにかかっているチャーンプアックに、湟川は打ち合ってローへ繋ぎ優勢を保つ。
しかし、ここでチャーンプアックが逆転の縦ヒジ! 湟川が左側頭部から流血してドクターチェックが入る。再開後、チャーンプアックが右の連打で押していったところで2度目のドクターチェックに。ストップの危険を感じ取ったか、湟川が連打を加えて右ローを連打する。両者の凄まじい気迫と攻防に場内は大興奮だ!
4R開始のゴングが鳴ると同時にドクターチェック。試合再開すると湟川はパンチでラッシュ、アッパーとフックがヒットするが、ドクターチェックが入る。再開後、チャーンプアックは組み付き、頭を湟川の左側頭部にこすり付けるエグイ小技。チャーンプアックがヒジで傷口を狙えば、湟川はロー。
場内が大いに盛り上がる中、湟川が右のパンチでチャーンプアックを怯ませたが、そこでついにレフェリーがストップ! 優勢な場面でのストップだっただけに、湟川は「なんでだよ!」と声を荒げた。しかし、今大会のベストバウトといえる内容に場内からは惜しみない拍手が送られた。
▼第4試合 交流戦 ライト級 M-1エクステンションルール
○威幸(WSR)
判定3−0 ※30−29、30−28、30−29
●上杉武惟(藤原/全日本ライト級7位)
▼第3試合 交流戦 ミドル級 M-1フレッシュマンルール
○MIKOTO(アイアンアックス)
判定3−0 ※三者とも30−29
●入月健一(S.V.G.)
▼第2試合 交流戦 ヘビー級 M-1フレッシュマンルール
○柿崎孝司(WSR)
TKO 1R2分1秒
●色増幸作(二丁目G)
▼第1試合 交流戦 ウェルター級 M-1フレッシュマンルール
○林 徹(ファイティングマスター)
判定3−0 ※30−29、30−28、30−28
●河田幸一郎(WSR) |