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 2009年10月12日(月・祝)東京・新宿FACEで開催された中村高明・引退記念興行実行委員会『小林聡プロデュース 〜中村高明・引退記念興行〜』
で引退セレモニーを行った第10代全日本ミドル級王者・中村高明(藤原)。全日本ミドル級最強の男が突然の引退を決めた理由とは何だったのか。引退興行終了後に本人に直撃した。

中村高明(なかむら・たかあき)
1975年12月26日
190cm
1999年3月12日プロデビュー
2007年6月10日白川裕規を破り、第10代全日本キックミドル級王者に輝く
2007年12月7日、吉武龍太郎を判定で下し、全日本ミドル級タイトル初防衛
2008年12月5日、江口真吾から勝利し全日本ミドル級タイトル2度目の防衛
2009年1月18日、「ムエローク」でのヨードセングライ・フェアテックスの試合がラストマッチとなる
2009年10月12日、中村高明・引退記念興行で引退セレモニー
所属:藤原ジム

戦績36戦24勝(10KO)12敗

■燃え尽きている自分に気づいてないなと

――引退を決めたのはいつだったんですか?

「1月の試合(ヨードセングライ・フェアテックス戦)が終わって、勝っても負けても引退するつもりだったんですが、試合が終わって欲が出てきて、『もう一回あいつとやりたいな』という気持ちが出てきました。

 でも、どんなにつらい練習しても一週間も立てば、『サンドバックを叩きたいな』という気持ちになるんですが、今回はそういう気持ちになりませんでした。これは燃え尽きてる自分に気づいてないんだろうなと。これが6月のことでした。そう感じた次の日に、『お世話になりました』と藤原(敏男)先生に言いに行きました」

――その時に藤原先生は何と言われたんですか?

「あんまり何も言わなかったですね。『お疲れさん』ということでした」

――引退のことを藤原ジムの仲間にはいつ言われたんですか?

「今日まで直接には言ってないです。みんな第三者から聞いたと思います」

――奥さんは何と言われてましたか?

「『今までお疲れ様』としか言わないですね」

■「キックの練習さえすれば良かったので、自分は幸せでした」

――そうなんですね。今までの試合で一番印象深かった試合は何ですか?

「やはりここ(新宿FACE)で闘った白川裕規戦(2007年6月10日全日本ミドル級王座決定戦)でしょう」

――今日の引退セレモニーでは、白川選手が中村選手に花束を渡す場面もありました。

「全く聞いてなかったのでビックリしました」

――リング上では言葉を交わされてましたよね。

「そうですね。色々と言ってくれて、自分も『ここでやった試合は俺の財産だ』と伝えました」

――今後はどのようなことをやられていくんですか?

「今はとりあえず色々と模索しています」

――ジムを立ち上げたりは?

「それはないです。格闘技界からは距離を置こうと思います。なので後身の指導というのもないですね」

――最後に引退試合というのは考えませんでしたか?

「それも考えたんですけど、一回気持ちが切れてしまったらあのテンションにまで持っていけないですね。最後にエキシビジョンという話もいただいたんですけど、そんな緊張感のないものを自分は見せたくありません。一番強いときの自分をお客さんに見せたいです。引退を覚悟した選手というのは、もうそうじゃないと思います」

――特に思い残したことはないですか?

「ないですね。全くないです。振り返ってみて自分は幸せですよ。やりたいことを10年間夢中でやってましたから。キックの練習さえしとけば自分は良かったわけです。こんなに夢中になれることに出会えて、ここまで徹底的にやらせてもらって幸せです」

――キックをやっていて幸せだったということですが、今後のことはやりたい方向を見直すと。

「そうですね。格闘技に携わりたくないというわけではないですけど、自分には家族がいるので安定した仕事でまず地盤を作ってから別な形で携わりたいと思います」

――わかりました。どうもありがとうございました。

「長い間ありがとうございました」

(2009年10月12日、中村高明・引退記念興行の大会終了後の取材で収録)


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