ZUFFA
「Ultimate Fighting Championship 64 Unstoppable」
2006年10月14日(土)米国ネヴァダ州ラスベガス
マンダレイベイ・イベンツセンター
▼第3試合 ミドル級5分3R
○岡見勇信(日本/慧舟會東京本部)
TKO 3R1分40秒
●カリブ・スターンズ(カナダ)
8月のUFC初戦で、勝利こそ掴んだものの内容に不満が残っていた岡見勇信が、2ヵ月弱で再びオクタゴンに登場、豪快にTKO勝ちを手にした。
2度目のオクタゴンの相手は、『ジ・アルティメット・ファイター〜シーズン3〜』出身のスター候補生カリブ・スターン。全米で中継されたリアリティ・ショー出身者だけあって知名度は抜群、前回はそれほど聞かれなかったブーイングが、岡見の頭上に鳴り響いた。
しかし、ガチガチだった前回と比較して、自らも「リラックスしていた」という岡見は、じっくりと相手の力を図りながら慎重に自分のペースで闘う。テイクダウン狙いのスターンズの試みを遮断し、ラウンドの終盤にテイクダウンを奪うと、得意のパウンドを叩きこむ。
8月には見られなかった岡見らしい勢いのあるパウンドが、ようやくオクタゴンで披露され観客席からも歓声があがる。これで勢いづいた岡見、2R序盤こそ、ケージ際でテイクダウンの攻防が膠着したためブーイングが起こったが、ここもテイクダウンからパウンドで完全にペースを握る。スターンズの片足タックルを潰した際に腕を狙えそうだったが、ここはスタンドに戻り首相撲からヒザを見舞っていく。
3R、滑らかな動きからリズムよくパンチが出ていた岡見の得意のアッパーが、連打でスターンズにヒット。思わず背中を見せる対戦相手を追いかけ、三度テイクダウンを奪うと、マウントを奪取。背中を見せた相手にレフェリーが試合をストップするまでパウンドを落とし続けた。
結果だけなく、内容も求められる厳しい状況下のUFC第2戦で、プレッシャーを力に変えた岡見は、満面に笑みを浮かべ勝ち名乗りを受けた。
<大会終了後の岡見のコメント>
――前回と違い、技も表情も滑らかなUFCとなりましたね。
「今回は調子が良かったのと、気持ち的にも絶対に前に行かないといけないと思っていたので」
――フィニッシュ前のアッパーが、完全にスターンズを捉えました。
「ストレート系のパンチは、ガードが固かったんで当たらないかなと思っていました。あのコンビネーションは、練習でやってきたものなんで、自然に出ましたね。最初にタックルを仕掛けられて、倒されないなと思ったんですが、打撃はどれくらいできる選手なのか分からなかったので、そこだけは気をつけて闘いました」
――岡見選手の気持ちのなかで、前回と今回、どこが一番違うと感じていますか。
「プレッシャーですね。前のときは、周りの期待を凄く感じていたんで、勝ちにこだわって硬くなっていました。それに比べて、今回は凄くリラックスできて、アップしているときも調子がいいって感じましたし。試合前もしっかり眠れたので、助かりました」
――今は試合直後と違い、嬉しいというよりホッとしたという風に見えますが。
「そうですね、前がああいう試合だったんで、ここで変な試合をしたらもう呼ばれないなって思っていたんで。自分でも前に出るってあれだけ言っていて、それでできないと情けないし。勝つことも大切だったんですが、前に出ることを一番意識していました」
――ところでメインで岡見選手とは因縁浅からぬアンデウソン・シウバ選手が、とんでもない強さを見せつけてミドル級王者になりました。
「フランクリンが何かを見せてくれる、勉強になると思っていたんですが……。アンデウソン・シウバが途中からサイドステップを踏み出したのを見て、あぁ乗ってきたと。自分があれをやられた時のことを思い出しましたね(笑)。あそこからフランクリンは、パンチも出せなくなったし。打撃で打ち合うとやられるなとは思っていたんですが、あんな風に気持ちが折れて下がるとは思っていませんでした」
――岡見選手は、アンデウソンからテイクダウンを奪っていますね。
「まぁ、そんなこと言っていてもしょうがないですし……。一度、肌をあわせているアンデウソンがチャンピオンになったということは、自分にとっても大きいことなんで。自分が本当に強いと思っている人がチャンピオンになってくれたことが嬉しいですし、遣り甲斐もあります」
――関係者の対応も、前回とは違ったんじゃないですか。
「違いましたね。何よりも、お客さんの反応が違いました。やっぱりアメリカですね。サインも凄く求められたし、女の子からも結構ねだられました(笑)」
写真撮影&レポート=高島学
Photos&Report=Manabu Takashima
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