
「極真空手、思い出を挙げればキリがない」の第40回目。今回も、ボクがこの目で見た中で誰が何と言おうと極真空手史上最高・最強の空手家と信じて疑わない数見肇についての思い出を振り返ってみたい。
1996年11月に開催された『第28回全日本空手道選手権大会』決勝戦でギャリー・オニールを破り、全日本王座に返り咲いた数見。続く『第29回全日本空手道選手権大会』でも決勝戦でギャリーと闘い、二連覇を達成。1998年11月の『第30回全日本空手道選手権大会』では宿敵ともいえる田村悦宏と三度決勝戦で闘い、見事史上3人目の三連覇を達成した。
完全に“数見時代”を確立したわけだが、世の中はK-1と総合格闘技の全盛時代。そんな中、マニアの評価はもちろん高かったのだが、一般ファンからの「数見の試合は下段廻し蹴りばかりで地味、つまらない」という声も少なくはなかった。
派手な破天荒ファイトを展開する野地竜太、上段の蹴りも使える高久昌義、第30回全日本で頭角を現して3位に入賞した木山仁など、数見よりも派手な空手ファン以外の人が見ても楽しめる試合が出来る選手もいたのだが、数見の牙城に迫ることは出来なかった。
しかし、一度でも数見の試合を生で見たことがある人なら、彼がかもし出す独特の雰囲気、いかにも“空手家”という佇まいに心を奪われたと思う。極真空手の大御所ライターも「私の愛する数見こそが史上最高の極真空手家」と書いていたほどだ。