
「極真空手、思い出を挙げればキリがない」が本当にキリがなくなってきたので、ここで一旦お休み。今回はいまGBRで特集中の『春のキックボクシング祭り』に併せて久しぶりにキックボクサーとの思い出を綴ってみたい。
僕の20年間にわたる記者生活の中で、最も印象深いキックボクサーを一人挙げろと聞かれたら真っ先に名前が思い浮かぶのは立嶋篤史であろう。おそらく、今までで最も印象深い格闘家を挙げろと聞かれても三人以内に入ってくる。それほど印象深い選手である。
今の若い人たちは立嶋がどれくらい凄い選手だったかを知らないと思う。立嶋を知っていても、出てきては負ける昔の選手……くらいの印象しかないだろう。しかし、事実として彼は本当に凄いプロのキックボクサーだったのだ。
90年代前半、格闘技界はまさしく「立嶋ブーム」だった。低迷していたキックボクシング界を活性化させ、業界全体を盛り上げた功績はもちろん、格闘技雑誌の売り上げにも大きく貢献し、一般誌・紙やテレビにも出まくった。地上波のテレビ局には全て出演したのではないだろうか。NHKで特集されたキックボクサー、いや格闘家なんて数えるほどしかいないだろう。尾崎豊の特番でNHK教育の方にも出たかな。
高校の卒業式に取材陣が集まるのも異例だったし、新聞に掲載された映画の広告にも登場(それとは別に、たしか三大新聞にもコラムかインタビューで掲載されたことがあるはず)、ついには漫画化までされ、ダウンタウンの松本人志をはじめ有名人がファンを公言した。
なぜそれほどまでのブームを巻き起こしたのか? まず、彼が……