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大晦日「やれんのか!」のリングで秋山成勲に勝利した三崎。しかしあれから約3週間、フィニッシュシーンにつながったサッカーボールキックがルールに抵触していると判断され、試合結果がノーコンテストに覆される結果となった。この裁定について「大晦日での試合が僕の全てです」と三崎。三崎は秋山戦、旧PRIDE&「やれんのか!」、そして「戦極」についてどんな想いを抱いていたのか。(※このインタビューはノーコンテスト裁定が発表される直前に収録したものです


■秋山さんのことは男としても尊敬している
またどこかで秋山成勲という選手と交わりたい

――大晦日の試合が終わってからはどのように過ごしていたんですか?
「まず試合のダメージがあったんですよ。打撃で一発いいのをもらってダウン気味に倒れたじゃないですか。それもあって体を休めていましたね」(※取材日は1月13日)

――いつもの試合でもこのくらいの期間は休息にあてるんですか?
「内容によりますね。ただ今回の試合で言えば、秋山さんのパンチ力、強さがあったからだと思います」

――試合が終わってから試合をご覧になりました?
「はい、何度か見てますよ。やっぱりあの試合は、これは僕が試合前から思っていたことなんですけど、技術とかフィジカルとかそういう闘いではなかったなと。僕が試合で一番重要にしているポイントは動物的な部分、野性の部分なんですね。自分の身を守ることに長けている人間・動物が強いと思うので、秋山さんはそういった怖さを兼ね備えた選手だと思っていました。それは試合前から感じていたことですが、実際にリングに上がって秋山さんと向かい合った時に予想以上にその強さを感じましたね。だから試合中もその野性の部分でお互いに探り合ってましたよ」

――秋山選手の野性は想像以上だった、と。
「はい。リングで秋山さんと闘っている時、動物的な本能の部分で『怖いな』と感じました。毎回僕も試合をするのは怖いんですが、自分以上に動物的な能力を持っているんじゃないかと感じさせる選手ってなかなかいないんですよ。そういう怖さを秋山さんには感じましたからね。それが僕の動きを止めたり、鈍らせたんでしょうね」

――試合中は時間を長く感じました? それとも短く感じました?
「“時間”という部分ではそこまで意識してませんでしたね。それよりもその一瞬、一瞬。0コンマ何秒の世界に全神経を集中してましたから、時間を感じる余裕はなかったです」

――会場の雰囲気も含めて、あの日のリングは異常な空間だったと思うんですね。でも三崎選手は普段以上に試合に集中していたように見えたんです。
「そうですか? 今回はリングに上がるまで、そこまでの僕自身の想い、周りの声、そういったものをいつも以上に感じた試合でした。それは僕に直接届いてくるもの以外にも、たくさんあったわけです。僕はそれをすべて自分の中にしまい込んで、リング上で僕の試合を通じて伝えようと思っていたので、リングに上がるまでの時間が非常に苦しかったですよ……辛かった。僕は自分を信じること以外何もできませんでしたからね」

――実際に花道に上がってリングに向かっている間に気持ちは切り替えられました?
「はい。自分の入場曲が流れて花道を歩いている時には、ファンの人たちの声援はプレッシャーではなかったし、地球上のすべてのものからエネルギーをもらっている気がしました。言葉では上手く表現できないんですけど、リングに向かっている時の僕は怖さや辛さもない、エネルギーに満ち溢れた状態でした」

――試合前の煽りVTRにも「迎え撃つ立場なのに悲壮感が漂う」というナレーションがありましたが、実際にそうだったんですね。
「勝ち負けは戦う上で重要なことだと思うんですよ。それはプロもアマチュアも一緒、リングに立つ人間である以上、負けるためにリングに上がる選手なんて誰もいないでしょう。勝つことは大切なことなんです。ただ今回の試合は勝つことも大事だったんですけど、それ以上に伝えたいものがあって。僕は勝ち負け以上に大きな何かに向かっていた気がします」

――そうは言ってもあの場面で秋山選手には負けられなかったのではないですか?
「もちろん。僕の中でそんなことは絶対にないんですが、もしあそこで負けていたら、僕が今まで作り上げてきたものすべてが崩れ落ちる。かき消されていたかもしれない。そういった危機感を持ったまま練習をしてましたよ」

――秋山成勲という選手と闘ってみて、改めてどんな印象を持ちましたか?
「何を言っているんだと思われるかもしれませんが、本当に胸のうちから話すと、秋山さんのことはファイターとしてだけではなく、男として尊敬しているし、またどこかで秋山さんという選手と交わりたいと思っているんです。それが試合か、試合じゃないかは分かりませんけどね。そのくらい興味を抱きました。やっぱり何かを持っている人間っているんですよね、良くも悪くも。何かを持っているからこそ、周りの人間は興味を持つし、惹きつけられる。秋山さんはそういう人間なんじゃないかなと思いました」



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