▲胃がん手術を乗り越え、試合に復帰した西岡(写真左)
第2回 全関東空手道選手権大会
2009年5月17日(日)東京・代々木第2体育館
主催:NPO法人国際空手拳法連盟白蓮会館
昨年の記念すべき第1回大会は往年の名選手・南豪宏の劇的な復帰優勝で大盛り上がりを見せたが、 第2回となる今大会は関東のTOP選手達が集い、さながらミニ全日本大会の様相で、
ベテランが勝つか、新鋭が勝つか、南に代わるヒーローの出現に期待が寄せられた。
そんな中、最も拍手喝さいが大きかったのは、壮年有段の部、軽中量級の決勝の西岡選手だった。
周囲を取材すると、2年前、胃がん手術したのにかかわらず、体を鍛え上げ、素手でボディを思いっきり打ち合う
ノックアウト制のこの大会に参戦しているというのだ。そして彼は決勝へと駒を進めた。
▼壮年有段の部 軽中量級 決勝戦
○内藤勇二(白蓮・横浜)
延長1回 判定 3−0
●西岡 務(白蓮・千葉)
西岡務、60歳。2年前に胃がんを患い、手術で胃の3分の2を失った。体重は10s落ち、筋力、体力共に落ちたが、空手への情熱だけは代わることが無かった。
2年がかりの命がけの筋トレと稽古で回復!今大会に復帰した。
今大会、ジュニア・一般各階級を通じ一番会場を沸かせたのはこの西岡選手であった。
白蓮会館千葉支部長として数々の選手を育てながら自らの鍛錬も怠たらない。
準決勝では、あわや技ありか?と思えるほどの超スピードの胴回し回転蹴りは会場から歓喜の声があがった。
決勝では、一発一発、パワフルな突きを中心に胴回し回転蹴り、踵落とし等、多彩な蹴り技で相手の内藤選手を苦しめたが、内藤は西岡の攻撃を受けながらも、攻撃に合わせ、カウンターでパンチの手数を多く出す展開。本戦で決着はつかず延長戦へ。そして判定へもつれこみ、やや手数の多かった内藤に軍配。
敗れた西岡選手だったが、試合後の会場は割れんばかりの拍手が送られた。
西岡選手へ試合後のインタビュー
「試合でボディを攻撃されて痛いのは、手術前も同じです。変わりないです。2年間、とにかく元の姿に戻そうと、筋トレーニングと稽古に励みました。空手をやっていることはお医者さんには内緒なんですが(笑)。来年も再来年も試合に出たいという思いがあり続ける限り出場し続けたいです」
▼女子重量級 決勝戦
○加藤里枝(白蓮・札幌)
判定 本戦 3-0
●平井良子(白蓮・神戸)
決勝戦は優勝候補で新極真会世界大会に日本代表として出場経験もある加藤里枝(白蓮札幌)と平井良子(白蓮神戸)との対決となった。
白蓮会館西日本新人戦女子軽量・重量の両階級を制し、この関東大会も「小よく大を制す」空手で制覇しようと重量級でチャレンジした平井であった。
しかし、体重差26キロの壁は大きく、体格・実績で上回る加藤のパワフルな攻撃の前に思うような攻撃が出来ず、本戦3−0の判定負け。加藤は他流派から、この白蓮会館に移籍し、練習環境の変化など様々なプレッシャーの中、移籍後初のビックタイトルを手にした。
▼一般上級クラス 軽中量級 決勝戦
○福地勇人(淑徳巣鴨空手部)
判定 延長1回 5-0福地に技あり
●小川慎ニ郎(白蓮・山形)
軽中量級には注目選手が多く、白蓮会館世界大会3位の池田志信(白蓮千葉)、ベスト8の日野雅仁(白蓮山形)、その後輩で山形支部の新鋭小川慎二郎、正道会館全日本大会3位の鯉渕拓など、そうそうたるメンバーが集結していた。
そんな中、トーナメントを制したのは若干16歳の高校生・福地勇人(淑徳巣鴨空手部)であった。2回戦では日野雅仁を本戦で下し、準決勝では鯉渕を破った山田哲也(講士館)を激闘の末延長で勝利。
そして決勝戦では小川との対決となった。小川は1回戦で池田を下した児平匠(白蓮鎌倉)を準決勝で破り、勢いに乗る。しかし16歳・福地は鋭い膝蹴りの連打を中心に攻撃を組み立て、本戦をやや優勢にすすめるも延長へ。ここでも福地は更に勢いを増し。鋭い中段膝蹴りから上段膝蹴りにつなぎ、技あり。ジュニア世代の強さを見せつけた。
▼一般上級クラス 重量級 決勝戦
○内藤貴継(白蓮池田)
判定
●新井創人(白蓮横浜北)
重量級選手の中での注目は正道会館全日本ウェイト制大会軽重量級2連覇、そして松井派の極真会館ウェイト制全日本大会準優勝の実績を持つ板谷泰志だった。
板谷に誰がストップをかけるか注目が集まった。1回戦を中段廻し蹴りで合せ一本と絶好調の板谷、2回戦では事実上の決勝戦ともいえる対戦となった。
迎え撃つのは白蓮会館世界大会3位の実績を持つ新井創人(白蓮横浜北)、共に意地でも負けられない一戦であったが、本戦開始から本来スロースターターの新井が気迫溢れる攻撃で積極的にプレッシャーをかけていく。板谷は思うように距離を作れず得意の蹴りが出ない。終始ペースを握った新井が本戦判定で勝利した。その新井は準決勝で強豪坂田好総(昭武館)を延長で下し、決勝進出。
もう一方は22歳の新人内藤貴継(白蓮池田)が圧倒的な強さで勝ち上がってきた。準決勝では飛び2段上段膝蹴りというアクロバティックな技で一本勝ちし、会場を沸かせた。ベテラン対若手の対決となったがここでもジュニア出身の勢いは止まらない。多彩な蹴り技を駆使し終始攻め続けた内藤が本戦4−0で勝利。全試合本戦決着という素晴らしい内容であった。秋の全日本大会の活躍が期待される。
<全階級結果>
幼年・小学1年生(男女混合)
優勝 塚本力斗(正拳会)
準優勝 角川夏海(フリー)
3位 眞田琴美(白蓮山梨)
3位 鈴木哉子(正拳会)
小学2年生(男女混合)
優勝 宇佐美 秀(不動塾)
準優勝 藤本楓人(白蓮姫路南)
3位 田中春奈(正拳会)
3位 中村健成(極真浜井派)
小学3年生(男子の部)
優勝 宇佐美 正(不動塾)
準優勝 工藤清龍(極真森道場)
3位 山科力輝(高空會)
3位 内村隆元(正拳会)
小学3・4年生(女子の部)
優勝 宮澤未優(桜琳塾)
準優勝 山田夏未(白蓮横浜北)
小学5・6年生(女子の部)
優勝 福徳萌花(紅衛会)
準優勝 石井彩愛(紅衛会)
3位 笹野風夢(TEAM・KISS)
3位 中村綾乃(紅衛会)
壮年新人戦の部 軽・中量級
優勝 松木 繁(白蓮山梨)
準優勝 宮下正彦(白蓮山梨)
3位 伊佐 清(白蓮横浜)
3位 岩元 淳(白蓮横浜北)
壮年新人戦の部 重量級
優勝 宮田雅幸(白蓮堺)
準優勝 結田正樹(正道会館)
3位 渡辺一男(白蓮山梨)
3位 立川武郎(白蓮山梨)
小学4年生(男子の部)
優勝 太田竜輔(新極真会)
準優勝 鎌田 岳(正拳会)
3位 芝原正樹(白蓮東大阪東)
3位 伊藤力也(正道会館)
小学5年生(男子の部)
優勝 泉 魁斗(TEAM・KISS)
準優勝 武藤魁和(白蓮山梨)
3位 岩田 凛(正拳会)
3位 玉井大翔(極真館)
小学6年生男子の部 初級クラス
優勝 橋本滉樹(紅衛会)
準優勝 藤田宗真(白蓮横浜)
3位 高橋大和(白蓮千葉)
3位 中川端基(桜琳塾)
小学6年生男子の部 中・上級クラス
優勝 伊藤凌雅(武道空手練)
準優勝 渡辺 駿(正拳会)
3位 宮田 空(白蓮堺)
3位 中島航太郎(白蓮川崎)
中学生男子の部 軽・中量級
優勝 鈴木一成(武道空手練)
準優勝 鈴木大志(白蓮横浜北)
3位 武藤充史(白蓮山梨)
3位 武藤圭亮(白蓮山梨)
中学生男子の部 重量級
優勝 平野義政(白蓮千葉)
準優勝 田島賢吾(武道空手練)
女子の部 軽・中量級
優勝 中川睦美(白蓮札幌)
準優勝 望田亜紀子(正道会館)
3位 小玉恵子(MAC)
3位 小松原由香理(白蓮横浜北)
女子の部 重量級
優勝 加藤里枝(白蓮札幌)
準優勝 平井良子(白蓮神戸)
中学生女子の部 有段の部
優勝 田中愛咲美(聖武会館)
準優勝 堀内 唯(淑徳巣鴨中学)
一般新人戦 初級クラス(無差別)
優勝 駒橋 学(白蓮鎌倉)
準優勝 竹川英史(白蓮山梨)
3位 香川隼也(白蓮湘南)
3位 大森丈史(白蓮南アルプス)
一般新人戦 中級クラス(無差別)
優勝 土谷奉功(正道会館)
準優勝 松本佳洋(MAC)
3位 吉田 務(白蓮東京)
3位 竹内慎司(正道会館)
壮年有段の部 軽・中量級
優勝 内藤勇ニ(白蓮横浜)
準優勝 西岡 務(白蓮千葉)
壮年有段の部 重量級
優勝 松浦 強(白蓮八尾東)
準優勝 平野喜郎(白蓮住吉)
一般上級クラス 軽・中量級
優勝 福地勇人(淑徳巣鴨空手部)
準優勝 小川慎ニ郎(白蓮山形)
3位 児平 匠(白蓮鎌倉)
3位 山田哲也(講士館)
一般上級クラス 重量級
優勝 内藤貴継(白蓮池田)
準優勝 新井創人(白蓮横浜北)
3位 三ヶ嶋文英(武道空手練)
3位 坂田好総(昭武館)
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