毎月GBRが取材した大会の中で、最優秀選手を決める月間MVP。2012年6月のMVPは、6月15日(金)東京・後楽園ホールで行われた『DEEP 58 IMPACT』で菊野克紀と対戦、注目の大物日本人対決を制して超満員の観衆を沸かせた北岡悟に決定!(2012年7月5日UP)
PROFILE
北岡悟(きたおか・さとる)
1980年2月4日、奈良県出身
柔道・柔術のバックボーンを持ち、2000年10月にパンクラスでプロデビュー
カート・ペレグリーノ、カーロス・コンディット、ポール・デイリーといった
海外の強豪選手から一本勝ちを収める
2008年より戦極に参戦、同年のライト級GPでクレイ・フレンチ、光岡映二、横田一則を下して優勝を果たす
2009年1月4日、戦極ライト級チャンピオンシップで五味隆典をアキレス腱固めで下し、初代王者となる
同年8月2日、初防衛戦で廣田瑞人に敗れて、王座から陥落
2010年10月3日、パンクラスを退団
2011年9月24日、DREAMに初参戦し、ヴィラミー・シケリムに判定勝ち
同年12月31日、青木真也と対戦して判定負け
2012年6月15日、菊野克紀と対戦して判定勝ち
身長168cm、試合体重70kg
総合戦績:49戦30勝11敗9分
初代戦極ライト級王者
LOTUS所属
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選考理由
1、「DEEP 58 IMPACTで菊野克紀に勝利」
2、「超満員の観衆を沸かせる名勝負だった」
3、「国内はもとより海外での活躍も期待される」
選考委員
Fight&Life、ゴング格闘技、YAMATOの各格闘技雑誌の編集長とGBRの全スタッフ
受賞された北岡選手には、ゴールドジムより以下の賞品(プロテタイトカルシウム 1個、マルチビタミン&ミネラル 1個、アルティメットリカバリー ブラックマカ&テストフェン+α 240粒 1個)と、GBRより記念の盾が贈られます。
贈呈:ゴールドジム
MVP記念インタビュー
「僕はただ、勝負に勝ちたくて一生懸命なだけです」
■菊野の打撃を封じ込んだ北岡の作戦とは?
チケットは前売りの段階で完売、超満員に膨れ上がった後楽園ホール。この日の主役はまぎれもなく北岡悟と菊野克紀、メインイベントで激突する2人だった。北岡の寝技か、菊野の打撃か? 個性の違う両者の対戦は大きな話題となった。そして、北岡がこの大物日本人対決を完封に近い見事な内容で制し、ベストバウトを演じた。
「僕の方が勝つために必死でしたし、僕の方がよりこの試合に勝とうとしていました。結果論ですけれどね。ただ、試合はそういう取り組み方が出るものだと思います。僕はそんなに研究熱心なわけではありませんが、ただ勝負に勝ちたくて一生懸命なだけです」と、北岡は菊野戦を振り返る。
1R開始のゴング直後、両者がリング中央に歩み出た瞬間に、北岡は速攻でタックルに入る奇襲ともいえる作戦に成功してペースを掌握した。
「あれが出来ること自体、僕の方が(戦略で)的を得ていたし、僕の方がいい状態で相手を上回っていたんじゃないですか。あれはなかなか他の選手には出来ないと思います」
北岡は得意のフロントチョークをフェイントとしても使い、常に菊野にプレッシャーを与えつつ、グラウンドで圧倒した。スタンドでは菊野の右の三日月蹴りを何度かもらったものの、打撃でピンチに陥ることはなかった。
「戦前は効く打撃をつながれたら勝負を決されるというプレッシャーはありました。試合の映像を見たらけっこう蹴られているんですが、本当に入ったのは片手(5回)にも満たない。その中でも本当に効いた蹴りはなかった。
僕の組み技のプレッシャーがかかっていて、彼が腰が引けた状態で蹴っているから効かないですよね。僕は左右で蹴られたら嫌だなと思っていたし、スイッチして右を蹴ってきたら嫌だとも思っていました。向こうがもっと幅の広さを見せてくるんじゃないかと予測していたんですが、そういう戦い方ではなかったですね。逆に途中から怖くないのが分かったから、僕が殴れると思いました」
これまで、菊野と対戦した相手は菊野の三日月蹴りを警戒するあまりに距離をとってしまい、逆に蹴りやすい距離を作ってしまっていた。しかし、北岡は自ら前へ出ることによって蹴りの距離を潰し、菊野に効果的な蹴りを出させなかったのだ。
■UFC出場には魅力があるが、出るからには勝たないと意味がない
驚くことに、北岡には現在5人ものトレーナーがいるという。
「新しい人に教わることになっても、それまで教わっていた人ともそのまま続けていくんです。僕はトレーナーを減らさないんですよ。皆さんそれぞれほかの仕事をやりながら無償でトレーナーをやっていただいているんです。今回の勝利はチームの勝利だというのは絶対にあります。そして、それを集約した自分という選手の勝利です」
大一番を終えて、北岡の胸に去来したものは何か?
「僕も後がない状態で自分を追い込んでいたから、それをクリアできた安堵感はあります。プロとして生きながらえたということです。あれだけのお客さんが入ってそこで勝てて嬉しいですけれど、安堵感の方がデカイですね」
同じDREAMで活躍した青木真也はシンガポールの格闘技団体『ONE FC』と契約し、川尻達也も同団体との契約が噂されている。DREAMが活動休止状態となり、ほかの選手たちが海外へ戦いの場を求める中、北岡は今後どのような道を歩むのだろうか?
「菊野戦の翌日、シンガポールからメールが来ました。また、アメリカのある団体からもお話をもらいました。でも僕は、変に凝り固まっていないというか。海外だからいいわけではなく、僕はプロだから日本のファイトマネーと比べて考えないといけません。DEEPで納得いく条件でやらせていただいているので、海外と言われてもそれよりも低ければ何の意味もないです。僕はこれ一本でやっていますし、遊びではないので」
日本人選手たちが苦戦を強いられている総合格闘技の世界最高峰UFC。その舞台を北岡も当然目指している。
「UFC出場には魅力がありますが、出るからには勝たないと意味がない。これなら勝負できるという気持ちを持ちたいですね。僕も32歳。ノビシロがあとどれくらいあるのかは分からないですし、そんな悠長なことを言っていられないのは分かっていますが、それでも出るからには勝つことにこだわりたいです」
今後も国内外で北岡悟の活躍が期待される。
関連リンク
・ゴールドジム Web site
・試合レポート「北岡悟が菊野克紀に激勝!『ナメんじゃねえぞ』
」
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