シュートボクシング協会
「火魂〜Road to S-cup〜其の四」
2008年7月21日(月・祝)東京・後楽園ホール
開場17:00 開始17:30
※スターティングクラスは17:15〜
▼第10試合 SB日本ウェルター級タイトルマッチ 3分5R 無制限延長R
○宍戸大樹(シーザー/王者)
判定3−0 ※49−46、50−48、49−46
●山口大雅(寝屋川/挑戦者・同級1位)
※宍戸が初防衛に成功。
タイトルマッチであると同時に、11月24日(月・祝日)さいたまスーパーアリーナでの開催が決定した『シュートボクシング・ワールドトーナメントS-cup2008』の出場者決定トーナメント1回戦でもある大一番。
TATSUJIとビッグベン・ケーサージムを破って再び波に乗るかと思われた矢先、肩の脱臼で欠場。復帰後は二連勝を飾っている宍戸は、先輩・緒形健一ともう一度闘うことをテーマにしている。挑戦者・山口は吉鷹弘指導の元、大番狂わせを狙って泣きながらやるほどの練習を積んできたという。
1R、宍戸は左へ回りながら左ロー、山口は左ミドルを出しつつ宍戸が蹴り返してくるとワンツーを合わせる。右ミドル、左ローで試合を組み立てる宍戸に、何度も山口が襲い掛かるが、宍戸はガードを固めて右ミドル&左ローのペースを崩さない。終盤、コーナーに詰まった山口に宍戸が突っ込んで行ったところで、山口のフックがタイミングよく当たり宍戸がバランスを崩す。
2Rも同様に回り込みながら右ミドル&左ローを蹴っていく宍戸、山口もパンチを合わせようとする。宍戸は奇襲の顔面前蹴りを突き刺し、パンチの連打、そして得意のバックキックを放つ。それでも怯まず左右のフックをガードの上からで叩きつけてくる山口に、宍戸はヒジで応戦。山口がバックブローを繰り出せば、宍戸もお返しのバックブローからもう一回転してのバックキック。
山口のボディを前蹴り、右ストレート、バックキックで痛めつけ、山口のパンチにはヒジと細かい連打を返す宍戸。山口をコーナーに追い詰める場面もあるが、山口もフックで反撃。
3R、険しい表情で攻めていく宍戸、山口もフックとヒジで攻撃の手を休めない。しかし、宍戸がジャブと前蹴りの連打でロープに釘付けにすると、山口は明らかにバテ気味。宍戸は細かくジャブを刻み、手数足数をフル回転させる“SB百烈拳”。バックキックやボディストレートでボディへのダメージを蓄積させていくことも忘れない。
後半、山口がフックとヒジで盛り返すが、終盤はコーナーに詰められて防戦一方に。ブロックしながら左フックを返したが、宍戸のヒジ・ヒザ・パンチの圧倒的な手数にやられた印象。
4R、山口はパンチとヒジで宍戸を追い詰めていくが、前蹴りで突き放される。宍戸はパンチ、ロー、ミドル。そしてヒジで山口をコーナーへ詰める。お互いに押しては返し、返しては押されるという一進一退の攻防を展開。宍戸の手数、山口の気迫に場内は沸く! 両者は激しい打撃戦を展開していく。
ラスト30秒、宍戸の右ミドルがクリーンヒット! 山口の体がくの字に折れ曲がる! ガードが落ちた山口へ、一気にラッシュをかける宍戸。山口は打たれながらも反撃を試みるが、もう一度右ミドルをもらって動きが止まる。両者はパンチとヒジで打ち合うが、完全に宍戸が手数でも有効打でも上回った。
そして最終5R、山口は最後の力を振り絞ってパンチとヒジで突進、宍戸は前蹴りとミドルで突き放してローキック。宍戸のボディ攻めのダメージが溜まってきた山口へ、さらにボディへのヒザ、ミドルキック。
パンチとヒジを出しながらどんどん前へ出る宍戸。これに山口もパンチとヒジで激しく応戦する。宍戸の右アッパー二連発、右ストレートに鼻血を出しながら後退する山口。それでも諦めずにヒジを叩きつける。
宍戸の右ミドル、テンカオに後退する山口。宍戸はコーナーに詰めると右ミドル、ヒザをパンチに織り交ぜての連打、ジャブを連続で刻んでヒジ、右ヒザ、さらにヒザ蹴りとヒジで山口がノーガードで一方的に打たれ、ついにレフェリーがスタンディングダウンを宣告! 宍戸は思わずガッツポーズ!
大歓声に包まれる場内、宍戸は顔面前蹴り、パンチ、ボディへの前蹴り、バックブロー、バックキックと一気呵成に攻めまくる。山口もフックで反撃し、激しい打撃の応酬が繰り広げられる! 両者の気迫溢れる攻防に、ファンも熱狂だ。試合終了のゴングが鳴ると、山口は力尽きたようになってしまう。
判定は3−0で宍戸! 終わってみれば3点差のジャッジが二人もいたが、内容はお互いに一歩も退かない攻めの姿勢を貫いた。宍戸は「山口選手は今まで試合をしてきた中でも、気持ちの凄く強い選手でした。そんな選手と闘えて気持ちいいです」と、“シュートボクサーズ・ハイ”の状態。大熱戦は宍戸の王座防衛で幕を閉じた。
試合後のインタビュースペースでは「予想はしていたが、圧力は予想以上だった。パンチもキックも外国人に劣るものがなかった。最初に左ミドルをもらった時に、予想以上の威力だったのでちゃんと仕上げてきてると思いました。9月に向けていい経験になりましたね。僕も死に物狂いでやったつもりです」と、いかに苦しい試合であったかを語る宍戸。
次は金井とのS-cup出場権を賭けた闘いとなる。「僕も金井さんとやりたかったので望むところ。一緒に練習する仲間ですが、関係ない。勝負します。金井さんは前に出てくるスタイルだし、投げも出来るシュートボクサー。SBらしい試合をして、勝ち上がった選手がSB代表にふさわしい。9月はSB史上に残る凄い試合をやってみたいと思います」と、金井との対決に意欲を燃やした。
▼第9試合 SB日本スーパーウェルター級タイトルマッチ 3分5R 無制限延長R
○金井健治(ライトニング/王者)
判定3−0 ※50−45、50−46、47−46
●大野 崇(Unite-K/ISKA世界ミドル級王者/挑戦者)
※金井が初防衛に成功。
いま最もノリに乗っている男、そして最もSBを体現できる男が金井だ。連勝を重ね、菊地浩一戦でタイトルを奪取、前回の試合ではアンディ・オロゴンをも撃破し、実力が本物であることを証明した。対するは投げや立ち関節も使い、シュートボクサーとしての完成度を増したベテラン大野。
1R、金井はパンチを出しながら出入りを繰り返し、大野のハイキックはスウェーでかわす。顔面、ボディとパンチを打ち分ける金井に大野はヒザ蹴りを狙う。金井がパンチで入ってくるところへヒザを突き立てるが、金井の前進は止まらない。ラウンド終了間際には、金井が首投げでシュートポイント獲得!
2R、右ストレートで入って左右フックへ繋ぐ金井。距離を取りたい大野だが、金井にパンチで距離を詰められる。近づいたところにヒザ蹴りを突き上げるが、金井は全く怯まない。
金井のパンチを浴びてみるみる内に顔が真っ赤になっていく大野。左目の上をカットして流血も。金井は右ストレート、右ボディストレート、左ジャブとどんどん前へ出て行く。大野は左ミドルで突き放すが、ロープ際に追い込まれる場面が目立つ。
3R、金井がパンチの連打で大野をコーナーへ追い込む。大野が前へ出てくるとそこを首投げで捕らえて2度目のシュートポイント獲得。ところがこの直後、急に大野の距離で試合が進み、大野の左ロー狙い撃ちで金井の動きが止まる! 左ローだけでなく左ストレート、ヒザ蹴りでも攻める大野。
4R、大野の左ローが明らかに効いている! 左ローから繋げるテンカオも効き、金井は大ピンチ。金井もローとパンチで反撃するが、大野の左ローに体が傾き、テンカオには体を丸める。大野は左ミドル、左ストレートも織り交ぜ、金井を倒しにかかった。が、残り40秒で金井が右ローで大野のバランスを崩して鮮やかな首投げ! この試合3度目のシュートポイントを獲得し、スリリングな攻防で場内は大歓声に包まれる。
5R、大野は左ローとヒジで逆転を狙いに行くが、金井も縦ヒジを繰り出す。逆転のためのバックドロップも、金井に首投げで返されてこの試合なんと4度目のシュートポイントを奪われる。それでも大野は左ハイキック、左ロー、左ストレート、テンカオと持てる技を駆使して倒しに行き、金井も右ストレートを中心に前へ出る。
真正面からのぶつかり合いに、場内は大興奮! 攻撃の手も前へ出ることも休めない両者、最後の最後まで激闘を展開し、試合終了のゴングが鳴ると大野はその場に座り込んだ。お互いに全力を尽くしたであろう試合の判定は、やはりシュートポイントが響いて大差で金井が勝利。初防衛に成功し、夢の『S-cup』出場へ一歩前進した。
▼第8試合 57kg契約 エキスパートクラス特別ルール 3分3R 無制限延長R
○ファントム進也(龍生塾/SB日本スーパーバンタム級王者)
判定3−0 ※29−29、30−29、29−28
●ニコ・ファレイゼン(ベルギー/チーム・サワー/WAKOベルギースーパーフェザー級王者)
2月に崎村暁東と“打・投・極”の全てを使った「これぞSB」という試合をやり、日本スーパーバンタム級王者になったファントムが王者第1戦を迎える。「チャンピオンなので相手をぶっ飛ばします」とモチベーションは高い。
対するはモデルも務めているというイケメン、ベルギーのニコ。アンディ・サワーが「彼は近い将来、K-1やSBで活躍するはず」と推薦してきた選手である。「モデルは副業、闘うことが俺の人生だ」と言うニコは、ファントムの「顔を潰してやる」との挑発に「顔を殴られることには慣れているよ。何とも思わない」と平然と言い返した。
1R、ニコはワンツーを主体にフックやアッパーを織り交ぜたコンビネーションパンチ。ファントムがフックを一発振り抜くのに対し、一発では終わらず必ずコンビネーションで勝負。ファントムは投げも狙ったが、不発に終わる。
2R、お互いにフックを飛ばし合い、何度か相打ちになる打撃戦を展開。ニコは飛びヒザ蹴りも繰り出す。二人とも一発で倒してやるとの気持ちが見えるような、パンチの応酬が続き場内もヒートアップ。
3R、パンチでやや押されていたかに見えたファントムだが、真正面からの打ち合いで一歩も退かない。そしてついに首投げでシュートポイントを獲得! ニコも負けじとバックドロップを繰り出すが、体勢が崩れてポイントにはならず。
激しい打ち合いが展開される中、ファントムの右フックがヒット! 足元がフラつくニコにファントムは右フックを連発、ニコも強気に打ち合ってくるところへ今度はファントムの左フックがヒット! ニコは足元がおぼつかず、フラフラと後退する。
一気にラッシュをかけるファントム。ニコをロープに釘付けにし、連打! 連打! 大歓声の中、ラウンド終了のゴングが鳴り、KOチャンスを逃したもののファントムが熱戦でサワーからの刺客を撃退した。
▼第7試合 60kg契約 エキスパートクラス特別ルール 3分3R 無制限延長R
石川剛司(シーザー/SB日本スーパーフェザー級1位)
ノーコンテスト 3R ※両者負傷で試合続行不可能
歌川暁文(UWFスネークピットジャパン/SB日本スーパーフェザー級2位)
王者・及川への次期挑戦は間違いなしと思われていた歌川だが、前哨戦となるはずだった6・28新宿FACE大会でクレイジー・ヒルに投げられまくってまさかの敗北。そこで巡ってきたのは、今年4月に及川へ挑戦した石川との初対決だった。実はプライベートで仲がいいという両者、リング中央でハグして戦闘開始。
1R、歌川は左ミドル、石川はアッパーとフックのコンビネーションでそれぞれ試合を組み立てる。石川は歌川の左ミドルに対し、左へステップしての左フックを狙い撃ち。もらった歌川がグラつく場面も。石川はパンチから組み付いての投げを狙うが、歌川はしっかり組み付いて投げを防ぐ。
2R、石川のヒジで歌川が頭部をカット。石川はパンチで積極的に前へ出て、歌川は左ミドルで迎え撃つ。石川の投げを警戒する歌川は、組み付かれると自らしゃがんでしまいイエローカードを提示されてしまう。
すると、ここから試合はヒートアップ。石川と歌川はバシッとグローブでハイタッチ。石川が左右フックで前に出ると、歌川も右フックと左ストレートで迎え撃ち、ヒジも飛び交う激しい打撃戦に。両者足を止めて気持ちのこもった殴り合いを展開する。
極めつけは3R。もはや両者とも顔面が真っ赤、それでも打ち合い、蹴り合いの動きは止まらず、真正面からのぶっ倒し合いが続く。場内も大歓声で二人を後押し、石川は連打からの投げを狙うが、疲れで足を掛けて倒す程度に留まる。
歌川が流血、石川の顔面も大きく腫れ上がり、血みどろの死闘が繰り広げられる中、二人同時にドクターチェック。歌川は“続けようぜ!”とばかりに手を振って観客を煽ったが、ついに「両者ドクターストップ」という裁定が下った。死闘の結末を見たい観客からは「え〜っ!」と反応し、ブーイングとシーザーコールが沸き起こる。
試合続行を望む空気の中、野呂田メディカルアドバイザーがリングに上がり「歌川選手は(頭部が切れて)頭蓋骨が見えています。石川選手は眼窩底骨折の疑いがあり、危険なので中断します」と説明。それでも観客が収まらないため、シーザー武志会長がマイクを握った。
「この試合は必ずまたやらせますので、今回だけはお許しを! 選手の健康が一番です。必ず近い内、やらせます!」と両者の再戦を約束し、騒ぎはようやく収まった。石川と歌川も“またやろう”と笑顔で抱き合った。
▼第6試合 ヘビー級契約 3分3R 無制限延長R
○アレックス・ロバーツ(空柔拳会館/SB日本ヘビー級1位)
TKO 1R1分41秒 ※3ノックダウン
●マジェスキー・ザ・ハリケーン(チーム・ブラジリアン・ディザスター)
今年SB入団を果たし、4月には念願だったK-1出場も果たしたアレックス。だが、結果はグラウベ・フェイトーザに2RでKO負け。世界の壁の厚さと高さを味わい、今回復帰戦を迎える。その相手は総合格闘技のトーナメントで優勝経験があるというマジェスキー。
しかし、マジェスキーはまったくアレックスの敵ではなかった。一発目の左ローキックから表情が歪み、アレックスのパンチからの左右ロー、ハイキック、ミドルキックに下がる一方。
アレックスは左右ローからの右フックでファーストダウンを奪うと、続いて左ローでダウンを追加。最後はヒザ蹴りを突き上げると、マジェスキーは体を浮き上がらせてマットに倒れ、アレックスが豪快にKO勝ちで復帰した。
「みなさん、こんばんは。すいません、今回はちょっと早すぎました。もうちょっと動こうかなと思ってたんですが。4月にK-1にSB代表で出て負けました。すいませんでした。またゼロからやります。出来ればS-cupに凄いのを呼んで欲しい」と、アレックスは流暢な日本語で再起をアピールした。
▼第5試合 ヘビー級契約 3分3R 無制限延長R
○ミュン・ホン・マン(AN SUNG SUL
BONG GYM/韓国ヘビー級王者)
判定3−0 ※29−28、29−27、29−28
●岩下雅大(龍生塾/SB日本ヘビー級2位)
▼第4試合 51kg契約 スターティングクラスルール 2分3R延長1R
○レーナ(及川道場)
延長1R 判定3−0 ※三者とも10−9
●富田美里(シーザー)
※本戦は29−29、29−28、29−29
スターティングクラスで最もアツイ試合となったのは、女子の試合だった。SBレディースを引っ張っていく逸材と評価が高い17歳のレーナ。今回は4歳上の富田が相手だが、キャリアでは1戦1勝の富田に対し、レーナが6戦4勝1敗1分で上回る。
パワフルなパンチと右ハイキック&左ミドル、そしてヒザ蹴りで富田を圧倒するレーナ。かなりのパワーと圧力の差を感じさせるが、富田も負けじとロー&パンチ。このままいけばレーナの判定勝ちは間違いなしだった3R、残り20秒でドラマは起きた。
レーナが最後にまとめようとラッシュを掛け、富田をコーナーへ追い詰めた時、富田の右ストレートがヒット。構わず打ち合いに持っていくレーナだが、富田はレーナのパンチに合わせて組み付き首投げ一閃! シュートポイントを獲得した!
まさかの展開に場内は大きくどよめく。直後、試合終了となり判定は29−29、29−28(レーナ)、29−29でドロー。富田がイーブンに持ち込んだのである。試合は延長戦へ突入、レーナはパンチで前へ出て、ローを蹴る富田をやはり圧倒。
そのまま押し切るかと思いきや、何とラウンド終了間際にまたしても富田が首投げで鮮やかにレーナを宙に舞わせる! が、今度は終了ゴングの直後でポイントにならず。レーナが冷や汗ものの5勝目を挙げた。
▼第3試合 60kg契約 スターティングクラスルール 2分3R延長1R
○島田洸也(シーザー力道場)
TKO 2R終了時 ※ドクターストップ
●木滝諒栄(フリー)
※木滝が肩鎖関節脱臼のため試合続行不可能
▼第2試合 57kg契約 スターティングクラスルール 2分3R延長1R
○伏見和之(シーザー力道場)
判定3−0 ※30−28、30−27、30−28
●大沢豊慶(大村道場)
▼第1試合 65kg契約 スターティングクラスルール 2分3R延長1R
○鈴木博昭(ストライキングジムAres)
判定3−0 ※30−28、30−26、30−26
●湯田達巳(シーザー)
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