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【パンクラス】稲垣組の“長兄”武重賢司と“特攻隊長”藤原大地が引退を表明

2008/09/07



パンクラス
「PANCRASE 2008 SHINING TOUR」
2008年9月7日(日)大阪・アゼリア大正ホール
開場15:00 開始16:00

▼メインイベント バンタム級戦 5分2R
○藤原大地(パンクラス稲垣組/同級1位)
判定3−0 ※20−19、20−19、20−18
●パンチィー山内(総合格闘技道場コブラ会)

 4月、6月とCAGE FORCEで大会屈指の好勝負を演じた藤原大地が、昨年9月の砂辺光久戦以来、久々にホームリングに凱旋。コブラ会のパンチィー山内を迎え撃った。

 1R、打撃の交換から素早く組みついた藤原が、外掛けからテイクダウンに成功。立とうとする山内の動きについていき、バックをうかがいつつ腕ひしぎ十字固めの体勢に移行する。山内は上から藤原の体を押しつぶし、腕を防御しながら小刻みにパウンド。しかし藤原もしつこく腕に絡みつき、パウンド、ヒザ蹴りをもらっても腕のクラッチを放さない。

 長い時間、同じ展開が続いたところでレフェリーがブレイク。再開後、思い切りのいいパンチから組みついた藤原が、またもテイクダウンに成功。すぐにバックを奪いスリーパーの体勢に入る。山内がこれを逃れると、またも腕十字に。だが、腕が伸びきるのと同時に1Rが終了した。

 2R、パンチの打ち合いから両者、もつれるような形でグラウンドに。藤原が素早い動きで山内をヒザ十字固めに捕える。だが山内は激痛で顔を歪めながらも、なんとか脱出。再びスタンドの展開に戻していく。パンチを数発交換したあと山内が組みつくと、藤原はフロントチョークの体勢に。極まったかも見えたが、ここも山内が脱出し、上からパウンドで反撃していく。

 セコンドの「出し切れ!」の声に後押しされ再びフロントチョークを仕掛けた藤原だが、ここでタイムアップ。何度も一本を取りかけた藤原だが、結果は判定に持ち越されることになった。ジャッジは一本を狙い続けた藤原を支持。パンクラス稲垣組の特攻隊長が、判定ながら久々の勝利をものにした。

 だが、判定が出た直後に事件が発生。来場した観客にマイクで一通り礼を述べると、「今日の試合で最後になります」と突然、引退を発表。観客が驚きの声をあげるなか、藤原は笑顔と涙が入り混じった何ともいえない表情で、引退を決意した経緯を語り始めた。

「(客席から『まだ、やれるよ!』と声が飛ぶと)俺もそう思います。まだまだ上に行けると思います。まだ24歳やし。でも、もう一つ夢があって、僕はどうしてもラーメン屋がやりたいんです。僕の中では、それが格闘技よりもでかくなってしまいました。京都に大好きなラーメン屋があるんですけど、そこにアポなしで弟子入りを申し込んだら『人は足りているけど、その心意気が気に入った』と言ってもらえまして、10月1日から弟子入りすることになりました。いつか大阪一、日本一、宇宙一うまいラーメン屋を出すのが夢なんで、応援よろしくお願いします」

 藤原によれば8月上旬くらいに引退を決意したそうだが、川原誠也の対戦要求もあり気持ちが揺れる時もあったとのこと。だが、新たな夢ができたことで、グローブを置くことを選択。初代バンタム級チャンピオンの最右翼が、惜しまれつつリングを去っていった。以下はバックステージでの藤原のコメント。

「川原誠也とやりたかったんですし、この試合をクリアしたらタイトル戦という話もあったんですけど、チャンピオンになって引退しますじゃ通用せんでしょう。なら今のうちにと思って決めました。川原が今泉選手と試合した日に、京都のラーメン屋に話をしに行きました。悔い? いつ辞めても絶対に悔いは残りますからね。格闘技人生はケガだらけでしたね(苦笑)。骨折個所が20を超えましたから。

 思い出の試合はみっちー(対砂辺光久)戦ですね。試合しながら、お互いのことが分かり合えたというか。(WECで不在だった)稲垣さんには『よく正直に言ってくれた』と言われましたけど、(前田)吉朗さんにはまだ言ってません。言うと試合に集中できなくなると思ったんで。だから坂本(靖)さんにも、吉朗さんが飛行機に乗ってから言いました。最後に『ごめんなさい』と言って、どつかれたいと思います(笑)。みなさん、ありがとうございました。これからも稲垣組を、よろしくお願いします」



▼セミファイナル ウェルター級戦 5分2R
○花澤大介13(総合格闘技道場コブラ会)
一本 1R3分52秒 ※肩固め
●レアンドロ・クサノ(ブラジル/グレイシー・ウマイタ/ヒクソン・グレイシー・カップ2008アダルト・メディオ級青帯優勝)

 今年5月の大阪大会で花井岳文を下し、ランカーとの対戦を熱望していた花澤大介13が、柔術界で頭角を現しつつあるレアンドロ・クサノと対戦。ランキング戦を再度アピールする意味でも、ここは負けられない一戦だ。

 パンチから一気に組みついた花澤は、テイクダウンからパウンドという、いつもの必殺フルコースで追撃。クサノも下から反撃を試みるが、花澤は冷静に対処しながらハーフ、そして肩固めと追い込んでいく。クサノのディフェンスが固くハーフから先に進めなかったが、肩固めによりクサノの顔が次第に紅潮。結果、これがフィニッシュとなり花澤が連勝を飾ってみせた。

 完勝を飾った花澤は「ライト級王者はワンマッチではなく、トーナメントで決めてほしいと思います。そのときは関西代表として僕が出たいと思います」とマイクアピール。前回の後楽園大会で突如、消滅したライト級王座の今後の動向に注目だ。



▼第6試合 ウェルター級戦 5分2R
―ストラッサー起一(総合格闘技道場コブラ会&フリースタイルアカデミー)
ノーコンテスト 1R2分10秒 ※偶発的なバッティングにより吉岡が額をカット。続行不能
―吉岡宏高(藤田柔術)

 5月大会のベストバウトともいうべき一戦(VS枝折優士)を制し、波にのるストラッサー起一が、レスリングなどで輝かしい実績を残してきた吉岡と対戦。

打撃がまったくできない吉岡は、ひたすらタックル狙い。うまく懐に潜り込み、ストラッサーからテイクダウンを奪っていく。だが、下から腕を絞られると、パワーを利したバスターで強引に対処。その際に吉岡とストラッサーの額が激突し、吉岡が額から大量に出血。試合続行不可能となり、ルール(1R内における偶発的なアクシデント)に基づきノーコンテスト裁定となった。



▼第5試合 フェザー級戦 5分2R
△武重賢司(パンクラス稲垣組)
判定0−0ドロー ※20−20、20−20、20−20
ドロー 
△手塚基伸(総合格闘技道場コブラ会)

 1R、まず胴タックルで手塚がテイクダウン狙い。だが武重はうまく対処し、倒されてもすぐに立ち上がってみせる。パンチの攻防のあとは、逆に武重がカウンターのタックルを決めテイクダウンに成功。一進一退の攻防が続くなか1Rが終了。

 2R、またも打撃をかいくぐった武重が、タックルで手塚をテイクダウン。手塚がうまくバックを奪う場面もあったが、武重もすぐに向き直り隙をみてヒザ十字固めを仕掛けていく。1R同様に2Rも甲乙つけがたい内容に。結果、三者ともに20−20をつけるドローとなった。

 試合後にマイクを握った武重は、この試合を最後に現役を引退することを発表。"長兄"として長らく稲垣組を引っ張ってきた男が、惜しまれつつプロのリングに別れを告げた。以下はバックステージでの武重のコメント。

「今日の試合に向けてコンディションを整えてきました。でも、こんなもんです。引退は試合前から決めていました。今日は勝敗に関係なく引退を発表するつもりでした。去年くらいから、ちょくちょく頭の中をよぎってまして、ヒザの状態も良くなくて騙し騙し練習していたんですけど、最終的に前回の負けで決意が固まりました。

 思い出ですか。一戦一戦が思い出なので全部ですね。練習生として大阪に来て、いろいろな人に支えられてここまでやってきました。本当に感謝したいですね。(稲垣組の長兄として一言)みんな三日くらいしたら忘れるんじゃないですか(笑)。色々とサポートしていきたいですね。自分の今後は、ちょっとのんびりしてから、それから考えたいと思います」


▼第4試合 ウェルター級戦 5分2R
〇枝折優士(和術慧舟會TEAM VAMOS)
判定2−0 ※20−19、19−19、20−18
●宝来弘富(KOコンバット)

▼第3試合 バンタム級戦 5分2R
○合田隆宏(パンクラスREAL)
判定3−0 ※20−19、20−19、20−19
●長谷川孝司(パンクラス稲垣組)

▼第2試合 フライ級戦 5分2R
○平安孝行(フリー)
ギブアップ 1R3分44秒 ※バックマウントからのパウンド
●龍野真一郎(和術慧舟會兵庫支部)※本戦初出場

▼第1試合 フェザー級戦 5分2R
○原井 徹(毛利道場)
TKO 2R2分21秒 ※レフェリーストップ。パウンド
●松井英夫(空手道禅道会 長野県支部)

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