FEG
「K-1 WORLD GP 2008 IN FUKUOKA」
2008年6月29日(日)マリンメッセ福岡
開場13:30 開始15:00
観衆=6,927人(主催者発表)
▼メインイベント(第10試合) K-1 JAPAN GP2008トーナメント決勝戦 K-1ルール 3分3R延長2R
○エヴェルトン・テイシェイラ(ブラジル/極真会館)
判定3-0 ※30-29、30-29、30-28
●前田慶次郎(チームドラゴン)
※テイシェイラが優勝。
3年ぶりに開催された『ジャパンGP』の決勝戦は、極真カラテの現役世界チャンピオンであるテイシェイラと、1回戦で武蔵を破った前田によって争われることになった。
1R、前足でリングをドンと踏み鳴らして挑発する前田にテイシェイラがインロー、前田の左ミドルには後ろ廻し蹴りを合わせようとする。左右のフックで一気に前に出るテイシェイラの脇を潜り、パンチをかわす前田。
右ストレートをかわそうとした前田がバランスを崩してロープ際に吹っ飛ぶ。テイシェイラが左フック、足を使って回り込もうとする前田との距離を一気に詰める。大きく回り込んでいく前田だが、攻撃はほとんで出ない。
2R、やはり左へ回り込む前田は右ミドル、パンチを返されそうになると自分から倒れ込んでパンチをかわす。テイシェイラが捕まえてのヒザ、ローから後ろ蹴り。前田は右ローを蹴って回り込み、
テイシェイラは一気に間合いを詰めて右フック。前田がパンチで出ようとすると左ミドル、さらに間合いを詰めて右ストレート。右ストレートからの左ローで前田がバランスを崩す。ジャブを出して回り込む前田が、左ミドルをヒットさせたところでラウンド終了。
3R、ローを蹴って下がる前田、テイシェイラが追って来るところをパンチで迎え撃つ。前田がパンチで勝負をかけるが、テイシェイラも強いフックで打ち返す。お互いに近距離で連打を繰り出すが、どちらもクリーンヒットはない。
テイシェイラのローキック二発に前田は連打を返す。テイシェイラが左ボディから右フック、前田も連打から右ストレート。テイシェイラのローに前田が左フック、テイシェイラの右フックには組み付く。
お互いにパンチを繰り出し、下がっては前に出るという展開。このラウンドは前田がややヒット数で上回ったかに見えたが…。
判定は3-0でテイシェイラ! 2001年のニコラス・ペタス、2005年のボブ・サップに続いて3人目の外国人ジャパンGP優勝者に。1回戦で優勝候補筆頭の武蔵を破った前田だが、優勝候補“本命”のテイシェイラの前にあと一歩及ばず。プロデビュー以来の連勝記録は「12」でストップ。テイシェイラは極真から続くVS日本人無敗記録をさらに伸ばした。
「みなさん、こんにちは」と日本語で挨拶したテイシェイラは、「ありがとうございました、磯部師範。私の目標をひとつひとつ歩んでいけることを幸せに思います。本日、この大会に参加することが出来て感謝しています。フィリォ師範、日本とブラジルの一撃アカデミーの皆さん、日本の皆さんありがとうございました」と、丁寧にお礼を言った。
▼セミファイナル(第9試合) K-1スーパーヘビー級タイトルマッチ K-1ルール 3分3R延長2R
○セーム・シュルト(オランダ/正道会館/王者)
判定2-0 ※30-29、29-29、30-29
●ジェロム・レ・バンナ(フランス/Le Banner
X tream team)
※シュルトが初防衛に成功。
ワンマッチの勝率が80%を超え、そのKO率は85%というバンナ。今回はトーナメントではなくワンマッチでシュルトとの対戦を熱望し、実現に至った。
一方、昨年3月にレイ・セフォーをKOしてスーパーヘビー級チャンピオンになったシュルトはこれが初防衛戦。ワールドGPでは史上初の三連覇を達成し、現在13連勝中という完全無欠のチャンピオンである。
“無冠の帝王”“K-1の番長”と呼ばれるバンナがストップ・ザ・シュルトに成功するか、それともシュルトが2006年12月(ワールドGP準々決勝=判定勝ち)、2007年12月(ワールドGP準決勝=TKO勝ち)に続いて3連勝を収めるのか?
1R、シュルトの前蹴りから試合はスタート、バンナは右ローを返す。ジャブと前蹴りを出しつつ前へ出て行くシュルト、バンナは右へ回り込みながら右ロー。
バンナが潜り込むような姿勢からのパンチ、そして右ロー。シュルトはヒザ蹴り、後ろ蹴り。ジャブを伸ばすシュルトに押される場面が多いバンナだが、それでも左ストレートを出していく。
2R、シュルトが前蹴り、ハイキック。圧力を掛けて前に出て、ジャブを伸ばしてさらに前蹴り。バンナはパンチを出してローキックへ繋ぐ。
潜り込もうとするバンナだが、シュルトに組まれてしまう。シュルトの右ストレートに右ローを返し、パンチで打ち合っていくがシュルトとのリーチ差は歴然。当たるのはシュルトの左ジャブばかり。続いてシュルトはヒザ蹴り。
バンナはボディに狙いを絞り、パンチをボディに入れて右ロー。シュルトは右ストレート、ヒザ蹴り、そして右ジャブ。このラウンドはシュルトがかなり前に出て圧力を掛けていった。
3R、前に出て行くシュルトが右ヒザを突き上げる! コーナーへ詰めたバンナへ上段後ろ廻し蹴り。バンナが左右フック、やや怯んだシュルトへバンナが左ストレートでアタックを掛ける。バンナの攻撃が当たり、シュルトの攻撃は空振りが目立つ。
が、シュルトは前蹴りで距離をとり、ジャブから右ヒザ! ワンツーを放ち、ローに繋ぐバンナ。シュルトは一度下がるとすぐに前へ出て右ストレート、そして掴んでのヒザ蹴り。
攻撃を当てるチャンスを3Rに掴んだバンナだったが、ジャッジは1名だけがドローで2名はシュルトに1ポイントをつけた。絶対王者の牙城は揺るがず、シュルトが初防衛に成功した。
シュルトはマイクを握ると「皆さん、ついに王座を守り抜きました。K-1の皆さん、ファンの皆さん、K-1のオーナーありがとう。それから、僕の小さな息子にもいい報告が出来ることが嬉しいです」と喜びを語った。
▼第8試合 K-1ヘビー級タイトルマッチ K-1ルール 3分3R延長2R
○バダ・ハリ(モロッコ/ショータイム/王者)
KO 1R2分30秒 ※右フック
●グラウベ・フェイトーザ(ブラジル/極真会館/挑戦者)
※バダ・ハリが初防衛に成功。
昨年4月28日、藤本祐介との王座決定戦に勝って初代ヘビー級チャンピオンになったハリの初防衛戦。
挑戦者はこれが初対決となる極真カラテの怪物グラウベ。3年連続でワールドGPのベスト4になっているという安定した実力を持ち、K-1トップクラスに長く君臨している実力者だ。
1R、いきなりハリの左ジャブ&右ローがスピーディーにヒット。グラウベのローにジャブを合わせ、すぐに右ロー、右ボディストレート。スピードがグラウベとは段違いに速い。
鋭いジャブを突き、グラウベのローをカットして速いワンツー。ハリのパンチ&ローがかなり伸びる。
ハリのスピードについていけず棒立ちのグラウベは、ハリの左フックからの右ハイキックで動きが止まる! 一気にパンチ&ヒザでラッシュをかけて、ロープ際で右ストレートからの左アッパーフックでダウンを奪うハリ!
グラウベが立ち上がるとパンチでロープ際に詰めていき、右フックで2度目のダウン! グラウベは立ち上がることが出来ず、ハリが圧倒的な勝利で初防衛を果たした。
「コンニチハ! 私はここでパートナーのみんな、ガールフレンド、K-1スタッフの皆さんに感謝します。集まってくれた多くのファンにお礼を申し上げます。今日は全力を尽くしました。そして今、K-1の新しい世代が始まりました!」と、新時代の到来を宣言した。
▼第7試合 K-1 JAPAN GP2008トーナメント準決勝戦第2試合 K-1ルール 3分3R延長1R
○エヴェルトン・テイシェイラ(ブラジル/極真会館)
判定3-0 ※30-27、30-27、29-27
●中迫 強(ZEBRA 244)
※テイシェイラが決勝戦に進出。
準決勝第2試合はフィリオ、グラウベ、ピチュクノフら極真勢とK-1のリングで拳を合わせて来た中迫(いずれも敗れている)。極真史上最強王者の呼び声も高いテイシェイラをストップすることが出来るか? 二人のキャリアは中迫が45戦、テイシェイラが3戦と大きな差がある。
1R、テイシェイラの左インローからスタート。テイシェイラはパンチ主体だった1回戦とはうって変わり、蹴りを中心に試合を組み立てる。中迫のワンツーに左ローを蹴るテイシェイラ、中迫の奥足を狙い撃ちするアウトローだ。中迫がパンチで来ると右フック、中迫もボディへストレートを伸ばす。
中迫のローに合わせたテイシェイラの左のパンチで中迫の動きが止まる。さらに左右フックを浴びせるテイシェイラだが、深追いはしない。ローからワンツー、中迫のパンチに左ミドルを合わせる。
2R、ワンツーから上段後ろ廻し蹴りを繰り出すテイシェイラ、続いて放った右ローで中迫が一瞬間を置いて膝をつく。ダウンだ!(膝関節が外れてしまったらしい)
中迫が立ち上がるとテイシェイラは左右のローで前足を狙い撃ち、中迫は前に出てパンチ、組んでヒザ。さらにローを蹴っていくテイシェイラだが、中迫もパンチで逆転を狙って前へ出て行く。
テイシェイラの右ロー三連発! 中迫は組んでのヒザ。テイシェイラがパンチから左ミドルにいったところでゴング。
3R、テイシェイラの左ミドル、左フックからの右ストレートをもらうと気合いを発して前に出る中迫。テイシェイラは外・内側からローを狙い撃ちするが、やや疲れた感のあるテイシェイラ。お互いに手数が出ない。中迫が左右のフックで前に出ると、テイシェイラもロープを背負って左右のフックを返した。
後半はスタミナ切れになったテイシェイラだが、ダウンのポイントを守り判定3-0で勝利。前田に続いて決勝進出を決めた。
▼第6試合 K-1 JAPAN GP2008トーナメント準決勝戦第1試合 K-1ルール 3分3R延長1R
○前田慶次郎(チームドラゴン)
判定3-0 ※30-29、30-29、29-28
●佐藤 匠(極真会館)
※前田が決勝戦に進出。
準決勝第1試合は、2007年8月16日の『K-1
YOUNG JAPAN GP』決勝戦の再戦となった。この時は最終ラウンドに佐藤が前田をダウン寸前にまで追い込むも延長戦となり、前田が逆転勝利を収めている。
佐藤はリベンジを果たし、テイシェイラとの極真同士の決勝戦実現へ進むか? それとも前田が武蔵を破った勢いのまま決勝へ駆け上がるか?
1R、ローの合い打ちから回り込む前田に、佐藤は右ミドル。前田は右へ回り込みながら左右のローを佐藤の前足に入れ、佐藤が接近してフックの距離になると組み付いてしまう。
右の打ち合いでは前田が二発ヒットさせる。佐藤の距離になると組み付いてしまう前田、ローとミドルを当てて右へ大きく回り込み、佐藤の反撃は許さない。
2R、近づいてくる佐藤に左ミドル、ジャブとフットワークで距離を取り、一気に連打をまとめて攻勢を印象付ける前田。左ミドル、近付いてくる佐藤に連打、佐藤が右フックを繰り出すとさっと逃げてしまう。
前田のコンパクトにまとめるパンチで、左目が腫れる佐藤。さらにラスト数秒で前田がまたもパンチをまとめ打ち。
3R、佐藤の左アッパー、左フックがとらえるも前田は打ち返す。前田の左ミドル、接近する佐藤に前田の左フック、右フックが何度もヒットする。佐藤の左アッパーで大きくアゴを跳ね上げられた前田だが、それでも左右の連打。
足を止める前田が何度もコンパクトにパンチをまとめ、佐藤も打ち合うが前田の左右フックがヒット。真正面から打ち合う佐藤の連打に最後は追い詰められた前田だったが、判定3-0で決勝戦進出を決めた。
▼第5試合 K-1 JAPAN GP2008トーナメント一回戦 K-1ルール 3分3R延長1R
○中迫 強(ZEBRA 244)
判定3-0 ※30-28、30-29、30-29
●ベルナール・アッカ(コートジボアール/フリー)
※中迫が準決勝に進出。
お笑いコンビ「塩コショー」を解散して芸人活動にピリオドを打ち、格闘技一本に絞っての活動を開始したアッカ。「新しく生まれてくる子供のミルク代を稼ぐためにいい試合をする」とモチベーションは高い。
迎え撃つはジャパンGPの常連選手として出場を続け、1998年と2002年は準優勝、1999年と2001年は第3位になっているベテランの中迫だ。前回の試合では佐藤匠を破っている。
1R、大きく両足のスタンスを取るアッカは左右のストレート、さらにフックで一気に前に出ると飛びヒザ蹴り二連発だ。中迫の右ローには右ストレートを合わせて転倒させる。
圧力を掛けて前に出て来る中迫へ左右のフック、中迫はジャブ&ロー。アッカは後ろ蹴りを繰り出すがこれは空振り。上段後ろ廻し蹴りも放つ。
2R、両者ともどっしりと構え、中迫がローキック、右ハイキックもヒットさせる。アッカもローとパンチを出していくが、中迫はガードを固めて的確にローを返していく。
中迫の右ローを再三掴みに行くアッカ。中迫はコツコツと右ローを蹴り、アッカがパンチを出すと右フック。しかし、深追いはしない。圧力を掛け続ける中迫は、アッカのパンチをガードして右ストレートを返す。
3R、アッカはいきなり左右のフックを連打、中迫が打ち返してくるとアッカは組みながらのヒザ、さらにフックの乱れ打ち。
勝負をかけたアッカが打ち疲れたところで中迫が右を打ち返し、左フック。組み付くアッカ。スピードが遅くなったアッカに中迫の右アッパー、右ストレートがヒットする。
バテバテのアッカだが、バックブローを繰り出すなど、手は出し続ける。中迫は圧力を掛けつつジャブ、右ロー。アッカのパンチはしっかりガードして、ヒザ蹴りと右フック。ボディを攻められると嫌な顔をするアッカは何とか最後まで耐え、ゴングを聞いた。判定で中迫が勝利し、テイシェイラの待つ準決勝へ駒を進めた。
▼第4試合 K-1 JAPAN GP2008トーナメント一回戦 K-1ルール 3分3R延長1R
○エヴェルトン・テイシェイラ(ブラジル/極真会館)
KO 1R2分18秒 ※右ヒザ蹴り
●高萩ツトム(チームドラゴン)
※テイシェイラが準決勝に進出。
極真カラテの現役世界チャンピオン、テイシェイラがジャパンGPに登場。初めてグローブを着けてのK-1デビュー戦となった4・13横浜アリーナでは、武蔵を破った実績を誇る藤本祐介を延長戦の末にKOで破り、ポテンシャルの高さを見せ付けている。今回の“本命”に挙げている関係者も多い。
対する高荻は澤屋敷純一、前田慶次郎と同門で、新空手全日本大会では佐藤匠を破った実績を持つ。
1R、右へ大きく回る高荻へいきなりパンチを打ちにいくテイシェイラ。前回よりも体を絞り、スピードが格段にアップしているようだ。高荻もフックで打ち返し、重いパンチが交錯する。テイシェイラは高荻を捕まえて顔面へのヒザ蹴り、手を離してすぐのパンチの連打でさっそくダウンを奪う。
パンチで前に出るテイシェイラに高荻の右フックがヒット。それでも怯まずに前へ出るテイシェイラ。右へ回り込んで右ローを放つ高荻にパンチで襲い掛かる。捕まえるとヒザだ。そして、高荻がフックで前に出ようとしたところをまた捕まえて、顔面へのヒザ蹴り! 2度のダウンを奪ったテイシェイラが圧勝で準決勝へ駒を進めた。
▼第3試合 K-1 JAPAN GP2008トーナメント一回戦 K-1ルール 3分3R延長1R
○佐藤 匠(極真会館)
判定2-0 ※30-29、29-29、29-28
●野田 貢(シルバーアックス)
※佐藤が準決勝に進出。
野田27歳、佐藤24歳。日本期待の新鋭同士が1回戦で激突する。野田は学生相撲から空手に転向し、正道会館で腕を磨いた。
佐藤も極真空手の全日本大会に出た選手で、二人は空手家同士という共通点があり、2006年の新空手全日本大会では準決勝で対戦もしている。その時は佐藤が勝利した(ちなみに決勝戦では高荻勉が佐藤に勝って優勝)が、今回はどうか?
1R、野田がパンチで積極的に仕掛ける。お互いにジャブからロー、野田は組み付いてくる佐藤をプッシュし、コーナーへ押し付けてラッシュ。佐藤も強気に打ち返し、野田の右ストレート、右フックが連続してヒット。たまらず組み付く佐藤。ブレイク後、佐藤も右フックを返す。
佐藤のジャブが野田のガードを突き破り、右アッパー、左フックも繰り出す。今度は野田が組み付き、離れ際にヒザとパンチ。
2R、野田がハイキックから組み付いてのヒザ。離れると佐藤が左ミドル、お互いにアッパーとフックを放ち、野田がヒザ蹴り。佐藤の右フックとアッパーが立て続けにヒット! 打ち返す野田だが、佐藤の手は止まらず連続してパンチをもらう。しかし、野田は倒れず逆に佐藤をパンチで押していくという大熱戦!
佐藤の右アッパー、右フック、右ストレートが次々と頭部を襲うが、野田はもらいながらも前に出て打ち返していく。野田の右フック、佐藤の右ローと右フック。両者とも一歩も下がらず激しい打ち合いが続く。至近距離での打ち合いといい、お互いの手数の多さといい、まるで空手の試合のようだ。
3R、野田がパンチで前に出てヒザ蹴り。またもお互いに足を止めて激しくパンチを交錯させ、その間に野田はヒザ蹴り、佐藤は右ミドル。空手の試合のようなショートの距離でパンチを打ち合う両雄、佐藤の右アッパーに野田のアゴが跳ね上がる! それでも野田は下がらず、佐藤をコーナーへ押し付けてヒザ蹴り、パンチで反撃。
佐藤もヒザ蹴りを返し、超接近戦でお互いにパンチを繰り出す。佐藤が連打すれば野田も連打、佐藤の左右フックに野田がアッパーを返す。両者最後まで一歩も下がらず、打ち合い続ける大熱戦となった。試合終了のゴングが鳴ると、全力を尽くした満足感からか、思わず抱き合う二人。判定は2-0で佐藤が勝利した。
▼第2試合 K-1 JAPAN GP2008トーナメント一回戦 K-1ルール 3分3R延長1R
○前田慶次郎(チームドラゴン)
判定2-0 ※30-29、30-30、30-29
●武蔵(正道会館)
※前田が準決勝に進出
「エースと言ってもおっさんなんで。そろそろ引退させてあげても…」と試合前に武蔵を挑発した前田は「オヤジを倒して世代交代」を宣言している。それに対して武蔵は「ナメられるのが嫌いなんで、まだまだ俺の時代だってことを見せつける」と言い返し、試合前から舌戦を繰り広げた。
前田はピンクレディーの『ペッパー警部』で入場、手には刀が握られている。花道のファンと拳を合わせる余裕を見せ、コーナーに登ってリングイン。武蔵も観客にアピールしながら笑顔で入場するが、前回の澤屋敷戦の時よりも表情はやや硬く見える。
1R、左へ大きく回り込む前田、武蔵はサウスポーに構えてジリジリと迫っていく。武蔵が動くとすぐに下がる前田、近寄ってくる武蔵の前足に右インローを放つ。前田の蹴り足をキャッチして転がす武蔵。圧力を掛けていく武蔵に、前田は右インローを蹴っては離れる。武蔵はほとんど手を出さないまま初回終了。
2R、同じように左へ回り込む前田、すると武蔵は自分から下がってロープ際に誘い込む。それに乗ってこないと見た武蔵がジャブで追い詰めると前田はすぐに組むか、両手で突き放す。武蔵がパンチで距離を縮めると武蔵の脇を潜ってかわしていく前田。
武蔵のテンカオに右インローを返す前田は、さらに右ミドルをヒットさせる。武蔵のパンチに左右フックを返す前田、武蔵はガードとスウェーでかわしているが印象は悪い。残り10秒、前田は連打で前に出る。
3R、左右のローを蹴ってすぐに回り込む前田。武蔵のローは届かない。パンチで突っ込む武蔵が左右フック、前田も打ち返す。前田がローを蹴って下がるところへ武蔵の右ハイキックがヒット。前田は右ミドルを蹴っては下がり、インローに繋げて武蔵に反撃を許さない。
武蔵が強引に入ろうとしたところへ前田の右ストレートがヒット! 武蔵が後方へガクッと崩れる。左右のフックの応酬は武蔵のパンチが当たっているが、前田も打ち返す。そして前田が右ミドルとインロー。前田が攻勢を印象付けて試合を終えた。
判定は一人目が1ポイント差で前田、二人目はドロー、そして三人目は……前田! 武蔵が1回戦で姿を消すという大番狂わせとなった! 前田はK-1僅か3戦目で武蔵を破る大金星、前回のマイティ・モー戦に続いて大物食いに成功した。
まさかの1回戦敗退を喫し、これでワールドGP出場が2年連続で絶望的となった武蔵。しかし試合後、澤屋敷戦で痛めた左膝の靭帯が完治しておらず、試合中にローを蹴ってさらに悪化させてしまい得意の蹴りがほとんど出せない状態であったことを告白した。
▼第1試合 スーパーファイト K-1ルール 3分3R延長2R
○ピーター・アーツ(オランダ/チーム・アーツ)
TKO 3R2分49秒 ※レフェリーストップ
●ヤン“ザ・ジャイアント”ノルキヤ(南アフリカ/フリー)
4・29オランダ大会のリング上で打倒シュルトを宣言し、ワールドGP開幕戦での対戦を熱望するアーツ。ノルキヤは奇しくもシュルトとほぼ同じサイズであり、仮想シュルトを倒してその足がかりとしたいところだ。
ノルキヤは2004年11月6日に行われた新日本キックボクシング協会主催『TITANS 1st』でシュルトと対戦し、2R0分57秒でKO負けを喫しているが、1Rにはパンチでダウンを奪っている。
1R、サウスポーからワンツーを出して前に出るノルキヤに、アーツはカウンターのローキック。前足を内側と外側から蹴る。ノルキヤの左側に回り込みながら、ローと右ストレートを放つアーツ。しかし、ノルキヤのパンチをもらって仰け反る場面も。
アーツの左ローに揺らぎ、下がり始めるノルキヤ。右ストレートでロープに詰め、連打するアーツはテンカオも突き刺す。ボディ攻めから右ストレートと右ハイキック、そしてローへ繋ぐアーツ。
2R、左ローを確実に効かせ、パンチで前に出るアーツ。ノルキヤは打たれながらも前へ出て、ローとフックを放つ。アーツは左ミドル、前蹴り、右ボディストレートとボディを狙い撃ち。復帰戦(昨年12月8日のワールドGP決勝戦以来)のためかアーツは動きが鈍く、ローに左ストレートを合わされる。組もうとするアーツにノルキヤのアッパーが炸裂! アーツも打ち返すが、明らかにバテ気味だ。
3R、ノルキヤをロープに追い詰めて連打するアーツだが、ノルキヤに組まれる。それでも連打とヒザ蹴りでノルキヤをコーナーへ詰めていく。ノルキヤが前へ出たところに右ストレートのカウンターがヒット!
続けてアーツはコーナーに詰めて右ストレートからショートの連打を加えるが、打ち疲れて自分から組んでしまう。しかし、ノルキヤが左目上をカットして流血。
ドクターチェック後、連打からヒザに繋げるアーツ。ノルキヤも大きなフックで打ち返し、アーツは右ボディストレート。右ストレートで前に出るアーツだが、打ち疲れてすぐに組んでしまう。ここで2度目のドクターチェック。再開後もアーツは左右の連打でノルキヤをコーナーへ追い込みヒザ蹴り。ノルキヤにクリンチされるとボディへのパンチ、ヒザ蹴り。
アーツの右ハイキックがクリーンヒット! この一発でグラついたノルキヤへ右ストレートからの連打を浴びせ、ノルキヤが一方的に打たれたところでレフェリーが試合をストップした。
▼オープニングファイト K-1ルール 3分3R
○河野真弓(九州比山)
KO 1R1分29秒 ※左フック
●立川隆史(TRYOUT)
1R、応援団の大声援を受けて、ローを蹴りながら前に出て行く立川。長身の河野は距離を取りながらローとミドルを蹴る。そこに右ストレートを合わせようとする立川だが、河野に攻撃を散らされると守勢に回ってしまう。
逆にテンポよく自分のパンチを当てる河野は立川のガードの間から右アッパー! これで立川の顔を跳ね上げさせると、河野は細かいパンチの連打! 立川がダウン! 立川はそこから立ち上がることが出来なかった。
昨年、元プロ野球選手(ロッテの4番)としてK-1に転向し、連勝を重ねていた立川だったが、今年に入って2連続KO負けという結果に終わった。
▼K-1 JAPAN GP2008トーナメント リザーブファイト K-1ルール 3分3R
○洪 太星(極真会館)
KO 1R1分52秒 ※右ローキック
●高森啓吾(谷山)
空手家の洪と柔道家の高森。今年のJAPAN GPリザーブマッチは異種格闘技戦の匂いのするマッチメークとなった。
1R、圧力を活かして左右のフックを振り回して前に出る高森。サウスポーの洪はガードを高く上げて、左のインローとミドルを蹴る。その後もロー、ミドル、ハイと蹴りを上中下に蹴り分ける洪。
高森は蹴りのディフェンスが追いつかず、洪が強烈なインローで高森からダウンを奪う。再開後、洪はすぐにローを連打。これで高森はマットに崩れ落ち、洪が余裕のKO勝利を収めた。
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