↑各階級の優勝者&アジア代表選手たち(後列左から)中村K太郎、金親幸嗣、中村和裕、春原幸徳(前列左から)藤井惠、平岩仁美、八隅孝平
ADCC JAPAN
「ADCC世界大会アジア予選」
2009年2月22日(日)東京・中央区総合スポーツセンター柔道場
試合開始13:00
“組み技世界一決定戦”として知られる『アブダビ・コンバット・クラブ・サブミッションレスリング・ワールドチャンピオンシップ(ADCC世界サブミッション・ファイティング選手権)』のアジア代表選手を決める、ADCC
JAPAN『ADCC世界大会アジア予選』が開催された。
男子5階級(−66.0kg級、−77.0kg級、−88.0kg級、−99.0kg級、99.0kg超級)、女子2階級(−60.0kg級、60.0kg超級)の計7階級で行われ、プロの総合格闘技で活躍する選手たちも多数出場。今夏に開催が予定されている世界選手権行きのキップを争った。優勝者は次の通り。
■RESULT
−66.0kg級 八隅孝平(ロータスパラエストラ世田谷)
−77.0kg級 中村K太郎(和術慧舟會東京本部)
−88.0kg級 春原幸徳(ロデオスタイル)
−99.0kg級 中村和裕(吉田道場)
99.0kg超級 金親幸嗣(TEAM
TACKLER)
女子−60.0kg級 藤井 惠(AACC)
女子60.0kg超級 平岩仁美(AACC)
▼−66.0kg級決勝戦 本戦10分延長5分
○八隅孝平(ロータスパラエストラ世田谷)
一本 再延長戦 ※肩固め
●戸井田克也(和術慧舟會トイカツ道場)
最多27名がエントリーしたこの階級では、1回戦から一本勝ちが続出。1回戦11試合中7試合、2回戦8試合中3試合で一本決着が見られた。
優勝候補は順当に勝ち上がり、準決勝は徹肌ィ郎(和術慧舟會ネイキッドマン柔術)VS八隅、塩澤正人(フリー)VS戸井田で争われた。
1回戦シード、2回戦は上畑哲夫(谷柔術)にスリーパーで一本勝ち、準々決勝も西林浩平に横三角絞めで一本勝ちした徹。世界大会には2005・2007年と連続出場し、2007年には66kg未満級で4位になった実績を持つ。「70Kg前後で最強のグラップラーは俺ちゃうか」と宣言している八隅との一戦は、場内を大いに沸かせるスピーディーな攻防の末、再延長戦でテイクダウンを狙って積極的に攻めた八隅がレフェリー判定によって辛くも勝利。実力伯仲の接戦となった。
塩澤と戸井田の元同門対決は、両者とも一本を狙うスリリングな展開となり、最後は戸井田がチョークで逆転勝利。決勝は八隅VS戸井田に。
八隅が組みに行こうとすると、戸井田は背中を見せて走って逃げるお得意のトリッキーな戦法。八隅がタックルに行き、戸井田が倒されるも体を捻ってすぐに立ち上がろうとし、八隅がバックをとりかけるという展開が何度も続く。終盤には戸井田が逆にタックルを仕掛け、おっと思わせる。
延長戦、戸井田は引き込みからすぐに立ち上がっての片足タックル、その片足タックルから足関節を狙いに行くが、八隅は流れるような動きから逃げ、場内は大拍手に包まれる。残り2分で八隅がスピニングチョークの体勢になり、戸井田が逃げるとバックを奪いに行く。八隅は再三タックルを仕掛けたが、テイクダウンは奪えず再延長戦へ。
しかし、ここで戸井田の動きがガクンと落ちる。再延長戦が始まると同時に八隅がタックルでテイクダウンを奪って2ポイント、すぐにサイドで抑え込んで計7ポイントを獲得。動きの止まった戸井田を肩固めで仕留め、八隅が接戦を制した。
▼−77.0kg級決勝戦 本戦10分延長5分
○中村K太郎(和術慧舟會東京本部)
一本 本戦 ※スリーパーホールド
●下林義尚(パラエストラ八王子)
11名がエントリーしたこの階級では、中村K太郎が圧倒的な強さを発揮した。1回戦シード、2回戦は相原賢裕(パラエストラ愛媛)にスリーパーで一本勝ち、準々決勝も水野健次にスリーパーで一本勝ち。
決勝戦は、優勝候補の佐々木信治(総合格闘技道場BURST)を準決勝で再延長のレフェリー判定の末に下した下林と対戦。中村はパスガードすると同時にスルッとバックを奪い、チョークスリーパーを極めてあっという間の秒殺勝利で優勝を飾った。
▼−88.0kg級決勝戦 本戦10分延長5分
○春原幸徳(ロデオスタイル)
一本 本戦 ※ヒールホールド
●荒井勇二(MAX JIU-JITSU ACADEMY&YOGA
STUDIO)
4人トーナメントは荒井が加藤栄次郎をスリーパーで、春原が甲斐俊光(Twist)をヒールホールドで共に一本勝ちして決勝へ進出。
荒井がスピニングチョークの体勢に入ったり、払い腰を決めるなどし、春原はずっと下になったままの状態が続く。春原は下からの腕十字も仕掛けるが、荒井が上になって攻める。
ポイントが加算される試合時間の半分が経過したことをレフェリーが告げると、両者ともアグレッシブに動き出し、荒井がバックに飛び乗るも前に振り落とされ、春原がヒールホールド。荒井は逃げようとしたが、脱出できずタップした。
▼−99.0kg級決勝戦 本戦10分延長5分
○中村和裕(吉田道場)
ポイント差 ※中村7ポイント、内藤−1ポイント
●内藤征弥(和術慧舟會A-3)
PRIDE、UFC、そして現在は戦極で活躍する中村がADCC初挑戦。エントリーは1週間前に急遽決めたという。そのためルールを把握しておらず、試合の途中に「これはいいんですか?」とレフェリーに聞く場面が何度か見られた。
それでも強いことに変わりはなく、1回戦は渡邊直人(Wk Tiger Place)にヒールホールドで一本勝ち(写真上)、準決勝はアニマル安西(TEAM
TACKLER)に腕十字で一本勝ち(写真中)と連続一本で決勝まで勝ち上がった。決勝の相手は、同じく戦極でキング・モーと対戦した内藤だ。
試合が始まると中村がいきなりの内股で内藤を投げ(写真下)、以後も柔道仕込みの投げや足払いでテイクダウンを狙っていく。内藤は引き込んでしまい−1ポイント(決勝戦はマイナスポイントのみ最初からとられる)。外掛けでテイクダウンした中村は2ポイントを奪い、その後、バックを奪いに行くもこれはポイントにならず。
内藤のタックルを受け止めて逆に押しつぶし、テイクダウンの2ポイントを加算した中村は、縦四方と横四方でガッチリと抑え込んでさらに3ポイントを追加。残り時間を確認すると腕十字に行ったが、これはすっぽ抜ける。内藤はすぐに抑え込みに行こうとしたが、中村は素早く立ち上がってスタンドに。そのまま時間切れとなり、中村が勝利を得た。
「インターハイに出た時ぶりに足が震えた。緊張感がありましたね。極めに行くのは恐怖感があるので、総合の試合のためにそういう感覚を掴みたかった。この1週間、自分なりに考えてこれを極めようと思っていた技も極められた。本職のプラスになりましたね」と中村。
世界大会にも出場するかとの質問には「88kgで出られないですかね? 98kgだとちょっと…日本人でもこれだけプレッシャーを感じるし、一度階級を落としているので。今回は急だったので減量が出来なかったけれど、減量してプランを立てて行けばそれなりにいけるような感じはする。(ジョルジ・サンチアゴ戦で骨折した)アゴは骨がまだくっついてないので、復帰戦は夏くらいに考えています。なのでスケジュール次第なんですが、自分としては世界大会に出てみたい」と語った。
▼99.0kg超級決勝戦 本戦10分延長5分
○金親幸嗣(TEAM TACKLER)
一本 本戦 ※腕ひしぎ十字固め
●下中隆広(国士舘レスリングクラブ)
最重量級には4名がエントリー、レスリング力を発揮して永田尚道に9ポイントの差をつけて勝ち上がった国士舘大学レスリングクラブの下中と、田矢信二(無所属)にアームロックで一本勝ちした金親が決勝戦へ進出。金親はレスリング世界選手権にも出場した実績があり、決勝はレスラー対決となった。
試合は両者ともスタンドのまま、組手争いが続きまるでグレコーロマンレスリングの試合のようだったが、ポイントが加算される5分を過ぎると下中がタックルでいきなり2ポイントを奪う。ポイント加算タイムまで待っていたようだ。
しかし、金親はマウントポジションを奪って3ポイントを奪い返すと、すぐに腕十字を極めてタップを奪い、実力差を見せ付けた。
▼女子−60.0kg級決勝戦 本戦10分延長5分
○藤井 惠(AACC)
ポイント差 延長戦 ※藤井4ポイント、塩田0ポイント
●塩田さやか(AACC)
2007年世界大会の女子55kg未満級で優勝、日本人では菊田早苗以来のADCC制覇をやってのけた塩田が出場。1回戦はシード、準決勝ではオーストラリアから参戦したソフィアを膝十字固めで仕留めて決勝へ進出した。
一方のブロックでは藤井と端貴代(和術慧舟會東京本部)の注目対決が実現。果敢にタックルを仕掛けた端だったが、藤井に6ポイントを奪われ、最後は腕十字でタップ(写真右)。決勝は藤井と塩田の同門対決となった。
本戦は藤井が2度上を奪ってキープ、5分前後には一瞬だがマウントも奪った。両者ポイント無しで延長戦へ突入すると、塩田がタックルに行くも藤井が上になって2ポイントを獲得。
藤井が上で動こうとしたところで塩田が膝十字を狙ったが、藤井はすぐに回り込んで脱出すると、タックルに来た塩田を潰してさらに2ポイント。計4ポイントを奪い、世界チャンピオンの塩田を破った。
▼女子60.0kg超級決勝戦 本戦10分延長5分
○平岩仁美(AACC)
一本 本戦 ※アームロック
●佐藤瑞穂(和術慧舟會東京本部)
2007年の世界大会に出場し、4位になった平岩(旧姓・赤野)と佐藤の一騎打ちとなったこの階級。佐藤のタックルを潰して上に乗った平岩がアンクルホールドに行くが、佐藤は逃れる。しかし、再び佐藤がタックルに来たところで平岩が巴投げのように引っ繰り返し、アームロックを極めた。
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