全日本キックボクシング連盟/「Krush!」実行委員会
ALL JAPAN KICKBOXING 2008
「Krush!〜Kickboxing Destruction〜」
2008年11月8日(土)東京・後楽園ホール
開場17:00 本戦開始18:00
▼メインイベント K-1ルール 60kg Fight 3分3R延長1R
○山本元気(DTS GYM/全日本スーパー・フェザー級1位)
KO 3R1分34秒 ※右フック
●桜井洋平(Bombo Freely/WFCA世界ムエタイ・ライト級王者)
ついに迎えた全日本キックボクシング連盟とニュージャパンキックボクシング連盟のエース対決。場内は一気にボルテージが上がる。桜井は入場時、手を挙げて歓声に応える顔つきが今までの日本人対決とは明らかに違う。グローブは6オンス。
1R、大歓声の中でゴングが鳴る。長いリーチからのジャブ、ローを繰り出す桜井を元気が右軸足払いで転倒させる。立ち上がった桜井はいきなり元気との打ち合いを展開、元気が前蹴りで突き放すと桜井も前蹴り。桜井が右ストレートで突っ込み、元気もレバーブローで応える。
圧力をかけて桜井を下がらせた元気は、右の打ち下ろし気味のフック一閃! この一発が強烈に決まり、桜井が早くもダウン! まさかの展開に場内は騒然!
立ち上がった桜井は右ストレートを伸ばしたが、元気は左の前蹴りで下がらせる。ボディを攻めて上に繋げる元気に、桜井も得意の左フックで応戦するが、パンチの回転力で上回る元気が押して行き、レバー攻めで桜井を亀にさせる。
ロープに釘付けにしてレバーブロー、さらに連打でメッタ打ちにする元気! すると桜井がうずくまるように2度目のダウン! またも場内は騒然! 観客席では立ち上がって喜ぶファンも。
仕留めに行く元気の右フックで桜井は鼻から出血(試合後、鼻が陥没していたことが発覚)。前蹴りで丸まってしまう桜井だったが、それでもパンチを打ち返し、このラウンドをしのいだ。
2Rが始まる直前、桜井はその場でピョンピョンと飛び跳ねてダメージがないことをアピール。桜井の応援団からドッと歓声が挙がる。元気は前に出てローから右フック。ここでバッティングがあったか、元気も左目尻から出血。ガンガンとパンチで前に出る元気に、桜井も左のパンチで応戦、右ストレートも炸裂させる。
持ち直したかのように見えた桜井だが、元気のレバーブローをもらうと体が丸まってしまう。前蹴り、ヒザ蹴り、そしてパンチでレバーを徹底的に攻める元気にどうしても下がってしまう桜井。コーナーに詰まってパンチをもらう場面も。
しかし、元気のパンチをもらうと“もっと打って来い!”と言わんばかりのゼスチャー。桜井がハイキックで反撃し、寸でのところでかわした元気は“ひょーっ♪”と歓声を上げる。
バックブローを放って逆転を狙う桜井を左の前蹴りでロープ際まで吹っ飛ばした元気は、レバーへの連打。そして桜井がうずくまるようにまたもダウン! 元気はさらに左前蹴り、パンチで詰めていくが、桜井も必死の形相でパンチ、左ミドルで反撃し、このラウンドも持ちこたえた。
3R、ローキックを繰り出してパンチへ繋げる元気に、桜井は左ミドルを合わせていく。さらに至近距離での打ち合い。元気が右フックで下がらせると、桜井は前に出て来る元気にテンカオ、左ミドル。それでも下がらずに圧力を掛け続ける元気、前蹴りで桜井を後退させ、またしてもボディ攻め。
そして、前蹴りで下がった桜井へ右ストレート一閃! 吹っ飛ぶようにダウンする桜井! 倒れた桜井の状況を見てレフェリーが試合をストップ!
元気のKO勝ちを宣言した。ロープに飛び乗り、喜びを表す元気。セコンドに就いた大月とも抱き合う。壮絶なる決着と試合内容に、場内は大歓声に包まれた。
マイクを持った元気は「ありがとうございます。やっと動きが元に戻ったので、これからも頑張ります。一番面白いのは全日本キックなんで、これからも応援してください!」と超満員札止め(2,250人=主催者発表)の観客席にアピールした。
▼セミファイナル K-1ルール 60kg Fight 3分3R延長1R
○山本真弘(藤原/全日本フェザー級王者)
TKO 1R2分33秒 ※セコンドからのタオル投入
●AKIRA(チームドラゴン/J-NETWORKフェザー級王者)
全日本キックとJ-NETWORKフェザー級チャンピオンの対決となった一戦だが、“全日本キック60kg級最強の男”山本真弘との差は歴然だった。
1R、サウスポーの真弘は右ロー、右前蹴りと左へ回り込みながらの攻撃。正面に立つと、AKIRAが右ストレートを突き刺してくる。その右を2発もらった真弘は首を傾げるが、徐々にペースを上げて行く。
AKIRAのパンチとローをステップでかわし、AKIRAのガードの内側・外側から隙を突いて面白いように右のパンチを当てていく。コーナーに詰めての連打、前へ出て左アッパーを突き上げるとまずは1度目のダウンを奪う。右フックからの左アッパー二連発で2度目のダウンを奪うと、AKIRAのコーナーからタオルが舞った。
まさに格の違いを見せ付けた真弘は、「谷川さん、見てもらいましたか?」と本部席にいた谷川K-1イベントプロデューサーにアピールし、「次は僕が桜井選手と闘いたいのでよろしくお願いします」と、桜井洋平との対戦もアピールした。
▼第6試合 K-1ルール 60kg Fight 3分3R延長1R
○ワンロップ・ウィラサクレック(タイ/M-1バンタム級王者)
判定3−0 ※30−29、30−29、30−28
●寺戸伸近(青春塾/全日本バンタム級1位)
これまで多くの日本人選手たちをヒジで葬ってきたワンロップが、ヒジを使えなくなったらどうなるのか? ワンロップもK-1参戦を熱望しているだけに、非常に興味深いテーマである。対する寺戸は今年3月にワンロップと対戦して、1RにヒジでカットされてTKO負けを喫したが、パンチが得意だけに今回はワンロップを攻略する可能性は十分にある。
1R、サウスポーのワンロップは前蹴りとヒザ蹴りで寺戸を追い回し、長いリーチから繰り出す左右フックを振り回す。最初はローを当てていた寺戸だが、後半はワンロップのパンチに後退。
しかし2R、ワンロップに早くもスタミナ切れの兆候が見える。左ストレートを伸ばし、ヒザに行くだけで精一杯。寺戸は右ストレートを連打して入っていき、ワンロップの蹴りをもらいながらもフックを返してヒットさせていく。
3R、ワンロップはヒザ、前蹴り、ボディブローで攻めるもスタミナ切れは明らか。ローを蹴ってくる寺戸を自分から下がって誘い、カウンターのヒザ。首相撲を多用して寺戸をコカし、スタミナを奪ったワンロップが判定勝ちしたが…。
試合後、大会を総括した谷川貞治K-1イベントプロデューサーは「正直言って、ワンロップはダメ。あれじゃあK-1のリングに上がれるとは思わない。期待はずれでした」とダメ出し。「K-1のレフェリーだったら(首相撲は)反則をとる。あそこまで掴みにいって休んでるようでは。あれではブアカーオにはなれない。考え方を変えないと。思想がダメです」と、不合格を通知した。
▼第5試合 K-1ルール 70kg Fight 3分3R延長1R
○TATSUJI(アイアンアックス/2006・2007K-1
WORLD MAX日本準優勝)
判定3−0 ※29−28、30−28、30−28
●小宮由紀博(フォルティス渋谷/J-NETWORKスーパー・ライト級1位)
今年2月のMAX日本代表決定トーナメントで、元プロボクサーの前田宏行に1RでKO負けしたTATSUJIが復帰戦。過去2度日本トーナメントで準優勝しているこの大物を喰おうとするのは、他団体で腕を磨くJ-NETのエース小宮だ。
1R、圧力をかけていきパンチの連打からローへ繋げるTATSUJI。小宮は得意の右クロスを合わせに行くが、警戒されているのと圧力に押されてしまい下がり気味。クリンチやヘッドスリップでTATSUJIのパンチから逃れようとするが、ボディを打たれる。
2R、やはりTATSUJIが圧力をかけていって、小宮をコーナーへ詰めてボディ打ちからの連打。打ち返そうとした小宮に右フックをジャストミートさせ、ダウンを奪う。小宮は圧力に下がりっ放し。終盤にヒザ蹴りとパンチを出し、ロープに詰められると体を入れ替えて打ち返そうとするが、TATSUJIの圧力に押されて組むのが精一杯だ。
しかし3R、勝負を賭けた小宮が足を止めての打ち合いを挑む! TATSUJIもこれに応戦し、場内が一気にヒートアップする。小宮は離れるとヒザ蹴り、遠間から右ストレートで入っていってまた連打。ボディから顔面へとパンチを繋ぎ、ついにTATSUJIをグラつかせる! 3Rはよく反撃した小宮だったが、時すでに遅し。TATSUJIがダウンのポイントを守って復帰戦を勝利で飾った。
▼第4試合 K-1ルール 70kg Fight 3分3R延長1R
○イ・スファン(韓国/K-1 WORLD
MAXアジアトーナメント王者)
延長R 判定2−1 ※10−9、9−10、10−9
●尾崎圭司(チームドラゴン/2007K-1
WORLD MAX日本第三位)
全日本キックの代々木大会で山本優弥に判定負け、今年のMAX日本代表決定トーナメントでは城戸康裕に1回戦で判定負けと、勝ち星に恵まれなかった尾崎だが、8月のJ-NETで3RKO勝ちを飾って復活の兆しを見せた。
しかし、今回の対戦相手はイム・チビンをKIしてMAX韓国トーナメントを制し、世界トーナメントにも出場したイ・スファンだ。身長差は実に11cm。尾崎は得意とする回転系の技を活かして、生き残ることが出来るか!?
1R、サウスポーのイは長い足を使ってのローと前蹴り。尾崎はじっくり相手を見ながら、奥足へ右ローを叩き込んでいく。イのパンチをブロックしながら、確実にコツコツと右ローを当てていく尾崎。イも蹴りからパンチに繋げて来る。
2R、イの長いリーチから繰り出されるローとジャブになかなか入ることが出来ない尾崎。強引にパンチで切り込んで行ったり、後ろ蹴り、踵落としなども繰り出す。しかし、イのジャブに突き飛ばされるなどして自分の攻撃の距離に入れない場面が続く。
3R、尾崎がバックキックからバックブロー2連発。さらに回転系の技を次々に繰り出して行き、膠着気味の局面を打破しようとする。イはパンチを伸ばし、上から押さえつけるようにしての顔面ヒザ蹴りを連発。前半は尾崎が押しているかのように見えたが、後半はイがパンチも蹴りも当てたために三者とも30−30のドロー。
延長戦になると、イがパンチ&ローで攻めて行くが、尾崎はなかなか入ることが出来ず。後半にバックキックを出してパンチで行こうとすれば、イの長い手で頭を下げさせられてヒザを突き上げられ、判定2−1で敗れた。
▼第3試合 K-1ルール 70kg Fight 3分3R延長1R
○山本優弥(青春塾/全日本ウェルター級王者)
判定3−0 ※30−27、30−27、30−29
●“オルチャン”・クォン・ミンソク(韓国/IMKF韓国ウェルター級王者)
K-1MAXのリングには何度も上がり、最近はホームリングの全日本キックでムエタイとの二連戦を経験したマルチファイター優弥。昨年10月にMAXでHIROYAと対戦したオルチャンを迎え撃った。
1R、オルチャンは速いパンチからテンカオと、巧みに使い分けてくる。優弥はレバー打ちを効かせての左ミドル、コーナーへ詰めてのアッパー、フックで早くもオルチャンをグラつかせるが、オルチャンも左ハイキックで逆襲、優弥をグラつかせる。オルチャンの左ハイと優弥のレバー打ちの闘いに。
2R、ローの蹴り合いから優弥はレバーブローから顔面へのパンチ、ヒザ、左ミドルを決める。オルチャンもパンチをもらうと強気に打ち合いを挑む。優弥に詰められると左ミドルを中心に蹴って押し返す。オルチャンがタフで気が強いところを見せた。
3R、連打で倒しに行く優弥だが、オルチャンはヒザ、ミドルで反撃。優弥がバックブローを2度放ち、ロープへ詰めての連打に行くが、必ずオルチャンは打ち返してくる。優弥が判定勝ちとなったが、倒せなかった悔しさから大声を挙げて無念さを表した。
▼第2試合 K-1ルール 60kg Fight 3分3R延長1R
○水落洋祐(はまっこムエタイ/全日本フェザー級3位)
判定2−0 ※30−29、29−29、30−29
●卜部弘嵩(西山道場/2007全日本新空手K-2軽中量級王者)
K-1YOUTHのメンバーである新空手全日本王者の卜部が久しぶりの全日本キック凱旋。セコンドには上松大輔と前田憲作も就く。対するは現在K-1ライト級で活躍、エース候補と目されている上松を相打ちのフックでKOしたこともある水落。
1R、卜部はいきなり左ハイキックをぶっ放す。強い左ミドルとパンチでパワフルに攻めて行くが、この序盤に水落の右ローをまともにもらってしまいガクッと動きが鈍る。不用意にパンチをもらう場面もあり、防御面の甘さを露呈。それでも左ミドル、左ハイで追い上げる。
2R、水落が卜部のパンチに合わせて右ローを効かせ、パンチも当てて行く。卜部のパワフルなパンチは空振りが目立ち、ならばと自分から下がって相手を誘い、パンチを当てるがローでガクッと体勢を崩す。
3R、水落のショートのパンチが度々ヒット、それに続く蹴りも的確に相手を捉える。卜部は左ハイで逆転を狙う。すると両者、足を止めての打ち合いを展開! ショートで水落のパンチの方がよく当たっている。
卜部は相手に頭を付けるようにしてパンチを出すが、水落のショートフック、さらにヒザ蹴りをもらって挽回ならず、判定2−0で痛い黒星を喫した。
▼第1試合 K-1ルール 60kg Fight 3分3R延長1R
○ソルデティグレ・ヨースケ(U.W.F.スネークピットジャパン/全日本フェザー級7位)
判定3 −0 ※30−28、30−27、30−28
●九島 亮(AJ/全日本フェザー級9位)
プロボクシングで5勝(3KO)3敗3分の戦績を持ち、得意のパンチで常に観客を沸かせるヨースケが第1試合に登場。4月の後楽園大会では上松大輔とK-1ルールで対戦し、これも好勝負を展開している。今回はAJジムのホープ九島との初対戦となった。
1R、パンチで前に出るヨースケ。最初は左フックばかりを狙っていたが、右ストレートがヒットすると今度は右も伸ばして行く。九島はヨースケの前進に対して下がりながら右ローを蹴る。
2R、前へ出るヨースケは上下のコンビネーションパンチ。九島も細かい連打からハイキックを繰り出す。しかし後半、追い続けるヨースケは攻め疲れからかやや動きが鈍り始め、九島はよく動いてヨースケの突進をかわしながらのヒザ蹴り。
3R、ヨースケはパンチで行くが、九島が前蹴りで止めてカウンターのヒザ、ハイキック、そして細かい連打。ヨースケは手が出ず、前にも行けない状態。九島のヒザ蹴りをもらう場面が目立つ。
判定3−0でヨースケが勝利を収めたが、いつものように観客を沸かせることは出来なかった。
▼オープニングファイト第2試合 K-1ルール 60kg Fight 3分3R
○小室武稔(チームドラゴン/2008全日本新空手K-2中量級王者)
KO 1R3分0秒
●小山佑介(ストラッグル)
▼オープニングファイト第1試合 K-1ルール 60kg Fight 3分3R
○小山泰明(建武館/2007全日本学生キックフェザー級王者)
判定3−0 ※28−27、28−27、29−27
●伊藤将彦(ストラッグル)
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