↑沖縄の屋比久がトーナメント優勝、賞金100万円を手にした。
サムライ実行委員会
「サムライ」
2008年12月14日(日)兵庫・神戸国際展示場
キックワンデートーナメントのインターバルに「電撃ネットワーク」等の有名ミュージシャンのライブを導入した画期的な新イベント「サムライ」が港神戸で幕を開けた。
キックルール(ヒジなし)をベースに西日本各地から集まった侍たち16名が賞金100万円をめぐり、ウェルターブロック・ミドルブロックに分かれ、最終的に決勝で相対するというトーナメントで対決した。
→選手入場式、16名の選手たちが集う。
ウェルターブロックでは新鋭の光ハリケーンに、そしてミドルブロックではPK-1世界ムエタイ王者の紅闘志也と、アクセルミドル級王者・屋比久孟嗣の直接対決に注目が集まった。
屋比久の初戦となるドイカラス戦は打撃力の違うローを再三放ち、サウスポーからの左ストレートでしっかりとダメージを与えていた。しかし、立ち上がりは精彩を欠き、優勝候補を謳うには力不足を感じさせる内容であった。
もう一人の優勝候補、紅闘志也は初戦で戦績80戦以上という頑強な鎧を武器にリアルディールなどで活躍のBB×TAKESHIXを得意のヒザで2RKO。寡黙なゲリラ的勝利法はいつもと変わらず、といったところ。
→試合の合間には電撃ネットワークのライブも行われた。
次なる相手は初戦で勇誠会の井上真からダウンを奪い返し、逆転劇で好スタートを切った截空道・細江俊裕。
試合開始からペースを握るのはやはりPK-1王者の紅。得意のヒザをカウンター気味に、やや荒い動きの細江の腹部に小気味よく入れて行く。しかし細江も紅の組みの強さを知っているだけに組まれるや否やロープに押し込みパンチを返す。2R、紅のヒザが顕著に効きだしポイントを奪ったと思われたが、判定は僅差ドローで延長戦に。
判定に不服だったのか、インターバル中には好みのボンテージ姿のラウンドガールにタッチし余裕ぶりをみせる紅。延長戦もヒザを中心に有利に試合を進める紅であったが、細江はバランスを崩しながらもパンチを打ち返し猛反撃に転じる。ダメージは明らかに細江にあったが、マスト判定にもつれ込み、なんと2-1で細江勝利。手数重視的なルールミーティングを終えたジャッジ陣の苦悩の上での判断であった。
勝利したものの、ダメージが甚大な細江。満身創痍の状態で、二回戦で白神武央にローとボディーを効かし、尻上がりに調子の上がるアクセル王者・屋比久と遂に激突。二人目の大物食いと賞金の両名誉を手にしたい細江は、玉砕覚悟でブロック決勝に挑んだ。
迎えた準決勝、序盤、動きの固かった屋比久だが、雰囲気への馴れと神戸=アクセルという自分のメインリングへの重責、さらにセコンドMr.神風の激しい檄もあり、初戦とは別人のようなオーラを漂わせていた。
→準決勝で屋比久が細江をKO!
これまで、逆転劇で奇跡を起こした細江だが、ダメージと実力の差はいかんともしがたく、1R開始早々に屋比久の強烈なミドルとパンチのコンビネーションでサンドバッグ状態となり、フックをガードの隙間から差し込まれてダウンを奪われ、KO負けとなった。ダメージのほとんどないまま、屋比久は決勝へ進出。
一方のウェルターブロックでは注目された光ハリケーンを破ったKY陽平と、播磨の狂犬とネーミングされ二回戦では新空手交流大会6度優勝という、ティーンズ技師・範馬勇次郎を見応えある試合展開でKOしたTOMOYUKIがブロック決勝で激突した。
→KY陽平とTOMOYUKIが準決勝で対戦し、ド突き合いの末にKY陽平が勝利。
見せ場がないのではと、心配されていたウェルターブロックであったが、そんな不安はどこ吹く風。実力拮抗の面白い試合が続出し、また地元ファイターが5人も占めたことで2000人のファンが会場を真夏のような熱気で盛り上げた!
今大会で台風の目となった截空道・KY陽平と誠剛館・TOMOYUKI。両者の闘いは序盤から凄まじいものがあり、ミドルブロックとは違う、まさにド突き合いのうちにラウンドは進む。
強烈な左右のフックを中心に、時折ハイやローのコンビネーションで相手にダメージを与えてきたTOMOYUKIに対するKYは、攻撃力こそないが巧みなディフェンス技術でカウンターを数多く打ち込み相手に思うように打たせない内容。またもやジャッジ泣かせの判定であったが、僅差中の僅差でKYの勝利。屋比久の待つ決勝へコマを進めた。
インターバル中は不良のカリスマバンド「クールス」が往年のロックンロールを会場に響かせた。最後には、「格闘技決勝良い試合してくれー!」とマイクでアピール。両雄はそれを耳に聞き入れながらのスタンバイ。
いよいよ決勝が始まった。大観衆の中、行われた決勝戦だが、KYはようやく「空気」が読めたか、いつになく慎重な入場を見せ、苦戦からのダメージも感じさせぬ武道家らしい戦場入りだったが、蓄積されたダメージは計り知れない。
→決勝戦、パンチで攻める屋比久。
一方の屋比久は島んちゅうの歌で対象的に軽快な入場を見せ、しかも無傷で冷酷な闘うサイボーグと化しているようにさえ見えた。
ゴングが鳴ると、予測した通り屋比久は鬼神的な猛攻を仕掛けた。観客のボルテージは限界に達し、それに呼応する試合内容。一方のKYは屋比久の止まらないパンチ、ミドル、ロー、そして飛びヒザで防戦一方となり、最後は強烈なボディーを叩き込まれ、空いた顔面にパンチ連打を受ける。そして一度目のダウン。
カウント8で再開するも足元はフラフラ。再びラッシュに捕まったが、倒れ込む寸前にゴングが鳴りかろうじて救われた。2Rに入っていいのか? と思わせる程のダメージの中、KYは最期の気合いを入れる。まさに大会のコンセプト『サムライ』だ!
→屋比久がKY陽平をKOしてトーナメントを制した。
しかし、刀を折られたサムライは開始から30秒、静かにリングに沈んで行き、屋比久が昨年のアクセル賞金マッチに続きサムライも制し、二年連続神戸の出稼ぎ大成功となったインタビューでは、観客から檄を飛ばされK-1MAX出場をアピールした。
神戸にはアクセル出身でK-1に近いと思われる選手が屋比久の他に2人いる。誰が最初に大舞台に立ち、誰が最初に日本中の格闘技ファンの脚光を浴びるのか!? 楽しみである。今後も神戸格闘技は地方のトップとなるよう努力して行くようだ。
<試合結果>
▼決勝戦
○屋比久孟嗣(陽明館)
KO 2R0分40秒
●KY陽平(截空道)
※屋比久が第一回サムライ王者となる。
▼準決勝戦
○KY陽平(截空道)
延長判定
●TOMOYUKI(誠剛館)
○屋比久孟嗣(陽明館)
KO 1R1分04秒
●細江俊裕(截空道)
▼二回戦
○KY陽平(截空道)
判定
●エレファントマン(モンスタージャパン)
○TOMOYUKI(誠剛館)
KO 2R1分25秒 ※2ノックダウン
●範馬勇次郎(モンスタージャパン)
○細江俊裕(截空道)
延長判定
●紅闘志也(フリー自宅)
○屋比久孟嗣(陽明館)
判定
●白神武央(拳之会)
▼一回戦
○KY陽平(截空道)
判定
●光ハリケーン(勇誠会)
○エレファントマン(モンスタージャパン)
判定
●奥川光典(堀池道場)
○TOMOYUKI(誠剛館)
判定
●TAKA(モンスタージャパン)
○範馬勇次郎(モンスタージャパン)
判定
●中路りょう(新日本拳法)
○細江俊裕(截空道)
判定
●井上真(勇誠会)
※井上にダウン2、細江にダウン1あり
○紅闘志也(フリー自宅)
KO 2R1分40秒
●BBTAKESHIX(フリー)
○白神武央(拳之会)
判定
●西野哲史(フォーオールボクシングコミュニティー)
○屋比久孟嗣(陽明館)
判定
●ドイカラス(岩崎道場)
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