2009年3月8日(日)東京・新木場 1st RINGにて、ナイスミドル!実行委員会『NICE MIDDLE 3』が開催された。
「NICE
MIDDLE(ナイスミドル)」とは40歳以上が出場するキックボクシングイベントであり、今大会には70年代の人気番組『仮面ライダー』のショッカー役が選手として出場し、会場を沸かせた。
その選手の名は片山小源太。今回出場選手の中で最高齢の57歳だ。1973年、全日本キックボクシングバンタム級4位となり、引退後、ジャパンアクションクラブに転身。
仮面ライダーのショッカー役のほかに、ゴレンジャーのゾルダー(ショッカーのような役)、志保美悦子に負ける空手家、1977年に千葉真一の「激殺!邪道拳」で主役の千葉に襲い掛かる猿などをこなすも、「ショッカーでは飯が食えない」を理由に、子供が生まれたのがきっかけで、生活の安定を考え25歳で建築関係に転身。現在に至る。 その片山は43歳の菅野(すがの)と対戦。片山は年齢を感じさせないショッカーのような瞬発力で右ローキックの連打と突きの連打で果敢に攻めていく。一方、菅野も負けじと応戦するが試合は片山ペース。と思いきや、パンチが片山に数発ポンポーンとヒットし、レフリーがすかざす入ってダウンをとる。
試合中、リングサイドにいた片山の孫が大きな声で泣き出し、そこでも会場を沸かせたが、ダウンはその油断か。本人は格闘家らしく「自分が弱いからです」と孫の泣き声とダウンの因果関係を否定。 この大会40歳以上のイベントだけあって、安全面には非常に気を使っている。特に顔面へのダメージがそうだ。顔面にパンチが当たり、軽く効いたかな、という段階でストップが入り、ダウンをとる。 2Rに入ると、菅野が積極的に攻撃しパンチがクリーンヒットしたところでダウンと判定。この大会は2度ダウンすると試合終了となり、菅野が2R36秒でKO勝利した。
片山は「年齢に反抗して体鍛えて大会に出てますけど今日は負けちゃいました。でもこのパワーで大不況を吹き飛ばしていくぞ!」と負けたにも関わらず爽やかで前向きな笑顔の挨拶があった。
試合後、片山は「今までなかなか夢がかなわなかった。そこでこの大会に出会った。年齢制限の59歳までがんばりたいですね。とことんやってみたい。引退のときは10カウントを聞けたら幸せですね」と今後について語っており、これからも片山の活躍が見れそうだ。 メインイベントは元・王者同士の試合。元シュートボクシング王者の若林成幸(40歳)と元日本キックボクシング連盟フェザー級チャンピオンの遠藤裕之(43歳)。
→遠藤の伸びのあるハンマーパンチ
遠藤は序盤から果敢に攻撃を仕掛ける。技のキレ、パワーはとても43歳とは思えない。体重をのせたハンマーパンチを度々繰り出し、若林は防戦一方。遠藤のパンチが若林の顔を捉え、レフリーはダウンをとる。しかし、若林は後半突きの連打で盛り返す。今度は遠藤が防戦にまわる。 遠藤のスタミナが若干落ちてきたかというところで、1R終了。2R目も若林が積極的に攻撃に出てお互い打ち合う。その中で、若林のクロスカウンターが出た、と思ったら 若林のほうから「ウワー」と悲鳴が! 試合中断でドクターチェック。
→クロスカウンター。これで若林は右肩を脱臼する。
どうやらクロスカウンターで変に肩をひねって脱臼したらしい。試合続行不可能のため、遠藤がTKO勝利。観客からは「いい試合だったのに…」とため息が漏れた。 脱臼という事故はあったものの、安全には細心の注意を払っていて床に倒れてまでのダウンは見られず、頭部の場合少しでもダメージがあると判断した場合、レフリーが割って入り、ダウンをとっていた。試合結果に1分KO、30秒KOとあるが、別にマットに沈んでKOされているわけではない。
→若林は手も上げられない状態に。応急処置も効果なく、ドクターストップ。TKOで遠藤の勝利。
「頭部へのダメージに対しては早めにダウンをとるようにしています。周囲からは早すぎるストップだとも言われますが、決して早すぎるとは思っていません」と「NICE
MIDDLE」の大森代表は言う。
それだからか、血を見るような試合はなく、選手は明るく伸び伸びと試合をしているように見えた。次回は6月頃に開催、秋には王座決定戦を実施する予定だ。5月にはこの大会の写真集が発売される。各試合結果は以下の通り。
ナイスミドル!実行委員会 「NICE
MIDDLE 3」 2009年3月8日(日)東京・新木場 1st RING 開始17:00
<全試合結果>
〜NICE
MIDDLE(40歳以上)〜
▼第12試合 ライト級 ○遠藤裕之(43歳/R.F.C/建築板金工) TKO 2R0分38秒 ●若林成幸(40歳/FSFA/会社役員) ▼第11試合 バンタム級 △知童健次郎(45歳/光ジム/電設資材商社) ドロー △不動 心(41歳/VERTEX/ヤマト運輸セールスドライバー) ▼第10試合 ミドル級
○ロッキー小松(50歳/シルバーウルフジム/インテリア会社代表) 判定3-0 ●哲次郎(46歳/藤原ジム/防水会社社長) ▼第9試合 ヘビー級
○秋田国仁(40歳/TEAM☆SPIRITS/自動車販売業) KO 1R 1分58秒 ●吉岡孝司(43歳/Team
LOCK ON/イベントプロデューサー) ▼第8試合 フェザー級 ○菅野一教(43歳/PHOENIXファンキーガッツメン/電気部品販売店店長) KO 2R
36秒 ●片山小源太(57歳/チームグローブ/内装会社代表) ▼第7試合
ミドル級 ○丸山祐之(43歳/鍛錬会/自営業) 判定3-0 ●廣木和宣(44歳/野本塾/建設業)
▼第6試合
ウェルター級 ○トマツYSGタカヒロ(44歳/YSG ファンタスティック道場/アーティスト) TKO 1R
1分06秒 ●MISAO(40歳/TEAM☆SPIRITS/内装業) ▼第5試合 フェザー級 ○谷内雅紀(41歳/クラミツムエタイジム/グラフィックデザイナー) TKO 1R2分 ●澤田 肇(43歳/PHOENIXファンキーガッツメン/内装工事管理業) ▼第4試合 フライ級 ○ヨシマサの拳(45歳/ワイズボディ/スポーツトレーナー) 判定2-0 ●金綱秀忠(47歳/和心館/製本業) 〜NICE
MIDDLE Jr(35歳以上39歳まで)〜 ▼第3試合 ライト級 ○佐藤和明(38歳/超越塾/ケアマネージャー) KO 1R
30秒 ●スター田中(38歳/藤原ジム/マジシャン) ▼第2試合 ウェルター級
○HIDEJIN(39歳/JTクラブ厚木/冷凍車製造業) 判定3-0 ●藤田哲志(39歳/岩瀬ジム/消防士) ▼第1試合 ライトヘビー級
○川辺克実(37歳/PHOENIXファンキーガッツメン/理化学用研究機器製作卸) 判定3-0 ●齋藤秀次(38歳/VERTEX/設計事務所経理) |